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ILEACH (50代前半・男性・埼玉県) 認証済
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1回
夜の点数:4.5
2025/02 訪問
予約の取れないオーベルジュの地元の恵みを活かした独創的で美味しい料理とホスピタリティ溢れる演出
伊豆湯ヶ島温泉にある予約の取れないオーベルジュです。以前から行きたいと思っていたのですが、家族の記念日のお祝いに、平日でしたが4ヶ月前になんとか予約できて行ってみました。結論から言うと、シンプルでスタイリッシュな部屋や温泉も良かったですが、地元素材をふんだんに使った独創的で美味しい料理とホスピタリティ溢れる演出が非常に素晴らしかったです。伊豆湯ヶ島温泉は、伊豆半島の中心辺りに位置する山の中の温泉で温泉街らしい温泉街はありませんが、中々良い宿が点在しています。宿は伊豆半島を縦に貫く国道414号線から少し離れた狩野川沿いの静かな場所にあります。公共交通機関で行くと三島から伊豆箱根鉄道に乗り終点の修善寺駅からバスまたはタクシーで20分程度です。我々は自家用車で行きましたが、その場合、帰りの伊豆中央道のチケットをサービスしてくれました。敷地への入口は控えめな石造りの案内板があるだけなので少し分かり辛いです。敷地内に入ると車寄せのエントランスがあり、チェックイン時間前に着いたにも関わらず、敷地内に車を乗り入れるとすぐに数人のスタッフが出てきて誘導してくれました。エントランスは入口と雨に濡れずに車から降りるための屋根があるだけで、中に進んでも室内に入る訳ではなく、入口の先には雑木林が広がっています。雑木林の中には客室棟2棟とレストランの建物があり、エントランスで車を預けてそのまま部屋に案内されました。チェックインは客室で行い、手続きの間にウェルカムドリンクの苺のカクテル(ノンアルコールも選択可)と小菓子が運ばれてきましたチェックイン時に、夕食と朝食の時間と夕食のメイン料理、追加料理の有無を選びます。但し、メインの魚はこの時間にシェフが市場に仕入れに行って決まるので、何になるかは分からないとの事でした。また、我々は1番に到着したのですが、夕食時間は18時は既にいっぱいと言われたので、常連客は事前に夕食時間も指定するのかもしれません。なお、このいっぱいというのは満席と言う事ではなく、料理の提供時間をずらす為と思われます。こちらの宿は客室は16室のみで、大浴場等はありませんが、全ての客室のテラスに露天風呂があり掛け流しの温泉が楽しめます。我々はリバーウィングスイートという部屋に泊まったのですが、スタイリッシュでシンプルな部屋で、目の前は狩野川の渓流と天城の山が広がり良い眺めでした。但し、一泊7万円以上の価格を考えると部屋の広さや設備はそこまでではありません。やはりこの宿は料理を味わうために来る場所みたいです。夕食までの時間は、美しい景色を眺めながらゆっくり温泉に浸かったり、伊豆の地ビールを飲んだり、本を読んだり、備え付けのオーディオで音楽を聞いたりして、のんびりと寛いだ時間を過ごしました。夕食は敷地内のレストランでいただきました。レストランはカウンター席、テーブル席、個室があり、カウンターの中はオープンキッチンでその後ろは一面ガラス貼りになっており、控えめにライトアップされた美しい雑木林を眺めながら食事をいただけます。我々はテーブル席でしたが、テーブル席は一段高くなっていてソファーに横並びなので、カウンター席同様美しい景色を眺めながら食事をいただけました。この日のメニューは以下の通りでした。