2回
2016/05 訪問
ギャップの振れ幅の凄さ。
2016年5月 追記:
今年も一泊、いつものコースでお邪魔しました。
毎回思うのは、料理の仕事、味付けがどんどん洗練されていくなぁ、という事。
昭和うどんなんか、そこまで上品にしなくても、という位のお出汁になってます。
赤ピーマンのムースなぞ、5年前と比べるともうあるべき領域へ到達してますね。
特筆しておきたいのが、苺ドレッシングと蕎麦の実のサラダ。ドレッシングの苺
ソースが更に改良されており、香ばしく揚げられた蕎麦の実とリーフ類との
マリアージュが非常に素晴らしく、芳醇・清冽かつ満足感の高い逸品でした。
メインのカサゴの酒蒸し浅利ソースは、非常に上品に仕立てられた淡いソースが
素晴らしい。ただ、カサゴとのバランスを考えると、もう少しインパクトの強い
味わいになるように仕立てた方が、満足度が上がると感じました。
これはまだ伸び代がありますね。
尚、デザートに出ていたパイナップルまで自家農園で栽培し始めたとの事ですが
これも非常に香り高く美味しかったです。
G/Wという事もあり、お客さんは一杯でしたが、相変わらずのおもてなしで
満足させて頂きました。
次は秋口辺りを狙ってみようかなぁ。
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私は年1回位でここに宿泊します。
宿の外観・設備を見ただけでは、一見さんが「泊まろう!」という気には、
「まずならない」お宿です(苦笑)。今は塗装だけ塗り直したようですけど、
言ってしまえば、昭和40年代の国民宿舎みたいな建物です。
また、ここまでの道中そんなに観光する所も買い物場所も無いので、伊良湖の
先端まで来てやる事と言ったら、メシ食ってボーっとしてるだけ。
(私は突堤で釣りをしますが)
・・・・じゃあ、何で泊まるの?
いやぁ、中々に良いんですよ、あの昭和レトロ感が・サービスが・お風呂が・そして、
お食事が!
所謂「オーベルジュ」と言ってしまって差し支えないでしょう。
(繰り返しますが、建物の造り・設備は昭和40年代の国民宿舎レベルです。但し、
そうした制約の中でも、お香や小物類の配置など、出来る限りのホスピタリティを、
と努力されているポイントはそこかしこに覗えますよ)
朝獲れならぬ、昼獲れの新鮮な地物の海産物に加え、渥美半島の新鮮な果物や
自家製野菜などがふんだんに使われます。
器も調度もそんなに垢抜けたセンスを凝らせたものではありません。しかし、刺身・
小皿・揚げ物・洋風メニューや味噌汁に至るまで、料理全般でクドかったり
しょっぱかったり甘すぎたり、という事が殆ど無い。これ、実は結構驚異的な事です。
自家製・手作りといったキャッチコピーは昨今珍しい物ではありませんが、
ここでは全編にそれが良い結果となって現れていると感じられます。
今回は”いらご会席コース”プランでした。御料理を幾つかピックアップしますと;
・前菜盛り合わせ。どれも美味しい。エンドウのすり流しとアサリのスープは、品のある
フレンチのスープ。(もちろんメニューは毎回微妙に違いますが)
・大あさり。この辺りの定番ですが、今回は味噌とクリームで煮込まれて出てきました。
愛知らしい、でもちょっと捻りを効かせたパンチのある一品で楽しめました。
・定番となった平貝とグレープフルーツの酢ゼリー和えもお奨め。
・お造りはもちろん、地物のその時期の美味しい魚介類。
・赤ピーマンのムースのクリームチーズ乗せ(個人的に好き)。
・赤座海老(半レア)のアールグレイ風味のソースアメリケーヌ。
付け合せのパンと一緒に皿まで舐めちゃう。
締めの昭和うどんも好き。海草が練りこんであるうどんと、この辺りらしい味付けで、
でも出汁の効いた上品なおつゆが良く合います。
(ただ、最後のご飯まで食べ切れない事多し)
・・・とにかく、建物とその料理のお味の「ギャップ」に、最初は戸惑う事請け合いです。
逆に、だからこそ気取らずガツガツ喰える、とも言えますが。
そして、就寝前の小さなデザートも定番です。最近は柚子シャーベットとミニプリン。
これも美味いし、嬉しいサービスです。
お腹一杯になったら、夜釣りをする人でない限りは、後はテレビでも見て風呂浴びて
寝るだけ、です。
朝。・・・・朝食がまた良いんですよ。
パッと見、メニューだけで言えばそこらの民宿旅館と変わりないんです。
しかし、その質が「全て」違う。
ひじきの煮物や、梅干や、干物(多分地物魚を自家製の一夜干しにしてる)や、温泉卵の
おつゆ、そしてデザートのヨーグルトに至るまで、とにかく出てくるおかずは全品ほぼ地物
で手作り。そして、どれも美味しい。
普通この手の民宿や旅館の朝食って、必ず捨て鉢(ハズレ)が有るものなんですが、
ここは本当にそれが無い。
前日の刺身の魚のアラ煮も必ず出てきて、私はいつも朝からご飯を3~4杯は食べます。
他のお客さんのテーブルもたまに見ますが、皆さんも大体綺麗に食べ尽くしてます。
何だかんだと書きましたが、正直、個人的にはあまり混んで欲しくないお宿です。
