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言い方は悪いが、フレンチで一度は行っておいた方が良い、と言うか知っておいた方が良い味(料理)、フレンチの原点を味わう事が出来る店がこの店なのだと私は思っている。
今回は「高齢で食べられなくなる前に食べておこう」プロジェクトの一環。
1Fはカジュアル、2Fこそフォーマルなダイニングという事で当然2Fが目当て。念の為にと2ヶ月近く前に平日夜の予約を入れようとしたが、結構埋まっているでは無いか。
ようやくスケジュールが合う日を取る事ができて、料理の相談をすると、一般的なフルコースで30,000円くらいから。55,000円でこの店の代表的な料理を少しずつ色々楽しむことができると言うコース。更に上が旬の食材を使ったスペシャリテのコースとの事で、少し迷ったが、初めての訪問なので、「ジョエル・ロブションの最高傑作料理の数々
¥55 ,000」に決定。これに12%のサービス料が加算される。
当日、気合を入れてガーデンプレイスに到着。外観しか見ていなかった建物の中に足を踏み入れる、と言いたいところっだが、裏庭(表庭?)を抜けて入る入り口を間違えて、手前の自動扉(随分簡素だなとは思った)を開けてしまい、バックヤードに入りそうになって大笑い。
めでたくスタッフに迎え入れてもらい、エレベーターで2Fへ。ホールからメインダイニングに入る。目に飛び込んでくるのは見事なシャンデリア。18:30の予約が遅めだったのかと言うくらい、他のテーブルは埋まっていて、食事が進行している。
テーブルの上にはクリーム色の高級そうな用紙にメニューが印刷されているのだが
*** Menu Dégustation(お試しメニュー) ***
関谷健一朗''M.O.F. 2023'' フランス国家最優秀職人章が継承するジョエル・ロブションの最高傑作料理の数々
●キャビア・アンペリアル ロブションスタイル
***
●1er Service
・サヤインゲン ニース風ミモザ マグロ中トロのコンフィと共に
・縞鯵と水茄子のミルフィーユ仕立て 爽やかなグリーンマスタードのヴィネグレットで
・レモンとバニラのジュレを纏ったオマール海老 フヌイユのクリームとタプナードを合わせて
***
●2ème Service
・グルヌイユのフリット パセリとニンニクのクーリと共に
・玉蜀黍のヴルーテとフォアグラのロワイヤル 鴨の生ハムをアクセントに
***
●3ème Service
・アイオリをのせた軽やかなメレンゲに未利用魚を使ったスープ・ド・ポワソンを注いで
・北海道産雲丹を添えたスペルト小麦と海藻のリゾット
・赤貝とアスペルジュ・ソヴァージュのエテュヴェをブールブランソースと共に
***
●4ème Service
・柑橘の香りを纏わせたウチワエビのロティ 軽やかなヴェルモットのソースで
・平目のナージュ 春キャベツと花ニラを合わせて
***
●Le Plat “Tradition”(伝統を守りながら、現代風のアプローチで提供する料理)
・フランス産仔牛のロティ 芳醇なジロール茸とグリーンアスパラガスを添えて
***
・フランス産フロマージュ
***
●Le Dessert
・宮崎マンゴー キャラメルムースとパッションのクリームを重ねチュイルの食感をアクセントに
***
・カフェとミニャルディーズ ワゴンからお好きなものをお選びいただけます
以上の通り、全て食べ切れるのかと言うラインアップ。パンを食べ過ぎない様にとサジェッションを受けるのだが、この意味は、この店のサービスを受けると十分に納得できる。
この店のワゴンサービスが2回あるのだ。
1つ目がパンのワゴンサービス。
途中でパン皿に2種類のパンがサービスされるのだが、更に、ワゴンが現れてプティパンを好きなだけ頼むことが出来る。
2つ目がコースのデザートの後のプティフールがワゴンで好きなだけ頼む事が出来る。
あり得ないとは思うが全種類頼んだとしたらどうなる(自分のお腹が・・)?
