2回
2016/06 訪問
先斗町│手の込んだ旬の物を少しずつ美味しく。
先斗町の名店 串かんざし久さんへ初訪問しました。
故中村勘三郎さんも愛されたお店として有名であります。
元々は串揚げ屋だったらしくこの店名なんだとか。
さて、店内は10席ほどのL字カウンター席のみ。
こじんまりとした空間にご主人様と奥様。
これぞ”京都の小料理屋”と言った雰囲気であります。
この日頂いたお料理を以下に記載します。
【1品目】
まずは ”蓴菜”
何と、スッポン出汁で作られたシャーベットがかかっています。
蓴菜は京都深泥池のもの。京都でも蓴菜って採れるんですね。
つるっと舌触りが良い。夏らしい涼しい逸品でスタートです。
【2品目】
次は、”岩牡蠣”
島根県隠岐島の物を使用されております。
プリプリで肉厚。海のミルク、超濃厚です。うま。
【3品目】
夏の風物詩、”鮎の焼き物”
良く見る1匹丸ごと塩焼きされたものではなく、内臓を取って腹開きされています。
お伺いしますと、腸(わた)は塩辛にして、それを鮎に塗って焼かれているのだとか。
わたの風味が鮎全体に行き渡っています。この調理方法は初めて見ました。旨い。
【4品目】
ここで何と”豚の角煮風”
草と水だけ育てられたという特殊な豚が使用されております。
ドロっとした淡路の玉葱が沢山かけられて、柚子胡椒のアクセント。
豚肉はもちろんトロトロで、美味しすぎました。和食じゃないみたい。
【5品目】
京都の夏の風物詩 ”鱧”
こちらの鱧の調理方法には驚かされました。
よくみる骨切したフワフワした鱧ではなく、ゆっくりと時間をかけて炭火焼きをされておりますので、
ぎゅっと身が詰まったような見た目。実際、鱧と言われないと分からないレベル…。
全く骨の部分も感じませんし…。これはすごいですね。しかも贅沢に分厚くカットされてます。悶絶。
合わせますのは、4種類の岩塩で作られた液体、そして梅肉。
【6品目】
お酒のアテにどうぞ、と出てきましたのは小さな丼ぶりに入った”自家製の塩辛”
蓋を開けますと雲丹がこんにちは。魚介類の濃厚風味、お酒によく合います。ちびちびと。
お伺いしますと、実はアオリイカ、あわび、あわび肝、ワタリガニ、海鼠腸などが入った超贅沢な塩辛。
北海道産の雲丹は海水で泳がしてやってきた逸品。かなり手が込んでおります。
【7品目】
五島列島の”あわび”
ゴロっと大きくカットされた蒸鮑はとんでもなく柔らかい。
それを”ぬた風”(酢味噌和え)に調理されているのですが、良く見るとゴーヤの姿が…。
後は松の実、クコの実、レーズン、パプリカなど、沢山の食材が使用されています。
創造性、独創性が素晴らしいです。
【8品目】
宍道湖の”天然うなぎ”
ゆっくりと炭火で、関西風に。身と皮の間のジュワーっと出てくる旨味がたまらんです。
うなぎはやっぱり美味しいですね。食べ物の中で一番好きかも。
【9品目】
”赤毛和牛”のビーフシチュー
黒毛和牛は知っていますが、赤毛和牛って初めて聞いたかもしれません。
霜降りのお肉とは違い、赤身の旨味が詰まったお肉なんだとか。
それをビーフシチュー風に。お肉はもちろん、このスープが超絶に美味しかった。
玉葱やユリネ、赤ワイン、そして果実もタップリ使用されています。
【10品目】
お腹がはち切れそうですが、折角ですので頂きました。次は、”渡り蟹”。
この時期の渡り蟹は内子を持っています。上からたっぷりの”もずく”
蟹と水雲ってありそうでない組み合わせのような。新鮮で美味しいです。
【11品目】
ご飯を少し頂きました。香の物は浅漬け、好みで醤油を使ってくださいと。
ご飯に合わせますのは、自家製の”すっぽん佃煮”。1口頂いてすっぽんだと分かりませんでした。
上品な甘辛さ、ご飯によく合います。
更に出して頂いた”タレ焼きした鱧”をご飯にon。ほんと贅沢。
【12品目】
最後に林檎を使った水物。
林檎はシナノゴールド、王林、紅玉をブレンド。それに、カルバドスとシナモン。
これが超絶に美味。林檎好きとしては、持って帰りたくなりました(笑)
水物も流動的に変わるよう。次にこの水物に出逢うのはいつになるのか。
【総評】
その時期に応じた旬の高級素材に、独創性・前衛的な技術が付加されたお料理が登場します。
フレンチの修行経験のあるご主人様。和の食材にフレンチ仕込みのソースが出逢う。
食材の旨味を最大限に引き出す技術は秀逸です。
馴染みのある食材も見たことのない唯一無二の姿となって現れます。
全体的に輪郭のくっきりした品が多い印象ですので、特にお酒好きには嬉しい設定だと思います。
先附から始まり水物で終わる、といった純日本料理、割烹料理とは一線を画します。
旨いもんを少しずつ食べさせてくれる小料理屋、といった印象。
ですから ”割烹料理” に飽きが来られている方にも良いのでは。
2016/08/27 更新
グルメ定例会でお伺いしました。
以前に一度お伺いしたことがありましたが、再訪したかったお店の1つです。
場所は、先斗町のど真ん中にある公園のすぐ近くになります。
お料理はおまかせ料理のみ。
アワビや鰻、蟹などの季節の食材をしっかり使用されていますが、見た目には派手さはありません。
ただ、1品1品がすごく手間がかかっていて、しみじみと滋味深い仕上がりになっています。
内容も構成もよくある割烹料理とは一線を画しています。
うまく表現できませんが、まるで極上の家庭料理を頂いているような安心感があり、それでいて唯一無二の「御馳走」なんです。
最後に「玉子餡掛けは丼ぶり食べる?」と大将。
もちろん断る理由はございません(笑)
こういうところも好きです。
この日は他のお客さんはおられず、我々だけで貸し切り状態でしたので、大将とゆっくりお話をすることができ大変勉強になりました。
割烹に飽きた方にも良いのかもしれません。
どんな料理が、どういう順番で出てくるのか全く予想がつかないのも面白いです。
また季節を変えてお伺いできればと思います。