8回
2020/09 訪問
かまあげもよし
蕎麦好きの人間は、蕎麦の香りを定期的にかがないと禁断症状が出そうになる。
コロナ禍で数か月、手打ちのお蕎麦を食べていない。
そのうち身体が震えるのではないかと不安になってきた。
もう辛抱たまらんとなった私は有給をいただき、一番伺いやすいこちらへ。
当日午前中の予約だったが、快く受けていただいた。
この日は、道に迷うことなくお店に到着することが出来た。
度を越えた方向音痴だと自覚していたが、私だってやればできるのだ、多分。
店内はそう以前と変わっていないが、なんとなく綺麗になった印象。
メニューの手書きの文字など、細かな部分が美しくなっていることもある。
そして優しそうな花番さんがいらっしゃった。
きびきびと動かれるが、やわらかな印象の方。
店主はひょうひょうと相変わらずで、昔から話などもしやすくて私はこちらのお店が気楽で好きだった。
お酒は正雪を五勺から。
あてに蕎麦の実のおひたしと、きびなごの生姜煮をいただく。
蕎麦の実のおひたしには、まんだいの身も入っており、それはきちんと取られた澄んだお出汁によくあった。
蕎麦の実のつぶつぶ感もよい。
きびなごはしっかりした味付けでお酒にあうことこの上ない。
英君、萩錦、磯自慢とお替りし続け、いい加減酔ったころに、お蕎麦二種食べ比べと、かまあげをお願いする。
久しぶりにいただく店主の手打ちのお蕎麦に心が躍る。
届いた蕎麦の香りを胸いっぱいに吸えば、しばらく言葉を失った。
なくなるのがもったいないと思いつつ、手を休めることなく手繰っていく。
〆られて冷たくぬれぬれしたお蕎麦もよいが、かまあげはこれからの季節、蕎麦のあたたかな香りを楽しめてよいものだ。
かまあげの器からもう顔が離せなくなって、私はお蕎麦がなくなってもしばらくぼーっとしていた。
じゅうぶんに禁断症状もおさまった模様。
蕎麦湯を堪能すれば、ころよい時間。
新しいお客様が入ってみえ、さてお暇を。
この足が道を忘れぬように、もう少し頻繁に通いたいものだと思う帰り道。
2020/09/29 更新
2019/03 訪問
素晴らしい蕎麦コース
はじめてこちらで6000円のコースを予約。
カウンターに並んで座り萩錦で乾杯を。
<しながき>
蕎麦の実雑炊
盛り合わせ(わかさぎ 牡蠣 あさり のらぼーな きくいも)
やき蕎麦
酒肴盛り合わせ(唐墨 かぶの葉 レバーペースト 甘海老味噌 蕗味噌)
しぞーかおでん (大根 玉子 のどぐろ 昆布 黒はんぺん)
鴨(胸肉 腿肉) 独活きんぴら
蕎麦の実おにぎり
鹿のタンシチュー
蕎麦 北海道(右)左(長崎)
静岡オリーブオイルをつかった和え蕎麦
牡蠣蕎麦
豆腐蕎麦
かけ蕎麦(鰯出汁)
<お酒>
萩錦
小夜衣
おひとりでこなされる店主はもう動きも堂に入っていて、無駄がない。
テンポよく出されたあての数々。
まず出される蕎麦の実雑炊は、その温かさと香りが嬉しい。
この日はあての盛り合わせのまるっとした名残の牡蠣が美味しかった。
おでんののどぐろは意表をつくもので、たまらぬうまさ。
また、こちらの鴨は申し分なく常に旨い。
あなたは蕎麦の実おにぎりをいただいて、目を細めた。
これは蕎麦そのものをいただく感じだね。
私も初めていただいたとき、感激したの。
珍しい鹿のタンシチュー。
これは蕎麦粉を小麦粉のかわりにルーに使用したものだそう。
このような使い方があるのだ、と思わず驚く。
とろりとした食感と、噛み応えのある部分のミックス感も楽しい一品。
いつもだが、お料理に斬新な工夫が感じられ、無限の可能性を秘めた店主だと思わされる。
そろそろお蕎麦をということで、、、
お蕎麦のもりは北海道が断然よかった。
香りの貴さ、味わいの濃さ、塩で汁であじわう。
静岡のオリーブオイルを使ったという和え蕎麦は、和風パスタのような一品。
蕎麦に寄り添うやわらかなうまみのオリーブは国産、しかも静岡ならではのもの。
