3回
2016/12 訪問
穴子と玉子を食べれば満足
2016年12月の訪問です。何度か訪れていますが、訳あって12月に訪問することが多い店です。大将は先代のお母さんが店に出てたときには遠慮がちに動いていましたが、今ではもうすっかり大将としての風格が出てきましたね。寿司の形はかなり適当です、まあそれは先代のお母さんも同じ。西国一の寿司と謳われた先々代も勤め人からの転身ですから綺麗な形の寿司を握っていたとは思えません。しかしそんなことが気にならなくなるのが最後に待ち構える、熱々ふかふかの穴子の一本握りとふわふわの玉子。どちらかというと他の寿司は食べなくても良いからこのふたつは味わって欲しいです。とにかくこの店のコースは量が多い。寿司が20カンくらい出ますから、舎利を小さめにお願いしてもお腹がパンパンになります。私が行ったときも女性客が途中でギブアップしていました。〆は胡瓜巻きです、皆さん最後まで頑張ってください。この度は、昼に寿司のコースとビールで9070円でした。毎年、少しずつ高くなっているような気がします。
2017/07/30 更新
2015/12 訪問
物語としての食事,代替わり
2015年12月の昼に伺いました.
今日カウンターの中に立つのは大将の長男さんのみ.
名物大将のお母さんは旅行中とのことです.
ここのところ徐々にお母さんの方は露出が減ってきており,
もう3代目に代替わりということなのでしょう.
名人と言われた初代のあとを継いだお母さんですが,
離婚していたため夫では無く自分で握るしかなかったようですね.
当時,女性が寿司を握るのは珍しかったと思いますが,
いろいろな事情があったのでしょう.
現在の魚正の玉子焼きはふわふわですが,初代の頃は
初代の妻が裏で焼いており現在よりも堅いものだったそうです.
寿司屋に生まれると毎日美味い物が食べられて羨ましいと
思いがちですが,子供にとっては肉が食卓に出ないという
難点があったようです.
週に一度の休みの日はすき焼きと決まっており楽しみだったそうです.
さて,長男さんの握りですがコースの構成は今までと同じです.
先付けのあとは握りが次から次に出てきます.
最後は胡瓜の1本巻きを手渡しでいただいてお腹いっぱいです.
コースにビール,穴子をお替わりして9070円でした.
以下は2015年8月の書き込みです.
久しぶりに家族で昼に伺いました.
店の前に道路を挟んでコインパーキングがあるので車で行くには便利です.
今回は初めて大将(女将)の息子さんに握って頂きました.
まず,突き出しが2品.まあこれはあまり印象に残っていません.
握りに移って,煮蛤,アジ,トロ,車海老,鮪のヅケなどがどんどんと
出てきます.ウニは愛媛のもの,アワビも近海ものでした.
握りかたは大将と同じくかなりおおざっぱなタイプ.
江戸前の端正な寿司とはだいぶ異なります.
地方には地方の寿司があると考えていただければと思います.
全体的にネタとしては,夏よりも冬の方が美味しいような気がしました.
その中で,穴子だけは夏のほうがうまい.脂ののりも最高で,寿司を
20カン食べて満腹でしたが最後にお替わりをお願いしました.
魚正の穴子と玉子はいつ食べても美味しいですね.
コースの終盤に大将(女将)さん登場.
〆の胡瓜巻きの一本巻きをつくって貰いました.
胡瓜巻きの一本巻きは,中がほぼ胡瓜で周囲のご飯は少なめです.
2015年12月にも伺いました.
そのため満腹感があっても食べられるようです.
西国一の寿司屋とも評された大将の父親は昭和61年に亡くなったのですが.
大将を長年支えてくれた母親はこの3月に亡くなられたそうです.
大将ももう70歳.寿司以外にもやりたいことがいろいろとあるようです.
徐々に代替わりをしていくのでしょうが,大将のキャラが強い店なので
長男さんもたいへんかもしれませんね.
以下は2014年12月の書き込みです.
久しぶりに家族で12月に訪問.お昼を食べに行きました.
電話での予約時に昼は寿司のコースで20カンですと言われたと思う.
先客は2名で,長男さんが握っていました.
大将(女性)は,元気でざっくばらんな感じも変わりません.
60代後半の年齢だと思いますが,正確なところは存じません.
60歳過ぎてから水泳を習い始めて,今では毎日500mをクロールで
泳ぐそうです.大将のお母さんは現在95歳.93歳までは大将と
一緒に海外旅行に行っていたそうなので,元気者の家系なのでしょう.
大将は,あと1−2年で辞めようかと思う,などとも言われてましたが,
まだまだ続けていきそうな感じがします.
さて,大将の握りですが,ざっくりというか割と適当というか
そのあたりの判断・評価は難しいところです.江戸前の寿司だと
端正で見た目も美しいものが多いですが,そういう物とは全く別物です.
