7回
2021/01 訪問
当たりも外れも季節の楽しみ
1年振りの訪問にて、現在言う所の「ジビエコース」を妻と二人で。
・突き出し八寸 天然獣肉燻製二種、野イチゴ、アジメドジョウ他
・焼き物:郡上落ち鮎
・椀物:栃餅のお雑煮 百合根、カラスミ、青菜
・猪肉のリブ
・野鳥の丸焼きミディアムレア タレで
・野菜サラダ
・箸休め:アカヤマドリ茸のバターソテー握り
・天婦羅 野蒜、クワイ、ワカサギ、里芋、銀杏
・アミ茸と青菜の和え物
・マガモとネギ、ヒラタケの山賊焼き
・茸野菜鍋 ツキノワグマの子熊のしゃぶしゃぶ
締めはお馴染みアカヤマドリ追加の雑炊
・フルーツ
いやぁ、もうお腹いっぱい。妻の分も幾らか分けてもらったので腹がはちきれそうw
八寸のアジメドジョウは、ここしばらく炊いて供される事が多いが、これ正解だと思う。
子持ちで良い質のドジョウなので、淡く炊かれてあると本当に上品な旨味を感じる。
椀物は、今回は更に上品な懐石風に寄せてあった。栃餅のパンチの効いた香りと百合根、
そしてカラスミとお出汁との取り合わせがよろしく、大変上等な味わいでした。
野鳥の方も素材、火入れ共に素晴らしく、血と肉汁、内臓がたまらなく繊細でジューシー。
天婦羅はいつも間違いなし。どれも美味い。なにげにあのクワイのチップも凄く美味い。
アカヤマドリの厚めの物がバターソテーされた握りは、ハイ、やはり激ウマ。
アミ茸と青菜の和え物も、繊細で滋味深い味わい。
鴨は、多分大きい青首が丁度無いのだろう、ちょっと脂の旨味には欠けたかも。
子熊の肉は非常にあっさりでフレッシュな旨味。以前頂いたハクビシンの味に少し似ている
気がする。何度食べてもあの鍋と雑炊は美味い。
フルーツも相変らず良い物が出されます。
ほぼ地元、車で30分ちょいの距離に加え、清水さんの御人柄もあり、良い意味で
「お高い御食事にお出かけした」という感じにはならないお店。
何度か通っていても、いまだに初めて伺うお話もあり、興味は尽きない。
コロナの影響は決して少なくはないと思いますが、これからも頑張って頂きたいと切に願います。
2021/02/01 更新
2020/01 訪問
変わりゆく環境・進化する美味さ
ジビエTOPシーズンを見込み9か月振りに訪問。
メニューは以下の9品+デザート。
・いつもの突き出し八寸:小鴨の燻製、小鮒の佃煮、熊大根他
今回はアジメドジョウが淡く炊かれており、以前の唐揚げよりもこちらの方がアジメドジョウの
繊細な旨味が充分に味わえる様に思う。いずれにせよ、某ヤナで食したものとは流石に何枚も
役者が違った。美味い。他の物の滋味深い美味さも相変わらず。
・落ちの郡上鮎 塩焼き:
時期的にも、特筆する事もそうはないのだが、これを食べると落ち着いてしまうのは岐阜の
人間の性(さが)だろうか。
・椀物:蕪の摺り流し 焼き蕪と栃餅入り
吸い地の美味さ、蕪とのバランス、風味の強い栃餅、素晴らしい一品だった。
良い栃餅が見つかったので、との事だったが、確かに美味い。
・小鴨焼きとインカのめざめ:
成長した鴨肉が今回出なかったので、やはり良い感じに脂の乗った物が今年は少ないのかな、
とは思う。しかし、小鴨ならではの赤身と血のあっさり感、それにフレッシュな味わいは、
これはこれでアリか。
・猪 腰肉の炙り:
そうは言ってもやはり美味い。脂の香ばしさと軽さ、そして肉の旨味。和牛の霜降りなんて
要らないと思わせてくれる。
・某野鳥の姿焼き:
今回は塩にて頂いた。サイズが大きめの割に脂の乗りがあまりなかったのは、やはりこの
暖冬の影響だろうか。しかし野趣溢れる血肉と内臓の旨味・苦味は存分に感じられ、無心で
かじり、しゃぶり尽くす。何匹でも喰えそうだ。
・天婦羅:里芋の親芋、栗、モロコ、野蒜、タンポポ等
こちらのお店の天ぷらはいずれも間違い無い物だが、特に印象に残ったのは親芋とモロコ。
