Fisher.Lionさんが投稿したSpice&Dining KALA（福岡/筑豊中間）の口コミ詳細

2016.05 昼

・ベジミールス 1500円

　１年半ぶりのKALA。
　前身の『豚王 中間本店』、ropeさんの行ってみてくれリクエストでね、こりゃすごいって。
　サムギョプサル屋だったけど、予約でミールスを出してて、ぶっちぎりヨ。
　きっと目黒でブイブイ言わせてた『ホルモン番長』のノリ。
　思い切りの良さは今以上にあった。
　その頃は北九州で仕事があったので、何度も行ってるうちに、KALAになって。
　気付けばインド料理屋に大変身。今では福岡県で人気No.1のインド料理屋。
　福岡市の赤坂に２号店の『スパイス ラボ ブースト』までオープンしてるし。

　『月と亀』、『スパイス ラボ ブースト』、『106 サウスインディアン 福岡天神店』と
　ＧＷ福岡食べ歩き、〆のミールス。
　福岡県を代表する南インド料理屋４店を回った。
　『月と亀』は日本的ミールス、『106サウスインディアン』はガチなタミルミールス、
　『BOOOST』はこれからのお店、ここKALAはケララ風ミールス。
　それぞれの特徴が強く、日本国内でも有数のミールス処になったと思う。
　流行りで終わらないよう、持ち腐れないよう、福岡県民に頑張って欲しいところ。
　タミルの風は吹いたよね？　吹き荒れたよね？　吹き続かせてね。


・ベジミールス (4.5)
　初期の頃からベースにある、大森のケララの風の味はブレずにそのまま。
　綱渡り的な繊細なバランスだったのが、少し太い軸になってると思う。
　バラバラ方向な単品の中にも、同じ調理で違う素材を仕上げ、
　混ぜても失敗しない混ぜやすさが増した。優しさ増量かな。
　そうそう、気に入ったのはポリヤル３種。普通は２種かも。
　汁物、乾き物の量的バランス、味的バランスが良くて、どう混ぜても破綻しない、
　ちゃんと少しずつ味が違う。素材の味を前面に出す良さがある。
　辛さや激しさを想像しがちだけど、ミールスなれしていれば、優しい味ですよ。
　サラリな汁物に、韓国のバンチャンを思わせるポリヤル、とても穏やかで優しい。
　スーっと染み渡る感じで、ボディは弱め。ガンガンとイケるしモタれない。
　前はこれに肉や魚のノンベジを追加してたけど、やっぱりミールスはベジだなと。
　よりミールスの特徴（店主の志向）が出るのは、ベジでしょ。
　前より尖りは無くなって、ミールス好きなら誰にでも美味しく安定したと思う。
　豚王の頃はノンベジまで入って1000円食べホーだったんだよなぁ。
　あの頃の大丈夫ですか的な安さは無くなったけど、妥当な料金だと思う。

・マトンニルギリコルマ (-.-)
　ご厚意により試食。
　マトン＋ニルギリ(ミント)＋コルマ(カシューナッツの代わりにココナツと何か)。
　マトンにミント好きの僕にハマらないワケが無いよね。ズルい組み合わせだ。
　ちゃんとマトン風味があって、コルマのコク（と言っても南だからサッパリ風味）、
　それにニルギリのサワヤカさがクセのあるマトンを美味しく感じさせる。
　ちょいと煮込まれてる感があったけど、フレッシュリーフで補ってくれた。
　やっぱりズルいよね。ミールスに加われば、足りなかった最後のピース、コクや旨味が飛躍する。
　補うだけじゃなくオツリあり、だから、満点超えだーとか言ってしまってたんだけど。
　これは単品でもBOOOSTで出して欲しいな。


　ropeさんからのミッションのコンプリート後では、初めての訪問。
　前はいつも僕１人だったのが、けっこう席が埋まってて。
　素晴らしいお店が埋もれなくて良かった。ホッとしました。
　奥さんは初KALAでした。いきなり「優しい味」と言ったので軽くビビった。
　見習い小僧はやぶさ師の疲れた顔が気になったけど、気にしない。
　悠然として急げ、ですよ。