タパス・本エビとレモンクリーム クレープのコック・あまごとわさびのタルトレット 黄金イクラ・黒米チップと歌子卵黄 塩カツオのラペ・深海魚の煮込み クロケット仕立て・マッシュルームのベニエ ふじやまプロシュートと燻製バター前菜・アオリイカ ブロッコリー キャビア 柚子・赤座海老 ケール 海藻・自家製カラスミ(本日の特別料理)・舞茸 赤城シャモスープ(シェフのサービス)魚料理・寒鰆 スパイス 根菜 ケッパーメイン(以下から選択)・伊豆牛 甘とろ葱 ニョッキ・天城猪 ゴボウ 菊芋 りんご・本日おすすめ地魚(ヒゲダイ 牡蠣)デザート・紅ほっぺ苺 アーモンド・柑橘 ショコラ カルダモンミニャルディーズ飲み物はボトルワインも数多くありましたが、グラスワインのペアリングがあったのでそれをいただきました。ペアリングは3杯〜6杯まで選ぶ事ができ、ソムリエの方に「あまり飲めないけど料理に合わせて適度に楽しみたい」と伝えると4杯のセットを薦めていただきました。この日いただいたのは以下の通りです。・シャンパーニュ(1杯はロゼに変更いずれも銘柄失念)・オストレア テール ド ヨイチ・ブルゴーニュのシャルドネ(銘柄失念)・シュペートブルグンダー(メイン魚料理に合わせて)・レ セッレ ヌーブォ デル オルネライア(メイン猪に合わせて)まず最初のタパスですが、シェフの手作りという長さ1m以上、幅40cmくらいの大きな木の幹をくり抜いた容器を店員さん二人がかりで運んでこられました。くり抜いた木の中にはイミテーションの苔が敷き詰められ、一口サイズのタパスが並べてあり、食事のスタートから中々面白い演出でした。勿論、見た目だけではなく味も素晴らしく、どれも工夫を凝らした一口サイズのフィンガーフードでシャンパーニュによく合いました。続いてはアオリイカとブロッコリーの前菜でした。刻んだアオリイカとブロッコリーを更にアオリイカで包み、キャビアと柚子風味の泡が添えてありました。アオリイカとブロッコリーの繊細な味わいにキャビアの塩気と旨味や柚子の風味が重なって非常に美味しかったです。ワインは、北海道余市の平川ワイナリーの白ワインをあわせていただきました。日本のワイナリーらしいスッキリ爽やかな味わいで料理を引き立てました。二皿目は赤座海老と海藻の前菜で、ぷりぷりした海老の身の上にパリッと焼いた海藻やプチプチした食感の海ぶどう等、様々な海藻類がトッピングしてありました。海老と海藻の食感の対比が楽しく、また海老の赤と海藻の緑が見た目にも美しい一皿でした。二皿目の前菜の後に、チェックイン時におすすめされて注文した本日の特製料理の自家製カラスミが、アクセサリーでも入れるような木とガラスでできたケースに入れて運んでこられました。これは薄くてパリパリした生地で作った容器にじゃがいものペーストを敷き、鰹節のように削った自家製カラスミをたっぷり載せて、更にカラスミのスライスがトッピングしてありました。手で摘んで少しずついただくと、ふわふわした削ったカラスミとねっとりしたスライスの食感の組み合わせが面白く、口いっぱいにカラスミの風味が広がりました。また、じゃがいものペーストの中には、蕪?らしきスライスが入っていて、瑞々しくしゃきしゃきした食感が良いアクセントになっていました。前菜3皿目は温かい料理で、軍鶏の身でフォアグラを巻いたものと舞茸が入った洋風の茶碗蒸しのような料理でした。ワインはブルゴーニュのシャルドネを合わせ、その前のスッキリした余市の白とは打って変わって、キリッとシャープな味わいで、軍鶏や舞茸の旨味を引き立てました。前菜と魚料理の間にシェフからのサービスという事で、魚介出汁のスープが出てきました。