3回
2023/11 訪問
生成り料理
心斎橋の割烹料理店。素材の良さを最大限引き立てることに主眼を置いた大阪料理(生成り料理)が楽しめます。味付けの基本は薄口、甘口(旨口)、しんみりめ。素材の味を覆わない程度に味を付けることを信条とされています。
この日いただいたものは下記の通り。
せこ蟹
前菜(豆腐味噌漬け、牡蠣、穴子押し寿司等)
椀物(湯葉真薯・海老)
お造り(鯛、赤身、トロ、蟹)
焼き蟹
鰤大根
子持ち鮎煮
鯛蕪
鯖棒寿司
ちりめん山椒ご飯
抹茶のアイスとあんこ
お椀の出汁は鰹のインパクトを若干感じるものの、椀種の香り・味わいを妨げるほどではありません。塩味も抑制的。徐々に味わいを増す塩梅に仕上げられており、ハイレベルだと思います。
椀物以上に印象に残った料理が鰤大根と鯛蕪。鰤大根は鰤(能登)のうま味・脂の甘味と大根の甘味が良く調和していました。気持ちしっかり目の味付けでしたが、素材の味を覆うほどではなく滋味深い一品。鯛蕪も出汁を含んだ蕪の甘味と鯛のうま味・甘味がお互いをよく引き立てあっていました。
お造りの鯛は寝かせたものではなく、食感・香りとまずまず。この日は1kgオーバーの立派なズワイ蟹も刺身と焼きで少しずつ供されました。焼き蟹はジューシーとはいえず、この点は惜しいところ。
冷酒を少々いただいて、30,000円台前半。CPは良好だと思います。料理は基本的にはおまかせのコースになりますが、客側の希望で鍋物を出したりすることもあるようです。店主は豪快な方ですが、女将さんともども非常に優しい方。地元の常連さんが中心の客層というのも頷けます。
2024/01/06 更新
2023/04 訪問
生成り料理
生成り料理で知られる割烹料理店は心斎橋に。ミシュランの星を獲得していながらも、派手さに欠けるからなのか、分かりやすい味ではないからなのか、食べログでの評価は3.60(2023.08.08)とちょっと良い店止まり。コースはおまかせのみのようで、予約時に聞かれるのは日時・人数・名前のみでした。
店主の奥田氏が考える生成りな料理とは、素材の良さを最大限引き出す(引き立てる)ことに主眼を置いた大阪料理のことを指すようです。味付けの基本は薄口、甘口(旨口)、しんみりめ。素材の味を覆わない程度に味を付けることを信条とされています。
当日いただいた料理は
先付(若牛蒡)
八寸(蛍烏賊、一寸豆、唐墨等)
お造り(鯛、いか、中トロ、大トロ)
椀物(湯葉真薯・海老・菜の花)
鯛の白子と鯛の子
アブラメの焼物
いくら
炊合せ(筍・メバル・木の芽)
ご飯
水菓子
こんな感じだったと思います。
先付、八寸と無難な立ち上がりでしたが、お造りはハッキリ言ってイマイチ。特に鮪が低質でした。鯛はいたずらに寝かせたものではなく、一番マシだったかなと。
椀物の出汁は昆布主体。鰹節の主張は気になるほどではなく、一口目から美味しすぎない良い塩梅でした。最近流行っているショーもない高額和食店よりもずっとハイレベルでしょう。
焼物はアブラメの質、火入れともに凡庸。食材の質は他にも首を傾げてしまうものがありましたが、こちらは調理もしっくり来ませんでした。
筍・メバルは少々しっかり目の甘辛い味付け。木の芽が味を引き締めてくれます。これ位の濃さがあった方が筍とメバルの味が調和するとお店側が考える着地点なのでしょう。しんみりめの意味がよく伝わってくる一品でした。
鰹節のうま味をしっかり利かせていたり、若干甘めに振れる傾向があるものの、味付けは薄味の範疇。好印象でした。世間では本湖月のような濃い味付けの料理が好まれるようですから、一般受けは難しいのかもしれません。その一方で、食材の質は、コース価格を考えても、もう少し期待したいというのが本音です。
サービスや雰囲気は良好。豪快な店主が有名ですが、女将さんも結構な話好きのようです。一見でも緊張を強いられることはないでしょう。予約も簡単に取れて、使い勝手がいいです。
2023/08/08 更新
年に数日しかないクエ鍋の日に訪問することができました。クエ鍋は常連客から人気があるようで、この日は珍しく満席でした。
先付(クエの鱗焼き)
お造り(クエ、胃袋、肝)
クエ鍋
焚物(クエ・大根)
クエの縁側(辛味大根とポン酢で和えて)
雑炊
あんこと抹茶のアイス
かなり大型のサイズのクエを使用しているそうです。素材の質や火入れはもう一つと感じるお店なのですが、この日のクエは大変上質で素晴らしいものでした。
梅市さんは、日頃トーンを抑えた淡めの味付けを身上としており、それが却って分かりにくさにも繋がっているようですが、鍋料理は、通常の料理と比べると、広く受け入れられるのではないかと感じました。一度は経験した方が良い料理だと思います。