4回
2020/12 訪問
オールジャパンで 渾身の7皿
週末のランチに伺いました。
大好きなイタリア料理のお店のひとつです。
あらためて、この質と量にして何とリーズナブルかと驚きます。このお店の味を思い返す時、浮かぶのは料理名よりも先に食材の方です。牡蠣美味しかったな、しいたけ絶品だったな、どこで手に入るのだろう、と。
今回のお料理は税別6,800円のランチお任せスタンダードコースです。コペルト代500円が加算されます。
○自家製フォカッチャ
ローズマリーとオリーブオイルがたっぷり香る定番のパン。
○小さな前菜
ブーダンノワールをモチーフにしたガトーショコラ。逆かもしれません。
○石井農園より 朝どれカリフラワー
スープとサラダ仕立て 炙りイカと雲丹添え
○仙鳳趾より 牡蠣
下仁田ネギのグラタン ココット仕立て
イタリアンなら熱々のお料理をいただくことも楽しみのひとつです。ふっくらまるまるとした大きな牡蠣がふたつ。熱によりとろける下仁田ネギとの相性が良いです。
○対馬より 釣り太刀魚
天火焼きブッラータチーズとケッカソース
さくさくとした太刀魚のフリットを、瑞々しいブッラータチーズと一緒にいただく食感の楽しさ。
○深山農園より 瀬戸内しいたけ
スペシャリテのカラスミのスパゲッティですが、メニューには敢えてしいたけのみ書いてあるのが憎いです。カラスミの美味しさは勿論ですが、主役はしいたけ。前回も同じメニューをいただいており、この深山農園さんのブランドしいたけは日本一かもしれないと思います。原木でなく菌床栽培にて理想的な環境で育てられた、肉厚で弾力のあるしいたけの王様。これほどしいたけの魅力を凝縮した瀬戸内しいたけは、少しでも苦手な方にはお勧めできない領域です。
○本日の厳選お肉
フランス産仔鳩 炭火焼き
牛、豚など選択肢がある中で、フランス産仔鳩のみ追加1,000円でしたが、鳩を無性に食べたくなりました。肉の旨味をしっかり感じる鳩がごろごろ、時々フランス茸、そしてフォアグラ。他のお肉も美味しいのでしょうが、今回鳩を選んで良かったな、としみじみ。
○船橋より 紅孔雀卵
王道のティラミスですが、卵の黄身の味わいを引き出した贅沢な一品です。
○京都より ほうじ茶
ほうじ茶とレンズ豆のアイスカタラーナが最中に挟まれています。これ以上ないくらい甘さ控えめでさっぱりしていて、それほど和菓子好きではない私にも嬉しい小菓子です。
○コーヒー
この日は少量多皿コースはありませんでしたが、12月中旬から再開されるようです。
女性が好む少量多皿コースは、このお店のアイデンティティのひとつではあります。しかし平均的な7皿のコースはやはり、記憶に残る量感と、量があるからこその熱を保ったお料理が実現する、という良さがあると思いました。たくさんの生産者様の想いを個別にダイレクトに届けたいという気持ちの10皿と、熱のこもった7皿。どちらも捨てがたい魅力があります。私が選んだメニューにはフランス産のものもありましたが、心意気としては日本の総力結集。
今回もごちそうさまでした。また伺いたいと思います。
自家製フォカッチャ
小さな前菜
小さな前菜
石井農園より 朝どれカリフラワー
仙鳳趾より 牡蠣
仙鳳趾より 牡蠣
対馬より 釣り太刀魚
深山農園より 瀬戸内しいたけ
本日の厳選お肉 フランス産仔鳩 炭火焼き
船橋より 紅孔雀卵
船橋より 紅孔雀卵
京都より ほうじ茶
2024/09/25 更新
2019/11 訪問
10皿に込められた 素材への敬意
平日のランチに伺いました。
前回の訪問は1年半程前です。それから時間が空いてしまいましたが、今回もまた絶品でした。私の乏しい経験の中でも、イタリアンでは一、二に気に入ったお店です。
