1回
2014/03 訪問
ふく料理も立派でらっしゃいます
河豚の季節の書き込みが少なかったので不安でしたが、確かな割烹との確信を持って飛び込んでみました。
その予想は大当たり!
小倉で和食ならこちらでしょう、と言えるほど満足しました。
床の間のある個室で、誰の目にも触れずにお忍び的に食事できるのもセレブリティ感があって嬉しかったです。
とはいえ、壁紙が剥がれていたり年季の入った内装に味わいを感じる方にこそお勧めしたいですね。
事前に、
”ふく”を主にこの予算で料理を用意していただきたいと相談をしました。
それが嬉しい誤算と相成りました。ふく以外にもたくさんの珍味をいただきました。
・ふく煮凝りは生姜が利いて色の薄いものでした。皮もとろけかたも良かったです。
・ふく刺身は、いつも食べているものよりやや黄色味がかっていました。歯ごたえもありました。
皮は透明な部位で雑味が無く、正肉の細切れが湯引きにされて気に入りました。
ぽん酢は酸味が強く感じられました。
・ふく白子は炙りが薄かったです。
焦げが無いので美味しく頂きましたが、柔くて味が薄く感じられました。
とはいえピンポン玉くらいのなかなかの大きさでしたし、箸でつまめるのは良いですね。
ふくの旬を逃していながらの提供でしたので幸運だったのかもしれません。
・ふくあら唐揚げは完全に火は入ってなく、水分を飛ばした感が無いかわりに口当たりが良かったです。
とはいえ骨周りの身離れがいまいちでした。
・ふくちりの河豚あらはすでに煮られて提供されます。
それを食べてから野菜を食べてくださいとのことでした。
その助言に従いそうしたところ、野菜に河豚の味が移ってとても美味しかったです。
もちろんケミカルのニュアンスなど感じませんでしたし、河豚の風味だけが香る雑炊なんて初めて頂きました。
・ひれ酒の鰭は小さいのによく働いています。あと燗2本はいけますよ。わりと辛口なひれ酒で好みでした。
なにはともあれ、ふくを心ゆくまで堪能しました。
全体的に塩気は薄くて好みでした。
焼き物や揚げ物に添えられた種の多い柑橘が、酸味も糖味もほどほどで良かったです。郷に入りては郷に従え、ですね。
ふく以外では・・・
・五島の雲丹がとても美味しかったです。小粒ながら味が濃くて身がしっかりとしていました。
・活けの天然車海老は調理前に見せてくださいました。とても立派な大きさでした。刺身と焼きの提案に焼きを選択。不味いはずがありません。
・赤なまこ酢、とても薄切りなのに、さすがに厚切りの青なまこよりコリコリしていました。これは珍味ですね。
・焼き牡蠣、殻に身が詰まって大きくぷっくりしていましたが、味は塩気が薄く、広島で食べたもののほうが好みでした。
・鯖の刺身、これもとても珍しいですね。捌きたてではない、熟成された色合いでしたが、ねっとりとした舌触りと旨味でした。
・天山という佐賀の日本酒が美味しかったです。
・水菓子は西瓜でした。初物です。小玉ながら甘くて瑞々しいものでした。
3月下旬といえば、もう河豚は終いの季節なんですよね。
にもかかわらず白子が入ったことを運が良かったと店の方に言われて有難さが増しました。
西瓜も加わって季節の移ろいを感じられたのも、割烹ならではの、季節を先取りしてみませんか?という演出に感じられました。
お給仕さんは前触れも無くふすまを開けて入ってきますが、これがこの店の味わいなんだと思えば不快ではありません。
昔ながらの割烹、気取ってなくて良いではありませんか。
生花を活ける情緒にこちらも心が緩みました。すばらしいではありませんか。
ただ、料理を運んでくるタイミングが早いのが少々不満でした。
ご馳走様でした。
またよろしくお願いします。
総合☆3.1
2016/04/02 更新
まさに料亭
2017/11/13 更新