2015年5月。
岩手の小岩井農場を訪れました。
さっそく「小岩井農場自然散策」60分のコースに参加します。
自然ガイドさんの案内で、広大な農場の敷地内の自然の息吹きを
散策しながらみんなで発見してゆきます。
蕗の薹の雌雄株の違い、アカマツとカラマツの松ぼっくりの違い、
宿り木とレンジャク(鳥)の関係、葉や枝が薫る黒文字の花、
ミズバショウやサクラソウ、他にもさまざまな色と形で咲く春の花々、
囀る小鳥たち、せせらぎにすっくと伸びる植物たち。
そして広大な放牧地でのんびりと草を食む牛たちの姿。
昭和9年に建てられた国の有形文化財「1号牛舎」内では、
今でも搾乳される牛たちがゆったりと寛ぐ姿が見られます。
農場の120年の歴史を見守り続けてきた、岩手山の雄大な姿もまた
欠かすことのできない農場の主役、なのかもしれません。
今では観光業をも手掛け、一大アミューズメントパークとなっていますが、
1891(明治24)年に岩手山の火山灰土の地に開場した小岩井農場は、
開墾・排水・植林など、数十年に亘る関係者の血のにじむ努力の末、
日本の畜産振興の一翼を担う民間農場として、
確かな足跡を歴史に刻んできました。
特に、戦前に外国から優秀な種畜(牛・馬)の輸入をすすめ、
日本初の三冠馬セントライトの生産牧場となり、
またイギリスから優秀な繁殖牝馬20頭を輸入して、
カブトヤマ、コダマ、シンザン、タケホープ、キタノカチドキ、
メジロマックイーン、スペシャルウィーク、ウオッカ…と
現代まで脈脈と受け継がれる
日本の競馬史に残る名馬を輩出してきた、牝系の基礎を築き上げたのです。
戦後、GHQの政策により競走馬の生産から撤退した後も、
酪農と乳加工、種鶏とたまごを主な事業として、
常に日本の畜産界に貢献し、乳業の技術をリードし続けてきた
農場のパイオニアと言えるでしょう。
小岩井農場に行かれるのなら、
他の観光牧場とは一線を画した、その先人の努力の賜物と
輝かしい事業の片鱗を感じられる
農場ツアーや自然散策に、ぜひ参加してみてください!!