4回
2020/05 訪問
深緑のラ・ビュット・ボワゼ
平日のランチに伺いました。
こんな時期にという背徳感と共に、自宅前からタクシーで直行直帰すること3度目。ランチは2度目ですが、1ヶ月前の訪問時より庭木の緑が濃くなっているのが分かります。引き続き勿体ないほど人が少なく、贅沢な時間を過ごしました。
ランチは、メインがお魚料理1品になるコース1種類と、フルコース2種類があります。この日はMenu Special 税サ別8,800円を頂きました。
○コース外のグラスシャンパン
○アミューズブーシュ
小田原のアオリイカ 山うど風味
ドライプラムと生ハムのブロシェット
ノルウェーサーモンの自家製スモーク
○オードヴル
フランス産フォアグラのソテー茄子のコンソメ仕立て
秦野の赤裏紫蘇風味
○お魚料理
小田原の鬼カサゴのロティ
アジアンディルの香り
○お肉料理
シャラン産鴨の胸肉のロティ 箱根 リンドウの根香り
○デザート
無花果とフランボワーズのムース バルーン仕立て
○プティフール
竹炭のプリン 熊笹のフィナンシェ 金柑のコンポート
○落合ハーブ園のオーガニックフレッシュハーブティ
丹沢から来た大根の花や実、クレソンの花、カタバミの葉、カモミールの花。お庭からは青もみじの葉など。
季節を五感で感じられる植物がアミューズブーシュから鏤められ、圧倒的な充実感のオードヴルにはふんだんに取り入れられ、お魚料理では小田原から来た迫力の鬼カサゴを引き立てます。
メインのお肉料理では個性的な器に鴨肉と並べられ、彩りと香りを楽しむことができます。
毎回目を見張るような美しいデザートに至っては、今回はまた更にひと手間かけられた幻想的な演出が。1日1日が特別な日に感じられます。
今日もまた自分の為だけに用意されたお料理と時間を思う存分楽しみました。
また伺います。
2024/09/25 更新
2020/05 訪問
緑夜のラ・ビュット・ボワゼ
平日のディナーに伺いました。
およそ2週間ぶりの再訪は、レストランとしては最短記録でしょうか。2日と経たないうちに、またあの丹沢の野菜や小田原のお魚が、香り高いオリーブオイルやハーブティが、そしてあの瀟洒なお屋敷が、恋しくなってしまうのでした。
初夏のディナータイムは、日が長くなったことで、明るい夕方から日が暮れ暖色の照明が灯るまで時の経過を感じられ、これもまた趣があります。
この日は2種類あるディナーコースのうち、Menu Symphonie 税サ別11,000円をお願いしました。
○コース外のグラスシャンパン
○アミューズブーシュ
富山湾のホタルイカ 山うど風味
ドライプラムと生ハムのブロシェット
ノルウェーサーモンの自家製スモーク
○オードヴル
小田原のアオリイカ、ドイツ産ホワイトアスパラ
ピンクグレープフルーツの香り
○お魚料理
稲取、地金目鯛のスープ仕立て
青のり風味
○お肉料理
アイルランドのヘアフォード牛ロティ
フランス産ピエブルー茸添え
○デザート
タイム風味の蜂蜜ジュレ、フランボワーズのピュレ
フルーツのソルベ添え
○プティフール
竹炭のプリン 生チョコレート
○落合ハーブ園のオーガニックフレッシュハーブティ
個性的な器のアミューズブーシュ、咲き誇る花畑のようなオードヴル。初夏の海の幸山の幸を凝縮した導入はいつも視覚や嗅覚をも楽しませてくれます。
青のり風味のスープ仕立てのお魚料理は滋味深く、永遠に飲めそうなくらい味わい深いものでした。そしてしっとりと柔らかなヘアフォード牛のロティ。それぞれなかなかのボリューム感があります。
デザートはいつまでも眺めていたい緻密な美術品のような造りで、3種類の食感の組み合わせや、変化していく舌触りを楽しみました。
お気に入りのハーブティと共に永遠に時を過ごしたい所でしたが、短縮営業中の為、ディナーは2時間でお開きとせざるを得ませんでした。
しかしその後、森重シェフのご厚意で邸内を拝見することができました。藤田嗣治の絵が飾られている2階の個室の窓からは庭の桜の枝が間近に見えます。毎年花の時期にこの部屋を予約する方もいらっしゃったとのこと。結局、桜の季節にこのお屋敷で花を愛でることは叶いませんでしたが、今この僅かな猶予に新緑を楽しめたのは、幸いでした。
また伺います。
2024/09/25 更新
2020/04 訪問
新緑のラ・ビュット・ボワゼ
平日のランチに伺いました。
ここ数年、私が最も訪れたかったお店です。