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2014.12 夜

全部で3000円
・ミールス
・魚カレー
・ジントニック

　お金が無いので、安くお願いします、と連絡して訪問しました。KALAの前身「豚王」時代からの常連だから大目に見てください。事前に何が良いか聞かれて、魚カレーに。ビンダルーの余りがあると言う事でそれも。
　お店に到着。久しぶりですねー。お店にスパイスの香りが染み付いてインド料理屋らしくなってます。まずは飲み物。ワインをすすめられた、水で良いんだけどなぁ。ジントニックにします。そしてミールス。その後にライスカレー的、タイ料理的に魚カレー。


・ミールス(5.5)
　満点超え、凄かった。僕の好みに合わせたわけではなく、番長の腕が上がってる。番長の進歩を見極めろ、と問われたわけです。どれが進歩しているか、当ててみろって。試される客なわけですよ。
　カトリにはサンバル、ラッサム、ダル、クートゥ、イステュー、キュウリのパチャディ、キーマ、ヤギカレー、ポークビンダルー。バスマティにふりかけ２種とパパド。アヴィアル的なものが３種、アチャール、チャトニー、ご飯（バスマティ）を除けば１６種だったと思う。見栄え種類の多さの圧巻さだけでは無く、レアなポークビンダルー、ウルトラレアなヤギカレー。もちろん単品ごとに剥ぎ取りスカチューンで無駄を省き個性がある。個性がバラバラに向いて、混ぜて楽しくなるようにしている。つまり、素材の個性をスパイスやハーブや調理で尖らせているんです。
　どれも少しずつ変わっている。豚王の頃、最初に比べれば、物によってはけっこう変わってます。初めてのものもあるので、それは分からないけど。一口ずつ試して行って、思わず「おっ」と声が出たのが、キュウリのパチャディ。番長では新しい味。でも、名古屋のアリアナレストランで食べた、マーストヒヤールに似ている。違いは、スパイス使いで、番長のはコリアンダーが強め。マーストヒヤールはガラムマサラでシナモン強め。さらに番長のは豆が香ばしく良い仕事をしている。ヨーグルトの酸味とキュウリの青々しいみずみずしさをスパイスで高めて尖らせた調和。これだなと。当たりのようでした。
　他で凄かったのはビンダルー。澄んでコク深い美味しさ、豚の酢煮込みカレー。バルサミコとワインビネガーを１対１で使っているそうだ。なるほど、ビンダルーで美味しいのは果実酢だと思う。実はこれ残り物で、より味が馴染んでいて美味しいように感じた。このビンダルーとパチャディは６点だと思う。そういう点数はつけられないけど。あ、ヤギね。うん、普通の肉カレー。

・魚カレー(6.0)
　単品の魚カレーとしては、最高でした。レモンライスに魚カレー、カードにサンバル。まず、葉っぱの多さに驚く。フレッシュなパクチーフラン（ディル）にパクチータイ（香菜）にカレーリーフが惜しみなくふりかけられている。おそらく番長の意識には無いけど、タイ料理とインド料理を融合したかのようなカレー。
　魚はメスのシイラの若魚の頭。シイラはインドでも良く使われる魚ではある。独特の臭みがあり、生食向きではないんです。加熱してもパサつくし。釣るのは暴れまわるし、ジャンプするし、強いしで面白いんですけどね。釣っても逃がす魚なんです。特筆すべきはグレービーの美味さ。シイラのクセがスパイスやハーブと美味く溶け合って、臭みはまったく感じない。それどころか、トロミがあり、ジューシーな魚の美味さがグレービーに出ている。頭を使う事で、煮凝り（ニコゴリ）が出来るほどのゼラチン質がグレービーに染み出しているんです。コク深い魚のグレービーを、爽やかに、上品に包むスパイスとハーブ。ご飯は、これまた爽やかなレモンライス。カードでさらに爽やかにトロみを増して。酸味が尖り過ぎたら、サンバルで和らげて。これ以上は無い組み合わせでした。もちろん葉っぱも一緒に食うんだよ。うんまっ！