牡蠣蕎麦は私の大好物。
ぷっくりした牡蠣の美味しさ。
きっと店主は私が牡蠣好きなことを覚えていてくださったのではないかと感謝した。
豆腐蕎麦はあまみを感じるお豆腐を、崩しながらお蕎麦にまとわせる。
まろやかなお蕎麦。
ここで私のお腹は限界になり、あなたには頑張ってもらって、最後のかけ蕎麦は私はお蕎麦一本だけに。
店主が、一杯ならぬ、一本のかけ蕎麦ですね、と笑う。
あえて鰯の出汁にしたというかけそばは、濃厚なだけど嫌みの全くない汁。
最後の一本を大事に味わった。
満腹になってデザートは遠慮。
すっかり満足したふたり。
お蕎麦屋さんで、このお値段でここまで満足できるコースは、他ではありえないのではないだろうかと思う。
もう少し体調のよいときならもっと飲めたのだろうけれど、年度末の忙しさでだろうか、あまり飲めなかったのが残念。
次回はもっと体調のいいときに、お料理とお蕎麦を静岡酒でもっと堪能しよう。
店主に見送られ、緑の玄関を出る。
ほのぐらい夜道。
さてふたり、迷わずに駅にたどりつけるのだろうか…
2019/03/21 更新
2018/08 訪問
目が開くかのような「蕎麦おにぎり」
落合駅、中野に向かって前方の出口であなたと落ち合った。
さて今日は迷わずにお店にたどり着けるだろうか。
あなたが帰省してきたのは一昨日の夜半。
顔を見て会話するのは、今回はじめてではなかろうか。
あなたは休みの前半を私の実家で過ごし、雨の中、石狩でのライジングサン・ロックフェステイバルを友人等と楽しんだと言う。
今年は山下達郎、Char、奥田民生などが、誰もが知っている出演アーティストだったそうだ。
ふたりで出るのは、昨年のお盆以来。
銀座sasuga琳、らすとらあだ、山介、そしてこちら、昨年は眠庵。
蕎麦の好きな私たちは、毎年一度はどこかの蕎麦屋に出かけた。
こちらの店主とあなたは年も近く、一番慣れ親しませていただいているかもしれない。
カウンターでベアードのペールエールで乾杯。
鹿と猪を盛り合わせてもらう。
癖のない鹿肉も猪肉も、ビールによくあう。
おでんは大根、牛すじ、モツ、鴨わさび。
鴨に添えられた山葵が青々して美味しい。
さて、店主がSNSで書かれていらした、「蕎麦のおにぎり」をお願いする。
炊くのに時間がかかるので、頃良い按配で店主が炊飯器をしかけるのだ。
白エビのオイル漬け、チーズの味噌漬け、おかひじきのお浸しを追加。
途中揚げ蕎麦などをサービスしていただいた。
お酒は私のみ、小夜衣、白隠正宗/お燗、磯自慢などを。
お蕎麦は二人とも三種盛をいただいた。
酔って産地を失念してしまったが、三種とも香りも味わいも少しずつ楽しむことができた。
穏やかな店主は、おひとりでお店をまわすのも、もう堂に入った様子。
こちらでは隣り合ったお客さんとの少しの会話も楽しい。
蕎麦好きの人達との蕎麦にまつわる会話は、細く途切れることがなかった。
さて、炊き立てのお蕎麦で店主が、あちあちっと言いながら握ってくれたおにぎり。
手塩のみでにぎられたにぎりたてを早速。
一口いただいてみるや…
目がぱあっと開くような蕎麦の香り。
口に鼻にいっぱいになる。
香りが目からも飛び出して、こんなに目が開いたような気分になったのだろうか。
濃く豊かな蕎麦の香りが噛みしめるごとに口の中を埋め尽くす。
たとえようもない美味しさだ。
もちろん蕎麦の喉越しなどは、蕎麦切りだけの味わいなのだけれど、
この蕎麦のおにぎりのもつパワーと言ったらなんだろう。
蕎麦好きの方に一度味わっていただきたいと、心から思う。
ただこちら、美味しいのは一瞬のようで、冷めるととても食べられない代物になるそう。
まさに一瞬が勝負。
蕎麦湯もしっかりと堪能。
この夜は心までも蕎麦に染まったような満足感で、店主に見送られ、あなたと緑色ののれんを後にした。
2018/08/20 更新