(予約が取り難くなったら困るので(笑))
2016/05/09 更新
10年近く前に訪問して以来、何回目になるだろうか。
今回は久しぶりに秋に訪問。夏も過ぎた伊良湖岬、フグの本格シーズンやお伊勢参りの人が
本格的に増えるシーズンにもまだ早く、宿泊客も少なくゆったり出来た。
たまには違うコースを、という事で、ちょっとお高めのコースクリエイト(24000円弱/人)で
宿泊。以下、拙文いささか長きに渡る事御容赦下さい。
*大体長い文章になる時は、非常に満足した時かガッカリした時のどちらかです(笑)
アピタイザー代わりの海老煎餅(といっても、塩焼きにした海老を煎餅風に見立ててあるもの。
こりゃ美味い)から始まり、デザートまで計12品。・・・いや~、満足満足♪
・渥美トマトのカプレーゼ:
カプレーゼと言っても、トマトのチーズババロアの上にトマトソースがかけてあるもの。
一流のイタリアン或いはフレンチのお店で出されていておかしくないお味。
・前菜盛り合わせ:
サザエのつぼ焼きからサツマイモのポタージュまで、和洋取り混ぜた各種お料理が見た目も
楽しく、食べて美味しい。ブドウのフライもあったが、あれはアツアツの方が美味いと思う。
・大あさりの味噌クリーム煮:
以前よりもより「和」の方向に寄せている様子。すごく美味しい味噌煮込みのスープに
大あさりが入っている、とでも思えば近いだろうか。
・貝柱とグレープフルーツの酢ゼリー和え:
こちらも定番メニューだが、どんどん洗練されてきている印象。タップリと入ったルビー
グレープフルーツと、貝柱の塩気、ゼリーの取り合わせが秀逸。美味い。
・鼈(すっぽん)スープ フカヒレとフォアグラ入り 湯葉で包んで:
この料理があるのは以前から知ってはいたが、正直当初は懐疑的だった。「高級食材をただ
合体させればいいってもんじゃないだろうに」と。
・・・すいません、謝ります。
いや~美味い。敢えて下世話な言い方をすると、ハイエンドの高級中華料理屋で一椀¥3000
位で出されている様なスープ、とでも言えようか。
済んだ上品な旨味の鼈スープとフカヒレのマッチングが素晴らしい。フォアグラとの相性も
良い。固めの湯葉をちぎってスープに浸しておいて、後半スープと食せば陶然となる美味さ。
・お造り コショウダイ、ハマチ、本みる貝:
コショウダイにはすっぽん昆布と山椒の葉がちらしてあり、これだけで食す。
一流の京料理屋と張り合えるレベル。みる貝は言うに及ばず、ハマチが又天然で良い物。
魚好きの人なら判ると思う。これが本当のハマチです。
・蛸とベビーリーフのサラダ 蕎麦の実とイチジクのドレッシング:
以前の苺ソースのサラダの時も感心したが、今回のイチジクソースもまた見事な塩梅。
蕎麦の実と混ぜて食せば最高のマリアージュ。
・適温火入れの手長海老(アカザエビ) 柑橘系ソースにて:
ほぼレアに近いアカザエビが塩味のみで供されており、それにうっすらと香りのある
エスプーマ状の柑橘系ソースが乗っている。定番のソースアメリケーヌも良いが、今回も
非常に美味。過去食してきた海老料理の中で三本の指に入る。殻をかじって味噌や身の残りを
しゃぶりつくさずにはいられない。
・フグのムニエルと大根ソテー 豆乳味噌ソース:
最初どういう味になるのかあまりピンと来ず、甘めの味噌ソースだけ先に舐めてみてもやはり
ピンと来ず。バターソテーされたフグをナイフで切り取りソースと一緒に食してみる。
いやいや、メチャウマい。大根ソテーとソースと一緒で更に美味い。
・ご飯 じゃこ若布お漬物
・デザートもたっぷり。柚子シャーベット、アップルパイ、柿、山椒チョコレートと
キャラメルチャイ。
風呂上りの浴衣姿で座椅子に座って部屋食をしているのだから、状況は間違いなく旅館や民宿の
リラックスした夕食風景。それ程高級なカトラリーを使用している訳でもない。時々アレ?と
いう感じのご愛嬌な盛り付けもあったりする。
それで油断していると、ビックリする位上品かつ美味な料理が出てきたりする。
特にいらご会席コースから上のグレードは、海辺の民宿らしいものだけでなく和洋中折衷の
無国籍料理とも言えるのだが、「安心する海辺のお味」から、どこの星付きレストランですか?
というようなお料理まで、良い具合に緩急が付いて食べていて楽しく満足感も高い。
三河湾・渥美半島の食材が様々なスタイルで丁寧に美味しくお料理される。これはどのコース
でも徹底されていると思います。
海辺の民宿の定番といった感じの朝食も良質で美味しいのは、調理のセンスと共に丁寧な
手作りを心掛けられているからでもあるでしょう。
渥美半島の先端は遠い。海水浴やイチゴ狩り、メロンの季節以外には大して観るものもない。
「それでも」食べる事の好きな方にはお奨め出来るお宿です。
「設備は古いけど感じの良いフレンドリーな海辺の民宿旅館」で、どこぞの高級オーベルジュも
真っ青なレベルの夕食が出てくる。
最初に書いた通り「ギャップの振れ幅の凄さ」に、いまだ唸らされるお宿です。