この口コミは、グールマンさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら
利用規約に違反している口コミは、右のリンクから報告することができます。
問題のある口コミを報告する
-
夜の点数:5.0
-
¥20,000~¥29,999 / 1人
-
-
料理・味 5.0
-
|サービス 4.5
-
|雰囲気 5.0
-
|CP 4.0
-
|酒・ドリンク 3.5
-
-
[ 料理・味5.0
-
| サービス4.5
-
| 雰囲気5.0
-
| CP4.0
-
| 酒・ドリンク3.5 ]
王道と旬、そして伝統と創作の見事な調和
-
{"count_target":".js-result-ReviewImage-81585027 .js-count","target":".js-like-button-ReviewImage-81585027","content_type":"ReviewImage","content_id":81585027,"voted_flag":false,"count":7,"user_status":"","blocked":false}
2018/04/21 更新
昔、学生時代のバイト先のオーナーが「久兵衛」のお店の方と友人だった関係でよく連れてきてもらった。
普段はその友人の方がいたニューオータニの支店なのだが、何回か銀座の本店にも来たことがある。
そんな関係で、私は社会人になってからも分不相応と知りながらも時々顔を出していた。
ちなみに、当時ちょうど回転寿司が広まりだした頃で、同僚にもよく誘われたが、私はマジで回転寿司が食べられなかった。
私はいつも入店すると、白身の種類とその季節の旬の素材を確認してからお好みで注文するのだが、久兵衛(特に本店)はその仕入れの面白さと臨機応変な対応が素晴らしい。
鮪や白身、貝類などのネタは当然最高級。
煮蛤や穴子、小肌などの仕事は極めて丁寧。
その季節のおいしいものも久兵衛に来れば食べられる。
普通の寿司に飽きたら必ずおいしい創作寿司を作ってくれる。
最近は「おまかせ」がもてはやされている。
「すきやばし次郎」も三ツ星を獲る前に行ったことがある。
同行者の希望でそういうお店に行くことがさらに増えてきた。
でもいくら美味しくても私にはなじめない。
せっかく美味しいものに出会えても、次にはもう出てこない事もある。
中にはアークヒルズの「さいとう」のように「おまかせ」でもかなり臨機応変に対応してくれる店もあるが、「さわ田」などのようにいろいろ決め事があって会話をするのも憚られる様なお店もある。
別に悪いとは言わないが、私は好きなものを自分のペースで食べたいし、その日の体調や状況によって好きなだけ食べたい。
料理人のショーに付き合うつもりはない。
何をどのように食べるかは会話の中で自分が決めれば良い。
それが一貫一貫握って提供できる寿司の良さであり、だから気軽に立ち寄れる。
特にニューオータニの店(銀座もだけど)は、会合やパーティーの後に行くことも多く、少しだけつまみたい時や、会話に熱中してしまうこともある。
時間がない時は、ちらし(これがまた絶品)をパッと食べるだけの時もある。
ある日、私たちの隣に座った独り客の外国人が自分の鞄からキャビア(もちろん新品)を取り出し「これで寿司を作ってくれないか?」と言っていた。
板さんは何も言わずにそれを受け取り、一度裏に消えて程なく戻ってくると、キャビアをワサビのように使った白身(鰈?)の握りと、軍艦に少量のキャビアとうずら卵を乗せた寿司を出した。
その客は美味しそうにそれを食べると「残りは他のお客さんに出してあげて!」と言い残し帰って行った。
キャビアは塩気も癖も強く一度に多くは食べられないらしく、大量に残ったようだったのでご相伴に与った
久兵衛の名誉のために言うが、安全上の観点から板さんは他のお客さんには出さなかった。
我々の場合は強くお願いしたのでこっそりと出してくれたのだ。
(後日訊いたら残りは板さん達が食べたらしい)。
とにかくどちらも絶品だった。
久兵衛は実に臨機応変だ。
最近では、10月頭に本店にお邪魔した時、旬の寿司として「子いか」を勧められた。
これはスミイカの子供で、身がとても柔らかく舌と歯茎で切れてしまう。
とても気に入って同じものを何度も注文したが、イヤな顔一つせず握ってくれた。
聞けば「子いか」は1年のうち1週間程度しか漁がなく、市場でもせいぜい2週間程しか出回らないらしい。
その上とても足が速いので、その日仕入れたものはその日のうちに使わなくてはならないらしく、遅い時間に行った我々は、板さんに言わせれば「たくさん食べていただいてありがとうございます」ということらしい。
実に旨い一品だった。
私はまだ当分「久兵衛」に通うことになりそうだ。
ただその日のカウンターの客はほとんどが「おまかせコース」の客だった。
皆、会話もそこそこに写真撮影と食べることに集中しているようだった。
逆に、板さんと「あーだこーだ」しゃべっている我々が浮いているようだった。
これが時代のトレンドなのだろうか?