魚料理は寒鰆のソテーで、鰆は皮はパリっと身はホクホクに焼いてありました。付け合わせは蕪や葉野菜をグリルしたもので、ケッパーのソースやオリジナルのスパイスの粉が散らしてあり、独特で刺激的な風味が面白い一品でした。メインは、私が魚料理、妻は猪をいただきました。魚料理はヒゲダイと牡蠣でした。魚介は蒸してあるのか、ヒゲダイの身はふんわりと、大振りの牡蠣はぷりぷりして大変美味しかったです。クリーム系のソースを使い、魚料理ですが満足感のあるボリュームで、付け合わせにはカリフラワーやケール等の野菜が散らしてありました。ワインはドイツのピノ・ノワールを合わせていただき、優しい味のソースと渋みが少なく繊細な赤ワインがよく合いました。猪は脂身の付いた赤身肉を焼いて、牛蒡、菊芋、りんごと合わせてスライスしたトリュフを振りかけてありました。私は田舎の出身なので猪は比較的食べているのですが、このようにフランス料理でいただくのは初めてでしたが、猪肉の赤身の旨味と程よい脂を上手く活かしてあり美味しかったです。ワインはメルロー主体のイタリアの銘酒で、果実感のある濃厚なワインが野性味のある猪によく合いました。デザート一皿目は静岡の苺紅ほっぺとアーモンドのムースで、苺の爽やかな甘さが特徴的でした。二皿目は濃厚なチョコレートのテリーヌに柑橘類のソースとカルダモンの泡を添えて、複雑で濃厚な一品でした。対象的な二皿のデザートでどちらも美味しかったです。食事の最後はコーヒーとお茶菓子でしたが、お茶菓子はタパスの容器同様シェフの手作りという、蛇をイメージした大きな木のオブジェ?に載せて出てきました。また、この日は妻の誕生日だったため、従業員が手作りしたというオルゴールでバースデーソングを流していただき、メッセージカードもいただきました。食事の最後まで素晴らしい演出でした。食事の後は部屋でゆっくり温泉に浸かったり、渓流のせせらぎを聴きながら食後酒を飲んで静かな夜を過ごしました。翌日の朝食も夕食と同じレストランでいただきました。今度はカウンター席に案内され、夜とはまた雰囲気が変わり、宿のシンボルツリーの大きなクスノキの古木や美しい木々にとまる小鳥等を眺めながら食事をいただきました。なお、1番グレードの高いスイートに宿泊した場合は、朝食は部屋でいただくようです。朝食は「アルカナ 森のピクニック」と銘打って以下のメニューでした。・卵料理・季節野菜 鬼おろしとセロリソース・自家製ハム・サラダ 温泉ドレッシング ピザラディエール風・マッシュルームのヴルーテ 燻製ほうじ茶の泡・白菜のコールスロー 深海エビとチーズ・グリークヨーグルト りんごとライム・パン(クロワッサン、パン ド ミ、くるみ)・はちみつ コンフィチュール(梅) バター・蜜柑ジュース2種/人参ジュース/トマトジュース/牛乳/ヨーグルト・コーヒー/紅茶卵料理は、オムレツ/スクランブルエッグ/目玉焼き/茹で卵/温泉卵の5種の調理方法×木の子とソーセージ/チーズとトマトソース/たこ焼き風等の5種の副材料、味付けの組み合わせから選ぶ事ができます。私はスクランブルエッグ×木の子とソーセージ、妻はオムレツ×チーズとトマトソースを選びました。卵料理は注文が入ってから一つずつシェフが目の前のオープンキッチンで調理してくれました。卵も地元の生産者の素晴らしいものを使っているらしく、出来たてのオムレツやスクランブルエッグは大変美味しかったです。私が1番気に入ったのは、季節野菜と鬼おろしの料理です。これは、ブロッコリーやキャベツや蕪などの様々な野菜と粗くおろした大根とセロリのソースを合わせたもので、私はこのような料理は初めていただきました。鬼おろしとセロリのソースが様々な野菜の美味しさを引き出しており、結構な量があったのですがもっと食べたいくらいでした。