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昼の点数:3.5
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¥2,000~¥2,999 / 1人
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料理・味 3.6
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|サービス 2.8
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|雰囲気 3.4
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|CP 3.2
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|酒・ドリンク -
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[ 料理・味3.6
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| サービス2.8
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| 雰囲気3.4
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| CP3.2
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| 酒・ドリンク- ]
蒸しでも、天然でもない。い志ばしは“焼きで勝負”の鰻。
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2025/05/18 更新
成田・船形の地に佇む「い志ばし」さんは、観光地的な派手さとは無縁ながら、30年以上通い続けている私にとって、心の底から“うなぎが食べたくなるときに思い浮かぶ店”です。
このお店の鰻は、一般に語られる「関東風の蒸しを効かせた上品なうなぎ」とも違い、もっとふくよかで贅沢な印象。使用しているのは脂のりの良い国産の養殖鰻。近年は天然志向の高まりもありますが、養殖だからこそ実現できる、脂の甘みと柔らかな肉質を、い志ばしはしっかりと美点として引き出しています。
実際、鰻は旬が夏ではなく「脂が乗る冬」とも言われるほど、脂の質と調理技術が味を左右する食材。そのため、ただ脂が多いだけではなく、焼きの技術で余分な脂を落とし、香ばしさと旨味だけを残す“火入れ”こそが、職人の腕の見せ所なのです。
い志ばしの蒲焼は、まさにその技術を体現した一皿。表面は香ばしく、口に入れるととろけるような柔らかさと、芳醇なタレの香り。タレはあくまで控えめで、ご飯と鰻の間をつなぐ名脇役に徹しています。店によっては甘すぎたり重すぎたりするタレが主張しすぎることもありますが、ここは真逆。鰻の脂の甘みと相まって、全体が“引き算の調和”で仕上がっているのが特徴です。
派手な盛り付けや過剰なサービスはありませんが、それがまたいい。木の引き戸をくぐった瞬間の空気、重箱の蓋を開けたときの湯気と香り、そして一口目の多幸感──どれをとっても、わざわざ来る価値があります。
この味は、一度食べて「美味しい」ではなく、何年経っても「またあの味が食べたい」と思わせてくれる稀有な存在。脂の旨さにこそ魅了される、そんな鰻の世界を、い志ばしは静かに、しかし確実に教えてくれます。