田沢湖周回道路を走っていて、迷い込むように辿り着いたこちら。
まるでタイムスリップしたかのような、
古い古い木造校舎と校庭、春の名残の花を風に散らす桜の古木。
車を停めて昇降口から中に入ってみると、
ガタガタ音を立てるスノコを敷いた下駄箱、
みかんネットで石鹸を蛇口の根元に吊るした、懐かしい手洗い場が。
木の机とイスが並ぶ教室には、足踏みオルガンとストーブ、
黒板に「ふるさと」の歌詞が書かれていたので、
机の上にあった鉄琴で「ふるさと」を弾き始めたら、
その教室にいた方がみんな一緒に歌ってくれました(^o^)。
歌のチカラって、時として言葉以上に思いを共有できて、スゴイですよね。
この分校は、明治15年に開校。
昭和27年には地域の人たちの惜しみない協力を得て
二階建てに増築され現在の姿になりましたが、
その後児童数の減少により、昭和49年に廃校になりました。
老朽化が進み、解体も検討された校舎は、
平成16年に「思い出の潟分校」として修復され、一般公開されています。
本当に時間を遡って、ふとこの場所に迷い込んでしまったかのように
日本の原風景の中に、言葉もなくただ佇むひととき…。
満開の桜に迎えられるよりも、春を惜しむ花吹雪の中に佇む校舎が、
郷愁をひとしお誘う、心に染み入る風景でした。