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2位
1回
2012/11訪問 2017/07/08
京都の名店、祇園にしかわ。
シェフは祇園さゝ木の出身の西川正芳氏。2009年にオープンして直後に
瞬く間に人気となり、その後発表されたミシュラン京都版では一つ星も獲得。
(その後二つ星に昇格)
当初はカウンターのみの小さな店舗でしたが、2012年にはリニューアルし
個室や椅子席も追加されました。
メニューは昼が5,000~10,000円、夜は10,000~20,000円と分かりやすい
です。
これまで昼・夜一度ずつ訪問しました。
この日いただいたメニューは下記。
食前酒
先付け
椀物
お造り
八寸
焼き物
酢の物
蒸し物
ご飯物
果物
デザート
いずれも素晴らしかったですが、やはりその日のスタートである先付けは、
私は何よりも大事なように思います。
ぷちっと弾ける上質ないくらに、湯葉などを組み合わせたもので、素材の組み
合わせ、味付けともに、とても美味しい一皿でした。
次の椀物も、カニ、茸に、レモンの爽やかな香りが絶妙。繊細な旨味が広がり
ます。
お造りは3種のジュレを好みにつけて合わせる物で、白身には梅の香りのジュレ
がよく合いました。ブリも、ウニも最高の素材で、さわらの炙りも、香り、触
感、味わい共に本当に美味しかった。
八寸はもはや誰もが絶賛して今更説明するほどでは無いかもしれませんが、名
物の鯖寿司は本当に美味しいです。肉厚の鯖に温かさ、柔らかさ、酢の強さな
ど、素晴らしいバランス。臭みもなく、ほろほろと口の中でとろけます。
また、鯖寿司だけでなく、カラスミに、なまこ、豆腐のチーズなど、いずれも
本当に素晴らしい。
その後にも
焼き物、酢の物(白子)、ご飯物(じゃこご飯)、デザート(蕨もち)など、
素晴らしい料理が続きました。
器も美しく、部屋も情緒のある雰囲気で、空間も素晴らしい。
料理の味、美しさ、そして空間の雰囲気いずれも非常に高いレベルで両立して
いる。最高のお店です。
ガストロノミー ジョエル・ロブション。
言わずと知れた世界最高の料理人の一人、ジョエル・ロブション氏の旗艦店。ロブション氏は、パリの
ジョエル・ロブションを1996年に最高の状態でやめたい、という理由から閉店、引退。
その後世界において、日本のタイユバン・ロブションだけが氏の唯一のグランメゾンとなり、
パリの三ツ星シェフの言わば本店が日本にだけあるという日本人にとっては贅沢と言える状況が続いた。
その後初めて出版された2008年東京版ミシュランで当然の如く3ツ星を獲得。3ツ星以上に難しいと言われる
赤5フォークも獲得し、東京で唯一の満点店舗となった。その後2014年現在までその最高評価は一度も譲る
ことなく頂点を維持している。
前回はディナーだったが、今回ランチで久しぶりに再訪。
ランチとディナーは用意されているコースが違うが、夜だと基本的には3コースのうちどれかを選ぶ事になる。
デギュスタシオン、スペシャリティ、シーズン。
一方ランチはプリフィクスメニューが中心なので、好きな物を組み合わせて選ぶ事が出来る。また、アラカルト
メニューは昼も夜も同じメニューを頼めるので、目当ての物が具体的に決まっている場合は、ランチの方が
自由な組み合わせが出来て良い気がする。事前予約で、夜のデギュスタシオンコースも頼めるようです。
今回の一番の目的は、そのデギュスタシオンコースのアミューズのアラカルトから
・キャビア アンペリアル ロブションスタイル
を食べること。
そして魚料理はロブションのスペシャリティ
・真鯛 九条ネギのエチュベとシトロネルの香りのクレーム
お肉は春の新作から
・フランス産カイユ タケノコと共に焼き上げ 春キャベツとフォアグラを添えて
と、ロブションの最高傑作から一皿、スペシャリティから一皿、季節の新作から一皿と、バランス良く
味わうことを目的にコースを組み立ててみた。
グラスワインをアミューズに合わせて一杯、前菜と魚に合わせて一杯、メインとフロマージュに合わせて一杯と、
三杯選んで欲しいと伝えてオーダー完了。
まずはアミューズに合わせたワイン。
シャンパーニュか、白ワインのどちらが良いかと聞かれる。
料理との相性で考えたら白ワインの方が良いかもしれないが、やはり最初の一杯ということもあり、
爽やかな味わいのシャンパーニュをお願いした。
