3回
2023/12 訪問
小径の先の異世界へ 再び
平日のランチに伺いました。
自由が丘駅と九品仏駅の北にあり、地図上に両駅との正三角形を描く『mondo』。駅から徒歩10分ほどの住宅地の、見過ごしてしまいそうな場所に隠れ家リストランテがあります。初訪問から迷わず辿り着けた私はレアみたいです。
こちらの日常とあちらの『mondo』を結ぶ、小径と小庭がちょっと素敵なのです。前回とは季節こそ違うものの、やはり風情があって良いなと。
内装は様変わりしていました。2018年に改装されたとのこと。木目が多く取り入れられており、森の小さなレストランのような温かみを感じます。大胆な曲線のセンターテーブルを介して、訪問者達は緩く繋がり、また緩く仕切られ、心地良い距離を保ちます。
相変わらず、オーディオセットの重厚な低音が響いていました。オーナーシェフの拘りなのでしょう。2度目なので体は慣れました。
お料理は、おまかせコース 旬の食材を贅沢に使用 税サ込7,260円です。
○突き出し お野菜のスープとオリーブ
○mondoのパンたち
○アンティパスト1 大分豊後水道産真鯛と桜海老のフリット
○アンティパスト2 エゾ鹿の温製カルパッチョと極みエノキ
○パヴェッテ モンサンミッシェル産ムール貝と甘夏、パクチー
○リゾット 鮒の熟れ酢と白菜
○メイン 新潟もち豚ロースとお日さま農園のお野菜、バッカラ塩
○ドルチェ 林檎のミッレフォーリエ
○コーヒー、紅茶、またはハーブティー
今回も5種類の自家製パンは健在でした。お料理の箸休めに留まらず、実に風味豊かで、単体でも存在感があります。
そして偶然か、今回もメインは豚ロースです。丁寧な火入れを感じる、素晴らしくしっとりとしたもち豚ロースの旨味を、バッカラ塩が引き立てます。イタリアンでも上品で繊細で。香りと旨味が染み入ります。
ドルチェもまた林檎のミッレフォーリエ。季節が変わっても林檎のミッレフォーリエ。スペシャリテなのでしょう。皮や果肉や蜜など、林檎を丸ごと味わう上質なミルフィーユです。
2度目の今回の方が、全体的にずっと良い印象を持ちました。初めての訪問時は良さを見出す感性が私に不足していたか、それともお店が進化したのか。
「隠れ家」の期待を裏切らないアプローチの景色、外界から隔てられたほんのり異世界感。そして滋味と、親しみやすいサービスと豊富なワイン知識。
自由が丘界隈のイタリアンとしては、総合的に最強クラスではないでしょうか。
ごちそうさまでした。
お野菜のスープとオリーブ
mondoのパンたち
大分豊後水道産真鯛と桜海老のフリット
エゾ鹿の温製カルパッチョと極みエノキ
モンサンミッシェル産ムール貝と甘夏、パクチー
鮒の熟れ酢と白菜
新潟もち豚ロースとお日さま農園のお野菜、バッカラ塩
林檎のミッレフォーリエ
2024/09/28 更新
2018/05 訪問
アプローチから始まるmondoの世界
平日のランチに伺いました。
九品仏駅から向かって10分ほどでした。表通りからはお店の看板も建物も見えない、わかりにくさでは想像を超えた隠れ家店です。皆様のレビューのお蔭で、地図をしっかり確認し、アプローチの風景をしっかり脳裏に刻み、迷うことなく辿り着けました。自由が丘駅からなら、緑小通りの突き当りと覚えれば間違いないと思います。
そういえば以前は撮影禁止だったのでしょうか。今ではお伺いしたら快く許可頂きました。このお店には特にビジュアル的に心を掴まれました。その点でも写真撮影許可は嬉しいです。
新緑の小径とエントランスの小庭が序章となり、ストーリーを感じさせる仕掛けとなっていました。これは胸が高まります。
知人の邸宅に迎えられたような小さなお店は、白壁と本棚を配したシンプルモダンな内装です。BGMがオールディーズやアメリカンポップス。違和感なるもお店の方の趣味なのかもしれません。コースのみの完全予約制ですし、価格帯からは、もう少しだけフォーマルなイメージで訪問しましたが居心地良く、想像より少しカジュアルでした。ひとえにこの選曲のせいかもしれませんが。
お料理は平日限定ランチ税サ込4,200円です。
○本日のお突出し 竹の子とパンチェッタ
○アンティパスト1 甘鯛と菜の花のストゥファート
○アンティパスト2 黒鯛とグリーンアスパラガスのムニエル
○プリモピアット アマゾンカカオを練りこんだタリオリーニ 桜エビのソース
○セコンドピアット マンガリッツァ豚ロースとマンゴーのソース
○ドルチェ 紅玉のミッレフォーリエ
○コーヒー、紅茶、またはハーブティー
その他スパークリングを頂きました。
特筆すべきは5種類もの温かい自家製パンです。中でも、パリッと焼いたラビオリのようなパンから終始香ばしいチーズが香り、ずっと食欲を支えます。
