この口コミは、まきまきなのねさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。
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夜の点数:5.0
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¥5,000~¥5,999 / 1人
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料理・味 5.0
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|サービス 5.0
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|雰囲気 5.0
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貴方は何を望むのか
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グレンフィディック21年
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入口
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洗練です
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2012/04/01 更新
佐賀市の中心部、白山アーケードの路地を入ると居酒屋、焼鳥屋などが並んでいるレンガ敷きの異質な空間があります。小さな社の先に緑色の淡い光に浮かび上がる白い「BAR」の文字。細い入口を目指していくと、正面には金属のプレートに浮かぶYAMAZAKIの文字が格好いい。
木製のドアを開けて一歩足を踏み入れると、薄暗い中にも暖色系の温かい光と空間が広がります。カウンターの奥に数々のお酒たちがこれからのひと時を幸せに過ごせるようにと、待ってくれています。綺麗に整頓された洋酒の数は圧巻の一言。日常の喧騒を忘れさせてくれる、そんな心から寛げる落ち着いた別世界が広がりますよ。
もともとバーボンがかなりお好きで買いそろえておられたそうですが、モルトウイスキーを徐々に増やし、今ではウイスキーだけで400~500種類もの品揃え。当然のごとく終売品も多く、きっととんでもない一品も潜んでいるにちがいありません。いえ、潜んでいるのであります!
マスター山崎さんは、今でこそ、NBA(日本バーテンダー協会)の表舞台からは一線を引いておられるようですが、日本のウイスキー界においては知らない方は居ないほどの大御所と言っても過言ではない存在であり、佐賀が誇る人財だと思います。(たぶんサントリーの山崎蒸留所とは関係ないはず…)
ところで、NBAでは技術力向上など様々な目的で大会を開催されますが、シェイカーの振りやステア等の技術は現場とは程遠い採点箇所も多数あります。勿論、全国バーテンダー技能競技大会に出場される方々は技術的に素晴らしいものをお持ちだと思いますし、こちらで修業されたLa Chica SHERRY DININGの吉川氏は全国の常連になる程の方に育ってあります。
全てのことに意味がある。例えば、おしぼりの出し方ひとつにしても色んな意味があり、どうすればお客様にとって最適で満足していただけるかを考えて行動する。お酒の語り部であったり、お客様のご相談相手であったり、私達には様々な場面で常にお客様に良かったと思っていただくのが嬉しいですから…。
よくぞ仰って下さいました!もう、私はこのマスターの一言でメロメロ、アンパンマンでいうとメロメロメロンパ~ンチを受けた気分でありますよ…。仕事でもプライベートでも同じですね。相手のことを思い遣り、人のために自分は何をすべきか模索する。想いは同じ。非常に共感しますね♪
徹底した現場主義が信条のマスターは、いかにお客様に満足していただくかを追求し、きめ細やかな配慮が素晴らしいのは勿論、その知識量、トーク、場を読む力、空間のつくり方、等々。カウンター越しに垣間見る様々な立ち居振る舞いに、これぞ佐賀が全国に誇る真のBARの姿だと思うのであります。先述したように後進の指導力も素晴らしいですね。
さて、この日は週末。流石に週末ともなると知る人ぞ知るバーですから、大勢のお客様がお越しになりますね。職場でも本当に気心知れた仲間との定例会の後に伺いました。一次会でかなり飲んでいたので、取り合えずの一杯からスタート。
マスターは、シェイカーの中に入れたお酒たちを「お前たち、最高の状態でお客様の前に出してあげるからね」と念じているような慈しみの精神が感じ取れる、愛情たっぷりに包み込むようにゆっくりと、しかし、この提供温度が出せるのはひとえに技術の集結というにはあまりにも単純すぎるのであります…。