2018/03 訪問
通常利用外口コミ
この口コミは試食会・プレオープン・レセプション利用など、通常とは異なるサービス利用による口コミです。
春のお蕎麦の会
とある日曜、こちらの5産地7種類の蕎麦と肴(お酒1杯つき)の会に参加させていただいた。
落合の駅に着いて、今日は迷わないで行くぞ、と気を引き締める。
一等最初に伺ったとき、食べログの地図を手にきょろきょろしていたら、出て来て親切に道を教えてくれた土木屋さんの建物は改築されたのか新しくなっていた。
ここをまっすぐだった…
なんとかさまよわずお店に着くと、お蕎麦仲間の方が先にいらしていて、向かい合って着席。
8人の会となった。
皆さん明るくて席に着いて乾杯した時から、わいわいと楽しい雰囲気である。
あての盛り合わせ。
わさび漬け、蒲鉾、おから、蕎麦の白和え、玉子焼き。
鴨ロース。
<お蕎麦>
岩手
千葉
徳島
長崎
鹿児島
頂くのに忙しくて、頭の中がぐるぐるになってしまったが、まず最初に口にした岩手のさわやかな香りは忘れられない。
頂くごとに味も香りも深くなっていくように運ばれたのだが、一番最後は千葉。
千葉のお蕎麦がこんなに美味しいのだと感動した。
これだけのお蕎麦を打ちわけられて、少しも疲れを感じさせないかろやかな店主だ。
何時も絶やさない笑顔。
時折飛んでくる店主の軽妙なジョーク、お客さんたちの勢いとで楽しい時間。
磯自慢を半合おかわりして、蕎麦湯をいただきしばし歓談。
蕎麦好きの会話はつきることもない昼下がり。
そろそろ、と解散となった。
日はぽかぽかとまだ温かく、春の訪れを感じながら駅までゆらゆら。
2018/03/06 更新
2017/08 訪問
ますます進化するお店
何度も来ているのに、脳も足もお店の場所をなかなか覚えられない。
落合駅を降りて早稲田通り沿いのかどっこにあった建築屋さんの事務所が、なくなってしまっている。
初めて来たときに通りでまごまごしていたら、ちょうど出てきた親切なご主人がお店までの道を教えてくれたのだったが。
しかし、ここから中通りに折れて入っていくはずだ。
ぐるぐる細道を歩く。
暗い夜道に緑色の光がぼうっと浮かび、たどりつけたことに安堵した。
全員揃ったところで、赤星で乾杯。
あてに鴨、枝豆のおひたし、玉子焼き、しぞーかおでんの盛り合わせ、チーズの味噌漬け。
お酒は開運三種飲みくらべ、小夜衣のにごりをお願いする。
一年以上ぶりに会うお友達。
しょっちゅう一緒に飲んでいるお友達。
男女四人、お酒好きでお蕎麦好きのメンバーだ。
酌み交わすほどに舌の滑りもよくなって、話題もひらひらと舞う。
後半はお手頃な初亀をぐいぐいと。
一合500円とは思えない飲みやすいお酒だ。
追加で鹿肉をいただく。
ひとりがふざけて、ここに馬肉があれば、ちょうど俺みたいなもんだな、と言う。
馬鹿鴨ってさ。
あはは、と力なく笑えばゆらゆらと酔いがたちのぼってきた。
そろそろお蕎麦を、ということで全員もりをお願いする。
お蕎麦は長崎と宮崎だった。
さいたまもあるとのことで、それも半量ずつ追加していただく。
長崎も宮崎もよかったが、最後のさいたまが三種の中でもっとも美味だった。
香りも素晴らしかったし、蕎麦のあまみが口の中でふくよかにひろがった。
さいたまのお蕎麦が、一等この夜は美味しかったね、と全員意見が一致する。
さらさらの蕎麦湯と、とろみをつけたものの二種類、入れてくださった。
どちらも交互に楽しませていただく。
サービスでいただいたフルーツがほど良く冷えていて美味だった。
よいお店だなあ、としみじみ。
最近は店主は、お料理も自由な発想で色々とチャレンジを重ねていらっしゃるようで、
次回はレギュラーなお料理ばかりでなく、新しいものもいただいてみたいと思う。
お会計をして通りに出ると、店主と、緑の光がいい調子に酔った四人の背中を静かに見送ってくれた。
