5回
2025/12 訪問
香箱サイコー
年末の楽しみは、乙女寿司に始まる
年末旅行の楽しみのひとつ。いや、もはや最大の目的と言っていいのが、乙女寿司さんに伺うことだ。この一席のためにスケジュールを調整し、旅程を組む。それが当たり前になっている。
この時期の主役は、やはり香箱ガニ。内子、外子、そして蟹身を一緒に頬張ると、それぞれの食感と旨みが重なり合い、北陸の冬を実感する。今年もやはり期待を裏切らない美味しさだった。
一方で、同じく楽しみにしていたブリは、今年は水揚げがほとんどないとのこと。お隣の常連さんが大将とそんな話をされていて、ブリの焼き物は今回は断念。年明けの来月には状況が好転していることを願いたい。
どれも美味しいのは言うまでもないが、毎回特に記憶に残るのが白身だ。おつまみでいただくヒラメ、あらは、旨み・香り・食感の三拍子が揃った逸品。もちろん、ノドグロは炙った皮目から滲み出る脂がたまらない。さらに赤いか、バイ貝も素晴らしい……と振り返ってみると、見事に白いものばかりだと気づいて思わず笑ってしまう。
握りは小ぶりで、やや甘みのある醤油と、酢を控えめにしたシャリとのバランスが実に秀逸。主張しすぎず、それでいて記憶に残る完成度の高さは、何度訪れても感心させられる。
そして最後は、やはり「うなきゅう」。これを食べずに乙女寿司を終えることはできない。年末の締めに、これ以上ふさわしい一品はない。
また来月、このカウンターに座れる日を楽しみにしている。
おつまみ
ヒラメ
赤いか
白子のすり流し
ブリ、バイ貝
迷いカツオ
きじえびの麹漬け、かぶらずし
香箱
あんこう
フグの白子焼き
キンキの幽庵焼き
にぎり
甘エビ
あら
トロ
鯖の押し寿司
ズワイガニ
ノドグロ
鯵
鉄火巻き
うにの軍艦巻き
穴子
うなきゅうの手巻き
お椀
うちの子
海苔
マグロ✖️6
鉄火巻き✖️1
飲み物
冷酒4合、コーラ、ジンジャーエール、ビール1本
お代
61,930円
2025/12/28 更新
2025/08 訪問
記憶と味が重なる場所
2か月ぶりの訪問。前日からそわそわし、当日は食事の量を控えめにして臨む。それが、私にとって乙女寿司のある日の「儀式」だ。
今日はいつもの接客を仕切る女性の姿が見えない。少し寂しく感じながらも、店に流れる空気はやはり心地よい。
この店でシャンディガフが飲めるようになったのは、かれこれ10年以上も前。初めて妻と訪れたとき、「お飲み物は何にしますか?」と尋ねられ、「シャンディガフをください」と答えたのがきっかけだった。大将が「それは何ですか?」と首を傾げ、妻が「ビールとジンジャエールを混ぜるんです」と伝えると、少し驚いたような顔をされたのを、今でも鮮明に覚えている。それ以来、私たちが伺うと、シャンディガフが当然のように用意される。今日も、新しく入った女子大生が、その作り方を大将から教わっていた。
一品目は赤いか。細くそうめんのように切られ、胡麻が振られている。北陸ならではの食べ方で、見た目も美しく、口に入れるとその優しさと旨みが広がる。続く握りも、どれも丁寧な仕事がされていて、ひとつひとつに季節と手間を感じる。
そして、私の乙女寿司におけるルーティンは、最後の「うなきゅう」の手巻き。西の寿司屋ではうなぎを出すのは珍しいことではないが、注文後、炭で再び香ばしく焼き上げられる。熱々のうなぎ、冷たいきゅうり、ほんのり温かいシャリ、パリッとした海苔。その食感と温度のコントラストは、何度食べても感動する。
味も、記憶も、人とのつながりもすべてが重なる、そんな特別な寿司屋が乙女寿司である。
おつまみ
赤イカ
ヒラメ
中トロ、背トロ、ボタンエビ
うに
塩ウニ
ウナギの白焼
アワビのキモ焼き
キンキの幽庵焼
生牡蠣
にぎり
甘エビ
あら
キス
新子
うなきゅう
トロ
鯵
赤身
ひらめ
うに
穴子
のどぐろ炙り
お椀
うちの子
海苔
マグロ✖️8
鉄火巻き
飲み物
冷酒4合、オレンジジュース、ジンジャーエール、ビール
お代 66,110円
2025/08/06 更新
2025/06 訪問
まさに人生最高のレストランのひとつ
乙女寿司さんには、毎年3〜4回伺っています。年末に翌年分の予約を入れ、それに合わせて金沢への予定を組むのが、もはや私の恒例行事です。それほどまでに、この店でのひとときは、かけがえのないものです。
金沢の寿司は、江戸前寿司とは一線を画します。江戸前の寿司が仕込みや仕事でネタを引き立てるのに対し、北陸の寿司は、地のものの力をそのままに、素材の旨さと四季の繊細な移ろいを尊重する文化。その真髄を、乙女寿司さんで体験できます。そしてこの店が特別なのは、料理だけではありません。店の空気感、距離感、そして、たまたま隣り合ったお客さんたちの会話までが心地よいのです。皆さんそれぞれに、このお店への深い愛情と敬意を持っていて、隣の会話を聞いていると心の中でそうそう、そうだよねって自然と共感してしまいます。ここに集う人たちが、皆この寿司を心から大切にしているのが伝わってくるのです。
乙女寿司さんは、ただ美味しいだけでなく、“通いたくなる理由”がすべて詰まった、まさに人生最高のレストランのひとつです。
おつまみ
あさりの茶碗蒸し
ヒラメ
赤イカ
バイガイ、ガスエビ
うに
マグロのカマの炙り
毛蟹、金時草
アワビのキモ焼き
キンキの幽庵焼
牡蠣
もずくのお椀
にぎり
甘エビ
あら
キスの木の芽握り
小鯛の昆布じめ
トロ
うなきゅう(巻物)
トリガイ
鯵
穴子
うに
ノドグロ
ネギトロ(巻物)
倅
あさりの茶碗蒸し
海苔
赤身✖️7
鉄火巻き✖️2
飲み物
冷酒4合、オレンジジュース、ジンジャーエール、ビール1本
お代
60,060円
2025/06/16 更新
2011/10 訪問
2013/07/17 更新
今年初の訪問。ここに来るためだけに旅行をする価値がある、そう断言できる寿司屋だ。
周りのお客さんは皆、常連のように見える。ただ、あまりにも予約が取りづらいため、何度も顔を合わせることはほとんどない。それでも皆、この場所の空気や流れをよく理解していて、静かに、そして心から寿司を楽しんでいる。
カウンター越しに聞こえてくるのは、決まって「美味しい」という言葉。私はあまり感情表現が得意ではないが、その一言一言を聞くたびに、心の中で「そうだよね、そうだよね、美味しいよね」と頷いている自分がいる。他人のリアクションなのに、なぜか自分のことのように嬉しくなる。乙女寿司は、そんな気持ちにさせてくれる大好きな寿司屋だ。
年末の訪問では、ブリが少なく、楽しみにしていた焼き物を食べられなかったが、今回はついにありました。これが本当に美味しい。焼き加減、脂の乗り、香ばしさ、どれを取っても申し分ない。
結局のところ、何から何まで全てが美味しい。唯一の欠点を挙げるとすれば、予約があまりにも取りにくいことくらいだろう。