3回
2017/09 訪問
賑やかです 埼大通りにあるウイグル料理の名店
私がこの店に行くようになったのは約10年前。
お店の存在はもっと以前から知っていましたが、仕事で初めてウイグル自治区のウルムチに行って、現地で「ラグマン」にハマってしまい帰国後すぐに訪れたのが最初でした。
ラグマンはもちろん、串焼きやミートパイなど、現地の味そのままの美味しい料理を提供するこの店が本物だという事はすぐにわかりました。
その後は年に2~3回のペースで行っていますが、最も印象深いのは、2009年の夏、また仕事で現地に行く事になり、その打ち合わせを兼ねてこの店で食事をしていたところ「ウルムチで暴動が起こり大変な事になっている」という第一報をまさにこの店で聞いたことでしょう。
いわゆる「ウイグル暴動」です。
この時は店のご主人もかなり動揺していたことを覚えています。
結局、出張は1年延び、翌年の6月にようやく実現しましたが、その時は現地はまるで何事もなかったかのように落ち着いていました。
ただ、この時は地方の街トルファンにも足を伸ばしたのですが、ここでは現地のウイグル人やタジク人などと漢人の関係がギクシャクしているようで、暴動がかなり尾を引いていると感じました。
実際、地方都市では今でも頻繁に小競り合いがあるようですね。
それはさておき、先日久しぶり(約1年ぶり)にお店にうかがいました。
このお店は、良くも悪くも、いつ行っても空いているという印象なのですが、その日はとても混んでいました。
いつもは暇そうにギャグを言いながらサービスしていた人も、それどころではないという感じです。
聞けば最近はずっとこういう状態なのだそうです。
やっとお店が正当に評価されているようで嬉しい気分になりましたが、一方では、いつもすぐに売り切れてしまう大好物の「ミートパイ」がまた食べられなくなるのでは・・・。
でも、名物の羊の串焼きやラグマンは相変わらずの美味しさ。
今年のウイグルワインもなかなかおいしいようで、いつものように楽しい食事ができました。
2018/02/26 更新
2011/05 訪問
ホンモノです 埼大通りにあるウイグル料理の名店
わかりやすい場所、気取らない雰囲気、陽気な接客、とても居心地の良いお店です。
ウイグル料理は、世界では結構メジャーな料理だと思いますが日本ではなかなか見当たらないですね。
そんな中でもこのお店はレベルの高い店だと思います。
ウイグルやコーカサスでは何故か口に合わない「ポロ(プラウ=ピラフ)」もここはおいしい。
麺料理の原点と言っても過言ではない「ラグメン(ラグマン)」はもうヤミツキ。
極めつけは「ミートパイ」。(いつも売り切れなのが残念!)
ウイグルワイン(リースリングかシャルドネ)もちょっとくどいけど料理と合わせればおいしいです。
唯一の欠点は炒めものがどれも似たような味であること。
本場の料理にこだわりつつも、少しだけ日本人向けのテイストを加えているのでしょう。
いつでもふと行きたくなる名店です。
2018/02/22 更新
私が海外出張から戻ってきた今日、久しぶりに夕食時に家族全員がそろった。
別に「おかえりなさい」を言うためではないのは知っている。
基本早い者勝ちの土産の争奪に参加するためなのだろう。
疲れ果てている私を尻目に「外食にしよう」と勝手に決められて連れていかれたのが、ここ「シルクロード・ムラト」さん。
実は今回この店に訪れたのは最近では5度目の正直だった。
昨年の11月、今年6月にウルムチ(ウイグル)出張が決まったこともありランチに来たのだが、「ランチは週末だけ」になっていたのをきっかけに、数日後の夜に来たときは「埼玉大学祭出店のため休業」、その2週後は「本日臨時休業」、その数日後には「当分の間休業します」との張り紙があり4連敗中だった。
一時期は週末の夜はとても混み合っていた店だが、頻繁な休業の影響か今日はとても空いている。
息子達は席に着くなり「シシカバブ」「グシナン」「ラグメン」などどんどん食べるものを決めてゆく。
飲み物は「トルコビール」と「ウイグルワイン(リースリング)」。
危うくドライバーにさせられるところだったが寸でのところで回避。
今日の料理は、上記3品(シシカバブはひとり2本)と「ラムラック」。
相変わらずとても美味しいものばかり。
「シシカバブ(羊の串焼き)」と「ラムラック」は柔らかな絶妙の焼き加減とクミンの効いた独特のスパイスがとても美味しい。
ビールと一緒なら何本でも食べられる。
「グシナン(ミートパイ)」は羊のひき肉と玉ねぎの甘さが感じられるウイグル風のパイ。
この店の目玉で、妻の一番のお気に入り。
いつ食べてもおいしい。
「ラグメン(ラグマン)」はウイグルや中央アジアのトルコ系民族が生んだ世界最初の麺料理。
西洋のパスタや、日本や中国のうどんやラーメンのルーツでもある。
この店の「ラグマン」は日本のうどんに似たもので、「守口漬」のようにたらいの器に円筒状に納められた太い麺は、オーダーが入るとさらに細く伸ばされ熱湯に投入される。
麺は中力粉より小麦粉が多く日本のうどんより硬めでコシがある。
でも、麺を伸ばす時に油を使うので表面はツルツルしてのど越しが良い。
味は、茹で上げ麺に「五目あんかけ焼きそば」のような柔らかめの餡がかかっている感じで、ほんのりとしたトマトベースにラム肉やジャガイモキクラゲなどが具に入っている。
ちなみに、現地でラグマンを食べると、ここと同じようなうどん風ものや卵を練りこんだ中華麺風のもの、荒めの小麦を使ったパスタ風のものなどいろいろな麺がある。
料理自体も、ここのようなあんかけ風や、ウズベキスタンでは汁そば風、北コーカサスでは焼そばのように提供される。(いずれもとても美味しい)
この店にも「焼うどん風」の料理がある。
いやあ、やはりここの料理はつくづく美味しいと思う。
しかも、これだけ食べてひとり飲み物込みで3,000円ほど。
この店に来ない理由はどこにもない。
思えば、この店に初めて来た時はウイグルに出張に行った直後で、この店の料理が現地と同じ本物であると知ったのはもう十数年前のことである。
この間、開店時からここで働いていたアリさんという女性が入院した時や、
2009年の「ウイグル暴動」の第一報をちょうどこの店にいるときに聞いた(前回ログ参照)時や、
そして、足の怪我(今回の休業の原因)から回復した直後の今回も、
偶然ながら、オーナーのエリさんの落ち込んだ姿をいろいろと目の当たりにしてきた。
でも、彼はその度に立ち直ってこの店を続けている。
今日は、オーナーの息子でありこの店名の由来でもあるムラトさんが厨房に立っていた。
こっそりと様子を見ていたが「まだまだだな」という師匠の声が聞こえてくるようだった。
ウイグル料理というのは世界的に見れば結構メジャーな料理だ。
だが、日本ではトルコ料理同様なかなか定着しない。
それでも、この店は開店から20年近くになる。
そんな中、昼の営業をやめ頻繁な臨時休業に遭遇して「このまま終わってしまうのだろうか」と心配したが、どうやらその必要はないようだ。
早く完治して、後継者も育成して、いつまでもこの地で我々を楽しませてほしいものですね。