2017/08/28 更新
2017/02 訪問
小雪舞う夜の絶品のかまあげ蕎麦
雪が降る寒い寒い夜。
ペールエールで乾杯して、牡蠣のオイル漬け、蕗味噌、鹿の味噌漬け、しぞーかおでんは大根と牛すじ、黒はんぺんをたのむ。
お酒は小夜衣にはじまり、白隠正宗のお燗、初亀を二種。
クリームチーズとカマンベールの味噌漬けと、かき菜のおひたしを追加。
ふらりとおひとりでみえた紳士と隣り合ったが、同郷だということがわかり話が盛り上がる。
酔いがまわっていたせいもあるが、ちょっとテンションが上がり過ぎてしまい、うるさくし過ぎたかもしれない。
〆のお蕎麦は土用寒を。
かまあげの温かいお蕎麦が、寒い夜に身に沁みるほど美味しかった。
何度でも伺いたい大好きなお店である。
2017/02/13 更新
2016/12 訪問
細く長く 蕎麦のように
2016/12
2016年最後に外でいただいたお蕎麦はこちらgreen glass。
この近年、その年最後のお蕎麦をご一緒していただく方のご都合がたまたま悪く、
帰省してきた愚息と一緒に。
社会人になって1年半を過ぎた息子も、少しお酒も飲めるようになって嬉しい限り。
鹿味噌漬け、鴨ロース、しぞーかおでんの、牡蠣ともつ、大根とすじなどで白隠正宗・英君をゆるり楽しみ、
〆のお蕎麦。
幸せは、こんな時間と、そして自分自身の中にあると思う年の瀬であった。
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2016/8
たまたまの縁で知り合った同じ姓をもつお酒好きで、不定期にはじめた会、仮に「小力会」としておこう。
第三回・小力会は、メンバーの中の蕎麦好きのひとりがなんとこちらを予約してくれた。
願ったり叶ったりで、いそいそと。
乾杯酒は志田泉の「shida cidre」
さわやかなうすにごりのはじけるお酒。
この夜もお酒は萩錦・小夜衣・杉錦、金明といただき、最後は初亀、そして喜久酔。
この夜のお料理の一等は鹿肉。
蕎麦屋のジビエ。
滋味深い味わいは、巡るいのちそのもの。
鴨もしっとり美味。
こちらの名物のしぞーかおでんは、この夜は豚のモツが秀逸だった。
出来立てのお豆腐はほわりとやわらかくあたたかい。
豆のいぶきを感じるよう。
そしてこの夜の謎々。
黒板にあったあての「こぼれ梅」をたのみ、4人で味わうも誰もその正体をあてられず。
白くほろほろとしたもので、麹のようであり、酒粕のようであり…
最後まで悩んで、答えを店主から聞きびっくりすること。
ここで答えを書きたい気もするが、近々行かれる方のために謎のままにしておきましょう。
お蕎麦は「土用寒」という熱と、冷やの二種を。
蕎麦はどちらも栃木だったが、そのひろがる香りといったら。
あつもりの、そばがきをいただいているような胸まで蕎麦に満たされる感覚は素晴らしかった。
ほーっと蕎麦湯も。
最初から最後まで、店主のやわらかな表情としなやかな動きが素晴らしい。
それは眠庵時代から何年もずっと変わらず、私はこのお店に惚れてしまった自分をあらためて感じる。
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2016/6
落合の駅に降りるのははじめてだった。
食べログから出力してきた地図を確認していると、
ちょうど玄関先に出ていらした駅前の土木建築屋さんの方が声をかけてくださり、親切に道を教えてくれる。
まっすぐ行くと公園があるから、そこ左に行って…
なんてありがたい。
知らない街で親切にしていただけるのも、生きている間の小さな喜びのひとつだ。
看板は出ていないが、おかげさまでちゃんとお店にたどりつけた。
引き戸を開けると磯自慢の樽が迎えてくれる。
そう、店主・関根さんは静岡ご出身の方だ。
関根さんは私の愛する「眠庵」、「銀座sasuga琳」で修業され、