どちらも美味しそうなものを頼んだのだが、パンも美味しい、プティフールも美味しい。きっと皆美味しいのだろう。
まず、アミューズは手でつまんで頂く一品。
そしていよいよコースの始まり。
コース料理は1皿目が大切と言う事をよく耳にする。
ネットでこの店を検索すると、不思議なポツポツの美しいデザインの写真が目につくのだが、1皿目がいきなりその料理。つまり「キャビア・アンペリアル ロブションスタイル」がこれなのだ。『カリフラワーのクレームとオマール海老のコンソメジュレ、キャビアの組み合わせ、そしてポワンタージュ(ドット模様をつける)。器や盛りつけ方は歴代のシェフによって多少異なるが、クレームをさらしで漉し、オマール・ブルーを殻だけでなく身も使用してだしをとるなど、手間のかけ方、贅沢な味わいは受け継がれている。」[http://www.chef-magazine.jp/132_1.html]。
さてこの料理はポツポツの整然としたデザインの規則性、色合いも含めた見た目の美しさで圧倒されるのだが、食べる前からこの料理は一体どう言う風になっているのか、どうやって食べるのかと、整然とした模様に手をつけるのをためらってしまう。
スプーンを使ってエイっと端から攻め込むと、プルンプルンした感じで掬い取る事が出来る。そして口に入れると煮凝りが溶けるのと同じ感覚(ジュレだから当たり前)で、口の中に広がる味が一体何の味なのか分からないまま旨味として染み込んでくるのだ。
次の皿から大体2品〜3品乗ってくるのだが、単純に素材が分かる料理(つまり味が分かる、例えば「ウチワエビ」、「赤貝」)なら良いのだが「玉蜀黍のヴルーテとフォアグラのロワイヤル 鴨の生ハムをアクセントに」に至っては正直なところ何を食べているのかよく分からない始末。鴨の生ハムは何処へ行った?と密かに思っていたら、連れが同じ疑問を口にしたので意味もなく安心。
前述した通り、他のテーブルは我々より先にスタートしているので、テーブルサービスの動きが目に入る。何やらトレイの上に木箱を乗せて、その両側にナプキンと思われるものを巻いて角のようにしていて、うやうやしく蓋を開けて中を見せた後、テーブル横で肉をカッティング、、加熱している大きな鍋(銅鍋?)に移してから各々の皿に盛り付けているのだ。自分達にもこの様なサービスがあるのかしらと思っていたら、これがメイン最後の「フランス産仔牛のロティ 芳醇なジロール茸とグリーンアスパラガスを添えて」と言う料理。
箱の中身はローストした仔牛のブロック。かなり大きな塊で2人で食べ切れるのかと心配していると、どの位食べられるかと聞いてくれるので、希望のカット数を伝えると、皿に盛り付ける分だけ銅鍋に移した後、フランベするのかと思ったらこれは無しで、更に盛り付け完了。
気になるのは残りの肉。食事後、連れから何でもっと頼まなかったのか責められたが、後のデザートの事を考えると、そんなに腹を一杯にしたくないので仕方がない。しかし、残った肉をどうするのか気にはなる。
忘れてはいけないが、この料理はフランス産仔牛なのでとにかくサッパリした味。ソースも素材を活かしたクリーム、バターをふんだんに使って「ハッタリ」を効かせていない為、食べ終わった後、もう結構と言うくらいドンと胃に溜まるものではない。正直なところ後2枚はいけたかな、と言う位サッパリソース。これこそが「伝統を守りながら、現代風のアプローチ」と言う事なのかもしれない。
デザートの「宮崎マンゴー キャラメルムースとパッションのクリームを重ねチュイルの食感をアクセントに」も何でこんなに美味しくて、胃にもたれないの?と言うくらいスッと食べられる。甘味のくどさも全くない。
そしてワゴンサービスのプティフール。
全て頼むと30種類以上ありそうで、何も言われてないが無制限に選択可能?
折角なので1つもらおうかと考えているうちに、連れが4つ選んだので、釣られて私も4種類選ぶ事に。
飲み物はコーヒーを選択したが、お代わりも可能でほんの少し濃い目のあじを楽しみながら食べた4種類のプティフールはどれも美味しい。
Menu Dégustation(お試しメニュー)にして正解だったか?この答えは少々微妙。理由は、料理の印象がゴチャゴチャになってしまい、強烈な印象の3品位しか思い出せない有様。一方で、、デザートを除いて12品味わう事が出来た事は大満足の一言に尽きる。
全てを通して1品選ぶとしたら、最初に強烈なインパクトを受けた「キャビア・アンペリアル ロブションスタイル」。検索するとやたらにこの料理の写真が目につく意味がよく分かった。