　お腹パンパン。もう入りません。と言うところで、番長にお酒を奢ってもらった。ありがたい事です。番長の虎の子のバーボン。名前は忘れた。もう作ってないらしい。これがまた凄い。フローラルなファーストノート、ゴクリと飲んだらベリーのような甘みを感じ、鼻から抜ける香りには荒々しい、もしくは若々しい、あまり寝かせていないヤンチャさを感じ、ラストノートはバーボンなんだとわかるコーンの風味。すごいもの飲んじゃった感じ。これ、製造してた頃はそんなに高いお酒では無かったらしい。印象的には、シェリー樽でエイジングした地酒的バーボン。こんな良い酒が製造中止になるとは、アメリカはもったいない事をする。こんな酒に目をつけていた番長、さすがだ。これに合わせて、小さな葉巻もいただいた。やっぱウィスキーに葉巻は最強だ。これだからタバコをやめる気にならない。
　他にもお酒をいただいり、番長のおつまみをいただいたり。おつまみがドーサだったり、アサリだったり。いやぁー美味しかった。完全に付き抜けちゃってますね。

　ごちそうさまでした。

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2014.08 昼

全部で 1800円
・パパドのタコスみたいなの
・ミールス
・チャイ
・コーヒー
・カルダモンたくさんのクルフィみたいなの

　北九州市から少し外れた中間市の、福岡県では飛び切りイカした南インド料理屋さん、兼、いろいろ屋さん。在日の朝鮮人でもある番長（店長兼コックさん）の繰り出す、自分が食べたい南インド料理ミールスを提供。それと、自分が食べたいもの（たぶん）を、不定期で提供してくれます。
　おまかせで良いね？と言われて、チキンな私は、はい、と。本当は番長のタイ料理を食べたかったんですが、それで良いです。お任せで良いかと聞くからには、何か食べさせたいものがあるに違い無い。タイ料理は次回に。


・パパドのタコスみたいなの(4.5)
　パパドがクルリと丸められていて、中にはスカっと爽やか辛いサラダ。パクチー盛りだくさん。夏バテ疲れ気味の胃を野菜でフレッシュに。普通のサラダに比べると断然美味い。でも、いくらなのかは知らない。

・ミールス(5.0)
　いつもながら圧倒されるビジュアル。魚の頭カレーと、サンバルの盛りっぷりを見よ。ものすごい量です。
　魚の頭カレーはヒラス（ヒラマサ）。ヒラマサの頭カレーと言うと日本風ですけど、実はこのヒラマサ、インドにもいて、ちゃんとカレーになってる。英名キングフィッシュ。らしく言えば、キングフィッシュヘッドカレー。ヒラマサはブリそっくりな魚ですけど、旬はブリとは真逆の夏。この旬の押さえ方も抜かり無し。でもね、台風続きだから、魚の質はまぁ普通。それは仕方無い。目玉までチュルリといただきました。私の好みを押さえてくれてます。
　キーマカレー。カーンと抜けるようなクローブとカルダモンの香り。うひょーっと私が喜ぶポイント。肉カレーにはクローブとカルダモンに効いていて欲しいんです。ガツーンと効いてます。スパイシーが分からない人だと薬膳とか言いそうですが、肉の旨みや香りを殺さない程度のガツーン。当然、肉の臭みなど微塵も感じさせない仕様。
　サンバルとラッサム。優しくボヒャっとボケボケなお味と香り。これで良いんです。ミールスは混ぜ混ぜして食うもの。混ぜるベースのほっこり優しい部分担当。サンバルが鋭い味だと萎えてしまう。逆に立ってて欲しいのはラッサム。こちらはブラックペッパーがツンと立った尖った鋭い味。単品でじゅうぶん美味しい。サンバルとラッサムがしっかりしているミールスにハズレは無いんです。好みで言えば、理想的なサンバルとラッサムの組み合わせ。
　他いろいろは全てプリミティブにしっかりしている、と言いますか。料理はいろいろ足しこんで盛りまくって良くしようとする人が多いんですが、番長は違う。剥ぎ取りスカチューンで必要最小限のスパイス種をきっちり使って。だから単品で食べてもそんなに美味しいわけではないんです。ですけど、混ぜたら、これが凄い。混ぜ無いと美味しさが分からないんです。
　この日気付いて欲しかったらしいのは、ニンジンのあえ物。いやぁ、さっさと混ぜちゃったので気付くも何も。後からそれだけ出してもらいましたが、良く分かりません。ポピーシードをメインに使っているのだそうな。ポピーシード？　単品で食べた事がないので、どういうのかまったく分からないです。気付いて欲しい要求が高過ぎです。(笑)
　それにしても、僕には安定感があまり無い。好みをおぼえてくれて、だんだん好みに近づけて行ってくれてるからなんです。おそらく僕だけのスペシャル仕様が、フィッシュヘッドカレー、キーマカレー、ラッサム。この３つだけなら、満点超えですよ。満足満足。