最も美味しく親芋を食せる料理なのでは、と感じる。川の小魚系の天ぷらはいつも美味いが、
今回のは特筆もので美味い。モロコに限らず、あんな上品な旨味の小魚の天ぷらはちょっと
食した記憶無し。
・茸とわさび菜の和え物:
茸の名前を失念(*_*;。箸休め的な一品だが、茸と野菜のバランス、味付けの落としどころ、
実は見事な物。京都の名のある料理屋で出てきても不思議ではない。
・茸と野菜鍋、熊肉と:
何度も頂いてきたが、今回は特に鍋つゆの美味さその物に唸らされた。
柚子胡椒等の薬味もあるが、これ以上何も足してはいけない、と感じる程の完成度。
これとタメを張れるだけの鍋物が、果たしてどれだけあるか。。
これにたっぷりの白身の付いた熊肉をしゃぶしゃぶして頂く。美味くない訳がない。
締めのおじやはタマゴダケとヤマドリダケが追加され、美味さもあり余裕で完食。
まだ食いたいと思わせる。
・フルーツと自家製芋の金時+ドリンク:
手作りの紫芋の金時が優しい甘みで中々に良いものだった。
この暖冬のせいなのか、幾つかの食材に若干の不足感を感じたのも事実。しかし今回は、食材
以上に「料理その物の質の高さ」に改めて感心させられた。
椀物のバランス、天ぷら、和え物、最後の鍋の出汁等、数年前訪れた頃に比べ格段に洗練されて
きている。椀物や鍋に限って言えば、以前こちらで頂いた幾つかの物もそうだが、今まで自分が
体験してきた同種の料理全ての物の中でも常に三本の指に入る。
かたつむりというお店は、清水さんの仕入れ・採取能力・食材を見極め扱う能力、それにあの
女性シェフの料理のセンス。実にこのどちらが欠けても成り立たないお店なのだろう。
ただ、数年前に比べると若干CPが悪くなってきたのかな、という感じはした。
今回は¥1.5万/人(+消費税)のコースだったが、以前ならこれに鴨焼きか猪スペアリブ
あたりが追加されていたと思う。(要は、食い切れない位料理が出てきた、という事)
色々とメディアに出過ぎて、ちょっと商売っ気が出てきたかな?(苦笑)
まあ、天然の物が相手でもあるし、関西の幾つかの有名高級摘み草ジビエ料理店等に比べれば、
それでもまだお値打ちとは言えるので現段階では費用の事は些事としておこう。
冬の間にもう一回行けるかなぁ・・・
2020/01/30 更新
2018/05 訪問
春のかたつむり(+α)
(2018.12月 追記)
9月に秋の茸を堪能した後、ジビエTOPシーズンに入り始めた12月の訪問分を追記。
今年はまだ本格的に寒くなっていないせいか、獣肉や鴨肉にそれ程まだ脂が乗っておらず
やや淡白な印象。
(逆に猪肉は白身があっさりとして、より上品な味わいとなってこれも捨てがたいですが)
合間に出される和風料理の数々ですが、やっぱり美味しいんですよね。
改めて素材だけではない高い調理のセンスも追記しておきたく。
・青菜と老茸の和え物:
大根おろしと青菜、生姜、老茸の苦味が見事なマリアージュとなっており、味付けも
良い塩梅で完成度の高い和食の一品となっております。
・天ぷら(銀杏・花咲栗・親芋・蕗の薹・ヒラタケ・モロコ):
相変わらずどれも物が良く揚げ方も美味い。モロコの揚げ方、味わい、共に素晴らしい。
こちらの河川小魚系の天ぷらは目をみはるものがあります。
・ヒラタケと香茸、ヨモギ餅の椀物:
このお店の茸出汁の実力はいい加減判っている筈。なのに、それでも感動的な美味さ。
出汁はほぼヒラタケと香茸のみなのに、何と芳醇にして深い旨味である事か。
椀ダネのヒラタケと香茸の美味さ、そして軽く揚げたヨモギ餅と大根(?)が良く合う。
塩味も必要最小限に留めてあり、過去経験した椀物の中でも比肩するレベルの物が
果たして幾つあるか。。
・鍋後の締めのおじや:
何か、どんどん美味くなっているような気がするのは気のせいだろうか?