運ばれてきたのはヴーヴ・クリコ。2,300円/杯
そしてキャビア缶が運ばれてくる。
一見普通のキャビア缶のように見えるキャビアの下にはカニや甲殻類のソースなどが層になっており、
面白いプレゼンテーション。甲殻類とキャビアの相性は勿論良いが、それをまとめるソースの味わいとの
融合が素晴らしい。ヴーヴのフルーティーで華やかな味わいが、さらにこの料理を彩る。
続けて運ばれてきたのは白ワイン。
Domaine Antoine Arena Patrimonio 2012 2,600円/杯
驚いたことにコルシカ島のヴェルメンティーノ。
ソムリエの説明によると、これは魚料理に合わせた物で、少し低めの温度で提供したので魚を食べる頃には
丁度良い温度になると思います、とのこと。
前菜は
・卵 半熟にしてグリーンピースのエチュベとヴルーテと共に ベーコンのカプチーノ添え
見た目は大変美しく、食欲をそそる。卵、グリーンピース、ベーコン、それぞれ異なる完璧な火入れの食材が、
ヴルーテで混じり合う。味は素材を活かした案外シンプルな味付け。
魚料理は
・真鯛 九条ネギのエチュベとシトロネルの香りのクレーム
実は今回一番感激した料理がこちら。
ほのかに香るレモングラスのシトロネルの香りが実に爽やか。真鯛は驚くほどふっくらとした食感の火入れで、
これに食感のいい九条ネギと、アクセントとなる酸味のドライトマトなどが組み合わさる。
これをさらに引き立てるのがヴェルメンティーノの白ワイン。
前菜を食べた時はなぜこのワインなんだろうと不思議に思ってしまったが、まさに魚料理に合わせたワイン。
ややドライな風味は、シトロネルの香りとの絶妙な相性で、まるでソースの一部のよう。
これほど素晴らしいマリアージュは、記憶に無い。
続けて赤ワイン。
Domaine D'Aigues Bells Cuvee Nicol 2008 2,600円/杯
ラングドックの、シラーとカベルネのアッサンブラージュ。
肉料理は
・フランス産カイユ タケノコと共に焼き上げ 春キャベツとフォアグラを添えて
香ばしく焼き目のついたウズラに、コクのある風味を出すタケノコと、キャベツの甘みが加わる。それに
トロけるようなフォアグラのテリーヌが組み合わさり、見事に味を引きたて合う。
さらにそこに力強い味わいのカベルネと、シラーの深みのある甘みが加わる。
肉、付け合わせ、ソース、ワイン、全ての素材がきちんと計算されており、何も足し引きする必要がない
素晴らしく完成された料理という印象。
デザートの前はチーズワゴン
目移りしてしまうほど充実した品揃え。ウォッシュチーズが好きな私は敢えてウォッシュのみの4種盛りで
お願いした。エポワスの状態も最高。
最後はデザート
・キャラメル フレッシュマンゴーと弾ける飴を忍ばせ、マンダリンのソルベ
フランス料理のお店で、最後にデザートでがっかりするような事が意外とある。しかし、ここはデザートも
超一級。崩すのも惜しいほど美しい一皿。チョコレート、ソルベ、フレッシュフルーツと合わせて頂く。
仮にパティシエが違うお店として独立したとしても、きっと人気のパティスリーになるに違いないと思えるほど
素晴らしい完成度。
最後は小菓子と飲み物。
残念だがランチだとディナーの時のような立派なワゴンは来ないようだ。
このお店の料理はやはり全てが素晴らしい。
あらゆる料理、あらゆる素材、ワイン、デザート、小菓子に至るまで、全てに対して、何も隙が無い。
完璧という言葉以外にない。
値段は2人で55,000円ほど。さすがにランチだと安く済んだ。高いという印象は無く、値段相応という
のが素直な感想。
唯一の不満はボトルワインの値付け。最初はボトルで頼もうと思ったのでリストを見せて頂いたが
ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌから好きな物を探したところ
Ch. モンローズで28,000円
マジシャンベルタンで30,000円
ボーカステルのシャトーヌフデュパプで26,000円
くらいだった気がする。これにサービス料が加わると結構な値段になる。グランメゾンでもリーズナブル
にボトルを提供しているお店もあるので、出来ればもうちょっと頑張って欲しいところ。
もっとも、これだけ素晴らしいグラスワインのマリアージュを見せられると、ボトルを頼む必要性を
全く感じないので、ボトルを頼むのは趣味の領域かもしれませんけどね……。