・チャイ(5.0)
　カルダモンしっかり。今は無き、ナーガルジュナ以来の感動的チャイ。番長がエアブレンドで、空気を含ませ香りを立たせてくれました。食後に爽やかなカルダモンの香りにつつまれます。ナーガルジュナのは、もう少しカルダモンが弱くて、その代わりレモングラスが入ってたんですよねー。（独り言）

・コーヒー(-.-)
　えーっと、いただきました。ごちそうさまでした。以上。

・カルダモンたくさんのクルフィみたいなの(4.5)
　見た目は不格好ながら、これまたカルダモンが練り込んであって、ナッツのコクと爽やかさがマッチした逸品。これでもか、なカルダモンのお上品な香り攻撃にノックアウトです。


　いやぁー、今回はさらに凄かった。通えば、通うだけ、好みをおぼえてカスタマイズしてくれます。さすがに、お任せで良いね、な料理。気持は満点にしたいんですが、タイ料理を食べて判断したいと思います。タイ料理まで凄かったら、日本中探してもこんな店無いぞな、稀有なお店。満点以上確定ですよ。次回も楽しみです。次はぜひラープを。

　ごちそうさまでした。

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2014.04 昼

全部で 1500円
・試作品ローストチキン
・ミールス 1500円

　今回も試作品を試供いただきました。鶏丸焼き。
　インド料理の鶏焼き物と言えば、タンドリーチキンですね。タンドリーと言う専用釜でじっくりと芯まで火を通す焼き物。鶏は皮や脂を取り去って、ヨーグルトにしばらく漬け込み、スパイシーに焼き上げる焼き鳥です。インドだと暑くて生ものが腐りやすいからこそ独特な発展をした焼き方。ヨーグルトでおそらく防腐、さらに焼き強めでもしっとりさせる知恵。インドの焼き物と言うならば、焼き強めで香ばしさがあってしっとり美味しい、そういう方向を期待するんです。タンドールでレア焼きは要らないです。それなら炭火で焼いちゃった方が安あがり、タンドールでレアに焼く必然性は無いでしょう。そういうインドの鶏の焼き物をKALAの番長ならどうするか。


・試作品ローストチキン
　朝鮮料理が得意な番長ですよ。知恵フル動員でスパイス好きを唸らせようってわけです。見た目は参鶏湯（サムゲタン）の鶏が焼けちゃったと思わせるルックス。お腹に何かを詰めているようです。香りは、うーむ、薄っすらと複雑極まりない。表面パリっとな鶏の香ばしさ、ヨーグルトに漬け込んだまろやかさ、さらに、スパイシー。
　腹を割ると、うははー、鶏の汁とともにホールスパイスどっさり、ごっそり。ブワっとニンニク、肉には定番のクローブ、シナモン、コリアンダー３点セットに、高貴さを漂わせるローレルとカルダモン、香ばしい唐辛子。スターアニスも香ります。他にもあったけど、主なところはこんな感じ。腹を割ったり切り分ける時に汁が飛び散るのは要注意ですね。
　肉は当然ながら、外側ほど香ばしく、内側ほどジューシーでスパイシー。中まで火が通ってます。丸焼きなので、部位ごとに楽しめます。身にヨーグルトも染みていて、柔らかくなってます。胸肉はやっぱりパサつきがあるんですけど、お腹から出た汁に漬けて食べれば、ジューシー且つスパイシーに締まって良い具合。部位の中ではぼんぼり部分が一番スパイシーで美味しかったです。もっとも作った本人はぼんぼりが嫌いみたいですが。（笑）
　しっかり火が通っていながらジューシーでスパイシーで香ばしく。ココナツチャトニをつけて食べたらさらに美味しく。インド料理と朝鮮料理のコラボと言えば良いでしょうか。またしても凄いものを食ってしまった感じ。さらにオレンジもお腹の中に追加しようかとか。いや、そう言う洋風まで入ると、もうまったく想像がつきません。完成品が楽しみな一品ですね。
　予価 大3000円 小2000円とかなんとか。かなり量があるので、数人で。