サラダには温かい玉葱のドレッシングと、オリーブで作ったチップが添えてあったのですが、この提供方法が非常にユニークでした。風呂で使う木の手桶に湯を張ってお銚子に入れたドレッシングを温め、オリーブのチップはお猪口に入れ、お銚子を拭くための手拭いに、「湯ヶ島温泉 あるかなの湯」の旗まで立っています。私は温泉宿を巡るのが好きで、有名宿も含めて色々行っていますが、このような演出は初めてで面白いと思いました。ほうじ茶の泡を添えたマッシュルームのスープや白菜のコールスローも他では中々いただけない味で非常に美味しかったです。地元産の各種ジュースもどれも味が濃厚で美味しかったので、4種類全て少しずついただきました。朝食後は、敷地内や周辺を少し散歩したり、部屋に戻ってゆっくり温泉に入ったり、部屋でコーヒーをいただいたりして過ごしました。こちらの宿はチェックアウト時間が13時なので、午前中も時間を気にせずゆっくり過ごす事ができます。普通の宿はチェックアウト時間は10〜11時が一般的で遅くても12時なので、13時というのは非常に珍しいです。翌日も早くから観光等に行きたいという方には向いていませんが、我々はほぼこの宿だけを目的に着ているので、13時までゆっくり過ごして帰路につきました。シンプルで居心地の良い部屋や温泉も良かったですが、やはり期待通り食事が素晴らしかったです。地元素材をふんだんに使った独創的な料理は大変美味しく、また、夕食のタパスやカラスミ、食後のお茶菓子、朝食のドレッシング等、随所にお客さんを楽しませようとする演出が工夫されており、思い出に残る一泊になりました。またいつか機会があれば行きたい宿です。
2025/02/24 更新
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テイクアウト
家族・子供と
デート
女子会
合コン
大人数の宴会
接待
一人で入りやすい
知人・友人と
禁煙 分煙を含む
喫煙可
ワインあり
日本酒あり
焼酎あり
オシャレな空間
カップルシート
カウンター席
ソファー席
座敷
伊豆湯ヶ島温泉にある予約の取れないオーベルジュです。
以前から行きたいと思っていたのですが、家族の記念日のお祝いに、平日でしたが4ヶ月前になんとか予約できて行ってみました。
結論から言うと、シンプルでスタイリッシュな部屋や温泉も良かったですが、地元素材をふんだんに使った独創的で美味しい料理とホスピタリティ溢れる演出が非常に素晴らしかったです。
伊豆湯ヶ島温泉は、伊豆半島の中心辺りに位置する山の中の温泉で温泉街らしい温泉街はありませんが、中々良い宿が点在しています。
宿は伊豆半島を縦に貫く国道414号線から少し離れた狩野川沿いの静かな場所にあります。
公共交通機関で行くと三島から伊豆箱根鉄道に乗り終点の修善寺駅からバスまたはタクシーで20分程度です。
我々は自家用車で行きましたが、その場合、帰りの伊豆中央道のチケットをサービスしてくれました。
敷地への入口は控えめな石造りの案内板があるだけなので少し分かり辛いです。
敷地内に入ると車寄せのエントランスがあり、チェックイン時間前に着いたにも関わらず、敷地内に車を乗り入れるとすぐに数人のスタッフが出てきて誘導してくれました。
エントランスは入口と雨に濡れずに車から降りるための屋根があるだけで、中に進んでも室内に入る訳ではなく、入口の先には雑木林が広がっています。
雑木林の中には客室棟2棟とレストランの建物があり、エントランスで車を預けてそのまま部屋に案内されました。
チェックインは客室で行い、手続きの間にウェルカムドリンクの苺のカクテル(ノンアルコールも選択可)と小菓子が運ばれてきました