〇ギムレット
レイモンド・チャンドラー作「長いお別れ」の中で、私立探偵の主人公フィリップマーロウに対してゲストが
「ギムレットには早すぎる」と言ったことが有名なジンベースのショートカクテルです。
ジンとコーディアルライム(甘味のあるライムジュース)がスタンダードですが、このすっきりした味わいと
色合い、香りの良さから、恐らくフレッシュライムを使用されているはず。作り手によりレシピは異なるので、
カクテルは面白いですね。当然美味しいに決まっています。
私は他のお客様がおられたら、自分のことは後回しでいいですと言うことが多いです。週末でお客様が多かったこともあり、様々なラベルを眺めながらボーっと一人の空間を愉しみます。待っている間に品揃えを眺めたり、バーテンダーの動きを見るのが楽しいのであります。
そんな中で、いつも見るGlenfiddich12年の横に、見るからに高そうな素敵なデザインのボトルを発見。(ちなみに、グレンフィディックといえば、世界で初めてシングルモルトウイスキーを発売した蒸留所でありますよ。こいつで作ってもらうハイボールはちょっと一味違いますね。ハイボール好きな方はお試しあれ)
ガラス製のボトルの中にあって、薄いマットブルーの陶器のボトル。ラベルをよく見るとGlenfiddich21年。12じゃなくて21?初めて見ました。絶対、普通は出して戴けないと思いますが、無理を承知でお願いしてみます。「…と、一杯5000円ですが大丈夫ですか?」ということで。こんな日は思いを巡らせながら、ゆっくり味わうのも良いでしょう。
〇Glenfiddich21年ウエッジウッド製陶器ボトル(43度)
イギリスの老舗ウェッジウッド製の陶器ボトルに入ったグレンフィディックで、90年代当時は100,000円
だったそうです。グラスに顔を近づけると、目を閉じてずっと薫りを愉しんでいたいほど芳醇な香り。口に
含むと飲みやすく爽やかでフルーティーなグレンフィディックの良さはそのままに、しかし、12年では味わ
えない様々な変化が訪れます。グラスの中でも口の中でも素晴らしい広がりと変化をもたらすこの液体を
味わえる幸せに酔いしれながら、想いは別世界へと旅立つのであります。
きびきび丁寧。この日はあまりマスターとお話はできませんでしたが、グラスを拭く手つきやさり気無い仕草にも職人を感じます。だからといって偉そうなところは無く、あくまでお酒を愉しんでいただくためにどうすれば良いかを常に追求した結果、気さくで楽しい空間を演出し、落ち着いた空間を作り出す、本物のバーテンダーなのであります。
関東には飲み手のレベルが違う方々が沢山いらしゃるでしょうし、全項目評価5.0については異論を唱えられると思います。が、ボトルに対して非常に良心的な価格設定であることや、それ以上の満足できる空間を堪能するための弛まぬ努力を続けておられるということ、佐賀で落ち着いて本格的なお酒を愉しめるということなど総合的に考えても私にとっては大切なお店なのであります。
皆さんも是非、マスターの想いのこもったグラスを受け取ってください。マスターの慈愛を受けて大切に保管されてきた数々のお酒たちとともに優しさ溢れる一人のバーテンダーが、私たちの過去を偲ばせ、未来への想いを紡いでくれる。そんなお店です。敷居が高いとは、よく言われるようですが、決してそのようなことはありません。(ただし、騒ぐのはナンセンスですよ)
ところで、人は何のために酒を飲むのでしょうか…。嫌なことを忘れるため?飲んで楽しい気持ちになるため?仲間と同じ時を過ごすため?様々なシチュエーションがあるのでしょうけれども、私は時々自分の時間を止めるためにBARに行くのです。勿論、一人の場合もあるし、良いものを共有したいと思える仲間と一緒の場合もあります。
別世界で自分を見詰め直し、グラスを介在して現実と理想のはざまを埋める。バーテンダーの方々の洗練された動きやトークに、適度なアドバイスを見出し、自分も格好よく生きたいな…と思うのであります。
春は出会いと別れの季節…。思い起こせば、私がこの食べログ活動を行うきっかけとなったのは、とある友人の紹介で行ったBARで知り合った一人の男の心意気に触れたからであります。その後は、佐賀の夜の顔を紹介することで、少しでも街に繰り出す方々のお役に立てれば…という想いからでありました。
食べログ生活を続けるうちに全国のレビュアーさん達との交流も広がり、レストランレビュー100件目は全国に誇れるBARをご紹介することで一つの区切りにしようと思っていましたが…。すべてのことに意味がある。一期一会の皆様、ご支援くださるレビュアーの皆様とのご縁も大切にしていきます。まだ辞める訳にはいきませんね。大したことは書けませんが、これからもよろしくお願いいたします。