GW能登ドライブ旅行時、穴水で立ち寄った小さな喫茶・販売所の奥能登里山
サングリエ。
地震での隆起やひび割れがまだそこかしこに残っていて痛々しかったが、トイレ
休憩がてら寄ってみた。冷凍庫を覗いてみると、能登里山の猪肉や鹿肉が売って
いた。こちらで加工された獣肉は千里浜の道の駅でも売られているようだ。
見た目に中々良い感じの猪肉ロースの塊1kgが¥7000弱。これはお得と思い、
購入。その日は輪島で一泊予定の為、宅急便手配をお願いした。
到着した物を実際にスライスしてみると、やはり脂と赤身のバランスが良い。
肉質も良さそうだ。輪島で買っておいた舳倉島の塩とコショウだけを振って、
フライパンでグリルしてみた。焼く時に米油少々引いただけで、あとは猪から
旨そうな脂が溶け出て来る。
実食してみると、脂の部分が香ばしくもサっと溶けていく。クドさなど無い。
クセの無い赤身と共に、良い獣肉だ。岐阜のかたつむりさんで食してきた物を
彷彿させてくれる。
(妻は、むしろこちらの方がよりクセが無く食べやすいとさえ言う)
猪肉を焼いている時に出た脂でキノコを炒めると、これもまた絶品料理に。
同じ値段なら和牛より断然こっちを購入する。
思うに、能登の里山はその性質(たち)が良いのだろう。だから美味い野菜も
美味い猪も、あの美味な日本ミツバチの蜂蜜も生まれるのではないか。
能登に向かう理由がまた一つ出来た。
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打って変わって地元周辺のローカル食として、海津町周辺で食される淡水魚
料理の一つに「鯉味噌・鮒味噌」がある。
こう聞くと、人によっては味噌ベースの「鯉こく」に似たような料理を思い
浮かべる方もいるだろう。あながち間違いでもないが、こちらはもっと味噌が
前面に出るもので、豆味噌の豆の形が残るような状態の甘い味噌で鯉や鮒を
じっくり、骨ごと食せるくらいまで柔らかく炊き上げるものだ。
お千代保稲荷の参道では、こうした物を売る店が何件もあるが、こうした料理
なので、大体どれも似た味わい(甘い豆味噌の風味)になりがちではあるの
だが、甘味噌と鯉や鮒の風味のバランスが良い具合に取れているかどうかで
その差が出て来る。
その中でもちょっと独特の味噌の風味の残り方を感じる、要は味噌の風味の
残り方が上等な感じのする物を提供するお店がある。
「うをはる」さんの物だ。
「稲金」さんの物も親しみやすくて良いが、鯉味噌・鮒味噌に関してはこの
「うをはる」さんの物が自分の中では頭一つ抜けている。
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単に猪肉・獣肉と言っても、獲れる場所・時期・雌雄・年齢等でその味わいは
異なるし、また佃煮にせよ鯉味噌にせよ、一見似たような味わいになりがちな
物の中でもしっかりと段々があり、違いがあるものだ。
そこを捉える事が出来るかどうかで、その人が発信する食に関する情報の
信頼性は大きく変わってくるかと思う。
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