3回
2017/05 訪問
素晴らしい時間をありがとうございます
伺いたい、伺わねばと思いながらなかなか来られないでいたお店。
愛する人とふたり、お誕生日のお祝いに。
前回お伺いした時に、総じて私の口には少しだけ甘いめかな…と思ったお料理。
しかし、今回は目から鱗というのか…
一度お伺いしただけではわからないということを身をもって知る。
春の息吹の前菜
お造り
そばがき
いくつかのお酒を選び
また店主おすすめのお酒もいただき
私のこころはどこまでもゆらゆらと溶けはじめる、この空間に
きりりと冴えるあて
素材を生かし、きちりと甘く、辛く、やわらかく
どのお料理もお蕎麦も今、
語りつくせない自分がいる。
あなたがすべてに満足し、私はそれ以上に嬉しくて満足した。
この夜、どれだけこちらに感謝したらいいのかわからない。
素晴らしいお料理とお蕎麦をありがとうございます。
2017/05/04 更新
2016/03 訪問
春を味わった夜のこと
ずっと伺いたいと思いつつ、なかなかチャンスが作れないでいた。
食べログのレビュアーさんにも、私の昔からの蕎麦友にも好評価のこちら、山介さん。
時がやっとめぐってきた宵。
18時、カウンターに並んで席をいただく。
寒い夜だったので、友人は焼酎の湯割り、私は鍋島雄町で乾杯。
おちょこはふたつ選ばせていただいて、日本酒好きながら最近は控えている友人に少しお味見を。
しばし待っている間、カウンターから店内を見回してみると、かなり凝った造りであること、
また随所に味のある小物が飾られているのがうかがえた。
しばらくして届けられた前菜盛り合わせには、思わずうわーっと声がもれてしまう。
お店の方がひとしなひとしな説明くださったが、メモしながらもちょっとあやふや…
・ひじきのゼリーよせ
・庄内あさつきのぬた
・鮟肝密煮
・もずく酢山芋とろろ人参煮
・豆腐なすあんかけ
・牡蠣のオイル漬け
・ほたるいか
これだけで三合は飲めてしまいそうな目が喜ぶお料理たち。
ひじきをゼリーで寄せるなんて思いつきもしなかったが、口当たりがよく、
これならお年寄りも喜ぶだろうな、と考える。
大ぶりな牡蠣のオイル漬けはほんのりと柚子の風味で絶品。
鮟肝は名のとおり、こってりとかなり甘く煮付けられており、珍しい味付けだった。
あさつきのぬたは旬の味で嬉しい。
次のお酒に好きな白隠正宗をお燗で。
・生湯葉白子豆腐
とろりと口当たりがよくあっというまにおなかに消えていく。
これもおばあちゃまに食べさせたいなと私は思っていた。
お造り
・炙り〆鯖 炙りかます 熟成ひらめ
・かまとろのにぎり のどぐろ雲丹生海苔あえ
〆鯖とかますのパンチ、ひらめのねっとり感にうなり、かまとろのエロティックなほどのつやにノックアウトだ。
のどぐろと雲丹にたどりつく至福…
雲丹と海苔の相性の良さもたまらない。
・ほたてしんじょと蛤、新玉ねぎのすりながし
ほたては貝柱のまあるい形をしんじょで作ってあるという凝ったもの。
大きな蛤も新玉ねぎもすべてが春である。
ここで平打ちのお蕎麦二種。
・とよむすめのきのこのソース温蕎麦
・オリーブ塩冷たいお蕎麦。
マッシュルームの風味が品良い温かなソースであえられた蕎麦。
オリーブ塩は銀座のナールでいただいて以来だが、平たいお蕎麦にベールのようにオリーブオイルがからんで美味。
次は店主おすすめのお酒、丹澤山をお燗で。
燗にしてもキレのよいお酒である。
・蕎麦がき更科と粗挽きの筍あんかけ
ふんわりとした蕎麦がきになんて贅沢なあん。
・蟹とカルボナーラのようなまったり濃厚な和え衣のお蕎麦