気付いた時にはお別れが近づいていました。
好きな物を後回しにするように、大切な日の為に取っておこうと、何年か過ごしてしまいました。でも行きたい場所には勿体付けずに行かないと、いつか本当に行けなくなる日が突然やってくるのだなと。
この戦後間もなく建てられた日本家屋のフレンチレストランは、建物の老朽化に伴い、2020年6月末に、26年の歴史に幕を下ろすとのことです。
久し振りに開いてみた森重シェフのブログで知り、居ても立っても居られなくなりました。そして翌朝には予約の電話をしていました。
当日は在宅勤務を休み、往復タクシーを利用しました。普段なら、九品仏駅からの徒歩も気持ち良い住宅街の一角にあります。
坂の途中に門を構える、緑に囲まれた木造のお屋敷です。趣のある石の階段を上りながら胸がいっぱいになりました。庭の大きな桜や紅葉、年季の入った調度品や絨毯を眺めながら、もう間もなく見られなくなる景色なのかと、感傷的になってしまいました。
本来なら常連様が名残惜しんでひっきりなしに訪れる頃でしょうに、緊急事態宣言下の当時は、日々昼夜とも1、2組ほどの予約のみとのことでした。ディナータイムは営業時間を短縮していました。
森重シェフは、度々丹沢の山に入り、自ら山野草を摘み、狩りをし、滝行まで行う、外見も修行僧のように研ぎ澄まされた料理人です。
この日は3種類あるランチコースのうち、Menu Symphonie 税サ別8,800円をお願いしました。
○コース外のオリジナルシャンパンカクテル
○アミューズブーシュ
陸奥湾の帆立貝と南瓜のクルスタード
ドライプラムと生ハムのブロシェット
ノルウェーサーモンの自家製スモーク
○オードヴル
ブルターニュ産オマール海老春キャベツ包み
丹沢の野生のオゼイユの香り
○お魚料理
小田原の平目のポワレ
牧島さんのフェンネルの香り
○お肉料理
但馬牛(60日間熟成)のロティ
フランス産編笠茸 冬トリュフのソース
○デザート
苺のフィヤンティーヌ 瀬戸内有機レモンのクレーム
山崎さんのレモンチェッロの香り
○プティフール
竹炭のプリン 熊笹のフィナンシェ 金柑のコンポート
○落合ハーブ園のオーガニックフレッシュハーブティ
始めに、圧縮お絞りにはハーブティが注がれて、芳香と共に膨らむ様子を楽しみます。
パンは、米粉のパン、岩海苔のパン、胡桃のパンの中から好きなものを選び、燻製の香りが立ち上るオリーブオイルと、ローストオニオンを練り込んだ芳醇なバターと共に頂きます。
最後に、これまでで最も香り高く美味しいと思ったハーブティ。全てに細やかに手間がかけられ、素材の風味が生き生きと感じられました。正統派ながら造形的にも美しく鮮やかで、味も素晴らしかったです。
森重シェフには外まで見送り頂き、庭で写真も撮って頂きました。
また伺います。
お別れの日まで、もうしばらく楽しませてください。
2024/09/25 更新
平日のディナーに伺いました。
この日はMenu Symphonie 税サ別13,000円を頂きました。
○コース外のグラスシャンパン
○アミューズブーシュ
小田原の活き締めカマス 丹沢の山うど風味
ドライプラムと生ハムのブロシェット
ノルウェーサーモンの自家製スモーク
○オードヴル
ブルターニュ産オマール海老 秦野の初夏の野菜
グリーンピースのスープ 海老風味ジュレ キャビア
○お魚料理
小田原のアコウ鯛のポワレ
秦野の牧島さんのアジアンデイル風味
○お肉料理
アイルランドのへアフォード牛ロティ フランス産ピエブルー茸添え
○デザート
無花果とフランボワーズのムース
バルーン仕立て シャルトリューズの香り
○プティフール
竹炭のプリン カヌレ 甘夏のコンポート
○落合ハーブ園のオーガニックフレッシュハーブティ
6月末の閉店まで連日満席の為、この先の予約が取れず、この日が私にとっての最終日となったことを、後日知りました。閉店されると知ってから、最後となる日をどのような想いで迎えるのかと胸が詰まる毎日でしたが、その日はもう過去となってしまいました。
長年の常連様に比べれば、私の想いなど大したものではありませんが、それでも今は空虚感に襲われています。
お店の方がお忙しいかと思い、お料理への感想や御礼の気持ちをあまり言葉にして伝えてこなかったことが悔やまれます。今の私の気持ちにぴたりと嵌った唯一無二のお料理と空間と時間でした。
今までありがとうございました。
またどこかでお会いできることを楽しみにお待ちしています。