各種天然茸と野菜出汁の鍋に野生のクレソンと猪肉をしゃぶしゃぶ。
(この組み合わせは本当に間違いないなあ)
残ったおつゆでのおじや。お馴染みアカヤマドリダケがたっぷりと、それに今回は天然地物
黒トリュフのスライスも追加。
この黒トリュフ、本場欧州産に比べ香りはやや弱いのですが、こうしたおじやには逆に良く
合いました。
出来上がったおじやの香り、品の良さ、旨味・・・
う~ん、これを凌ぐ「おじや」の有るや無きや?
あと、こちらの各種自家製燻製肉はどれも本当に美味い。今回はアナグマの足のスモークを
たっぷり堪能出来ました。
厳冬期にもう一回行っておきたいなぁ。
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・・・ああ、とうとう食べログ岐阜エリアのTOP3に出てしまった。。
「出来ればそっとしておいてほしいお店」と言いつつ、そのお前自身が何回レビューを入れて
いるんだ、と、もはや反省もせず開き直ってツッコミを入れておきます。
夏前後は鰻や鮎・秋冬は狂喜乱舞の官能のジビエトップシーズン・・・では春はどうなの?
という事で、お昼に訪問。
以下、散発的なコメントだけ。
アマゴは骨まで食べ尽くせるようじっくり火通し。何も残りません。
山菜各種と稚鮎の天ぷら。間違いありません。こちらの天ぷら類はそもそも美味しい
のですが、それが山菜や野蒜等では特に実力が如何なく発揮されます。稚鮎も素晴らしい
美味さでした。
お野菜類色々のお皿には、アスパラとジャガイモのハリハリが!
「たか田八祥」系以外では初めてジャガイモのハリハリを口にしましたが、成る程、
アスパラとの相性が良い。取っつきやすくも満足度の高い物になっています。
種類は失念しましたが、鴨の焼き物もお出まし。もう鴨はここ以外では食べない。
途中で出された桜湯。滋味深くも優しいお味。如何にも体に良さそうです。
アミガサダケの握り。こちらのキノコ類の豊富さ・美味さは訪問された方にはご存知の
通りですが、ただ炙っただけの小さな茸を小さなお握りに乗せて食べるだけ。
・・・しかし、極上の快感です。
締めの山菜しゃぶしゃぶ。コシアブラや天然クレソン他がたっぷりと、それを定番の
天然茸の出汁で頂きます。猪肉のスライスと一緒に頂けば、箸が止まりません。
今回は熊出汁は入っていなかったと思いますが、山菜しゃぶしゃぶには文句無しの
絶妙のお出汁になっています。
今回は軽めに春の食材を、という事で予算も低く設定していったつもりが、
「今日、初物の天然鰻が入っていますけどどうします?」・・・余計な事をw
悩んだ挙句、追加オーダー。
夏の物とはまた違います。キュッとしまった弾力の強い肉に、透き通るような脂が・・
別物と言える程の食感と味わいの違い。私はこちらの方が好きですね。
結果、当初予定の予算を¥3000/人以上オーバーしてしまった・・・しかし、後悔は
していない!w
ともあれ、あの山菜しゃぶしゃぶは(も)、一食の価値があると思います。
各季節の良さがある、と改めて実感出来た訪問でした。
2018/12/23 更新
2018/01 訪問
結婚記念日を言い訳に(笑)
又訪れてます。そう遠くない場所にあるとは言え、一体どういう頻度で行ってるんだと
少し反省しつつ、簡単なレビューと写真追加に留め、しばらくこちらのお店のレビューは
控えたいと思います。(勿論訪問は続けますが)
主だったものだけ;
・八寸:
天然アマゴと鯉のスナズリのあっさりとした甘露煮、アジメドジョウ、鴨・猪・某哺乳類の
スモーク、熊出汁大根、真鮒の酢味噌等。どれも滋味深く、美味い。
・某野鳥の丸焼き、タレにて:
