前々回)
冬のこの時期,良質の猪である熊本産の野生猪を目当てにpoesia (ポエシア)さんに伺います。
4ヶ月ぶりの更新アップになります。
・ウフ・ブルイエ トリュフ風味
東京のフレンチのアミューズでよく見かけるものです。
通常は卵の殻の上部をカッターで水平に切り,全卵・卵黄・生クリーム・牛乳を混ぜ合わせ,
フォン・ド・ヴォライユ(鶏ガラと野菜のダシ)とジュ・ド・トリュフを入れるのですが,
これは想像したのと大きく違っており,
ウニと和だしに酢と醤油を合わせたジュレを合わせて,エスブーマを使っています。
これがまったりした卵の後味を引き締めています。
そして,トリュフの味と岩塩のインパクトを感じます。
アミューズグールから美味しく,気合いが入っていますね。
・三重産炙り〆鯖のカルパッチョ 宮城産フルーツトマトのグラニテを合わせて
イクラ,ディル,セルフィーユ,ベビーリーフをあしらっています。
鯖は直前に炙っているのですが,熱くはないですが冷たく冷えた状態でもなく,
絶妙な温度感という感じでしょうか。
炙り〆鯖のカルパッチョの下には,ヴィネガーで味付けしたクスクス。
炙り〆鯖にフルーツトマトのグラニテを合わせて食べることには
びっくりしましたが,トマトの酸味とのマッチングがとてもいいと思います。
・天然鳴門鯛のポワレとリゾット コンソメとわさびバターを添えて
天然鳴門鯛のポワレの下にはリゾットを敷き詰めています。
丁寧に作ったコンソメを自分で流し込み,天然鳴門鯛のパリッとした皮に相性抜群,
リゾットはスープリゾットに,添えている穂紫蘇もきれいです。
このコンソメがよくできており,とても秀逸です。
さらにはわさびバターを投入すると,わさびの香りが広がり,スープも変化していきます。
わさびバターorスダチ,どちらかを入れてくださいとのことでしたが,
その後にスダチもいれると,柑橘系の香りで爽やかに感じます。
この変化がたまらなく素敵で和の感覚も感じますね。
これはここのスペシャリテになることでしょう。
・根室産毛蟹のバベッティーニ
私はタラバガニより,繊細さがある活ズワイガニや毛蟹が好きですので,
その日の仕入れにもよるのですが,ラッキーだったと思います。
さて,バベッティーニは平打ちの細麺です。
ソースは毛蟹と蟹味噌,殻で炒めたものを煮詰めて作られたソースで,
毛蟹の殻には毛ガニの身をオリーブオイル,玉ねぎ,ケッパーで和えたものです。
パスタは茹で上げかたもよく,コシがあって,この噛み応えがクセになりそうな楽しさで,
添えている蕾菜と,この細麺によくソースが絡んでいました。
パスタ一つからでも,よくよく考えているなぁと脱帽します。
パスタ好きなかた,これはウマいですよ~!
・熊本産野生猪ロースト モリュ茸とマルサラ・マディラワインソース ニンニクとユリ根のピューレ添え
昔から九州では,宮崎県,大分県,熊本県の一部が良質の猪がよく獲れる所です。
この熊本産野生猪のローストですが,再上質の豚肉というか,
いやイベリコ豚のような甘さとしなやかさがあります。
豚肉より味は濃厚で,旨みのある脂が特徴です。
ノビル,黒キャベツの塩味が効いたしっかりしたシャキシャキ感。
モリュ茸とマルサラ・マディラワインソースはクラシカルなソースで,
熊本産野生猪とニンニクとユリ根のピューレとの相性がとてもいいと感じました。
やはり猪や鹿のジビエなどは,狩猟したあとの処理の仕方が味を決めてしまうことと,
野生猪ゆえ,山の植物や木の実などを食べているからだと思います。
猪は美味しいといっても,意外とそれなりの個性があるのですが,
これは無いので,猪を食べたことのないかたに初挑戦していただきたいですね。
・苺のヴァシュラン
ヴァシュランはメレンゲ,生クリーム,バニラアイスクリームで
メレンゲでアイスをサンドしたフランスの昔からあるデゼールです。
ここのはカダイフにのせています。
雪や冬を感じるデゼールですが,これを見ると春が来たんだな~と感じます。
来店するたびの料理の進歩・レベルアップには驚嘆します。
木津さんの料理との出会いは,最初は2年前の
アイソレイト・ガーデン・フレームでしたが,
当時と比較すると,よくもここまで変化して進歩するのかと思います。
今回感じたのは,フレンチをベースに,和的な感性が表現されてきたのと,
塩や酸味のインパクト感をだしています。
客層も女性客主体ですが,徐々に食べ慣れた年輩男性客も増えてきたように感じました。
パスタもありますが,イタリアンというよりもフレンチのイノヴェーティブな料理を感じます。
シェフは徳島内にとどまらず,全国のフレンチやイタリアンにも目が向いているようです。
徳島から全国に発信できるレストランになりうるかもしれません。