arpegeさんが投稿したレストランひらまつ 広尾(東京/広尾)の口コミ詳細

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1

  • 夜の点数:4.9

    • ¥20,000~¥29,999 / 1人
      • 料理・味 4.9
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク 4.5
  • 昼の点数:4.9

    • ¥10,000~¥14,999 / 1人
      • 料理・味 4.9
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP 3.5
      • |酒・ドリンク 4.5
1回目

2015/06 訪問

  • 夜の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥20,000~¥29,999
    / 1人
  • 昼の点数:4.9

    • [ 料理・味4.9
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP3.5
    • | 酒・ドリンク4.5
    ¥10,000~¥14,999
    / 1人

クラシックフレンチの最高峰

レストランひらまつ本店。
私が過去にフレンチにはまるきっかけとなった、このレストラン。

広尾にある同店を経営するのは代表取締役社長である平松氏。
1982年「ひらまつ亭」を開業し、88年に現在の「レストランひらまつ」へと移転。
2001年にはフランス・パリに出店し、わずか4か月後に日本人オーナーシェフとして初めて
ミシュランの星を獲得するという偉業を成し遂げた。

その後は多店舗経営を進め、東証二部に株式会社ひらまつとして上場。メゾン・ポール・
ボキューズや、オーベルジュ・ド・リルなどフランスの3つ星シェフと提携したブランドの
展開も増やす他、ラフェットひらまつ、ル・ミディひらまつ、イル・チェントロひらまつ
などの、地方都市へのブランドの拡大も行ってきた。

一般的に飲食店の多店舗経営と言うと、質の低下やチェーン化などの印象も付きまとい、
どちらかと言うとあまりイメージの良いものでは無い。

しかし平松氏は弟子の育成にも熱心で有る事が知られており、
1997年オープンの、リストランテASOの阿曽達治氏は勿論の事、
2002年オープンの、ラ・レゼルヴの池田正信氏、
2002年オープンの、サンス・エ・サヴールの長谷川幸太郎氏
2004年オープンの、ル・バエレンタルの南大輔氏、
など、多くの料理人を育ててきた。これはできるだけ弟子に店を持たせる機会を与えて
いきたいという平松氏の思いでもあったよう。


そして一番重要な本店は、2012年より若き小川大樹シェフが料理長を任されている。

久々の訪問にあたりこの日頼んだメニューは、
アミューズ、前菜、魚、肉、デザートの5品に、それぞれワインペアリングを合わせ、
中でも前菜とメインは、スペシャリティであるフォアグラのキャベツ包みと、子羊のラメル
をリクエストするという組み合わせとしてみた。


初めはシャンパーニュ。
Delamotte Blanc de Blancs Prestige Hiramatsu nm
これはもはやひらまつの定番。ひらまつラベルのドゥラモット。ブランドゥブランで、
とてもバランスの良い爽やかなシャンパーニュ。

そしてアミューズ。
トマトにチーズ、アボカド、そして少し苦味のある野菜を組み合わせたもの。アミューズに
相応しい非常に爽やかな味わいでありながらも、とても緻密な味わい。
アミューズの印象がいいレストランは大抵最後まで満足できる場合が多い。その点ひらまつ
のアミューズはいつも完成度が高い。


2品目はスペシャリティ。鴨フォアグラのキャベツ包み トリュフのジューソース
毎回このお皿を食べるのはひらまつで最大の楽しみで、もう4, 5回目くらいになる。
日本では良いチリメンキャベツの入手が難しいのか、毎回若干キャベツの質は異なるように
感じるものの、やはりこの料理の存在感は別格。
美しい緑のキャベツとトリュフソース。分厚いフォアグラは濃厚で、キャベツとソースと
絡めながら食べるとその味わいはますます引き締まる。

これに合わすワインは、ポートワイン。
Tawny Porto Rozes
深みのある甘さが、フォアグラの甘さとトリュフソースとよく合う。でもアルコール度数が
若干高めなので苦手な人は要注意かもしれません。


続けて魚料理。
スペシャリティを頼んだ前菜とメインと比べると、内心大きな期待はしていなかったものの、
実はこれが大変美味しかった。
本日の魚は真鯛。これを少し酸味のあるバターベースのソースで仕上げている。
定番な組み合わせではあるが、鱗がカリカリに揚げられていて、ふっくらとした身との
食感の組み合わせがとても美味しい。

これに合わせるのは
Rully Montagne la Folie Claudie Jobard 2007
シャルドネらしい酸味がありながらも、ふくよかな味わいで、料理との相性もとても良い。


メインはスペシャリティ。
仔羊のラメル 小玉葱のコンポート タイム風味
美しいロゼ色の仔羊は、一見、生ラムに見えるほどの色合い。驚くほど柔らかく、トロトロ
の食感で絶妙な仕上がり。仔羊特有の癖が無いわけではないが、タイムとトリュフがうまく
調和して打ち消し、旨みだけが際立つ。

これに合わせたワインもまた良かった。
Chateau Larmande Saint Emilion Grand Cru 2008
ボルドー右岸のグランクリュクラッセ。芳醇な仔羊の脂と、メルローをベースとした深みの
ある力強い甘みが、見事な組み合わせ。


