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昼の点数:4.8
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~¥999 / 1人
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料理・味 -
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[ 料理・味-
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ボーイフレンド。
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外観
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ミックス
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チャナマサラ激辛
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チャナマサラ激辛 ほうれん草&じゃがいもトッピング
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チキンマサラ レタス&チャナ豆
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2024/11/15 更新
クローヴの香りが好きだった。
渋谷で一人だった。
お散歩がてら恵比寿に向かって歩いている時に見つけたカレースタンドだった。
夏の終わりになるとわたしの身体はカレーを欲する。
迷わず扉を開いた。
かわいいおかあさんにチャナマサラの激辛をお願いした。
素敵なおにいさんがカレーを真剣な表情でつくっていた。
赤い海だった。
トマト、タマネギ。溶け込んだ香辛料の刺激。
その、全てが溶け込み美しく調和した海。
辛さはそこまで感じない。
えっ?次の瞬間、スパイスがきらめき・・
その直後だった。
汗が溢れだした。
驚いた。辛いのは全然平気だから。どこで辛いカレーを食べても汗が流れることはまずなかったから。
全身を浄化するような、新鮮なスパイス。
たくさんのスパイスが溶け込んだ海。
特に響いた弾けるようなクローヴの香り。
その閃光が呼び覚ました。
あの夏の花火の日を・・
まだ二十代前半、失恋直後の土曜日のことを。
ひとりで行った海岸線。
おひるまえ。
由比ヶ浜のビーチで声をかけてきた彼。
洗いざらしのシャツ。半ズボンに麦わら帽子から漂った、ラルフローレンのロマンスの香り。
眩しい笑顔が爽やかで、わたしはいつの間にか彼の手を握っていた。
夕暮れ。
ビーチではしゃぎ、遊び疲れたわたし達はビール片手に夕陽を眺めた。
「ねぇ、どこから来たの?」
わたしは聞いた。
「すぐ近くだよ。」
彼は答えた。
「この辺りの人なの・・?」
わたしの質問に、彼は海岸沿いにある建築物を指差した。
そんなやりとりの最中、遠くから胸震わす音が聞こえてきた。
蒸し暑い闇の向こうが焼けていた。
思いがけず見上げた十号玉、瞬きを忘れた。
その夜ふけ。
ビーチに程近いアパート。
サーフボードとベッドとラジカセしかなかった1LDK。
BGMは、か弱気なラジカセから流れるLLクールJのパラダイス。
全てを終えたあと。
わたしが微睡んでいるうち彼は二本目のクールマイルドを灰皿に沈めた。
「ねぇ、お腹空かない?」
不意にわたしが言うと、右側の彼はニコッと笑ってベッドを抜け出した。
暗い部屋。
ベッドの上。
キッチンからは静かな調理音が聞こえてきた。
「カレーでいいよな?」
そう言いながら長細いお皿に盛られたカレーを差し出してくれた彼。
それは、わたしがはじめて食べたスパイスカレー。
ふんだんなクローヴの香りに酔わされた。
夜空の星を眺めながら二人で食べた彼のカレー。
あのとき魅せられたクローヴの香りにわたしは魅せられた・・
もう何年も前の話。
あの夏の花火の日。
一日かぎりの恋人。
なのにクローヴの匂いを嗅ぐといつも彼の笑顔を思い出す。
いつかの夏に胸を焦がす。
たった一日だけの恋人に今も想いを巡らせる。
ボーイフレンド。