チェックイン時に、夕食と朝食の時間と夕食のメイン料理、追加料理の有無を選びます。
但し、メインの魚はこの時間にシェフが市場に仕入れに行って決まるので、何になるかは分からないとの事でした。
また、我々は1番に到着したのですが、夕食時間は18時は既にいっぱいと言われたので、常連客は事前に夕食時間も指定するのかもしれません。
なお、このいっぱいというのは満席と言う事ではなく、料理の提供時間をずらす為と思われます。
こちらの宿は客室は16室のみで、大浴場等はありませんが、全ての客室のテラスに露天風呂があり掛け流しの温泉が楽しめます。
我々はリバーウィングスイートという部屋に泊まったのですが、スタイリッシュでシンプルな部屋で、目の前は狩野川の渓流と天城の山が広がり良い眺めでした。
但し、一泊7万円以上の価格を考えると部屋の広さや設備はそこまでではありません。
やはりこの宿は料理を味わうために来る場所みたいです。
夕食までの時間は、美しい景色を眺めながらゆっくり温泉に浸かったり、伊豆の地ビールを飲んだり、本を読んだり、備え付けのオーディオで音楽を聞いたりして、のんびりと寛いだ時間を過ごしました。
夕食は敷地内のレストランでいただきました。
レストランはカウンター席、テーブル席、個室があり、カウンターの中はオープンキッチンでその後ろは一面ガラス貼りになっており、控えめにライトアップされた美しい雑木林を眺めながら食事をいただけます。
我々はテーブル席でしたが、テーブル席は一段高くなっていてソファーに横並びなので、カウンター席同様美しい景色を眺めながら食事をいただけました。
この日のメニューは以下の通りでした。
タパス
・本エビとレモンクリーム クレープのコック
・あまごとわさびのタルトレット 黄金イクラ
・黒米チップと歌子卵黄 塩カツオのラペ
・深海魚の煮込み クロケット仕立て
・マッシュルームのベニエ ふじやまプロシュートと燻製バター
前菜
・アオリイカ ブロッコリー キャビア 柚子
・赤座海老 ケール 海藻
・自家製カラスミ(本日の特別料理)
・舞茸 赤城シャモ
スープ(シェフのサービス)
魚料理
・寒鰆 スパイス 根菜 ケッパー
メイン(以下から選択)
・伊豆牛 甘とろ葱 ニョッキ
・天城猪 ゴボウ 菊芋 りんご
・本日おすすめ地魚(ヒゲダイ 牡蠣)
デザート
・紅ほっぺ苺 アーモンド
・柑橘 ショコラ カルダモン
ミニャルディーズ
飲み物はボトルワインも数多くありましたが、グラスワインのペアリングがあったのでそれをいただきました。
ペアリングは3杯〜6杯まで選ぶ事ができ、ソムリエの方に「あまり飲めないけど料理に合わせて適度に楽しみたい」と伝えると4杯のセットを薦めていただきました。
この日いただいたのは以下の通りです。
・シャンパーニュ(1杯はロゼに変更いずれも銘柄失念)
・オストレア テール ド ヨイチ
・ブルゴーニュのシャルドネ(銘柄失念)
・シュペートブルグンダー(メイン魚料理に合わせて)
・レ セッレ ヌーブォ デル オルネライア(メイン猪に合わせて)
まず最初のタパスですが、シェフの手作りという長さ1m以上、幅40cmくらいの大きな木の幹をくり抜いた容器を店員さん二人がかりで運んでこられました。
くり抜いた木の中にはイミテーションの苔が敷き詰められ、一口サイズのタパスが並べてあり、食事のスタートから中々面白い演出でした。
勿論、見た目だけではなく味も素晴らしく、どれも工夫を凝らした一口サイズのフィンガーフードでシャンパーニュによく合いました。
続いてはアオリイカとブロッコリーの前菜でした。