自分でも趣味で蕎麦を打つ友人が、
ここで店主に、お料理として、こんなにも多様にお蕎麦を味わったのははじめてだと感極まったように言った。
激しく同意だ。
・白子のてんぷら ふきのとう たらのめ
ふきのとうが、ぱんとひらいたひまわりのようで愛らしい。
・〆の黒そばは常陸秋そばひきぐるみ。
・せいろは鹿児島。
まずはそれぞれの香りを心ゆくまで胸いっぱいにすいこみ、
塩と汁で楽しませていただく。
汁は甘みを感じる、しかし万人に好まれる味だと思う。
何をつけなくとも穀物の豊かな風味に胸がふるえる。
思い切り蕎麦を食べている幸せでいっぱいになる。
蕎麦湯は少しとろみをつけたもの。
少々黒七味を入れて飲みつくす。
おなかも満ちて大満足。
コースで春のすべて味わった気分になった。
総じてどちらかといえば私の口にはほんのり甘いめのやさしい味わいで、
いただきながら我が家のおばあちゃまに食べさせてあげたいものが満載だと私は思っていた。
ときおり店主と話をさせていただきながら、その口調からも真摯にお料理に取り組むお人柄がうかがえる。
噂にたがわぬ名店であると思った。
会計をすませて外に出れば、
店主は地下鉄の乗り口に私たちが消えるまで見送ってくれた。
スカイツリーが輝く静かな街の、嬉しかった夜のこと。
山介
2016/03/20
kamura様
この度は、ご来店くださりありがとうございました‼ m(__)m
また、おほめのお言葉嬉しい限りです!
機会ございましたら、是非おばあさまを、ご案内下さいませ。
頑張ります‼ 山介店主
2016/03/14 更新
深まる秋、久しぶりに美味しいものを食べようかとなった。
あなたとは年に二度ほど一緒に美味しいものを食べて二十年になろうか。
蕎麦屋に行きたいとあなたが言う。
提案した数軒の蕎麦屋の中から、あなたのリクエストでこちらに決定。
あなたは二度目、私は三度目の訪問である。
開店時間、のれんを出したての店主に御挨拶、カウンターへ。
まずはハイボールで乾杯。
<最初のおつまみの盛り合わせ>
豚たん生姜煮
太もずく酢
まこがれい入り茶わん蒸し
柿おろし和え
鰻肝
マスカルポーネとうぐいす豆
・蛸たたき煮
・雲丹そば
・湯葉いくら蟹餡かけ
・二週間熟成甘鯛 十日熟成鯖炙り
・渡り蟹つけそば
・穴子一夜干し
・平打ちそば(ひらたけ、長芋、牛肉)
・熟成そば
・ふぐ出汁そば
(メニューは携帯にメモしたもので、少々あやしい可能性あり)
脱サラし、様々なお店で修業の後、こちらを構えられた店主。
前々回、前回よりさらなる研鑽を感じられるお料理の数々。
心を尽くして整えて頂いたのが、そのひとつひとつから感じられる。
たたいてから煮たという蛸の煮つけの柔らかさには感動した。
かまなくても舌でとろけるほどの柔らかさ。
この夜秀逸のあてと思う。
熟成させた甘鯛は、まるで甘い海老のようなねっとりとしたうまみ。
種類を変えて五種もの蕎麦を味わえたのには大感激。
雲丹の濃厚なうまみをまとったつまみのお蕎麦。
蟹の身を生のまま濃い目の汁にあわせ、お酒の香りをほんのり感じるつけ蕎麦。
平打ちはラビオリのようで洋風、ひらたけの食感が楽しい。
感激したのは熟成そばの穀物の香り、大地に感謝したくなるような甘み。
そして驚くほどの細打ちのふぐの汁そば、〆を飾るのに素晴らしい出汁と蕎麦であった。
うなるね、とあなたと顔を見合わせる。
二人ともお腹にたくさんの幸せを頂いた。
お店を出ればすぐそこが駅の入り口で、
店主はその夜も私たちがエレベーターに吸い込まれるまで見送ってくれたのだった。