レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
1位
1回
2016/05訪問 2016/06/16
キリ番というものにあまり執着するタイプではなかったのですが珍しく拘ります。
というわけで1,000軒目はこちら。
現在下書き中で一応記念すべき?口コミに出来そうなお店がココでした。
祇園の真ん中にある肉割烹のお店です。
以前から凄いお店だとは伺っていました。
場所は花見小路の近く、新しい漢字検定協会の建物の横のT字路にあります。
この辺りは流石は京都、流石は祇園な雰囲気ですよ。
観光客、特に外国人率が半端ないのは流石は京都。
こちらのお店がこの土地では特別凄い造りという訳ではないのでしょうが、素敵な佇まい。
ご主人は最高の肉職人に出会った事で、この肉の美味しさを伝えたい!
と今のお店、スタイルになったのだとか。
まずは結論。
超旨え。どれもこれももれなく旨い。ごめんなさい、なめてました。
自分が想像してたハードルを助走もなく跨ぐ位の勢いで越えられた感覚。
決して低いつもりでもなかったハードルをこうも易々越えられては。
この先私は肉関係の評価が厳しくなる自信があります、っていうかなります。
メニューは15,000円〜28,000円まで5種類あり、金額差はメインのステーキ肉が変わるのみ。
いきなり高いのは怖かったのでこの日は特選ヒレ(シャトーブリアン)。
それで美味しくなかったらキレるもん。詐欺だって言って怒り狂う。
サービス料等でもう少しつくので注意。
最初にお肉と昆布と鰹で取ったお出汁。
地のえんどう豆と生姜を沈めてあります。
薄作りにした京都産のタンの昆布締めはしばらく置いて常温にしてからの提供。
刻んだ塩昆布とポン酢につけていただきます。
ねっとりしているので塩昆布が簡単に付きやすいです。
一口食べた瞬間に、頭の中で
「はい、優勝ー。」
とファンファーレがなりました。
今回もう色々細かく書く気が無いです。とにかく旨い。
神戸牛のイチボのたたきは塩、生姜醤油、たまり醤油からお好みで。
個人的には塩、もしくはそのままがオススメ。予め塩味はある程度ついているので。
中はレアになっており、非常に柔らかいのですがくせ、臭みの類は一切無し。
何より脂の重さを感じません。さらっとしてる。融点が低いのでしょうかね。
椀物は加茂茄子を細く長く切り、素麺に見立てて。具には焼いたテール。
蕎麦に見立ててあるそうで、お出汁は濃いめの味付け。
姿形は変わって見えてもそんなことは関係なく美味しい。
豆ごはんにサーロインと白えびを乗せてご一緒に。
柑橘を効かせた醤油で軽くヅケにしてあります。
淡白なえびに牛肉って合うの?って一瞬思っていたんですけど。合うものなんですねえ。
ねっとりとした白えびが全然負けてない。
半干しの小芋とこのこをサーロインの背脂で揚げ、上にはスライスしたサマートリュフがたっぷり。
このこってなんの事かと思ったらくちこの事ね。ナマコの卵巣を干したものです。
呼び方が違うからピンとこなかった。この子ってどの子だよっていう(笑)。
同じナマコ珍味系でもこのわたほどくせもなくて美味。
ほおづきも添えられており、食べ終わってからこちらで爽やかに。
胡麻豆腐を巻いた神戸のミスジとふきに上から湯葉のすり流し、
更に酢橘を効かせたあんをかけ、とどめにラトビアのキャビアで。
上には紫蘇の花、酢橘の皮をすって。
高級食材がふんだんに使われているのですが全く下品さがない。
サーロインとグリーンアスパラのしゃぶしゃぶ。ポン酢でいただきます。
出汁でほんの少しだけしゃぶしゃぶしてあり、淡くピンクがかっています。
見た瞬間旨いのが分かるレベル。火の通し完璧。
うっすら出汁に浸してあるため、これ以上火が通っちゃう前にすぐに食べる事をお勧めします。
しゃぶしゃぶする前に外側の脂身をカットされていましたが、
「その脂身で良いからお土産に頂戴」
と言いたくなります(笑)。
ここでついにステーキ。
塩、胡椒、山わさびの醤油漬け、醤油ベースのソースをお好みで。
…これで下から2番目の肉のクオリティなのかよ!ってレベル。
凄いね、本当に。具体的に何がどうとかもう書く気がしません。
これの上のお肉は神戸牛でしたが、それはもう全然違うらしい。
最後はご飯、つけもの、赤だしと最後の罠・ヒレの昆布巻。
こんなタイミングで食べさせる代物じゃない。ご飯のお供な感じで食べて良いものじゃない。
しかもこの後さらに黄身の醤油漬けでTKGまである。何してくれてんねんと(勿論褒め言葉)。
最後に抹茶のシャーベット。ウイスキーをほんの1滴だけ垂らす事で味わいが違うんです。
ご主人、ただの怪物でした。
自信家っぽくはあるけど主張が強くないので嫌味は感じません。
また、食材への拘り、それを活かすだけの腕。
お肉は霜の振り方が凄いけど重さを全然感じない。
金額は確かに高いです。でもそれですら決して高くないと感じさせてくれるレベル。
正直、結構早い段階で
「なんでもっと良い肉にしなかったんだろう?」
と後悔しだす程でした。
これでしばらくは肉は良いかな。わざわざ肉の記憶を上書きしたくない。
これだけべた褒めしておいて★×5にしなかった理由は単純。もっと上の肉があるって分かっているから。
現時点でここ以上の肉料理のお店が思い浮かばない。誰か知ってたら教えて。
ところで食べログの利用シーンに「合コン」とか書いてあるけどそんなのに使いたくないわ、もったいない(笑)!
