kamuraさんが投稿したレストラン バカール(東京/神泉)の口コミ詳細

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閉店レストラン バカール神泉、駒場東大前、渋谷/フレンチ

1

  • 夜の点数:4.2

    • ¥15,000~¥19,999 / 1人
      • 料理・味 4.3
      • |サービス 4.2
      • |雰囲気 3.7
      • |CP 3.4
      • |酒・ドリンク 3.5
1回目

2015/03 訪問

  • 夜の点数:4.2

    • [ 料理・味4.3
    • | サービス4.2
    • | 雰囲気3.7
    • | CP3.4
    • | 酒・ドリンク3.5
    ¥15,000~¥19,999
    / 1人

いつか、どこかで

いつもお隣の知花に来るたびに気になっていた、明るいオレンジのファサード。

少し約束の時間より早く着いた私に、内側から扉が開けられる。
ようこそ、と、金山氏の張りのある力強い声と笑顔に迎えられたときから魔法にかけられたのだった。

::::::::::::

最初に登場したのは切り株の上、塩味、苦味、甘味、辛味、酸味のドレスをまとったフルーツトマト。
それはおなかをすかせてきた私の欲望と味覚をかりたてる最初の誘惑。

うずらたまごの殻の帽子をあけると、冷凍たまごの黄身。
ブータンノワールの上に咲いたたんぽぽのよう。

「最中」の中身は、フォアグラといちじく。
こうばしい最中の皮がフォアグラをやさしくつつみこむ。
いちじくとあいまるとかろやかすぎるほどで、いくらでも食べられる気がした。

白子のムニエル。
とろけていくはかない夢。

あたためていただいたbacar焼印入りの四角いブリオシュ。

バーニャカウダ。
生のカリフラワー、ヤングコーン、チコリ、
さつまいも、金色に光るごぼう・・・

蟹身入りの蟹味噌ソースと。

連れてきてくれた方がここでささやく。
而今があるよ、と。

このときこの時間、而今でこの蟹味噌ソースを味わう。
今を生きている私たち、もうここでなにもいらないくらい。
誰かが言う。
このソースで飲める、と。
私と同じ日本酒好きのひとだった。

清流の中を泳ぐように揚げられた稚鮎。


緩急。

強弱。

こえのいろ。

はなたれるときどきのことのは。


魔法はどこまでも続いた。

この夜、4人でいただいた飲み物は
カヴァ、白、赤を各ボトル一本ずつ。
而今(千本錦)と(八反錦)をグラスで。


以降いただいたメニュー

・ガスパチョ、エビがぷりぷり
・フォアグラ、鰻のソテーとマンゴ
・合鴨のロースト
・岩ノリのパン
・きのこのごはんと、いわしのごはん
・デザートは四種類、さまざまな演出とともに
・コーヒー
・キャンディボックスを開けると、可憐に咲いた生キャラメルの花


魔法にかけられたまま、
私たちはどのお料理をも笑いながら、喜びながら、楽しくわかちあった。

それはもう、
この夜が最後だとおもっていたからかもしれない。

お店の空気、シェフの仕事とたたずまい、金山氏のひらりとした仕事、
お料理のいろとかおりとすべてが織りなすマジック。
一夜の夢。


いつまでも魔法が解けなければいいのにと願う時間。

どうか、
いつかどこかでまた魔法をかけてください。

いつか、どこかで。


2015/03/07 更新

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