お料理は税サ別5,500円の少量多皿のコースです。コペルト代500円が加算されます。
○自家製フォカッチャとグリッシーニ
○アミューズ 和田漁港より ミンククジラ
○アミューズ 函館産 活〆天然ヒラメ
○前菜1 カリフォルニア産 ブッラータチーズ
○前菜2 釧路産 秋刀魚
○前菜3 ハンター太田さんより 蝦夷鹿
○パスタ 深山農園さんより 瀬戸内しいたけ
○口直し シャーベット
○メイン スペイン産 イベリコ豚
○ドルチェ フランス産 栗
○小菓子 京都産 ほうじ茶
○コーヒー、カフェラテなど
前回訪れた時には、コースのお品書きが無くて覚えられない、とレビューしていましたが、今回は用意されていました。料理名ではなく、主となる食材を記したものです。
メニューありきではなく、全国から届けられた食材をどのように生かそうかと、素材からコースを組み立てていくとのことです。
素材を生かす、と文字にすると表現がありふれ過ぎていて残念です。しかし、今何を食べているか、実感しながら頂く10皿は、味も香りも複雑過ぎず明快でした。素材への敬意を感じます。これは食材も生産者もきっと喜んでいるはず。素晴らしき作品10皿でした。
ディナーにはプリフィクスで選ぶ楽しみのあるコースもありますが、自分が普段選ばないような食材の魅力を再発見させてくれる、お任せのコースも捨て難いです。スペシャリテのたっぷりのカラスミのスパゲッティが、コースの一皿に入っていれば尚嬉しいです。
今回もごちそうさまでした。また伺いたいと思います。
自家製フォカッチャとグリッシーニ
アミューズ 和田漁港より ミンククジラ
アミューズ 函館産 活〆天然ヒラメ
前菜1 カリフォルニア産 ブッラータチーズ
前菜2 釧路産 秋刀魚
前菜3 ハンター太田さんより 蝦夷鹿
パスタ 深山農園さんより 瀬戸内しいたけ
口直し シャーベット
メイン スペイン産 イベリコ豚
ドルチェ フランス産 栗
小菓子 京都産 ほうじ茶
2024/09/16 更新
2018/03 訪問
香り立つ7皿の花園
平日のランチに伺いました。
桜の季節は目黒川付近の飲食店は予約が困難です。またこの季節だけコース料理が値上げになっていたり限定メニューのみの提供であったり。こちらも桜の季節のみコースが限定されていました。
目黒川沿道から1、2本入った閑静な地域に位置し、スタイリッシュなビルの2階にあるシェフズカウンター、窓際カウンター併せて13席、ささやかなスペースのイタリアンレストランです。2、3日前に電話予約しましたが、席数が少ない為、空席数は流動的と思われ、お花見時期にランチに滑り込めたのは幸運でした。
中目黒駅から8分程度の距離を30分以上かけて、花見がてら美味しそうな屋台を横目に歩き、お店に到着する頃には、期待いっぱいでした。
お料理は税別6,800円のコースです。
桜の季節はスペシャリテお任せコースのみでした。コペルト代500円が加算されます。
○自家製パンとグリッシーニ
○アミューズ 小さなハンバーガー
○前菜1 白身魚に衣をつけてフリットにしたもの ホタルイカ、トマトなどを添えて
○前菜2 鮪のカルパッチョ、バジリコソース
○前菜3 白子のフリット、百合根など
○パスタ 桜海老とからすみのスパゲッティ
○口直し シャーベット
○メイン 豚炭火焼、マスタード、柚子胡椒、ガーリックソース、ピンクペッパーなど
○ドルチェ パンナコッタのようなもの。ヨーグルトやオレンジ、日向夏など。
○小菓子 レンズ豆の最中
○コーヒー、カフェラテなど