・ミールス
　相変わらずの安定感ですよ。この日はタンパク質系のカレーがダブルマトン。骨付きマトンのカレー、ミンチのマトンのカレー要するにキーママトン。それぞれクローブ主体、カルダモン主体。乗せてる葉っぱもカレーリーフとパクチー。葉物は香り弱めな時期につきドッサリと。立たせるスパイスやハーブが的を射て差別化しっかり。なので、混ぜても楽し。サンバルやラッサムは安定のお味。お久しぶりなピンクのライタ。ほっこり味で手間隙かかっているらしいチャナスンダル。はい、混ぜましょう。うめー、けど、鶏食いすぎたので、なかなか食えないー。食べすぎでした。＾＾；


　こんな料理を出す店、日本中探しても他には無いですよ。スパイスファン、インド料理ファンなら、わざわざでも行くべきお店です。ローストチキンは試作品ですけど、夜メニューに付き、夜の評価も昼と同じにしました。なんだか番長通信みたいなレビューになってきましたね。（笑）
　ごちそうさまでした。

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2014.03 昼

・ホリデーマトンミントビリヤニセット(仮) 1500円(暫定)

　私にとって、インド料理の魅力はスパイスで味を昇華する事、タイ料理はハーブで味を昇華する事。安い素材でも値段以上に美味い、と感じるのが最大の魅力なんです。インド人にとってインド料理は、こうでなければいけない、と言う気持ちが強く、崩そうとしないんです。例外的に食べログでも好評なガラムマサラのハサンさんは崩してます。それが好みに合うかと言えば、私にはいまいち訴求力不足と言いますか。日本人のインド料理コックさんの中には、フレンチとの融合や、スリランカのように出汁を使うインド風料理に変化させたりと言った方もいらっしゃいますが、それも、もともとのインド料理を超えているとは思えず。でも、ですよ、スパイスとハーブとの両方を使いこなせて、味を昇華させられたら。エスニック好きなら、夢見るような命題じゃあございませんか。
　福岡県も全国的な風潮の例外ではなく、インド料理と言えど、ネパール人がやっている、なんちゃってなインド料理屋ばかり。インド料理はこんなんじゃないって思う事の方が多い、残念な傾向なんです。そういう環境で、異彩を放つのがここ、KALAの番長さん。
　インド料理ファンの中でも、かなり濃い面々で構成された、秘密結社みたいな集まりが東京にあって、その中から、大森の名店「ケララの風」や、尾久の名店「なんどり」が生まれています。秘密結社だったメンバーが若干名食べログのレビュアーにもいらっしゃいます。その秘密結社のワイルド系な方のたまり場が、東京の目黒にあった「ホルモン番長」。その番長さんが地元に帰って始めたインド料理屋が、ここ「KALA」なんです。それだけで、何か起きそうなワクワクがあります。実際、起き始めてました。


・ホリデーマトンミントビリヤニセット (4.6)
　インドの炊き込みご飯と言うか、蒸し上げご飯だったりする、ビリヤニ。肉とスパイスとを混ぜ込んで、炊いちゃうわけです。そりゃもう良い香りと良い味。そこにミント。ミントですよ。初めて食べました。元来ミント好きなのもあって、たまらなく美味い。さりげなーくパクチー（コリアンダーの葉っぱ）もドサっとオン。くー、たまりません。
　タイ料理ではミント等のハーブは薬味的ではなく、味の根幹として使われるんです。インドやイスラム圏の料理では、ミントはやはり薬味。そのミントを味の根幹に持って来ました的な。ビリヤニにミントを入れるのは、若干入れるくらいならありますが、ここまで緑な色、明らかに香りの主役なのは初めてです。お釜の蓋を開けて、おぉおおおおお、ですよ。（厨房に入らせてもらいました）
　ゴチャゴチャしている訳ではないです。足すところは足して、引くとろこは引いて。輪郭すっきりな味と香り。使っているスパイスやハーブの種類は少ないんですよ。７種類とかそれくらい？　それで良いと思うんです。スパイスやハーブには効能はたくさんあるけど、逆効果になる組み合わせもあると思うので、そこはインドの歴史に則って。実に好み、理に叶った組み合わせ。
　ただし、これ、まだ試作品なんですよね。使ってるマトンは骨無し。後で骨付きを作ってみるとか。いや、骨付きの方が絶対に美味いでしょって。骨付きを食いてー。土日のランチはこれにしようかなぁと呟いてたのは聞き逃しません。
　ビリヤニセットと言いつつ、見た目はやっぱりミールス。付いてるカレー類は、イストゥ（ココナツ風味）、ライタ二種（円やかソルト系と植物由来オイリー系のヨーグルト）、ダル（豆カレー）、サンバル（インド版味噌汁的な）、ラッサム（酸っぱい系スープ）、アビアル（優しい風味）。ラッサムやイストゥやアビアルに使われているカレーリーフが凄くフレッシュかつ大盛り！　うぉおお、この時期になんだこれ、です。カレーリーフが安定供給されるようになったらしいです。素晴らしい。さらに、ラッサムは銀座アーンドラダイニングの巨匠、ラマナイヤさんの味。たまりません。一度食べたらすぐに再現できちゃってる。チャトニも柑橘系爽やかにバージョンアップ。
　後から出てきた、マトンヴェプドゥからヒントを得て作った、ミントヴェプドゥと呼べば良いのか的な物。これだけ食べると少しパサってしてるんですが、良い味です。このミントヴェプドゥと呼べば良いのか的なものをビリヤニに炊き込んでいる模様。そうすると、お肉も少しシットリ。旨みがお米まで広がって。
　混ぜるのが勿体無いと思いつつ、無意識にライタをビリヤニにぶっかけてた私。もう全部混ぜちゃいましょう。うふ。楽し。
　なんか凄いもの食っちゃった感じ。書きたい事はまだまだあるけど、このへんで。


