十数年ぶりに海に行ってみた。
潮風にあたり、ただひたすらにひとり浜辺を歩き佇んだ。
包み込まれるようなエメラルドグリーンの海に心奪われた。
ただただその美しさを眺めていたかった…。
浜辺に打ち付ける波をひと波ごとに人生に置き換えてぼーっと眺めてみる。
果てしない海に身を委ねて何も考えずにただ浮かんでいたいな…。
日差しはいつしか眩さを失い、風も冷たく感じるようになってきた。
しかし、ここはあのころと変わらない。
もしかすると変わっているのかもしれないが、気付かせない美しさを保っている。
波は私の足跡を何も無かったかのごとく洗い流していく…。
大きなことが小さく感じ、小さなことが重荷に感じたのは何故?
あの時どうして早く気付けなかったのか…。
そんな思いがふと頭を交錯する。
社会人始まりの地、第二の故郷唐津も街並みは大分変わったようである。
変わらないのは私の幼さか…。
誰しも過去があり、今があり、未来がある。
刹那の輝きを感じ、眩い太陽を見るために、人は今日も生きていくのか…。