タレと肉と血と内臓と骨を一緒に食み続ければ陶然となる美味さ。皿に残るのは口ばしと
目玉と足先だけ。
・某両生類の椀物:
まさかこれが出るとは。。こういう味がするんだなぁ。優しく深い旨味と遠くで香る漢方の
様な刺激。逸品です。
・猪リブ:
何回食べても美味い。今シーズンの物は特に美味い。やはり、良い時期の物を保存してある
様です。年を越した個体は固さと臭みが出るそうですからね。
・アナグマのスモークハム:
肉も美味けりゃ燻製の仕事も素晴らしい。一本持って帰りたい。
・熊の煮出した頭部:
インパクトのありすぎるビジュアルですが、中をほじれば脳味噌たっぷり。あっさりとした
レバーの様です。肉もこそぎ落して食べます。これだけで腹が膨れる位。
・ヤマドリの出汁の天然茸鍋:
以前も思いましたが、熊出汁とはまた全然違う方向性のお味になりますね。上品なコクと
透き通るような旨味。これに野生のクレソンとハクビシンのお肉を投入。いや、ハクビシン
いいわ。渾然一体となり、もはや形容し難いお味になるのですが、いや~~、、美味い。
ともあれ、食い意地の張った夫婦の結婚記念日に相応しい、驚きと感動の山河の宴でした。
(多分、今回は特に気合を入れてサービスして頂いた様に思います)
こちらの獣肉系が美味しいのは、調理される方がご自分の目で個体を確認/解体し、見定める
からこそでしょうね(それは他の食材にも同じ事が言えますが)。
ちなみに最近は鴨のスモークの販売もされている様です。値段によって鴨の種類や大きさが
変わるようですが、何回か頂いてみました。今まで自分が口にしてきた数多の鴨スモークは
何だったのか、と思える位の美味さとだけ言っておきます。
今度は、もう少し気軽に山菜メインのランチコースで訪れようかと思ってます。
自然の恵みに合掌しつつ、了。
2018/02/03 更新
2017/12 訪問
師走の宴
年末だし、クリスマスだし、旅行も行かないし、ちょっぴり贅沢な宴で締めたい!となり、
妻と相談。
「どこへ行く?京都のあそこ?ここ?久しぶりにフレンチのあそこ?それとも・・・」
料理の仕事のレベル・食べた時の満足感/感動・CP・雰囲気等々、選択の上で考慮する
パラメータは幾つかありますよね。
・・・で、結局またここに来てしまった(先月も来てるのに(^_^;))。
本当に今更ですが、正直言えば個人的には余り名の知れてほしくないお店。これ以上
有名になってほしくないなぁ・・・なんて思っていたら、いつのまにかレビューがまた
増えてる。いや、分かりますよ?書かずにはおれない何かがこのお店にはあるんですもん。
だからもう、私もまた書いちゃいます。
年末の宴とは言え、見たもの聞いたもの全部に「あ、それ食べたい!」なんてやっていると
小市民の私はお金がいくらあっても足りないので、今回は1人\1.5万決め打ちでやって
もらいました。
以下簡単に当日メニューを。
・八寸:
おなじみの熊出汁大根、アジメドジョウの唐揚げ他、天然アマゴの甘露煮、山ブドウや
猪バラのベーコン等々。自家製猪のベーコンや鴨のスモークの美味さにもう舌と腹は
戦闘態勢バッチリ。鹿の膵臓のスモークも、何回食べても逸品と感じます。
しかし、毎回当たり前のように山河の珍味や高級食材が入ってます。
・鹿肉を軽くヅケにして山椒と共に:
粘っこく溶けていく、上品な美味しさ。程良い醤油加減と山椒が見事。
・猪肉鎖骨周りの骨付き煮込み(鴨の首も一緒に):
味付けも塩味も本当に淡いです。しかし、あっさりとしながらも芳醇な旨みの肉、脂身の
美味さ。どんな上等なポトフに入った豚肉でも勝てない。鴨首も骨まですすれ!
