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台風接近の東京まで来た目的地の一つ、赤坂四川飯店です。永田町駅近くの全国旅館会館というビルの6階にあります(5階は宴会場でした)。お昼は11:30開店という情報から、11:15にはそのビルの近くにたどり着くべく、ここまで小雨の降る中歩き、あるいは地下鉄に乗り、やってきました。
11:15過ぎ、エレベーターで6階に降り立つと、もうそこは四川飯店。黒の制服をピシッと決めたスタッフの方々がすぐに不慣れな私達を見つけて要望を聞いてくれます。
そんなわけで、開店前なのにお店の方と、できるだけ食べたいメニューを全部網羅して、二人で食べきれるほどに納められないかという相談を始めてしまいました。悩みは、陳麻婆豆腐と五目炒飯を食べて、なおかつ四川担々麺(汁あり)まで食べると多すぎないか、という点。やはり恐れていた通り、麻婆は少し量があるとのこと。担々麺も、それだけ食べてからでは一人前は食べきれないかもしれない。麻婆と担々麺の量を少し抑えてはどうか、という提案をしていただき、その後は開店までソファの待ち席に通されました。お茶(ジャスミン茶)まで出してもらって、入店前にもう寛いでしまいます。
さあ開店です。我々も窓際のテーブルに案内され、改めてポットのジャスミン茶が出てきます。先ほどの相談を踏まえて、陳麻婆豆腐は特小(1.5人前)(1650円)で、五目炒飯は一人前(1350円)。これらをまず二人で取り分ける。担々麺(1200円)は一人前を最初からお店の方で二人分に分けて提供していただけるとのこと。そして、なめらか杏仁プリン(550円)をオーダーしました。
ここまで、天井も高く清潔な店内と、気さくにこちらの要望を聞いて(あるいは先回りして)お客(我々)のお望みの通りにしますよ、という大船に乗った気分にさせてくれる、きびきびと働くスタッフにまず妻は感心。私も場所柄どんなお客さんがふらりと食べに来てもどっしりと受け止めてくれそうな、店のいい空気に少し酔ってきました。
さあ、少し深めのお皿でやってきました陳麻婆豆腐。赤い。続けて五目炒飯も運ばれ、二人でとりわけながら食べ始め、いや、絶賛し始めます。辛くてピリピリに口の中が麻痺する麻婆。同じ陳健民直伝の富山県上市町の响鈴を彷彿とさせる辛さ。でもこっちの方が旨い。名古屋のスーツァンレストランとは残念ですがまるで別物でした。これは素晴らしい、辛いけど食べる手が止まらない。五目炒飯は本当に具沢山です。エビ、焼き豚、しいたけ、そしてイカまでも3ミリ角で切りそろえられ、パラパラに炒められている。この仕事の細やかさに息を飲み、口に運ぶと、その味はくどすぎず薄すぎず、絶妙とはこの味付けのことでしょう。更に、この五目の上に麻婆を乗せるとメチャクチャ美味い。下品な食べ方をしてごめんなさい。
二つの器に分けられた担々麺がやってきた時、冷たい水が出されました。まだ私は麻婆のお皿をひっくり返して最後の赤い油を全部五目炒飯に吸わせて食べておりました。もう口の中ヒリヒリです。水が欲しかったところです。
担々麺は、ゴマの甘さと、麻婆とは違う辛み。そして食べやすい柔らかさの麺。二つの器に取り分けられたシャキシャキの青菜。首の下にナプキンをつけて器に顔を埋めてズルズズーっと啜りあげ、下品だけど、幸せを感じる食べ方をしてしまいます。残った汁からたっぷりの挽肉を最後の最後まで掬い上げ噛み締めました。
でも、これまでのメニューがすべて半人前というのにこの満腹感は驚きです。これだと通常のサイズで麻婆豆腐と炒飯と担々麺をオーダーすると食べきれないですね、と杏仁プリンを運んでいただいた時に確認したら、そうですね、全部この倍になりますから難しいですね、とのことでした。
上に二つクコの実がのった、なめらか杏仁プリンはその名の通りなめらか。プリンが喉を滑るように降りていった後、杏仁霜のハッカのようなスーッとした香りが鼻に抜けていきます。もう本物の薬膳じゃないですか。甘いシロップも残さないように全部いただきました。
とまあ、これまでにない大満足の昼食だった赤坂四川飯店さん。これだけわがままを言って楽しんで二人で税サ込で5,224円というお値段に、また大満足。年度末の部署の食事会もここでやりたくなるほどです。ここはまた来たい、また来て全部のメニューを食べたいと思うお店でした。