刻んだアオリイカとブロッコリーを更にアオリイカで包み、キャビアと柚子風味の泡が添えてありました。
アオリイカとブロッコリーの繊細な味わいにキャビアの塩気と旨味や柚子の風味が重なって非常に美味しかったです。
ワインは、北海道余市の平川ワイナリーの白ワインをあわせていただきました。
日本のワイナリーらしいスッキリ爽やかな味わいで料理を引き立てました。
二皿目は赤座海老と海藻の前菜で、ぷりぷりした海老の身の上にパリッと焼いた海藻やプチプチした食感の海ぶどう等、様々な海藻類がトッピングしてありました。
海老と海藻の食感の対比が楽しく、また海老の赤と海藻の緑が見た目にも美しい一皿でした。
二皿目の前菜の後に、チェックイン時におすすめされて注文した本日の特製料理の自家製カラスミが、アクセサリーでも入れるような木とガラスでできたケースに入れて運んでこられました。
これは薄くてパリパリした生地で作った容器にじゃがいものペーストを敷き、鰹節のように削った自家製カラスミをたっぷり載せて、更にカラスミのスライスがトッピングしてありました。
手で摘んで少しずついただくと、ふわふわした削ったカラスミとねっとりしたスライスの食感の組み合わせが面白く、口いっぱいにカラスミの風味が広がりました。
また、じゃがいものペーストの中には、蕪?らしきスライスが入っていて、瑞々しくしゃきしゃきした食感が良いアクセントになっていました。
前菜3皿目は温かい料理で、軍鶏の身でフォアグラを巻いたものと舞茸が入った洋風の茶碗蒸しのような料理でした。
ワインはブルゴーニュのシャルドネを合わせ、その前のスッキリした余市の白とは打って変わって、キリッとシャープな味わいで、軍鶏や舞茸の旨味を引き立てました。
前菜と魚料理の間にシェフからのサービスという事で、魚介出汁のスープが出てきました。
魚料理は寒鰆のソテーで、鰆は皮はパリっと身はホクホクに焼いてありました。
付け合わせは蕪や葉野菜をグリルしたもので、ケッパーのソースやオリジナルのスパイスの粉が散らしてあり、独特で刺激的な風味が面白い一品でした。
メインは、私が魚料理、妻は猪をいただきました。
魚料理はヒゲダイと牡蠣でした。
魚介は蒸してあるのか、ヒゲダイの身はふんわりと、大振りの牡蠣はぷりぷりして大変美味しかったです。
クリーム系のソースを使い、魚料理ですが満足感のあるボリュームで、付け合わせにはカリフラワーやケール等の野菜が散らしてありました。
ワインはドイツのピノ・ノワールを合わせていただき、優しい味のソースと渋みが少なく繊細な赤ワインがよく合いました。
猪は脂身の付いた赤身肉を焼いて、牛蒡、菊芋、りんごと合わせてスライスしたトリュフを振りかけてありました。
私は田舎の出身なので猪は比較的食べているのですが、このようにフランス料理でいただくのは初めてでしたが、猪肉の赤身の旨味と程よい脂を上手く活かしてあり美味しかったです。
ワインはメルロー主体のイタリアの銘酒で、果実感のある濃厚なワインが野性味のある猪によく合いました。
デザート一皿目は静岡の苺紅ほっぺとアーモンドのムースで、苺の爽やかな甘さが特徴的でした。
二皿目は濃厚なチョコレートのテリーヌに柑橘類のソースとカルダモンの泡を添えて、複雑で濃厚な一品でした。
対象的な二皿のデザートでどちらも美味しかったです。
食事の最後はコーヒーとお茶菓子でしたが、お茶菓子はタパスの容器同様シェフの手作りという、蛇をイメージした大きな木のオブジェ?に載せて出てきました。
また、この日は妻の誕生日だったため、従業員が手作りしたというオルゴールでバースデーソングを流していただき、メッセージカードもいただきました。
食事の最後まで素晴らしい演出でした。