この6月に満を持してこちらにご自分のお店をもたれた。
和食屋さんの居抜きであるお店は、掘りごたつ式のお席が8席ほど、そして4人が座れるカウンター。
カウンターの端に席をいただき、たくさんの選べるビールから帝国IPAをいただくことに。
きりりとした苦みと香りのたつビール、蒸し暑い夜に爽やか。
店主と会話している間に、連れが到着し、英君をたのみ乾杯を。
お酒は眠庵と同じく、静岡酒のみである。
焼酎も充実している模様。
あてに喜久酔大吟醸の酒粕を使った山葵漬、しぞーかおでん盛り合わせ、鴨のあぶりをお願いする。
山葵漬けは香り高く酒をよんだ。
しぞーかおでんは、琳のプリンと同じ栃木の魔宝卵、
五島列島の鯵をつかったかまぼこ、無添加黒はんぺん、大根、牛…
青のりと鰹粉、そして国産の辛子と味噌が添えられる。
蕎麦のお出汁で煮込まれたしぞーかおでん。
牛がやわらかで美味しい。
黒はんぺんはこれぞ静岡の味。
国産の鴨のあぶりは香ばしく、ひらひら口の中で舞う。
次のお酒に國香。
お店の中の空気は清浄で、とても静かだ。
玉子焼きを追加する。
連れが玉子焼きってあんな風に焼くのだね、と言う。
くるくるとたたんで、玉子液をいれる作業を眺めながら。
美しい長方形の玉子焼きはシンプルな出汁と塩の味。
初亀のにごりが美味い。
とことん飲もう、今夜は。
店主は36歳、やっと独り立ちできましたと笑う店主。
眠庵でのしなやかでやさしく人の心に添うように働かれていた姿が今でも記憶に残っている。
この地でこの時、新しい彼のgreen glass・・・
喜久酔を酌み交わせばどこまでも飲めそうだった。
お浸しを追加する。
ほうれんそうに、空芯菜のいためが添えられる。
そろそろとたのんだお蕎麦は鹿児島と北海道。
鹿児島は細いめに打たれ、北海道は気持ち太いめだった。
鹿児島の香りと口当たり、ぬれぬれとした食感はこのみである。
北海道はいかにも草の香りと、そして蕎麦を楽しめる味わい。
汁の味も好もしい。
蕎麦湯もたっぷりと堪能。
デザートにサービスしていただいた完熟のパイナップルはあまくて、
梅雨の夜の最後を爽やかにしてくれる。
愛するお店からまた愛したいお店が生まれる。
それは細く長い蕎麦のように、どこまでもつながっているのだと思った。
2017/01/03 更新
お盆休みのない私は1日有休をとった。
息子をデートに誘う。
久しぶりのgreen glassさん。
店主とは、息子も眠庵さんでの修業時代から親しくさせていただいている。
銀座の流石琳さんにいらしたのも懐かしい思い出だ。
また迷うかも、と言ったら息子がグーグル君で連れて行ってくれた。
ご挨拶の後、ベアードビールで乾杯。
枝豆の出汁浸しと鴨ロースをお願いする。
枝豆は薄味に、品良く仕上がっている。
鴨ロースは言わずもがな美味だ。
早速、英君に切り替える。
最近は息子もほんの少し日本酒を飲めるようになってきた。
付き合ってくれるのが嬉しい。
おでんを一通り頼む。
しぞーかおでん、よく味がしみていて美味しい。
私は練り物全般より大根が好きである。
ここでお酒を志田泉に。
お蕎麦はこの日は一枚目が中標津、二枚目が成田、三枚目におまけしていただいたのは宮古島。
お蕎麦は日本全国どこででもとれるようだ。
一枚目を香ってみる。
草の香り。
手繰れば口の中からは鼻に抜ける香気、そしていっぱいに広がる蕎麦の旨さ。
あっというまに喉を落ちていく。
息子もお蕎麦好きでよかったと思う。
この日、お蕎麦の産地を覚えていてくれたのは息子で私はすっかり記憶喪失。
蕎麦湯を堪能したところでお会計。
しかしお会計をした記憶がおぼろなのだった。
(払ったとは思われる)
恐るべき昼酒。
息子と一緒なら乗り越さずに帰れる。
中野や落合から地下鉄に乗ると座れてしまうので、そのまま銀河鉄道になるケースが多いが、
この日ばかりは安心、安心。
夢見心地でふたり帰宅した。