・猪出汁のお雑煮:
和風っぽく仕上げてありますが、パンチの効いた旨味のおつゆで餅と共に食せば満足感
バッチリ。焼いた小蕪との相性も素晴らしい。
・猪肉骨付きリブロース:
軽く塩コショウしただけのこちらの定番ですが、美味いものは美味い。特に今回のは
美味かった。齧った途端に香ばしさと共に溶けていく脂の美味さ、肉の美味さ。
前述の煮込みが既に結構なボリュームだったのに、それでも夢中でしゃぶりつかざるを
得ないレベルです。
・季節の天ぷらもいいですよね。クワイが美味しい。ワカサギもいい。この時期の定番の
栗の素揚げや銀杏で、口があっさりリセットされます。今回は猪の脳味噌の天ぷらも
ありましたが、これは期待したよりもやや味気なかった。
・某野鳥の丸焼き。塩のみで:
小さい個体なので、骨、肉、内臓ごとバリバリと食して噛みしめます。野趣溢れる旨みが
口一杯に広がります。頭をバリバリ脳味噌ごと食べるのが美味い。カミさんの皿を見ると、
口バシと骨数本しか残っていませんでした。でも、タレで食った方が良かったかも。
(こちらで天然鰻を食す時もそうですが、実はいい塩梅のタレが良く合うんですね)
・天然真鴨の鉄板焼き。ネギと天然ヒラタケと一緒に:
既にかなり腹に来ていたのですが、ここにきて鴨の焼肉(苦笑)。食べ切れる自信が無いと
逡巡しつつも、結局完食しました。とろける様なロース、そして皮の脂身の美味さったら
ありません。その脂を吸ったヒラタケがまた美味。
(前回は内臓もどっさり提供されていました。またそいつらが美味いんですが)
・締めは定番熊出汁&天然茸てんこ盛りの鍋:
何度も口にしているが、やはり美味い。「猪のロース入れます?まだ食べれます?」
と聞かれ、「ハイ」と答える意志の弱さw だって、美味いに決まってるもん。
毎回入っている茸の種類のポーションで微妙に味が変わったりするのですが、それが
又楽しい。今回はヤマドリダケ(要は、日本のポルチーニ茸)が強く出たせいか、締めの
おじやの美味い事美味い事。
妻の分の肉まで分けてもらってもう限界。鍋とおじやは任せよう、なんて思っていた自分が
妻と争うように完食しました。
以前食したコウダケご飯やコウダケおじやと双璧を成す絶品の美味さです。
・食後のフルーツ、ドリンク
他の方も書かれていますが、上記以外にもすんごい食材をさらっと出してくれる事があります。
それが又楽しく美味いのですが、これは訪問した時の運次第ですね。
ある意味人を選ぶお店ではあるかも知れません(特に女性は、若干引いてしまう事があるかも)。
また、ジビエ・山河の珍味≒ゲテモノ、という思考回路になりがちな方にもお勧めしません。
先入観で食材の真価を正しく味わえなくては意味がないので。
(それは勿論、出されるもの全てが常に美味い、という意味ではありませんが)
しかし「真の肉っ喰いで様々な肉の旨み・質を求める人」「山河の恵みを存分に味わいたい・
知りたいという人」なら、遅かれ早かれこの世界に辿り着く事になるような気がします。
そして、そうした山河の恵みを提供するお店というカテゴリーでは、食材の質・種類・味・仕事
・CP等総合的に考え、やはり「日本トップクラス」と言って差し支えないお店かと思いますよ。
2017/12/24 更新
2016/12 訪問
Gibier Paradis!
