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1回
夜の点数:3.5
昼の点数:-
2015/07 訪問
雨音はショパンの調べ
2015/7温い雨がしのしのと降っている久しぶりの鍵屋先客はカウンターにひとり並んでふたり座ったそこから鍵屋だけの時間がはじまる燗つけ器の前でふるふる崩れるような煮奴ほろほろ解きほぐされるこころきざまれた葱をとりわけながらお通しのしょうゆ豆をひとつぶずつつまめば私たちの小さな日々の積み重ねのようにまるくまるくつながっていく思いのようにもう一本つけてもらいましょうかあたたかな雨のようにやさしいお燗を::::::::::::::::::2014/5白いお銚子はどこかなまめかしい いつかどこかで飲んだとき あなたが白いお銚子をついっとあけたあと テーブルにそっと倒したしぐさを思い出す なぜだかどきん、としたことをふたりがゆきつくところをはるか遠くにみた気がしてセピアいろに時が流れた何もかわらぬふたり この店の空気もきっとかわらない 煮豆腐のやさしい味 ふっくら焼き上がった串 れんげの底にしのんだ花びら …ひらひら散ってしまわぬうちに:::::::::::::::::::::::::::::2013/5ひとりでどんなところでも平気だけれど、ここだけはあなたと一緒でなければ行かれなかった。女人のみは禁制のお店だからだ。鶯谷の駅前はキラキラのホテルが立ち並んでいる。あなたはちゃんと前だけを見つめていて、私はそんなあなたをこのましいとおもう。鍵屋の店につづく路地には猫がいた。思わず手をのばしてみるが、猫はキラリとした目で私を見つめかえしただけだ。鍵屋の店内には古いふるい時間がそのまま漂っている。カウンターに座って、ぬる燗をお願いする。あてにはたたみいわし、田楽、やきとり、煮奴を。酒飲みのあてである。燗の付け具合はほどよく、独特のひょろりと長いお銚子が美しい。田楽の味噌はこってりと甘辛くてお酒がすすんだ。カウンターにも壁にも天井にも、すみずみに染み付いた時間が私たちを包んでいた。このまま、ここでいつまでも飲んでいたい。現実には帰りたくない。ずっと・・・店主は意外にも気さくな方で、一緒に3人でポーズをとって写真にうつってくださった。たった一枚、携帯の中にあなたと私が一緒に写っている写真。時々、私はその写真を眺めてみる。あなたと店主と私が、にこにこと笑っている写真・・・あの夜、店を出てあなたはやはりまっすぐに歩いた。私は駅まで、はぐれ猫を探していた。猫にはもう会うこともなく、そしてふたりはネオンに惑うことも、はぐれることもなく駅に着いたのだった。
2015/07/14 更新
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一人で入りやすい
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禁煙 分煙を含む
喫煙可
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日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
2015/7
温い雨がしのしのと降っている
久しぶりの鍵屋
先客はカウンターにひとり
並んでふたり座った
そこから鍵屋だけの時間がはじまる
燗つけ器の前で
ふるふる崩れるような煮奴
ほろほろ解きほぐされるこころ
きざまれた葱をとりわけながら
お通しのしょうゆ豆をひとつぶずつつまめば
私たちの小さな日々の積み重ねのように
まるくまるくつながっていく思いのように
もう一本
つけてもらいましょうか
あたたかな雨のようにやさしいお燗を
::::::::::::::::::
2014/5
白いお銚子は
どこかなまめかしい
いつかどこかで飲んだとき
あなたが白いお銚子をついっとあけたあと
テーブルにそっと倒したしぐさを思い出す
なぜだかどきん、としたことを
ふたりがゆきつくところを
はるか遠くに
みた気がして
セピアいろに時が流れた
何もかわらぬふたり
この店の空気もきっとかわらない
煮豆腐のやさしい味
ふっくら焼き上がった串
れんげの底にしのんだ花びら
…ひらひら散ってしまわぬうちに
:::::::::::::::::::::::::::::
2013/5
ひとりでどんなところでも平気だけれど、
ここだけはあなたと一緒でなければ行かれなかった。
女人のみは禁制のお店だからだ。
鶯谷の駅前はキラキラのホテルが立ち並んでいる。
あなたはちゃんと前だけを見つめていて、
私はそんなあなたをこのましいとおもう。
鍵屋の店につづく路地には猫がいた。
思わず手をのばしてみるが、
猫はキラリとした目で私を見つめかえしただけだ。
鍵屋の店内には
古いふるい時間がそのまま漂っている。
カウンターに座って、ぬる燗をお願いする。
あてにはたたみいわし、田楽、やきとり、煮奴を。
酒飲みのあてである。
燗の付け具合はほどよく、独特のひょろりと長いお銚子が美しい。
田楽の味噌はこってりと甘辛くてお酒がすすんだ。
カウンターにも壁にも天井にも、
すみずみに染み付いた時間が私たちを包んでいた。
このまま、ここでいつまでも飲んでいたい。
現実には帰りたくない。
ずっと・・・
店主は意外にも気さくな方で、一緒に3人でポーズをとって写真にうつってくださった。
たった一枚、
携帯の中にあなたと私が一緒に写っている写真。
時々、私はその写真を眺めてみる。
あなたと店主と私が、にこにこと笑っている写真・・・
あの夜、店を出てあなたはやはりまっすぐに歩いた。
私は駅まで、はぐれ猫を探していた。
猫にはもう会うこともなく、
そしてふたりはネオンに惑うことも、はぐれることもなく駅に着いたのだった。