『報道されない女神様へ』ForestSpringWaterさんの日記

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あなたは何もかもを持っている人だと思っていた。舞台が大好きで、惜しみない情熱を注ぎ、舞台の上では飛び切りに美しいのに、舞台を降りれば、どんなお客にもやさしく気さく。先輩からも一目を置かれ、後輩にも慕われている。全国の劇場から引っ張りダコで、コースにも不自由しない。まさにこの仕事が天職なのだろうと思い込んでいた。

7年~8年前だろうか。「体が動く限り舞台に立ち続けたい」との趣旨のコメントをされたインタビューを拝見したことがあり、きっとずっと、この世界で輝き続けていかれる方なのだと信じて疑わなかった。

あなたの持つ余りに眩い光は、全ての影を覆い隠していたのだ。

その認識がとても浅いものだったのだと気づいたのは、ほんの1ヶ月半前。「光と影」を見ている時だった。

舞台の上の主人公は、きっとあなたそのものだ。踊り子として決定的に足りていないというあなたの自信のなさが生み出した作品。そう感じた瞬間から、明るく光に満ちていたはずのスポットライトの世界は、あなたにとって苦悩と苦痛の場に暗転する。そういう苦しみと影を抱えながら、舞台に立ち続けていたのだと思うと、いたたまれぬような気持ちになった。

あの作品を見たことで、今まで遥か遠い高嶺の花のような存在だったあなたが、実はとても近くて愛おしい存在になった。

と同時に、その影の感情が体に流れ込んでくるというか、感情移入をしすぎる作品でもあった。この作品を拝見する時、僕は常に自分自身を責めていたような気がする。なぜ今の今まで、目の前にある事実に気付くことができなかったのだろうかと。

結局、最後の最後まで、いいお客ではなかったと思う。あなたが舞台を降りるという現実であったり、あなたの心の中の影を直視することができなかったから。暴飲暴食の揚句に意識を失うという愚挙を繰り返してしまう何とも情けない状況。腹を括れないままに全てが終わってしまったことを、今更ながら、とても深く悔い、喪失感にさいなまれている。

ただ、最後の舞台のあなたは、今まで見たこともない程に澄みきった美しい特別なオーラを放っていた。そのこともまた事実。

そして、というかだからこそというか、あの日のスポットライトの光よりも、あなたの人生が光に満ちた幸せなものであって欲しいと願わずにはいられない。

僕はあなたを知ることができたことを、とてもとても誇りに思っている。
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