3回
2017/06 訪問
あなたへ。
とげぬき地蔵を初めてお参りして、
ちょっぴり心の軽くなったあたしは、プルジャさんのお店へ軽やかに向かう。
ここは巣鴨。
だから、迷わない。
線路沿いを歩くとタバコ屋さんがあって、目の前のお店がプルジャさんとこだ。
ガラガラと引き戸をあける。
「イラッシャイマセ。」
プルジャさんの笑顔は、やっぱり変わらなく、
まるで少女のようなの。
今日は、チャウミンとモモをいただこう。
あっ、ビールもね。
おつまみの炒め物と和え物がとってもおいしくて、
ビールがすすんじゃう。
あぁ、みんな、プルジャさんの味がする。
懐かしいような、新鮮なような。
プルジャさんのお料理は、
お料理上手な、ネパールのおじょうさんが作った家庭料理、かな。
*
ある日東京に来て、必ず美味しいものを食べたい!と思った。
思い浮かんだのは、先日いただいたプルジャさんのごはん。
そうだ!
今日もプルジャさんのところへ行こう。
*
陽の沈んでない夕方の巣鴨は、
先日の賑わいとは違って、ビジネスマンが行きかう。
夜の、初めての、プルジャダイニングにワクワク。
私は大好物のパングラ(鳥のキモ炒め)とビールを注文して、
後は何にしようか迷っていた。
「メニューにナイケド、ソバ ノ ハッパの卵トジ アルヨ」
そ、そばの葉っぱ?
食べたことない料理に惹かれた私は、
この日のお料理、そばの葉っぱの卵とじをいただくことにしました。
最初にパングラでビールをグビグビ。
柔らかい、優しい味にホッとする。
でも、どこかに力を感じる。
まるでプルジャさんのようなお料理だ。
そばの葉っぱは少し酸味があって。
ネパールの香りに包まれ、玉子にも包まれたお料理で。
なんて絶妙な炒め方なんだろう。
おいしい!
気が付くとあたしは、プルジャさんとおしゃべりしながら、
ビールを3本あけていた。
あたしはもしかして、おっさん?
帰り路、青い線の電車に揺られながら、思いだすお料理たち。
それはみんな、プルジャさんの愛が詰まっている。
あなたへ。
2017/07/06 更新
2014/11 訪問
あの頃のまま。
わたしは、子供のころから乗り物が苦手で、
車にも、バスにも、電車にも酔ってしまうの。
何度のっても慣れない乗り物。
今日も、やっぱり気分が悪くなってしまった。
しんどい。
新幹線を乗り継いで、山手線で巣鴨まで。
頭の中に入れ込んだ地図を思い浮かべて、
周りを見渡す。
山手線は高架になっていると思ったら、逆で。
シールドのような造りになっていた。
たぶん、こっちが南のはず。
駅前の横断歩道を渡って、山手線の横の道沿いをゆっくりと歩いて。
確か、3本目の筋の角に。
シンプルな引き戸の扉には、OPENと掛けられていて、
扉を開けると、わたしの目の前には、
あの頃のままの、ネパールの少女のように、純粋な笑顔のプルジャさんがいました。
「いらっしゃいませ♪」
「久しぶり♪」と声をかけると、
プルジャさんは、誰だっけ?というような表情をしていた。
そうよね、一度しか伺ったことなくて、
もう、1年以上もの月日が経っているんだもの。
前のお店の時に、名古屋から来たことを話したら、
思い出してくれたようだった。
ネパールの香りのする店内にいたら、
急にお腹が空いてきて、食べたかったプルジャさんのモモを即注文。
あとはどれにしようか?迷ったけど、
一人だし、あれこれ食べられないかな・・・。
プルジャさんに相談しながら、ダルバートをいただくことにしました。
それと、もちろんネパールアイスもね♪
イイ香り。
本当に、心が安らぐ香りがする。
ネパール料理店の独特のスパイスの香り、
インドとも、パキスタンとも違うの。
ご飯は半分サイズにしてもらった、ダルバート。
アツアツに湯気のたっているダル、
ほうれん草のサグに、ムラコアチャール。
シンプルな、わたしのごちそう♪
あれっ?
初めていただくダルの味、とても深い味わいなの。
豆の柔らかさの加えて、なにかが舌に乗っかるのがわかった。
小さな魚、マチャだ!
これが味わいを引き立たせていたのね。
厨房でモモを作っているプルジャさんに感動を伝えたい。
「プルジャさ~ん。マチャ入ってる。すごく美味しいよ!」
やーね、もう、わたしったら。
昼から手酌でビール飲んでるおっさんが、
ママさんに絡んでるみたい。
そのとおりなんだけど♪
わたしみたいな素人が、マチャを覚えていたことを、
プルジャさんはちょっぴり驚いていて、
そして優しく教えてくれたの。
「よく覚えていたね!マチャを。でもね、これはマチャではなく、シダルだよ。
マチャを干して発酵させたものはシダルになるの。」
ごめんなさい、知ったかぶりはダメよね。
この、シダルがいいアクセントになって、
ダルを、いっそう深い味わいにしているの。
気絶しちゃいそう♪
もちろん、モモの皮は、プルジャさんの手作り。
モチモチの皮の中には、ジュワっとマトン&チキンの肉汁がいっぱい。
アンに含んだたっぷりのスープを、こぼさずにいただかなくちゃ。
プルジャさんのお料理は、懐かしいネパールのおふくろの味のようで、
里帰りしたような、不思議な感覚になる。
看板もないお店の、扉の向こうには、
ネパールの少女のような純粋なプルジャさんの笑顔。
温かい、ネパールの家庭料理。
プルジャさん、
日本に戻ってきてくれて、ありがとう。
2014/11/27 更新
ビールを2本空けてほろ酔い気分のあたしは、
お一人さま女子を見送りに出たプルジャさんの姿を、ぼんやりと目で追う。
あっ!
ポッピーのポスターが、目に留まった。
プルジャさんに聞いてみると、
ご常連の方がいつも召し上がっているそうで。
確かに、スパイシーなプルジャさんのお料理にホッピーは合いそうよね。
「じゃあ、次は、ホッピーの白をお願いね。」
そう、プルジャさんにお願いすると、
「おすすめの飲み方があるけどそっちにする?」
と、提案してくださった。
あたしはお料理も、なんでもプルジャさんのお勧めがいいので(笑)
迷わず、おすすめ【ラムのホッピー割】をいただくことにしました。
ジョッキに注がれた琥珀色の液体。
良いラムの香りがする。
ホッピーを注いで飲んでみる。
おいしい!
「プルジャさん、これ、ククリラムでしょ?」
「アタリ~!」
プルジャさんが考え出したらしいの、ククリラムのホッピー割。
ジュースをホッピーで割るのが好きなプルジャさんは、
ククリラムでも良いんじゃないかしら?
そう思いついたそうで。
名古屋からきたあたしにとって、
ホッピーだけでもめずらしいのに、ククリラムを割るなんて夢のよう。
おつまみは、里芋とネパールの小魚を炒めたもの。
ほっこりな里芋は、カチリチリメンのような小魚とスパイスに包まれて、
なんとも、なんとも美味しくて。
ついつい、ビールがすすんでしまう。
地鶏の内臓の炒め物も、初めていただく味に感激。
プルジャさんって、やっぱり炒め物の魔術師ね。
遠く巣鴨で過ごした、夢のひととき。
きっとまた、巣鴨へ。