『50年の時を経て・・・☆ №52』ガスコーニュ青年隊さんの日記

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ガスコーニュ青年隊 (東京都) 認証済

日記詳細

先日、レビュー内にて触れました、
祖父の形見の腕時計が無事生き返りました♪

と、その前に・・・

そもそも『腕時計』とはどういうものなんでしょうか?
それはあくまでも趣味の世界、無くても困らない嗜好品(贅沢品)と思います。

現代社会においては時間を確認する手段として、
それが腕時計である必要性はもう無いと言えるでしょう。
また男にとっては、
女性に比べて数少ないアクセサリーの1つという部分もあります。

その中でも『高級腕時計』というのは特殊な気がします。

例えば靴やスーツなどにコダワリのある人もいますが、
しかしそれらはそもそも必需品ですし、
“別に無くてもいい”というわけにはいきません。
普段着とサンダルで通勤は出来ないでしょう。

そして高級腕時計の面白い(変な)ところは、
値段と中身が全く比例しないのにジャンジャン売れているという所です。
どこか『飲食』の世界にも通じるところがある様な気もしますが、
飲食の世界以上に、
ブランド名だけですさまじい高額な値がついてると思ってます。

高級腕時計とは・・・
それが持つ者のステイタスを表すものであったり、
その人の精神にとっての必需品であったり、
何かの記念に想いを込めて贈るものであったりとその形態は様々でしょうが、
もしもブランド志向だけで高いのを購入してみようと思っている人(特に若者)には、
「ちょっと待って!俺の、俺の話を聞け!」と言いたい。

買う事を止めたいのではなく、
ちょっとこれを知った上で買ってみてはいかが?という話をしたいんです。

まず、そこそこ高い腕時計には、
正規品と、そうでない品(並行輸入品※以下並行品)とが存在します。
並行品は正規品に比べ、平均して数割ほど安いです。

しかし、
安いからといって並行品を安易に買い求める前に、
その後にメンテナンスでかかる費用やアフターケアの違いも考える必要があります。

その時計が電池式(クウォーツ)ではなく機械式であったなら、
正規品であっても数年に1度のオーバーホール毎に結構なお金がかかります。
そして、並行品は基本的に受け付けてくれません。

並行品であっても自社製品であれば扱ってくれるブランドもありますが、
当然ながら金額がはるかに高くなります。
※中には正規品であっても勝手に個人時計店でOHなどを済ますと、
  それ以降の修理・メンテを受け付けてくれない場合もあります。

これを考えると、正規品の数割安いというだけで、
というかどうせ並行品でも何十万もするんですから、
ユーザー登録すら無いような並行品を買うべきでしょうか?

もちろんこれらは個人的な見解に過ぎないんですけど、
やはり並行品い関しては、
“その方法でしか手に入らない物”以外はオススメ出来ません。

理由は他にもあります。

★そもそも物は同じなのにどうして並行品は安いのか?★

腕時計の製造工程においては、
絶対に人の手でしか造れない部分があるんです。
まぁそのせいだけではないんですが、
腕時計に限らず全ての機械製品はどうしても初期不良品の発生が避けられず、
そういった品を手直したものが並行品に回される事が多いのは当然でしょう。

或いは機能的には問題無いが針の位置が若干ずれているものであったり、
そもそも出所が全く不明なので、
「新品です」と謳っていても本当かどうかなんて確かめようがない、
これが並行品なんです。

それを知れば、
いかに正規品が安心出来る品物であるかお解り頂けました事でしょう。

ましてやどなたかに贈る品物であるならば尚更だと思います。
並行品だと修理やOHの際に贈った人に苦労させる事になりますし、
そも贈り物をケチるというのも験が悪い話でしょうから、
やはり贈答用に購入の場合は正規品がベターかなと思います。

とにかく安い物にはそれなりのリスクがあるという事です。
安いといっても何十万もするのなら、
もう少しだけ奮発するなり貯金するなりして正規品を買うべき、
というのが私の意見です。

精神衛生上も誇らしいでしょうし、
余計な心配やストレスが無くていいですよという事です。

私は腕時計マニアではありますが、
偏執的にこだわりがあるわけではないつもりです。

生活の中の素敵なスパイスとしての時計であり車であって、
「見栄の為の道具」なんて考えただけでもおぞましく思います。

ネットで得た情報なんですが、
昨今の不況からか、
旅行や文化的な事にお金を使うよりは「残る品物を」という事で、
高級腕時計や装飾品の売り上げが上がっているそうですが、
「1本くらいは高級腕時計を持っておきたい」
という方も多いとは思いますし、
それは至って自然な感情だと思います。

時計にせよ何にせよ、
「あれが欲しい!買うぞ!」と思いながら生活するというのは、
張り合いも出来て素晴らしい事だと思いますし、
俗に言う「買うまでが1番楽しい」というやつですね(笑)

