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昼の点数:4.0
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¥5,000~¥5,999 / 1人
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料理・味 4.2
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|サービス 4.0
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|雰囲気 3.8
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|CP 4.5
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味4.2
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| サービス4.0
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| 雰囲気3.8
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| CP4.5
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| 酒・ドリンク- ]
謎かけの様な名前の料理が新しい感覚の素敵なフレンチの扉を開ける!
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2018/07/29 更新
軽井沢はどんどん変化する。
毎年訪れると、フリーペーパー、月刊新聞で情報を収集するが、今回目に留まったのが旧軽井沢に2018年4月にオープンして間もないKIKYOキュリオ・コレクションbyヒルトン内にあるこの店。
ランチに良い店は無いかと探しているところにヒット。
土曜の昼、場所がメインの道から少し奥まっている事、大きな看板も出していない事から、拍子抜けするくらい静か。
モダンなインテリアの店内に案内され、バーカウンター奥のダイニングスペースは大きなガラス越しに中庭の緑が美しく映える。
ランチは税別4,500円のコースのみ。
テーブルには美しい箱がセットされている。
スタッフが説明に来る前に開けてしまうと、中にカードがある。取り出すと、下には小さな焼菓子の様なものが2つ。カードの裏を見ると本日のメニュー。
Un Partition
・プレリュード
・天龍鮎、西瓜を泳ぐ
・秋を待たない ou 信州とフランス
・ネリー・メルバ
何のことかと思っているところへホールスタッフが登場。
「もう開けてしまいいましたネ」「皆さん、開けてしまうのですヨ」から始まり、メニューの説明。
ここが変わっていて、「メニューの説明をしますか?」
つまり、メインの魚か肉かだけを選んで、後は、何が出て来るかドキドキしながら楽しむ趣向。
「よろしければ説明します」
との事なので、説明してもらう事に。
私は豚肉を選択。
最初の箱の焼菓子の様なものはオードブルの前の一品(つまり先付)。
箱が下げられると登場するのが、大理石のような台に人数分盛られた、プレリュード。カリフラワーを固めたものの上に乗せられた穴子と豚足のサイコロの様なフライ。これらは手で摘んで頂く。
穴子は香ばしさ、独特の脂の乗った食感と味、そして本当にカリフラワー!と思う味が渾然一体となり、もう1つ頂かないとよく分からないと言う余韻を残す。
次に豚足のフライ。これがまた不思議な食感で、言われなければ豚足とは分からない。同じく、もう1つ頂かないとよく分からないと言う余韻を残す。
次に出されるのが、黒オリーブオイルと温められたパン。木の実が入ったパンが美味い!オリーブオイルをしっとりとした生地につけて頂くと一層美味しくなる。
「天龍鮎、西瓜を泳ぐ」。どんな皿なのだろうと思っているところに、黒い器に美しく3匹の小振りの鮎が盛り付けられた皿が登場。丸くくり抜かれた西瓜3個が鮮やかな彩り。スタッフの説明で力が入ったのが「鮎と言えばたで酢」。たて酢はキュウリとトマトをみじん切りにしてジュレにしたものが左側の鮎の脇にセットされ、西瓜と濃い緑の丸くカットした葉物が乗る。
ナイフを入れるのが躊躇われる美しさだが、思い切って食べ始める。鮎の塩焼きのイメージを残しつつ、考え抜かれたフレンチとしての一品。鮎特有のしっとりした身、皮の香ばしさ、そこに考え抜かれた水面の光をイメージしたものだろうか、オレンジ色に近いソース、次にたで酢のジュレを絡めて食べる味は鮎を新しい料理として認識する感動の世界に誘う。凄い一皿!
次のメインはどうなるのか?
私がオーダした「信州とフランス」の豚肉のソテー。出された時は皿の左に盛り付けられ、右側が空いているなと思った瞬間に、スタッフから「ソースをお持ちするのでお待ち下さい」の説明。
銅製の小鍋に作られた茶色のソースが、皿の右の空間に盛り付けられて皿の完成。ソテーされた豚肉は大、小の2つのブロック。肉には色鮮やかなスパイスが混ざったソースがかかっている。説明が聞き取れなかったのかもしれないが、2つの部位は異なっているように感じる。
鮎と同じ黒い皿に豚肉の切れ目の白っぽい色、ソースに混ぜられたスパイスがアクセントの赤と黄色が美しく映える。
添え物の炙った万願寺唐辛子には、オイルがかけられ、オリーブの輪切り、白い粉末がまぶされている。大きいブロックの豚肉はかなり分厚く、おそらくロースで薄く脂身が付く。小さいブロックは肩ロースかバラ肉の塊の様な印象で脂身が多目。
ナイフを入れると気持ち良くカット出来る。
とんかつ好きの私は豚肉に少しうるさい。最近の豚肉革命は凄まじく、この店の豚肉はどこの肉を使っているのだろう等と考えながら一切れ口に入れる。ジューシーな肉質と言うよりは、しっかりとした肉質。もう一口脂身の部分を噛み締めてみる。やはり、餌の管理が異次元の超ブランド豚肉の味では無いと感じる。
その時気付くスパイス感。あれッと思うが、改めて、右側のソースをタップリ付けて食べた時の味の違い。滑らかなベールに包まれた様な膨らむ旨味、サッパリとした肉質が変化して、膨よかな、奥に上質なバターの様な印象の味を感じさせる味。
口直しに、万願寺唐辛子を食べて、爽やかなピリ辛の中にまるでこれが添え物で無く、一品料理の様な存在感を示す味に驚く。
この一皿は、豚肉のソテーを普通の白い皿に乗せ、フライパンに残った肉汁で作ったソースをかけて、サニーレタスとポテトサラダを添えれば洋食屋さんのポークソテーになる訳だが、スタッフの説明によると、コンテストで入賞を果たした新進気鋭の29歳のシェフが腕を振るっているとの事。
小さい方のブロックに食べ進むと、脂身の量が異なる事もあり、明らかに食感、味の違いを楽しむことが出来る。
それにしても、この豚肉の一皿を右側の茶色のソースと左側の万願寺唐辛子でまたもや異次元の料理に変えてしまう技の素晴らしさ。驚き以外の何ものでもない。
デザート。飲み物はエスプレッソ、深煎り、中煎りの丸山珈琲、又は紅茶。私は中煎りを選択。
「ネリー・メルバ」はオーストラリアの歌手ネリー・メルバがサヴォイ・ホテルで食事をした際供された特別製のデザートを気に入り名前を尋ねたところ、エスコフィエが「ピーチ・メルバと呼ばせて頂ければ光栄です。」と答えたとされることが名前の由来とされている。盛り付け方法はシェフのオリジナルとの事。
コーヒーはフレンチプレスで出されて、2杯半分。
「天龍鮎、西瓜を泳ぐ」と「信州とフランス」に圧倒されたランチ。盛り付けでワクワク感を高め、付け合わせの選択と工夫で主役を邪魔せず盛り立てて、ソースで決める!
最初感じた「大層な名前をつけて大袈裟な・・」などと言う気持ちはどこかに吹き飛び、心の底から食事を楽しむ事が出来た。