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お店は美瑛市内から白金温泉方面に向か途中にあります。まわりを畑で囲まれ夏であれば、緑一杯の中に建っているのですが、この時期は、白銀の世界となっています。
駐車場に車を停めて、雪の壁となっている小道を歩いて玄関に向かいます。
雪の壁に上には、兎と思われる足跡があり、大自然の北海道を感じさせてくれます。
お店は、白壁の一軒家です。この日はオフシーズンの日曜日でしたが、それでも予約で満席となっていて、予約客優先の旨の案内が玄関扉に掛かっています。(結局この日は13時過ぎであれば予約無しでも入れてました)
店内も、白壁に木の柱と言った素朴なつくりで、窓際の席からは、十勝岳が臨めます。
「バローレ」さんでのランチは、パスタコースであれば予約無しでもいただけますが、せっかくなので、2日前までに予約が必要な「おまかせコース」でお願いをしました。
私は運転があるので、ペリエをもらい、相方は白ワインをもらって乾杯です。
まず、最初に自家製のパンが運ばれて来ました。パンは、バケットとイチジク、胡桃と柑橘のピールの入ったパンの2種類で、暖かく、そしてとても美味しいです。
パンに続いて、スープが運ばれて来ました。この日のスープは蕪のポタージュです。
真っ白いお皿の周りには黒トリフのパウダーが散らされいます。ポタージュの中に浮かんでいる薄緑は蕪の葉で作ったクリームで、茶色はフォアグラのグリルです。色取りが綺麗ですが、蕪独特の柔らか味のある甘いポタージュを頂いていくと、ポタージュの下にはなんとフォアグラのフランが隠れています。優しい蕪の味とコクのあるフォアグラがとてもマッチしていてフォアグラ好きな私にはたまらない美味しさです。
つづいて、前菜のお皿が運ばれて来ましたが、テーブルにおいてもらった瞬間にその色鮮やかな美しさに「わーっ!」と思わず声が出てしまいました。ベースとして敷き詰められている、赤、緑、黄色、紫はすべて大根や蕪など自然の色の食材を利用していると言うことで、黄色、赤、緑のトマトも天然そのままだそうです。緑のトマトは一瞬、未成熟なトマトなのかと思いますが、しっかりとトマトの味がします。
前菜としてのメインは、根セロリの上に、白子とオレンジのテリーヌを載せ、一番上に石狩湾で沖締めしたニシンと言う3層になっています。皮目を炙ったニシンはカリッとした表面の中からニシンの脂の旨味が溢れて来てとても美味しいです。そして、白子とオレンジと言う意外な組み合わせのテリーヌも食材の相性が良く美味しいです。
おまかせコースの3品目はパスタ料理が運ばれて来ました。
パスタ自体はシェフが小麦と卵黄だけで作ったという自家製で、ソースは渡り蟹のクリームソースです。そこに縮みほうれん草と渡り蟹の身をトッピングし、一番上に、細切りしたジャガイモを巻いてフライにした天使の海老が乗っています。パスタの周りには、百合根と蓮根をそれぞれ雪と結晶に見立てて散らしてあり、季節感を演出しています。
パスタは塩を使っていないので、小麦そのものの味がして淡白ですが、逆にそれが濃厚な渡り蟹のソースの旨みを押し出していて私にはとても美味しく感じました。併せて、縮みほうれん草の苦味とさくさくとした食感の天使の海老のバランスもよくこちらも秀逸な逸品です。
メインは、美瑛牛のミスジのステーキです。
ミスジは1頭の牛から数百グラムしか取れないという貴重な部位で、赤みなのにサシも入っている肉です。
そのミスジをレアに近い状態でグリルをし、そこの葉玉葱と菜の花を絡めてします。そして、お皿全体としては、その他に、空豆、ブロッコリー、緑のカリフラワー、オクラ、グリーンピースなども使い、パスタから一転して春を感じさせる緑で彩っています。絵の具のような緑のソースは肉のそばにある葉玉葱と菜の花のソースです。
ステーキそのものは、赤みの肉と脂の旨みがいっぺんに味わえ、そこに緑の野菜たちが良いアクセントなっていてこちらも美味な料理です。特に、緑のカリフラワーは2月に行った弘前の「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」さんでも出ましたが、「バローレ」さんでは茹で加減がわたし好みの硬さになっており、美味しく感じました。
料理は以上でお仕舞いで続いて、デザートが運ばれて来ました。
デザートはサクラのムースにチェリーとバニラのジェラートが添えられ、こちらは一転して春らしいピンクで統一されています。サクラのムースは桜餅みたいな味わいでそれほど甘くありません。
お茶は、わたしがエスプレッソを相方がハーブティを頂きました。
ハーブティーの方も色取りを意識したもので、最後まで華やかがあります。
お茶が出て、これで終わりかと思っていると、さらにプティフールを持って来てくれました。
ライムのジェラートにライムのジェル、ライムのムースを中に仕込んだシガレットとライムのマシュマロと言う岡山産のライムづくしのお菓子です。ライムの酸味が最後に口の中をさっぱりさせてくれるという計らいを感じます。
飲み物はペリエを一本と相方が白・赤のワインを一杯づつもらって、以上でお会計は一万円ほどと、コストパフォーマンスも素晴らしいです。全てのお皿に美しさと美味しがありどれも感動がありました。私見では山形の鶴岡にある「アルケッチャーノ」さんと並ぶ満足度が高い食事で、北海道に行った際には是非とも寄る価値のレストランと思いました。