　インド料理不毛地帯に近い、福岡県に希望が。と言うか、これは１０年２０年先を行ってる感じがします。能書きやウンチクをいろいろ書いてみましたが、この美味さは食わんとわからんのです。決して敷居の高い料理ではなくて、好きに手で混ぜ混ぜしてＯＫ。
　入口にはすげーリアルなスカルが光ってるし、なんか入りにくいと思ったら、角松敏生か伊勢正三か大滝詠一を口ずさみながら入ってください。すぐに仲良くなれます（たぶん）。また行くのが楽しみでしかたないお店です。
　ちょっとだけ評価上昇（4.5 -> 4.6）。試作品で評価上げちゃってますけど、正式に出る頃にはもっと美味いと思う。
　ごちそうさまでした。

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2014.01 昼

・ミールス 1500円

　サムギョプサル(韓国料理)のお店だった豚王が、営業形態変更で、リニューアルオープン！
　東京の目黒でホルモン番長としてブイブイ言わせた番長が、ついに南インド料理主体に本腰を入れ始めた。こりゃ九州のカレーファンなら、行かねばなるまい。都合良く出張が出来ちゃったので早速行ってきました。ミールスは南インドのカレー定食。インドにはカレーなんて概念が無いので、正確には南インドの定食ですね。ちなみにインドの食堂はダバ。日本一のインド料理繁盛店のダバ・インディアのダバです。
　北九州市の黒崎駅から筑豊電気鉄道で12駅、筑豊中間(ちくほうなかま)駅。歩いてすぐ。入り口にはスカルが黒光りし、アングラテイスト満載で優しく迎えてくれます。
　あれ？ 以前より綺麗になってる？ し、失礼な。(^_^;) コンロが無くなってたんですよね。


