abtabetaiさんが投稿したマルイチベーグル(東京/白金高輪)の口コミ詳細

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移転マルイチベーグル白金高輪、泉岳寺/ベーグル、サンドイッチ、カフェ

1

  • 昼の点数:4.5

    • ¥1,000~¥1,999 / 1人
      • 料理・味 -
      • |サービス -
      • |雰囲気 -
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2017/07 訪問

  • 昼の点数:4.5

    • [ 料理・味-
    • | サービス-
    • | 雰囲気-
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-
    ¥1,000~¥1,999
    / 1人

ベーグラーな彼女とインドカレーが好きな彼。

また始まった。。

彼女は思った。
というのも、猛暑日一歩手前の日曜日、'たまにはセレブな街でのんびりデート'をテーマに白金に来たおひるどき、彼が「カレーを食べたい」と言い出したからだ。

こいつはいつもそうだ。TPOなんかてんで無視でカレーを食いたがる。昨日もカレー、先週もカレー、インスタ見てもカレー、カレー。お前の血はターメリックとコリアンダーでできてるのかえ?
わたしはカレーと付き合ったぁ、わけじゃない。

「コージ、昨日のお昼はスープカレーで夜はインドカレーだったでしょ?このちょっと先にサイコーベーグル屋さんがあるから、今日のお昼はそこのサンドイッチにしようよ。」

くっそ暑いコンクリートジャングル。ジョギングスーツ着た青い瞳がランニング。夏に向けて欲しいのは可愛いパンプス。最近見なくなったBoAちゃんのことばかり考えて夜が終わる。ifを歌ったのはDA PUMP。高鳴る鼓動の矛先はマルイチのベーグル。

「カナコ、通り沿いにインネパのカレー屋があるんだよ。お前だってバターチキンが食べたいだろう?」

愛する彼の一言。だが、それを聞いてわたしはカチンときた。女だってみんながみんなバターチキン好きじゃねぇ。

「おい、コージ。わたしはバターチキンが好きじゃねぇ。せめてビンダルーかゴアフィッシュにジーラライスを合わせろや!」

ヤバい・・思わず浮かんだ台詞を言いながら思ったわたしの悪寒は的中した。

「マジで?カナコはわかる女の子だと思っていたけど、やっぱりサイコーだよ!今日はオレが全部払うから早くカレー食いに行こうぜ!」

マニア受けする彼女の言葉にニッコニコのばかやろう。汗ばむナチュビューのワンピース。カラオケの十八番はライムスの肉体関係パート2。

「こ、コージー。実はあのビルの先の路地にわたしの大好きなベーグル屋さんがあるの。今日は・・いや今日だけはコージと二人で駅前の公園のベンチでベーグルを頬張りたいの!付き合ってくれたら、来週も再来週も吉田さんの行列に並ぶよ!だからお願い、今日だけはベーグルにしようよ!」

意を決して放った七月の告白。照りつける太陽。額を伝う汗の滴。微笑む犬連れのマダム。
照り返すアスファルト。
吉田さんとは彼が大好きな荻窪にあるカレー屋さんのこと。

「はぁ?ベーグル?すっかすかのパンなんかよりカレーだろ!」

急に不機嫌になったコージ。六本木のクラブでの出会い。マークロンソンで躍りながら交わしたジントニックとブラッディーメアリー。付き合って三年、同い年の二人も過ぎた三十路。徐々に輪郭が見えてきた結婚が、急に後退り。

「カナちゃんがそう言うなら僕は一人でカレーを食うよ!」

 突然のことでした。涙声のカレーは・・あっ、彼はそう言うと白金路地を走り去って行きました。

ひとり取り残されたわたし。
仕方なくとぼとぼと一方通行を北へ向かいます。

「いらっしゃいませ~、あ、こんにちはぁ~☆」

しょんぼり一人分のドアを跨ぐと、いつも通りショートカットのおねいさんが笑顔で迎えてくれました。

ショーケースに積まれたベーグル、左側のトッピング。白を基調とした打ちっぱなしのお店、入口横にあるお洒落な雑誌とポップ。自然と笑顔が溢れる。

お行儀よく一列に並んで順番を待つ。
ベビーカーを引いた綺麗なお母さんや、帽子をかぶったお洒落で素敵なお兄さんが次々やって来ては穏やかな微笑みを称えている。

わたしは思わずマンハッタンで過ごした二十代のことを思い出す。ハイブランドのコートの襟を正して立ち寄ったコーヒースタンド、フードカーに並んだランチのことを。

ベーグルは概ね7種程度か。
プレーン、セサミ、ソルト、フィグ、エブリシング、米粉、全りゅう粉。

手前のカウンターでベーグルを選んで、サンドイッチする場合は右手のカウンターで伝えて会計。
わたしはプレーン二つと全りゅう粉二つ、フィグ&米粉、ソルト。
プレーンは二つともフムスのサンドイッチでお願いした。

 ほっかほかの紙袋がなんだか幸せだった。

コージはいないけど、おひさまの下でマルイチさんのベーグルをいっぱい抱えていると、なんだか幸せな気持ちになった。

むっちむちでやんちゃな歯応えのベーグルサンドを一人わしわし頬張ってお腹がいっぱいになった。
一個200円くらいのベーグル、サンドイッチにすると5、600円。ここのベーグル高いという輩がいてもそれはアンチだ気にするな。
コカ・コーラのボトルみたいな美女の如くグラマラスなベーグル、サンドイッチにすれば千円以下で充分すぎる満足感を与えてくれる。

 それからずいぶん時間が経った。

遠巻きに見るマルイチさんにはひっきりなしにお客さんが入って行った。

「よう、カレーが食えなくてがっかりだろ?」

 白金のベンチで一人、ソリティアをしているわたしの肩を不意に誰かが叩いた。

「邪魔すんな・・」

見上げればコージ。
動揺するわたし。
タイトなジーンズにねじ込む脚。

「ぜーんぜん、がっかりじゃないよ!」

そう言ってコージに紙袋から取り出したフムスのサンドイッチを渡した。

「なにこれ?」

ぼやけ顔のコージ。

「コージに食べさせたかったベーグルサンドイッチ。」

わたしの声を合図にベーグルを頬張ったコージ。

「うほぉ、なんだこれ、マジでうめーw」

カレーランチ後にも関わらずベーグルサンドを一気食いしたコージ。
食後、わたしに言いました。

「こんなうまいものがあるとは知らなかった。ありがとうカナコ。ベーグルサイコーw」

その日、コージはわたしが抱える紙袋からフィグのベーグルを取り出してこの左手の薬指にはめました。

これは、結婚しようって、プロポーズした彼のはめた指輪がベーグルだったっていうお話。

2017/07/09 更新

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