例えば金沢の小松弥助のつかみ寿司のように,地方には地方の握り方があると
思っていただいたほうがよいでしょう.
個人的には,年寄りの職人の力の抜けきった握りは嫌いではありません.
さて,寿司ですが今回美味いと思ったのは鮪の漬け.お替わりしました.
赤貝のひもやおおぞう海老も面白い.たっぷりと空気をふくませた玉子や
一本握りの穴子は定番の美味さですね.
ネタは少しずつ変わっていっているそうで.先代が使っていなかった〆鯖を
現大将が使い始め,長男さんが煮蛤を始めたとのことです.
寿司の最後は胡瓜の一本巻きを手渡しでいただきます.
江戸前の寿司を食べ慣れている方から見ると,ここの握りに
かなり違和感を感じるところがあるかもしれません.
しかし,岡山県外から来られたらのなら観光に行くつもりで寄って
いただくのもよいかと思います.
以下は2013年2月の口コミです.
岡山では知られた老舗の鮨屋さんです.
先代の時代は,昭和47年から50年にかけて文藝春秋に連載された,丸谷才一の「食通知ったかぶり」に詳しく,
今の女将については,里見真三の「いい街すし紀行」(もう10年以上前の本ですが)などに出ています.
そのほか,雑誌の特集などでは,今でもときどき見かける店です.
ただ,その知名度のわりには,周りでは「ひさ田」のような高評価は受けていないように思われます.
まあ,食い物は食べてみないと判らないということで,昼に伺いました.
外観は,ご存じのように寿司屋というより料亭みたいな門構え.
中に入ると目につくのが,赤い付け台.これは,輪島塗だそうです.
カウンター内部の後ろは緑のタイル貼り.客席の盆は,烏城彫り.
しばらくすると,寿司を握る女将さんが出てきてネタ箱をひろげます.
ビールを飲みながらの突き出しは,アミの塩からとべらたのぬた,ままかりの焼き物.
寿司に入ってもらい,次々と握って貰う.寿司は,醤油で食べるものと塩で食べるものがあります.
近海の白身の魚が中心ですが,まあ,普通かなという感じ.
その感想が,少し変わってきたのは,海老の頭を入れた吸い物が出てきてくらいから.
穴子の一本握りは,食べる前に七輪で炙ってから出てくるので,口の中でも熱々です.
それを芽ネギでさっぱりさせたあとに,これも作りたてのふわふわの玉子焼きを頂き,〆は胡瓜巻きでした.
穴子と玉子が気に入って,お代わりをお願いしました.
お勘定は,飲み物がビール1本で,寿司に追加が二つで,9350円.まあ,昼だからこんなものかな.
実は,私は丸谷才一のファンでして,好きな作家の追体験というか,そういうことも含めて満足した一日でした.
味だけなら他にもいい店はたくさんあります.しかし,物語としても楽しめる店はそう多くはありません.
「魚正」の名前が気になっているかたには,岡山での思い出として悪くはないと思います.
長男さんの後ろ姿
胡瓜の1本巻きで〆
息子さんの握り(母が大将)
穴子のお替わりはマスト
コースの最後の玉子
コースの最後は胡瓜の一本巻き(女性の大将)
つきだし
長男さんも握っています(母が大将)
おおぞう海老
奥に穴子を焼く七輪
山葵の効いた吸い物
煮蛤,新ネタ
門と打ち水
開店前
ネタ箱
穴子の一本握り
2016/03/29 更新
昼間にひとりでふらっと訪問することが多かったのですが、今回は3名で夜に行きました。この朱塗りのL字型カウンターは何度見ても良いですね、独特の雰囲気があります。本日も中に立つのは大将ひとり。もう先代の姿を見ることも無くなりました。ここはとにかく寿司の数が半端なく多いので、最初に寿司は少なめでつまみを多くとお願いしました。私はビール、連れのふたりは酒を飲まないのでお茶です。先付けはアミ、続けて蟹、カツオ、〆鯖などが出ます。寿司を少なめとお願いしましたが、それでも多種出てきます。特に気に入ったのはサワラのタタキ、イカミミ、キスにヅケ。先代の時はヅケはあまり見なかったようにも思いますが、どうなんでしょう。お造りとして鯛、赤貝、サワラも出ます。途中でシイタケの焼いたのが出てくるのも面白いですね。寿司自体は昼のものと特に変わらないと思います。他の寿司は海老、赤貝のヒモ、タイラギ貝、ウニ、サンマ、イクラ、中トロ、イカ、ヒラメ、穴子、玉子などでした。デザートはたっぷり蜜を含んだ林檎。名物の穴子と玉子は先代のほうが好みだけど、大将もこれから自分のスタイルを確立されていくのでしょう。寿司自体は端正な感じは無く、驚くほど繊細な味があるわけでもありませんが、気軽に寿司を楽しめます。今回もお腹いっぱいになってしまいました。御馳走様でした。