【2017.7MEMO】
この店を知って、短期間に4回訪れてしまった。
中には滅多にお目にかかれない、しかも中々おおっぴらには口にし難い(違法なもの
ではありませんよ?)食材も口に出来た。
ただ珍しければいいってもんじゃない。それが滅茶苦茶美味かったから記憶に残る。
天然鰻も美味かった。ヤマドリは、焼き物、そしてその肉の出汁が出た天然茸鍋がちょっと
無いくらい美味かった。類似の味わいのスープが中々見当たらない。
敢えて表現すれば、最高級に上品な出来の中華スープを口にしている感じだった。
ある時はその天然キノコ鍋に、スライスした猪肉をしゃぶしゃぶしたりした。
美味くない訳がない。
何となく思い返して書きこんでしまったが、まだまだ食べたい食材がある。
多分、そう遠くない時期にまた訪れるだろう。
摘草料理と銘打った料理屋は、京都を含め幾つか有名店があるが、こんな頻度でリピート
したお店がここが初めて。それは決して「距離的に近いから」だけではない。
今、もう一度このお店の料理とその存在意義を考え、点数を改めました。
【2016年同月再訪】
希望していた食材が入荷されたとの情報を耳にして、過去最短の間隔での再訪となった自分の
食い意地が若干恥ずかしいw
・・・ともあれ、特筆すべき物を幾つか。
・野鳥の丸焼き:
もうね、骨ごとバリバリ喰い付きます。クセの無い肉、内臓、そして血と脳味噌が美味い。
自然って偉いです。
・鯉(メス)のスナズリ刺身:
揖斐川中流域で獲れた寒鯉のスナズリ部分の刺身。初めての食体験。生姜醤油で頂きます。
言われなければ鯉と分からない、上品な脂と抜群のコリコリ感。噛んでいる内に遠くで鯉が
香ってくる。これも逸品です。通常の鯉の刺身とは一線を画します。
尚、卵の炊いたものは先付けのお皿の中に供されていました。こちらも大粒で独特の食感。
先付けにはゴリを炊いたものもあり、相変わらず山河の天然珍味(美味)の小宇宙です。
・香茸(コウダケ)のすり流し:
香茸を戻してすり流し状にしてあり、中には茸のリゾットが。
清冽な香りと濃厚な味わい・・・凄い!美味い!!
過去に頂いた名店と言われる各種お店の類似の料理を思い返しても、比肩するインパクト
を持つものはそうそう思い当たらない。絶品でした。取り合わせの焼いた小蕪も相性抜群。
・猪のバラ肉の炙り
やはり良い状態の獣肉は脂が美味い。噛み応え、肉の香り、芳醇な脂身。
真の肉っ喰いなら、どんな高級な霜降りの和牛よりも迷わずこちらを選ぶべき。
・さすがに天ぷらの食材はほぼ同じ内容でしたが、でもやっぱり美味しいなぁ。
肉っ気を堪能する中、花栗や銀杏、むかごや干し柿、野蒜の天ぷらが爽やかながらも別種の
満足感を与える絶妙なバランサーとなり、トータルでのお食事の満足感を更に引き上げて
くれます。
・締めの天然茸鍋も、やはり美味い。飽きないです。残ったスープでおじやが出ましたが、
ここにもコウダケ投入!もうね、美味く無い訳がない。
結果、2週間と置かずに再訪したのにまたもや美味い、美味いの連続でした。
<上質な山河の恵み+適切な時季+適切な処理と調理=無敵>ですね。
勿論自然の物ですから、タイミングによってはいつもこうは行かないのかも知れません。
でもね、「また行きたい!」と思わせてしまう感動がここにはあるんですよね。
ロケーションやしつらえこそ田舎の民家(失礼)ですが、トータルの満足感や感動、CP、
そしてその料理の意義を再考し、点数を改めさせてもらいました。
違う季節に再訪必至です。
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<2016.12.17訪問>
一言でいうと「灯台もと暗し」。
獣肉好きの自分が何故このお店に気付かなかったのか。自宅から車で30分程度の
場所にこんなお店があったなんて。
料金は6000円/人から対応可との事。ある程度の食材をカバーしつつ食べ足りない
感の無い様、今回は1万円の設定で予約。
(食べたい食材によって、ある程度上下調整してもらえる様です)
スターターの一皿の美味しいヘボ(蜂の子)、アジメドジョウや老茸、鹿の膵臓の
燻製や珍しい山果に早くも期待値上昇、その後怒涛のごとく繰り出される獣肉他の
料理の味とボリュームに、思わず「ここはパラダイスか!?」と唸ってしまった。
全ての食材に言及しているとかなり長くなるので幾つか。
モクズガニ。良いサイズの物が1人1匹出されました。モクズガニってこんなに
美味しかったっけ?何とまあ品の良い蟹の旨み。元々足肉をしっかり食べる類の物
ではありませんが、味噌や卵がたっぷりで大満足。毛蟹やズワイより上品なお味だと
思います。まあ、上海蟹も同じ仲間ですもんね。
天ぷらも良い。ワカサギや干し柿、若いフキノトウや銀杏に野趣溢れる焼き栗。
フキノトウは早い時期なので苦みが殆どありません。
鴨肉の各部炙り。本日は天然ヨシガモとの事。内臓が美味い。脂が美味い!