食事の後は部屋でゆっくり温泉に浸かったり、渓流のせせらぎを聴きながら食後酒を飲んで静かな夜を過ごしました。
翌日の朝食も夕食と同じレストランでいただきました。
今度はカウンター席に案内され、夜とはまた雰囲気が変わり、宿のシンボルツリーの大きなクスノキの古木や美しい木々にとまる小鳥等を眺めながら食事をいただきました。
なお、1番グレードの高いスイートに宿泊した場合は、朝食は部屋でいただくようです。
朝食は「アルカナ 森のピクニック」と銘打って以下のメニューでした。
・卵料理
・季節野菜 鬼おろしとセロリソース
・自家製ハム
・サラダ 温泉ドレッシング ピザラディエール風
・マッシュルームのヴルーテ 燻製ほうじ茶の泡
・白菜のコールスロー 深海エビとチーズ
・グリークヨーグルト りんごとライム
・パン(クロワッサン、パン ド ミ、くるみ)
・はちみつ コンフィチュール(梅) バター
・蜜柑ジュース2種/人参ジュース/トマトジュース/牛乳/ヨーグルト
・コーヒー/紅茶
卵料理は、オムレツ/スクランブルエッグ/目玉焼き/茹で卵/温泉卵の5種の調理方法×木の子とソーセージ/チーズとトマトソース/たこ焼き風等の5種の副材料、味付けの組み合わせから選ぶ事ができます。
私はスクランブルエッグ×木の子とソーセージ、妻はオムレツ×チーズとトマトソースを選びました。
卵料理は注文が入ってから一つずつシェフが目の前のオープンキッチンで調理してくれました。
卵も地元の生産者の素晴らしいものを使っているらしく、出来たてのオムレツやスクランブルエッグは大変美味しかったです。
私が1番気に入ったのは、季節野菜と鬼おろしの料理です。
これは、ブロッコリーやキャベツや蕪などの様々な野菜と粗くおろした大根とセロリのソースを合わせたもので、私はこのような料理は初めていただきました。
鬼おろしとセロリのソースが様々な野菜の美味しさを引き出しており、結構な量があったのですがもっと食べたいくらいでした。
サラダには温かい玉葱のドレッシングと、オリーブで作ったチップが添えてあったのですが、この提供方法が非常にユニークでした。
風呂で使う木の手桶に湯を張ってお銚子に入れたドレッシングを温め、オリーブのチップはお猪口に入れ、お銚子を拭くための手拭いに、「湯ヶ島温泉 あるかなの湯」の旗まで立っています。
私は温泉宿を巡るのが好きで、有名宿も含めて色々行っていますが、このような演出は初めてで面白いと思いました。
ほうじ茶の泡を添えたマッシュルームのスープや白菜のコールスローも他では中々いただけない味で非常に美味しかったです。
地元産の各種ジュースもどれも味が濃厚で美味しかったので、4種類全て少しずついただきました。
朝食後は、敷地内や周辺を少し散歩したり、部屋に戻ってゆっくり温泉に入ったり、部屋でコーヒーをいただいたりして過ごしました。
こちらの宿はチェックアウト時間が13時なので、午前中も時間を気にせずゆっくり過ごす事ができます。
普通の宿はチェックアウト時間は10〜11時が一般的で遅くても12時なので、13時というのは非常に珍しいです。
翌日も早くから観光等に行きたいという方には向いていませんが、我々はほぼこの宿だけを目的に着ているので、13時までゆっくり過ごして帰路につきました。
シンプルで居心地の良い部屋や温泉も良かったですが、やはり期待通り食事が素晴らしかったです。
地元素材をふんだんに使った独創的な料理は大変美味しく、また、夕食のタパスやカラスミ、食後のお茶菓子、朝食のドレッシング等、随所にお客さんを楽しませようとする演出が工夫されており、思い出に残る一泊になりました。
またいつか機会があれば行きたい宿です。