メインの豚ロースは火入れが最適でした。マンゴーとアマゾンのナッツを合わせたソースも個性的で新鮮で好きでした。普段はフルーツをベースにした甘めのソースは、肉類に添える場合はあまり好きではないのですが、これは何となく後を引き、気に入りました。
ドルチェはお洒落で上質なアップルパイという感じ。下にジャム状の紅玉の果肉、上にパイ生地に混じって歯ごたえのある紅玉の皮が散らされており、柔らかい果肉と相まって食感が楽しめました。
一方で気になった点は、前菜の2種類の鯛です。かたやふっくら蒸してフロマージュのソース、かたやシンプルに香ばしく焼き、と変化があり、それぞれ美味しく頂きましたが、旬だからか余程自信の食材なのか、2つのお皿とも鯛とはどうなのかなと思いました。
パスタは、練りこまれたカカオ、クレソンと桜エビ、それぞれもっと個性を際立たせても良かったような気がします。
全体的に優しく美味しいのですが、パンチや塩味が控えめで、イタリアンの中では大人しい方かと思います。
当初の期待より雰囲気がカジュアルで、日常的で、お料理は主張が控えめ。
エントランスまでの導入部で心を掴まれましたので、それを含めて思えばとても魅力あるお店ですし、良い季節のお天気に恵まれた日に気軽に誰かを連れて来たいフレンドリーな雰囲気です。
でもその割には、自由が丘価格です。これを日常とするには、私には贅沢な時間だな、と思っています。
お店の目印
アプローチの小径
アプローチの階段
エントランス前の小庭
竹の子とパンチェッタ
自家製パン
甘鯛と菜の花のストゥファート
黒鯛とグリーンアスパラガスのムニエル
アマゾンカカオを練りこんだタリオリーニ 桜エビのソース
メニュー
マンガリッツァ豚ロースとマンゴーのソース
紅玉のミッレフォーリエ
2022/09/23 更新
この7月末で閉店と知り、私には最後となるランチに伺いました。
オーナーシェフ宮木氏とソムリエ田村氏が16年間守り続けてきた、素敵なリストランテ。田村ソムリエは退職され、宮木シェフはまた同じ場所での再出発の為、充電期間に入られるとのことです。
九品仏から自由が丘への、お気に入りの散策コースでした。
自由が丘エリア最強イタリアン、そしておとぎ話のような隠れ家と、暫しお別れかと思うと寂しいです。
本日のお料理は、おまかせコース 旬の食材を贅沢に使用 税サ込7,260円です。
○突き出し お野菜のスープとオリーブ
ドライトマトや自家製サルシッチャを使った、お馴染みのお野菜のスープとオリーブのフリット。食欲を呼ぶ滋味深い導入。
○mondoのパンたち
5種類の自家製パンは、こちらの庭で採れた植物の実から作られた天然酵母を使用したものもあります。クミンやフェンネルの香りを効かせたものもあり、食が進み、また料理の合間にワインとパンだけでも進んでしまいます。記憶に残る風味と楽しさでした。
○アンティパスト1 ホワイトアスパラガスと生ハム、リコッタチーズ
フランス産生ハムとたっぷりのリコッタチーズを乗せたホワイトアスパラガス。イタリアンらしさが凝縮されていて、ビジュアルにも愉しみがあります。
○アンティパスト2 帆立のインパデッラとパオロベアのひよこ豆
軽く焼き目を付けた帆立のソテーに、ペースト状ひよこ豆のソース。ふくよかな帆立に大好きなひよこ豆が嬉しいです。
○プリモピアット1 実山椒を練り込んだ“カヴァテッリ” 穴子と干しきゅうり
メイン前のどこかに和の感覚を取り入れるのが『mondo』流でしょうか。いつも驚かされます。穴子と相性の良い、実山椒が香るパスタが新鮮です。
○プリモピアット2 冨士麺ず工房“十二麺体” シラスと瀬戸内コラトゥーラ
「シラス丼です。」と出されました。こちらも和の感覚を取り入れた一品でした。シラスにコラトゥーラという魚醤、卵黄というネオ王道です。受けるのは米の代わりに麺。表面積を多くし、もちもちとした食感が特徴の十二麺体。魚醤や卵黄が絡みやすく一体感があります。
○セコンドピアット メイン 新潟モチ豚ロースとお日さま農園の新玉葱 スカロッピーネ
叩いて薄く伸ばした豚ロースに小麦粉をつけてソテーしたもの。レモンバターソースを纏い、香ばしさとコクが印象的でした。お勧め頂いた白ワインとも好相性。3回のランチ訪問で、三種三様の豚ロースを頂きました。
○ドルチェ アメリカンチェリーのクレスペッレ
ライトなランチならではの、存在感があるドルチェ。ドルチェは、こちらを訪れる上で最も楽しみなもののひとつでした。アメリカンチェリーとバニラアイス、ヨーグルトを挟んだ、贅沢なクレープ。期待を超えてくる華やかさと美味しさでした。
○コーヒー、紅茶、またはハーブティー
お料理と共に、親しみやすいサービスの方々には愉しませて頂きました。またお逢いできる日まで、暫しのお別れです。
できるだけ早く、新生『mondo』にお目にかかれることをお待ちしています!