・ミールス (4.5)
　これでも1500円で良いんですか？ 圧巻の内容とボリューム、インディカ米の最高峰バスマティ、取り囲むカレーの種類の多さ、特筆すべきは構成力。好みのツボにハマった魚カレーのミールス。
　インドカレーはナンとドロリとしたカレーにタンドリーチキンだ、くらいに思っている方に言いましょう。インド人はインドでナンなんか食っとりゃせんと。カレーは、サラサラシャバシャバしとーと。これが本当の（南の）インド料理ちゃ。カレー好きなら、わざわざでも食べないと損です。
　カトリ(カレーが入った小さい皿)８コの圧巻のミールス。ターリー(お盆)に収まりきれずに、魚のカレーは外出し。サブジと言うかポリヤルと言うか(野菜の和え物的な)２種類とチャトニ(んー、何と言えば良いでしょう？ 渋い薬味的な？)はお盆にオン。カボチャウマーッ。
　パパド(豆煎餅)をパリパリかじりながら、カレーにふりかけて行きます。まずは一通り味見して、混ぜ混ぜの構成をテキトーに考えます。そう、ミールスは混ぜて食うものなんですよ。一種類ずつご飯にかけて食べるものじゃない(これ、重要)。無意識に、ライタ(ヨーグルト)をまずご飯にかける私。酸味のベースね。デザートじゃないのよー。その上にキーマ(鶏ひき肉)をかけて、野菜のカレーをかけて、テキトーに混ぜながら食べる。うまーっ、激しく美味い。野菜の甘味、フレッシュネス、肉のコク、もちろんスパイスがキュッと効いて。特にキーマに効いてるグローブが好み。全体を調和させているのはコリアンダーの仕業。
　モッタリしがちな野菜カレーを肉や魚の旨味が引き締めます。それでも野菜中心。南インドは北インドとは違い、油を極力使わない料理でヘルシーなんですよね。
　魚カレーの魚は釣り師用語でマヒマヒ、ドルフィン、一般的には万力、標準和名シイラ。グッドファイターな暴れん坊。南アジアでは広く食べられている魚。ちょっと臭みが出ちゃってるのが残念だけど、こういうのが現地風かもしれない。ココナツ少々にタマリンドの、南インド、ケララフィッシュカレーを思わせます。
　サンバルは酸味しっかりめ野菜たっぷり。ラッサムはカレーリーフも香り鮮明。サンバルとラッサムがしっかりしてるミールスに外れは無いんです。
　お芋のカレーは優しく甘く。ダル（豆）入りで優しいホッとする部分担当。生グリーンチリの辛さをホッコリと包みます。ダルがミールスに入ってないお店もけっこうあるんですけど、ダルの存在は嬉しいです。
　野菜カレーの１つは、なんと、バナナのカレー。来ましたね、来てます。バナナを野菜として使ってるわけです。ブラウンマスタードシードの酸味が合ってますねー。初めて食べましたが、かなりイケてます。本日も混ぜ甲斐があります。もう１つは忘れてしまった。
　今回気付いたのは、かなり健康的な昼飯になっている、ということ。たっぷりの野菜に、魚とお肉少々。油が少なくモタれない。スパイスは漢方薬でもありますしね。辛さもカイエンペッパーではなく、生の唐辛子で健康的。身体に優しいんですよ。腹一杯食べたつもりが、帰りの電車の中でもモタレなくなってる。有りがたいことです。辛さや、ヨーグルトをご飯にかけるようなナレない部分を克服したらご年配の方でも自信を持っておすすめできます。
　辛い、酸っぱい、甘いのベースに、優しくホッコリ味と、尖ったズキュン味と。１本調子ではなく、抑揚の効いた構成で、混ぜながら、飽きるなんて無縁の楽しみ。さらに、これだけの種類ですから、当然量も多い。ご飯のおかわりはどうですか？普通のバスマティもありますよっと言ってくれましたが、まだ食べたいのにお腹パンパンのジレンマ。なんとも贅沢な歯がゆさ。インドでミールスを食べると、好きなだけお替わりできるのが普通なんですね、そこまで同じとは、いやはや、強烈過ぎます。


　東京の大森に「ケララの風」と言う、インドのケララ洲の料理をインスパイアしたベジミールス（菜食ミールス）を出す人気店があるんです。そこのミールスに魚を加えて、味の抑揚をハッキリさせた感じです。なぜケララ風かと言うと、スパイス使いと野菜使いなんですね。スパイスは南インドらしく、だいたいがスタータースパイスがマスタードシードなんですけどフェヌグリークなどもあり。ココナツを多様するところもケララ風。野菜はポリヤルに特徴があり、１つの野菜を主体にしているんです。いろんな野菜をミックスベジタブル的に使うお店が一般的なんですけど、１つの野菜を大事に食べさせたい姿勢を感じますよね。
　これだけの料理を独学で学んでるんですよね。凄いことです。さらに、これを食べた翌週にはケララの風にお勉強に行くそうな。仕込みからお店に入るとかなんとか。さらにさらに、南インドのカリスマ、ダバ・インディアの味の礎を築いたラマナイヤシェフのお店(アーンドラ・ダイニング)にも食事に行くそうな。ますます磨きがかかりそうですよ。北九州の外れに現れた南インドの超新星、輝きが増しそうで楽しみです。

　ごちそうさまでした。
　いつになるか分かりませんが、必ずまた行きます。