後程、羽根の付け根の部分が一番美味いから、とそれをスモークしてあるのを1個
づつ出してくれましたが、これがまたメチャ美味い。
若いイノシシのスペアリブロースト。味付けはほぼ塩のみ。やはり獣肉は脂が命。
文字通り骨までしゃぶりつくしました。今まで食べた猪肉の中で一番美味い。
最後は天然茸鍋。何種類もの茸(説明頂いても覚えきれない(^_^;))とお野菜、
そして鴨のつみれが入っています。
味の変化に河合村の山椒。これも良く合いました。この時点で正直食べ切れるかな?
と思っていましたが、気付いたら汁も残さず完食してましたよ。
素朴で落ち着く味だけども品があり、クドさが無い。要は、美味い。
品数で言えば8品+天然自然薯とろろご飯+デザート。食べ足りない感など少しもなく、
もうお腹一杯です。
しかしこうした各種山河の美味・珍味も、当然その時期・場所・採集方法や個体状態を
判別出来る目と腕があってこそ。詳しくは書きにくいですが、かなりの有名店へも
ある食材を卸したりする事があるそうです。
今後食べてみたい食材を聞かれたのでお伝えすると、それならもうすぐ手に入る、との
事。参った、又近いうちに行かなきゃいけないw
素材の良さを最大限に味わってもらう為、との事であまり凝った調理はされていません
でしたが、付き出し各種の処理、獣肉の焼き具合・塩加減、天ぷらや天然茸鍋のおつゆ
まで、素朴ではあるが決して田舎臭い味付けではなく、やはり調理のセンスも高いものを
お持ちだと感じました。
そして、地元の自然の恵みの豊かさ・素晴らしさに、改めてガツンと気付かされた次第です。
2017/07/09 更新
最近はTVの影響か、一時に比べとんでもなく予約で一杯になってしまっており、中々伺う機会が
なかったが、日曜の昼にようやくブッキング出来た。一年振りの再訪か。
猪肉スモークの入ったサラダやカリフラワーのペーストなど、最近は洋風のお料理が多いようだ。
悪くはないのだが、以前何度も頂いたあの独特かつ超美味な椀物が少々懐かしくも思う。
(最近のお客さんの多さから、そうしたタイプのお料理の提供は中々難しいとは理解出来るが)
天婦羅は相変わらず美味だが、柚子味噌をあしらった海老芋が特に美味かった。
今回はスペアリブも鍋も、猪肉が若い物のようだったが、これも又違った味わいがあり面白い。
あっさりかつ香ばしい脂身の旨味の上品さでは成獣を凌ぐ。
(これだけ通うと、流石に食べてみて違いも判る様にはなってきた)
途中いつもの鴨葱グリルではなく、小鴨の半身を焙ったものが供された。今季は鴨が不漁との事
だったが、これが又鴨とツ〇ミの特徴をかね備えた感じで非常によろしく、血の味も身も美味。
今回お鍋は珍しく猪出汁ベースの物だった。中にはハツや骨が入っており、これも又美味い。
野菜を入れて楽しみ、最後に猪肉と熊肉のスライスを投入。お腹一杯だ。
締めのおじやにはムラサキヤマドリダケと久々の香茸が入り、ジビエ鍋の極み。アホほど美味い。
尚、今回お手製の鮎のなれずしがあるとの事だったので、追加オーダーしてみた。
子持ちの鮎を使ったものだったが、塩気は当然強いので、一部お持ち帰りにする。
個人的にだが、鮎のなれずしの最も美味い食し方は、お茶漬けだと思っている。
家でご飯の上にこれらを乗せて熱いお茶で頂いた。溶けた飯(いい)、真子、酸味、塩味、、
いや~、堪りません。
一昔前と比較すると、TVの影響なのか何なのか、客層に若い方が目立つようになった。
良い事だと思う。地物の山河の恵みを味わい、理解を深めてくれる事は好ましい。
清水さんもようやっと体調が落ち着かれた様で安心。
これからも変わらず唯一無二のお店であってほしい。