その他スパークリングを頂きました。
コースのお品書きが無いと覚えられない私は、サーブの方の説明が聞き取り辛かったこともあり信じられない程お料理名や食材を失念しており、いかに食欲の赴くままに身を任せていたかと驚愕。
最初の自家製パンはフォカッチャのようです。これから始まる香りのコースを期待させるローズマリーが香る導入のひと品。
続くコースは、前菜3、パスタ、メイン各1にお楽しみやドルチェが加わり全7品です。
目に飛び込むのはお皿の上の鮮やかなお料理たち。彩りの為の食材も全て食べられるとのことです。色彩を意識したブーケのように美しいお皿がテンポ良く続きます。食べてしまうのが勿体ないけれど、鼻と心は既に香りに鷲掴みにされています。
印象に残ったのはとにかく色彩と香りでした。
カジュアルで入りやすいけれど洗練されていてイタリアンといえどそのまま持ち込んだものではなくイタリアのどの地方の料理ともいえないようです。日本各地の、その日入手できる拘りの食材を基にこれを最大限生かすことを追及した結果のお皿たち。全体的に、爽やかながら後を引く美味しさで、量が多いと言われているのにすぐ次のお皿に期待してしまいました。
鮮烈に食欲を刺激する風味が忘れられず、こちらは駅からも目黒川からも少し歩くけれど自信を持って誰かにお勧めしたいお店になりました。
2022/09/23 更新
平日のランチに伺いました。
桜満開の時期に、目黒川近くで比較的予約が取りやすい貴重なお店。やはり沿道から1、2本入った所にある穴場だからでしょうか。
料理の味とコンセプトは大変好みです。料理の質と量に対しての価格はリーズナブルだと思います。カジュアルなお店の造りと雰囲気は、客単価に比して少しアンマッチに感じるようになったかもしれません。近年の値上がりは気になる所です。
私の場合は、こちらには第一に味を求めて来るので、お店には頑張って頂きたいし、美味しいものに理解のある方にはぜひお勧めしたいです。親しみやすいというのは通いたくなる要素のひとつです。私の行動範囲内にあるお店ならばきっと足繁く通うのに。
桜時期限定お任せスペシャリテコース10品 税込11,000円です。スペシャリテの「カラスミのスパゲッティ」はできることならお試し頂きたいメニューです。
○小さな前菜3品
○旬の食材を揃えた前菜 青森下北よりサクラマス
○旬の食材を揃えた前菜 下関王喜本町よりやまもとたけのこ
○鮮魚の一皿 徳島より活〆オコゼ
○スペシャリテ サルデーニャよりたっぷりカラスミ
○お口直し
○本日の炭火焼きメイン料理 十勝、しんむら牧場より山森野豚
○ドルチェ 南房総、田倉さんより熟成紅はるか
○カフェ 小菓子 京都よりほうじ茶
できあがった料理を最適の状態で頂けている、ということをいつも実感します。日本中の生産者たちから届く最高の食材と、その日の食材からメニューを決めるシェフの腕は勿論、最適の状態で食卓に乗ることの有難さ。自宅で拙い料理をしていても分かる、その難しさ。
ナイフを入れるとジュッと手応えを感じる瑞々しいたけのこ。衣はサクッと身はふんわりのオコゼ。カラスミの深い旨味を纏うスパゲッティは言うに及ばず。シンプルに炭火焼きにした豚の弾力と水分の素晴らしいバランス。スペシャリテのその先にも、尽きない愉しみが続きました。
ディナーで行っているというプリフィクスでメインを選ぶとしたら、豚にピンと来ない方もいるのではないでしょうか。でもその旨さを見落とすことなく教えてくれるお任せコースは、素晴らしいです。
イタリアン好きでもイタリアンということをひと時忘れてしまう『Felicelina』さんの瑞々しい世界。また伺います。