続けては口直しの一皿
スリーズのマセレとマラスキーノのジュレ

そして最後はデザート
パン・ド・エピスと牛乳のミルフィユ 初夏の小さな果実

最後は小菓子。ここの生チョコレートはいつもとても美味しい。


なお、今回は頼まなかったものの、このお店はフロマージュも実に素晴らしい。とろとろ
で状態の良いエポワスや、カマンベールムーランドカルル、熟成コンテなど、いつも間違い
の無い品揃え。


料理もワインも奇を衒うことのなく、安定感があり、クラシックな味わいのフレンチと
して、改めて最高峰だと感じた。

サービスと雰囲気も文句無し。ひらまつグループのサービスのレベルの高さはビストロ
にすら共通しているが、本店はやはり別格。少し冷たすぎるように感じることがない訳
ではないが、どんな人を連れて行っても失礼になるような事は無いと思える安心感がある。

雰囲気も素晴らしい。平松氏の兄である額賀氏の作品や、シャガールの絵などが飾られて
おり、プライベートな美術館のよう。シャンデリアが煌めくジョエルロブションや、プラザ
アテネよりも、私にはこちらの方がよっぽど上品で美しいと思う。

価格帯は多様なコースがあるため比較的リーズナブルだと感じる。スペシャリティも
アラカルトの価格だと高いが、大抵はコースのメニューと差し替えでオーダーすることが
出来て、差額分として2,000〜3,000円程度を足せば頼めることが多い。
ボトルワインの値付けは2掛けくらいからと、グランメゾンとしては良心的な方だと思う。
グラスワインは2,000円〜4,000円/杯程度の銘柄を揃えており、今回頼んだ銘柄も大体
3,000円前後の価格。それほど沢山飲めないからと相談したら半分のサイズにしてくれたり
柔軟性が効くのもさすがのサービスだと思う。

また、意外なことは、ひらまつグループでは基本的にどこも子連れがOKであり、またワイ
ンの持ち込みなども相談できる。格式高いレストランにも関わらず、こうした柔軟性がさ
らなる魅力だと思う。子供が騒いで他の客様に迷惑をかけることを拒否するのではなく、
子供が騒いでも、きちんと他のお客様に迷惑をかけないよう対応できる自信があるという
事だろう。もちろん個室に案内されることもあるが、個室の使用料なども特に請求をして
いない。


最後に日本人オーナーシェフとして初めてパリでミシュランの星を獲得し、ひらまつとは
切っても切れない縁であるミシュランの格付けの日本での評価をまとめて見た。

ひらまつパリ 2002-現在(14年連続)一つ星
ひらまつ本店 2008-2014(7年連続)一つ星
キャーヴドひらまつ 2008 一つ星
ル・バエレンタル 2012 一つ星
リストランテASO 2008-2011(4年連続)二つ星 2012-現在(4年連続)一つ星
アルジェントASO 2008 一つ星 2009-2011(3年連続)二つ星 2012-現在(4年連続)一つ星
アイコニック 2010-2011(2年連続)一つ星
メゾンポールボキューズ 2008-現在(8年連続)一つ星
オーベルジュドリル 2009-2010(2年連続) 一つ星

着目すべきは
・星獲得でひらまつの知名度を上げたパリ店が、今も最も長く評価されているトップ店である
・本店が最新の格付けで星を失った。
・ひらまつグループでは過去を遡るとリストランテASOが最も高評価
・メゾンポールボキューズは現在都内ではひらまつグループでもっとも高評価のフレンチ
・実はキャーヴドひらまつとアイコニックも星を獲得していたことがある

そんなところでしょうか。
日本で星を取るのとパリで星を取るのではやはりわけが違う。パリで14年も星を獲得して
いるのはやはりすごいと思う。しかし巷ではあまり話題になっていないものの、本店が星
を失った事は、社内では大事件になっているような気がしてならない。

2010年のピークには計9つの星を獲得していたひらまつグループが、いまは4つ。
これを、多店舗経営の歪みと考える人も多いかもしれない。
革新を求めるミシュランの変化と考えるか、味が落ちたと考えるかは、個人の舌で判断する
のが良いでしょう。
私もひらまつグループのあまりに勢いのある多店舗経営には、心配な思いが無い訳ではない。
しかし本店に関して言えば、決して味が落ちたとは感じない。
若き小川大樹シェフと、総料理長平松氏のこれからの奮闘に期待していきたいと思う。


  • 15年6月夜 アミューズ

  • 15年6月夜 フォアグラのキャベツ包み

  • 15年6月夜 子羊のラメル

  • 15年6月夜 小菓子

  • 13年8月昼 鴨フォアグラのキャベツ包み トリュフのジューソース

  • 13年8月昼 フランス・ヴァンデ産 鴨フィレ肉の適温ロースト 鮮やかな小野菜の南仏風 ソース・トリュフのリーニュ

  • 13年8月昼 フロマージュ

  • 13年8月昼 桃のコンポート マラスキーノ風味のグラニテと共に

2017/07/08 更新

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