グルメさむらいさんが投稿したレストランRyu(三重/斎宮)の口コミ詳細

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レストランRyu漕代、斎宮/フレンチ

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  • 昼の点数:-

    • ¥3,000~¥3,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2015/11 訪問

  • 昼の点数:-

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥3,000~¥3,999
    / 1人

フレンチの技法と茶の湯のおもてなしの精神が結びついた創作料理が感動を生み出すお店

 2015年11月2日(月)のランチで訪問

 2015年11月1日、2日の日程で賢島旅行に出かけた。前日に賢島の「プロヴァンス」に宿泊し、2日目のこの日、「レストラン リュウ」を訪問した。「10月~11月限定 9周年記念ランチ」3,024円、グラスワイン(白)540円、洋梨スパークリング540円(いずれも税込)を注文した。
 
 食事の前にシェフがおしぼりにローリエのハーブティーを注いだ。花火の蛇玉のように、おしぼりがモコモコと湯気を上げながら膨らんだ。ハーブの爽やかな香りが広がった。「レストラン リュウ」は、単に料理を出すだけのお店ではなく、シェフによるショーやエンターテインメントを展開する劇場のような空間なのかもしれないという期待を持った。
 ドリンクを飲みながら待っていると、抹茶茶碗に入った緑色のポタージュが供された。このお店では、料理をすべての客のテーブルに運び終えた後、シェフ自らが料理の説明をするようだ。なるほど、この方式なら、提供する料理について一番理解している者による説明を効率的にすることができるため、その分だけ料理に専念することができるだろう。
 ポタージュは、客によって異なる抹茶茶碗に入れられていた。それぞれの客のイメージによって選んでいるのだろうか。ポタージュは、安納芋、ほうれん草から作られたもので、鮮やかなエメラルド色だった。抹茶のように両手で器を持って飲むスタイルは斬新だった。こうすることで、触覚を使って料理を感じることができるだろう。貫入(陶器が焼かれた後に冷えていく過程で、陶器本体の素地と釉薬の 収縮度の違いにより釉薬がひびのような状態になって固まる現象)のときに発するピンピンという金属音をBGMで流すという演出は新鮮で、視覚だけでなく聴覚も楽しませようとするものだった。
 前菜は、晩夏から初冬までの季節野菜を八寸仕立てにして紅葉皿に載せたもの。右上から反時計回りに季節を進めるもので、南高梅のジュレ、赤ピーマンのパテ、冬瓜、しまかぼちゃ、八頭、黒豆の枝豆、茶豆、紫芋、銀杏、むかご、はやとうり、次郎柿、生落花生、大根が配置されていた。紅葉皿の中央には、まいたけのパテ、ハモンセラーノなどの肉類が据えられていた。
 前菜の野菜料理の特徴は、上質なものを使っているだけでなく、調理によって形容しがたい味付けをされていることだ。銀杏と生落花生は、これまで食べたことのない高貴な味で、栽培方法から一般的なものとは異なるだろう。冬瓜、しまかぼちゃ、はやとうりは、和風の味と思われるが、何らかの方法で美味しさをしっかりと湛えており、手が加えられていることを感じられるものだった。次郎柿は焼かれたことでキャラメリゼされたような状態となり、甘みが凝縮されていた。柿を焼くという調理法は思いもよらない発想だった。
 リゾットは、松阪ぶな、コガネダケ、錦爽どりを使ったもの。黄金色をしていたが、コガネダケから生み出された色なのだろうか。この料理も和を感じさせる器を使っていた。
 メイン料理は、松阪”極み”豚のプレート。グリル、こめかみの煮込み、クネルの3種類の調理法によるものと、からし菜、玉ねぎなどの付け合わせにマスタードソース。クネルとは、小麦粉、卵黄をバターなどの油脂と練り合わせた生地とすりつぶした肉を混ぜて団子状にしたもののことらしい。3種類の調理法のうち、一番ストレートに松阪”極み”豚の旨みを伝えてきたのはグリルだった。香りが素晴らしくジュワっと旨みが染み出してきた。
 パンは最初何を供されたのか分からず、石かなにかを置かれたのかと思った。このパンはあおさを練り込まれたもので、鮮烈なあおさの風味、磯の香りを感じるものだった。
 最後はムジカティーデザートで締めくくられた。ムジカティーは、シェフ自らが創作したティーポット、ティーストレーナーなどで楽しむものだった。実際に目の前にいる人が作ったものであることがわかっていると温かみを感じられるものだ。そして、茶器を通じてシェフの人柄を推し量ることができるだろう。
 デザートは、スポンジの上に栗のアイスを乗せて琉球かぼちゃクリームをかけたもの。栗と琉球かぼちゃを使って秋を表現したものだった。

 どの料理も最善の食材を集めて手間を惜しまずに作られた料理で、秋だけではなく、季節の移り変わりまで表現されたもので素晴らしい料理だと思った。その料理は、味覚、視覚、嗅覚だけでなく触覚、聴覚にまで訴えかけるものだった。食器はシェフ自らが創作したものも使われ、客のイメージに合わせて器を選ぶところは、茶の湯の精神世界に通じるものがあるだろう。シェフはもともとフレンチの料理人だが、その垣根に囚われることなく、とにかく美味しい料理を食べてもらいたいと考えているはずだ。客の立場からも、美味しければジャンルなどそれほど意味があるものではないと思われる。
 これだけの料理ならば、都会に出店すればもっと料金を取れるはずだが、シェフは地元で最善の料理をできる限りお値打ちに提供しようとしているのだと思う。そのために、完全予約制にして開始時間を一律にし、料理説明を一斉に行い、従業員を雇わないことでコストを削減する工夫をしているのだろう。料理の完成度を高めるために、従業員に任せるようなことはせず、自分の目の届く範囲で行おうと考えているのかもしれない。一歩間違えると、食材自慢、料理自慢に陥りがちだが、シェフが生み出す料理からは客に満足してもらいたい、美味しい料理はお値打ちに提供したいという想いがひしひしと伝わってくるものだった。2015年は残り2ヶ月だが、いろんな意味で、年間を通じて「レストラン リュウ」を超えるお店には出会えないだろうと思った。

  • おしぼり(ハーブティをかけたもの)

  • 右)グラスワイン(白)シャルドネ、チリ産 左)洋梨スパークリング

  • ポタージュ(ほうれん草、安納芋)

  • 前菜(晩夏から初冬までの季節野菜の八寸仕立てを紅葉皿に載せて)

  • 前菜のアップ

  • ハモンセラーノ(大腿骨開放骨折状態のもの)

  • リゾット(松阪ぶな、コガネダケ)

  • リゾットのアップ

  • 松阪”極み”豚のプレート(右から クネル、こめかみの煮込み、グリル)

  • 右)こめかみの煮込み 左)グリル

  • 右)クネル      左)こめかみの煮込み

  • パン(あおさを練り込んだもの)

  • ムジカティー

  • デザート(栗のアイスに琉球かぼちゃクリームをかけたもの)

  • デザートのアップ

  • ティーポット

  • Ryuのこだわり

  • 外観

  • 伊勢神宮(外宮)

  • 大樹の杜

  • 大樹の杜

2017/06/12 更新

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