がしかし、
最低限度の知識がある上で高級品を買うのならいいとして、
購入後に「しまった!」と思っても手遅れです。

実は私自身が、
ほんの10万~30万ほどをケチって、
並行品でも十分高い高級腕時計を何本か買って、
後でOHする時や、
時間がやけにずれるので修理した時に、
考えられない金額を請求されてめちゃくちゃ後悔した経験があるのです!(爆)

そもそも高級腕時計なんて、
中身は安い時計とかわらなかったり、
むしろ粗悪だったりもします。

例えば誰もが知っている、
1番メジャーなあの高級ブランドの腕時計などは、
やっと10年ほど前に自社でクロノグラフ(ストップウォッチ機能)を製作出来るようになった程度の実力で、
時計の中身も『ETA』という安価な汎用機械(ムーブメント)を載せているだけで、
安い時計と変りません。
(ETAは非常~に優れた機械ですが、安価なんです。)

しかもそのケース(時計の外側の部分、カニで言えば甲羅の部分)に至っては、
国内メーカーの安価な腕時計の方が遥かに傷が付きにくい加工が施されています。
なのに「ブランド物」というだけで何十万~何百万円超で売られているんです。

これは、その“某高級ブランド”だけに限った話ではなくて、
見渡せば、
同じ様にETAムーブをポン載せしただけの高級ブランドだらけなんです。

2010年には、
この状況にETAの社長が激しく怒り、
“ETA供給停止問題”に発展しました。
ETAの社長いわく、
『まるで詐●じゃないか!私は詐●の片棒を担ぐつもりは無い!』と。

ブランド物の高級腕時計は、
極端に言ってしまえばデザインくらいしかセールスポイントは無いんですよね。
でも見栄で買う人が多いから高値で売れるという悪循環。

もちろん、見栄も立派な理由でしょうし、
そこをとやかく言うつもりも権利もありませんし、
研磨や造型などの造り込みは「高級時計ならでは」と言えるブランドもあります。

でもですね・・・、
その見た目に関して言っても、
実際に目で見てハッキリと違い(素晴らしさ)が判るのって、
主観ですが30~40万円くらいの時計まで。
それ以上の価格になると40万も500万も一緒ですよ(笑)

他の要素を挙げるなら、
例えばケースが金無垢だとかダイヤが入ってるとか、
そんな演歌歌手や芸能人が見栄でつける腕時計みたいなのは、
時間も見づらいですし見た目にも浮くし、普通は要らないでしょ?(笑)

因みに、
どうしてその“某有名ブランド”のコピー時計が大量に氾濫していると思われます?
理由は簡単で、
安いコストで簡単に真似が出来る程度の“つくり”だからです。

私がまだ20歳だったころ、
同じ歳の友人が高価なロ●●●●をはめていたんですが、
「それってやっぱ安い時計とは全然違うの?」と尋ねると、
「いや、同じだよ。ははは。」とカッコつけて謙遜していましたが、
実はそれが正解だったんです(笑)

そのロ●●●●に限らず、
これが多くの高級時計というものです。

そしてまた、
馬鹿が見栄の為だけにこれみよがし嵌める超高級品より、
小奇麗なサラリーマンさんが愛着を持って嵌めている、ヨーカドーで買った千円くらいの吊り時計や、
ビルゲイツが好んで嵌めている千円もしないチプカシ(安いカシオの腕時計)の方がどれだけカッコ良く映える事でしょうか!
前者は正に「豚に真珠」「猫に小判」「仏教徒にクロス」「クリスチャンに木魚」
後者は正に「魚に水」「雪に梅」「猫にまたたび」「虎に翼」

(まぁその人の勝手ですけど・笑)

ま、これらの事を考えてから、
購入されてはどうかと思うので書いたまでです。

第三者から「あの時計は高そうね!」と言われるよりも、
「あの人がつけている時計、凄く似合っていてるね!」と言われたい。

いくら趣味の世界とはいえ、
「時計にはめられる」よりは使いこなしたい♪

心に疾病をお持ちの方が、
その処方箋の一環として高級時計を所持して自信を持つ、
というのは大賛成です。
実際にある事ですし、効果も実証されてますし、
誰しも何かしらそうやって心の平安を保ってんですよね、きっと。

この日記の始めにこんな事を書いています理由は、
偶然ここを目にした知識も何も無い若者が、
腕時計に興味を持ち、
わけもわからぬままに高級時計に魅せられ、
なけなしの金で無理をして並行品を買って、
ちょっと針がずれているだの、
時間がズレ過ぎるだの、
修理の見積もりが家賃数か月分だったから泣く泣く諦めたなどとストレスを溜めて、
腕時計を愛でる喜びを知る前に直ぐに売却するというようなかつての私と同じ轍を、
ただ1人の若者にも踏んで欲しくないからです。
(たかが食べログの日記といえ、誰が目にするか判りませんし・・・)

高級ウォッチは、
購入後に後悔しても勉強代というにはあまりにも高価ですからね。。。

これら全てを踏まえた上で購入されてはいかがでしょうか。
ブランドに憧れる気持ちは私にもありますから。
それにかくいう私も、ロレッ●スの安い部類の時計は、
その見た目が好きすぎて似たようなのを何本も持ってますしおすし。

また、どうせ腕時計を持つなら、
数本持っておくのがベターだと思います。(値段やブランドに関係なく)
靴だって何足かを使い分ければ長持ちもしますし、
状況に合わせて履く靴を選びますから。

タイプの違うものを2、3本持っておけば、
1本の時よりも逆にどちらも大切に思う愛着心も湧くのでは?

