1回
2020/08 訪問
虧たることもなしと思へば
ラウンジ
ラウンジ
アミューズ
トマトのコンプレッション プラムオイル風味
トマトのコンプレッション プラムオイル風味
オマールブルーのブロシェットと玉蜀黍のヴァリエーション
オマールブルーのブロシェットと玉蜀黍のヴァリエーション
甘鯛のナージュ 夏仕立て
憩いの一口
メインディッシュ 和牛のブルゴーニュ風 赤ワイン煮
アヴァンデセール
アヴァンデセール
白桃のメルバ ベルベンヌの香り
白桃のメルバ ベルベンヌの香り
白桃のメルバ ベルベンヌの香り
焼き立てマドレーヌ
焼き立てマドレーヌ
タルト・ヴォードワーズ
2024/09/25 更新
週末のランチに伺いました。
英国ジョージアンからヴィクトリアン期の美術に魅了される私。19世紀後期の英国建築様式を取り入れた洋館に伝統的なフランス料理、と聞けば、伺う前から大好きが満載の予感がしていました。
現在はメインダイニングの席数を制限し、6室ある個室に優先的に案内しているようです。通常は室料が設定されていることもあり予約時は特に希望しませんでしたが、今回案内されたのは、ウッドペッカールームというオランダスタイルのお部屋。6室それぞれテーマがある中でも、こちらは木の温もりに包まれた落ち着きのある空間で、中世の香りさえする魅力的なお部屋でした。
感染防止の至れり尽くせりの取り組みはHPなどで確認できますが、特に白手袋を装着してのサービスは、寧ろこの格調高い洋館の雰囲気に似合っていました。
MARCHE 税サ別20,000円です。
○コース外のシャンパンカクテル
果肉感たっぷりのシャンパンカクテルです。
○アミューズ
一匙の特製ポテトサラダは甘く瑞々しく、サクサクとした衣を纏って、食感の組み合わせも面白い一品でした。
○トマトのコンプレッション プラムオイル風味
スペシャリテの四角いトマト料理。ただキューブ状に仕立てたジュレかと思ったら大間違いでした。小さな立方体の中に、タルタル・ムース・ジュレの三種のトマト料理が層に詰められた、何とも緻密な作品でした。表面にはちゃんとトマトの皮が使用されています。トマトのヘタに見立てたのは、バジルのクッキーです。外見に驚嘆し、味わって感嘆する、重層的な驚きのある一品でした。
○オマールブルーのブロシェットと玉蜀黍のヴァリエーション
玉蜀黍の魅力を様々な角度から引き出したヴァリエーションに驚かされます。ポップコーンやアイスになったり、オマールブルーを包む生地や衣、ソースやムースになったり。香ばしく甘い玉蜀黍の七変化をオマールブルーが受け止める、多元的な楽しみのある一品でした。
〇焼き立てのバゲット 芥子の実を纏ったクロワッサン 大豆粉のパン
『クレッセント』なのに三日月形をしていないクロワッサンとは意外。しかし、さっくり、ふんわり、もっちり、と三種三様のパンはどれも絶品でした。
○甘鯛のナージュ 夏仕立て
鱗が丁寧に立てられた皮とふっくら仕上げられた身。それぞれ別に調理されたものです。オクラとズッキーニを浮かべた柑橘系のさっぱりとしたスープ仕立てですが、テーブルに到着した時点では、そのパリパリ感もふっくら感も最適に保たれていました。
○憩いの一口
口直しが省略されるお店も多い中、基本に忠実に。ひとつのお料理としても楽しめるような冷製スープでした。
○メインディッシュ 和牛のブルゴーニュ風 赤ワイン煮
メインの選択肢は想像以上に多く、6種から8種ほどあったでしょうか。殆どが牛でしたがどれも魅力的で迷いました。
和牛のほほ肉は、ほろほろでもとろとろでもなく、しかし、しっとり柔らかです。付け合わせのジロール茸、セップ茸、ささげ、人参のソテーは別皿での提供。特に肉厚のジロール茸の風味が驚くほどでした。なるほど、滋味深い赤ワインのソースと共に頂く前に、単体でも味わうべき濃厚な風味です。
○アヴァンデセール
旬のパイナップルやライムのムースなどがキャンドルのように並べられて。愛らしい造形に見入ってしまいました。
○白桃のメルバ ベルベンヌの香り
何とも彩り豊かなゆめかわクレッセント。白桃にマカロンとラズベリー、ソルベなど、アヴァンデセールに続き、夏らしく爽やかで甘さも程良いグランデセールでした。
○プティフールとコーヒー
山と積まれた焼き立てマドレーヌ。タルト・ヴォードワーズは磯谷料理長が修行されたスイスの名店「ジラルデ」の思い出の味である、練乳のタルト。チョコがけオレンジピールとほおずき。
お土産に頂いたのは、クレッセント・ハウスを模した小箱に入れられた三種のマカロン、その他焼き菓子など。
アヴァンデセールからグランデセール、ミニャルディーズまできっちりやり切って、その上お土産まで頂いて。しかもそれぞれが驚くほど種類豊富。どこまで手が込んでいるのでしょう。余韻の駄目押しかというほどの充実ぶりでした。
誠実に時を重ねて来たことが感じられる熟練のサービスに、王道ながら新鮮さも感じられるフランス料理。半世紀を超える歴史ある洋館でそれを味わえる奇跡。身体全体に染み渡るような悦びでした。
1年以内にまた伺いたいと思ってしまいました。ごちそうさまでした。