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テーブルセティング
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蕪のクレマ
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パン
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鰤のカルパッチョ
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人参のグリル
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蟹のパスタ
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パスタzoom up
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銘柄牛のグリル
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牛肉zoom up
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焼きリゾット
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焼きリゾットzoom up
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栗のドルチェ
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イタリア語で「虹」と名づけられたこのレストランを予約してあるその日の朝…
ドアミラー越しに、束の間の晴間に虹を見たことで何かの縁を感じてしまいました。
まずはロッテアライリゾート新規オープンをお慶び申し上げます。
その経過については他の出典に委ねるとして、何よりもあの伝説のゲレンデ・アライが再オープンしたことは、スノースポーツに親しむ者としては今季最大のニュースと言って差し支えないでしょう。
こちら様は、アライリゾートの3つあるグレードのホテル棟のうち、最上級のCLUB棟に位置しています。だからといってCLUBに宿泊しないと入店できないなどということはありません。ドレスコードにも寛容です。そうは言ってもこちら様の価格設定は高価です。それをどうこう言うのは食べてからにしませんか。おいしい、見た目にも綺麗、そう感じた人には分かってもらえると期待しています。
・蕪のクレマ
蕪を炊くのは案外難しいのです。小さなダイス状にカットされた蕪は形と香りを保ちながら、ひと食みするとやさしいクリームとともに溶けていきます。器の底には炙った鱈の白子が置かれ、クリームスープをより豊かな味わいに高めてくれます。そのような施しがあるのでクレマに油脂の強さは感じられずことのほかさっぱりとしていましたし少量が丁度よいと思いました。あしらいの花穂紫蘇の彩りと香りも相まって、モダンジャパニーズキュイジーヌの如きでした。
・天然鰤のカルパッチョ
鰤の扱いがとてもお上手でした。脂の載った新鮮な香りなのにこわくない歯触り、捌きたてではない熟成を感じました。脂に嫌味がなく上品、かつ白身の香りが心地よい品なのです。オイルもビネガーも可能な限り排し、サシミに限りなく近かったことに驚きはせずともとても感服しました。 からすみと柚子の風味もまるで和食のようながら、イタリアンとジャパニーズの共通項を上手くオーバーラップさせた面白い品でした。白い大根・赤い大根・ポアブルロゼの色相と香りも鮮やかでした。軽くグリルして乾燥したリーフが一枚添えてありました。これがこの店の真髄、チャコールグリルへの序奏だと期待が膨らみました。ともすれば焦げますし形を崩してしまいそうなところを繊細な調理をされているのですね。
・人参のグリル
若い人参さんでした。根の部位が15cmほどでしたでしょうか。縦半分のカットにグリルの焦げ目がありました。苦いことなどまったく無くむしろ糖分が凝縮されて甘くとても美味しい品でした。人参のバーニャカウダソースに人参のピュレ、とにかく人参尽くしです。オレンジソースと合わせるとトマトに似た風味に化けるのも楽しいものです。そこにミント葉のアクセントが加わり、シンプルなのに面白い表情が成されていました。あしらいに人参の葉が添えてありました。人参への愛を感じました。
・パスタ
もはやこのコース構成はイタリアンから逸脱しています。次に何が供されるのか見通せず、このパスタももはやプリモピアットとは呼べないタイミングでした。そのうえ自家製パスタが限りなく日本のラーメンに似た形とコシのある歯触りで道に迷いました。自分が今食べている品の国籍を見失います。とはいえズワイガニのソースはオイル少なめながらにんにくと伴に香り立っていました。生の菊花とスプラウトが彩りを添えていました。パスタの既成概念を覆されたように感じられるほど面白いロングパスタでした。
・銘柄牛のグリル
表面がさくっとした歯触りなのです。あたかも"しゃり"っと音を発しているのではと錯覚するくらいさっくりしているのです。それも表面だけがです。内の身に筋は当然ありませんし、身の歯切れもとても良い状態でした。いえ、本当に驚きました。これがこちら様の真髄・チャコールグリルなのですね。地の銘柄牛とはいえ十分の脂を湛えてしっとりとしたミディアム、下味は薄く入っているだけとのことでした。薬味として刻み胡椒・荒塩・ホールのはじけていない粒マスタード・生山葵が添えられ、ひとカットごとに様々なフレイバーを楽しめました。ガルニチュールは炊いたと思しきしっとりとしたさつまいもと、椎茸のグリルでした。甘きに過ぎないさつまいもは京料理の系譜のようでもあり、椎茸は縮んでいるでしょうに大きさを保ちながら大地の香りを湛えていました。ルッコラが脇役になろうとは恐るべき一皿です。肉に食傷する一歩手前まで攻められたように感じました。
・焼きリゾット
パスタが"凌ぎ"ならばここが食事でしょうか。とろける生海老と生雲丹を載せた焼きおにぎり茶漬けのような風体でした。出汁はコンソメと案内されました。薄く色づいていたのは何かの焦げだったのでしょうか。醤油のニュアンスは感じられませんでした。渾然一体としようと混ぜてみるとそれは豊かでありながら水の如く喉元を通り過ぎてゆくではありませんか。もうすぐ満腹に達しようというのに海老と雲丹の味わいは甘くないうまさという甘さをもたらして食欲を刺激するのです。
・栗のドルチェ
甘過ぎないのが日本のスウィーツの誇らしい特徴のように思います。とはいえ料理ほどの衝撃が無かったのは、デセールはあくまでも余韻に浸る品とするのも誤っていないようにも思います。そう、甘いものである必要はないのです。デセールに替えてチーズを食すこともあるのですから。栗はグラッセでしょうか、しっとりとして良い仕上がりながらあまり香りません。ふんわりとしたクリームもあまり香りません。むしろ パッションフルーツを練りこんだ飴細工が存在感を放っていました。とはいえ飴ですので歯に詰まりやすいのが残念でした。飴は冷えてかりっとしているのが理想形なのではないでしょうか。砕いたピスタチオは緑が美しく、ヨーグルトソースが爽やかな味わいにまとめていました。メレンゲの焼き菓子は口にした瞬間に解けてなくなる面白いものでした。
総合☆3.1
こちらのコースは新潟の食器で提供しているそうです。
グラデーションと撒きの施してある食器は、青なら空、白なら雪、一面金色のものは月でしょうか。料理とともに器の大きさと美しさにも触れてみて欲しいと切に願います。ゴリゴリとナイフを入れないでやさしく食器に接してくださいね。カトラリも小さく軽いものでした。とてもスマートだと痛み入りました。フレンチでは料理の皿数だけカトラリが並べてありますが、こちら様は料理に合わせて次に用いるカトラリだけを置いていったりするので品数が読めないのが嬉しくもあるのです。
丁寧に作られた美味しい料理を有難くいただきました。ご馳走様でした。
再訪を望むとともに、益々のご活躍を期待申し上げております。