そうなればあなたも仲間入りです。
もう立派な腕時計ファンです。

結局は腕時計マニアを増やしたい私なのです。
マニアが増えれば増えるほど、
腕時計業界の質も総じて上がりますからね~♪

高級時計も、そして安価な時計も、
所有している全ての時計は等しくいとおしい相棒達であり、
私にとってはお守りです。
(高校生の時に恋人にもらった1000円の腕時計も、もはや壊れて修理不能ですが今だに持ってます。まだ彼女に未練があるとかじゃないです顔も忘れかけてますでも時計はいつまでもかわいい)

そんな私に、
時計の神様からの贈り物だったんでしょうか、
約3年前、13年間暮らした東京から京都に居を移した私の目の前に、
突如として祖父の形見のこの腕時計が現れました。

東京に居る間も毎年必ず大掃除には帰ってきていたんですが、
何故かこの腕時計は出てきませんでした。

 『セイコー スポーツマチック カレンダー820』(1963年製) ※当時価格10000円前後

1963年・・・・・・・実に50年前の製品です・・・

調べてみると、
当時の1万円前後の腕時計の価値というのは、
決して安いものでは無いんですがそれほど高額でもなかったっぽいです。

しかし祖父がいかにこの時計を丁寧に使用していたかは、
今現在のこの時計を見れば一目瞭然でした。

普段使いの腕時計としてかなり使い込まれた形跡があるにも関わらず、
非常に綺麗な状態です。
(文字盤やケースにシミも腐食もありません!)

途中でベルトがダメになったようで市販のベルトに付け替えた後があるんですが、
そのベルトも選びに選んで付け替えた形跡がはっきりとあります。

そして何より驚いたのは、
プラスチックの風防(ガラスの部分)が割れた際に、
祖父はそんな技法をどこで聞いてきたのか分かりませんが、
その割れた箇所に樹脂を塗りこんで割れ目の広がりを抑え、
その後も使い続けていた形跡があります(笑)

また、ケースをゴシゴシ研磨していた形跡もあります。
(このタイプの時計は研磨しちゃいけないんですけどね。つまり時計屋さんに任せず、知識も無いのに全部自分で考えて修理なり何なりしていたというのが見てとれます)

安月給で倹約家だった祖父が、
唯一奮発して購入し、いつもつけていた時計。

ボロになっても使い続けようとした祖父の性格は、
今の私と全く同じで笑ってしまいます。
時計、バイク、車、服、靴、耳掻き、つめきり、ハサミ、手帳などなど、
私もとにかく何でも完全に使えなくなるまで使用します。

とにもかくにも、
古ぼけたこの腕時計から感じるのは、
祖父のこの腕時計への愛着心でした。

この時計、よくよく思い出してみれば見覚えがありまして、
私が6歳の時に57歳で亡くなった祖父ですが、
亡くなる数年前から私をよく岡崎動物園に連れていってくれていて、
その時に手首につけていた姿を思い出します。

そこで昔の写真を調べてみると、
祖父は確かにつけていました。

60歳を越えた私の母が、
まだ10歳程の時に買った腕時計を死ぬまでつけていたんですねえ。
祖父の死後も何度かの引越しもありましたし、
二度の改築などもしたんですが、
そんな中で紛失する事もなく、
私が東京から帰ってくるのを待っていたかのように突然現れたこの腕時計。

84歳で存命中の祖母の記憶によると、
祖父の腕時計は生涯で2つだけだったそうなんですが(もう1つは懐中時計)、
こうして対面しまして、孫の私が修理して使うのが使命だと思いました。


さて、蘇った腕時計を持ち帰り、
さっそく色々なベルトを付け替えてみた結果、
結局は最初につけてみた黒革が1番しっくりきたのでこれでいきます。

尾錠(ベルトを留める金具)は「Dバックル」というものです。
この「Dバックル」という尾錠が、
一番ベルトの革が傷みにくい形態なんです。

こうして受け継いでゆけるのが『腕時計』というアイテムの素敵なところでもあります♪
『時を刻む物』ですから正にうってつけなんじゃないでしょうか?

さぁて、私の次は誰の手に渡るのかな!?
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