2位
1回
2016/08訪問 2017/01/22
マイベストレストランの時期なので慌てて書くシリーズ。
今年は結構溜まっててかなりのハイカロリー。
こちらの鮎はやばい!というのは以前から聞いていました。
新橋にある鮎正さんの本家に当たるんだそう。
というか本家なのにHPが404てどういうこった。
それでいてFacebookはやってるという(笑)。いったい何なんだよう。
お店は津和野町役場近くにあるのですが、その津和野町が遠い事遠い事。
この時は広島から向かった訳ですが、1番早いのは新山口駅からJR山口線を上がっていく方法か?
こちらは完全予約制。もともとは旅館もやっていたそうですが、現在はやっていません。
店内は増築を繰り返しているのかな?
時代を感じさせるほどではないものの味のある造り。
元々料理旅館だった名残を感じさせます。
お店の外の壁から水槽が見えるようになっており、鮎たちが元気に泳いでおります。席は全席個室。
こちらではすぐ側に流れる清流・高津川の鮎をいただくことができます。
3年前に起こった水害から工事の影響で川が濁っており、さらにこの時は雨が降らずにしばらく高津川では獲れず、
前日まで別の川のものを提供するしかなかったそうですが、この日は獲れました。ラッキー♪
こればかりは運としかいいようがありません。
ちなみに国土交通省の水質ランキングで何度も1位を獲得しているんだそうです。
また全国の1級河川では唯一、ダムのない河川なんだとか。
コースは一番高いコース(14,256円)だったはず。
子うるかと苦うるか。
苦うるかは鮎を模った器に入っています。
子うるかは卵と白子を、苦うるかはわたを塩に漬けています。
どちらも1年漬けているそうです。
苦うるかは発酵させてあり、名前に付くほど苦くはありません。
ねっとりとしていてこれは珍味。飲んべえにはたまらないでしょうね。
お造りは今や非常に貴重な洗いで。始めていただきました。
白くなった身は締まっており、余計な脂が落ちて夏にぴったり。
臭みも全くありません。
酢橘、赤紫蘇芽、みょうが、山葵で。
椀物は清汁仕立て。
一番だしを塩でほとんどの味を付け、薄口醤油で香りと風味を補いますが調味した物。
下には冬瓜が敷かれており、その上には鮎、さらに口柚子が乗っております。
吸い地も鮎を生かしてくれる上品な味わい。
ここで待ってました!の塩焼きが2匹。1匹目はそのまま、2匹目はお好みで蓼酢で。
これは凄かった。香りが凄い。焼きが上手い。
こちらではひれに塩を付けず、口をぱっくり開けて焼かれていました。
頭の焼き加減も絶妙で、その為、頭から丸々バリバリといただけます。
肉厚な身で香りも素晴らしい。苔をいっぱい食べているので西瓜のような香りなんて言いますよね。
やはりダムの無い川なので、苔の生え方と質が違うのだろうか。
ほんのりとした苦みも良いアクセント。
これまでで一番旨かった鮎かも。
うるか茄子には一口サイズのごはんが付いてきました。
ちょっと魚醤チックな独特な味わいが茄子によく染み込んでおります。
ほんのりした苦みも○。余った煮汁はご飯にかけて。
うるか味噌揚げはお腹にうるか味噌を詰めて揚げられています。
うるかが混ぜられた味噌は甘めで、鮎の身とも相性良好。
骨せんべいも添えられています。
昆布〆は旨味がしっかりとした鮎を酢の物仕立てで。
こちらも美味しく上々だったとも思うけど案外印象薄。
止椀は白味噌仕立てで。こちらにももちろん鮎がたっぷり。
少し甘みがあってこちらも美味しい。
鮎めしはわっぱで供されます。
わっぱというのが風情があっていいですね。
鮎で取っただしで炊き、素焼きの鮎をほぐして乗せています。
鮎の旨味をしっかり凝縮した美味しい鮎めしです。
香の物季節盛りも添えてあります。
水菓子は青梅甘露煮がかき氷に埋めてあり、これを崩しながらいただきます。
夏らしい締めでした。
最初から最後まで上質な鮎尽くしの鮎パラダイスでした。
うるかが良く使われてはいたもののワンパターンにも感じず。
これまでいただいた鮎の中ではベストかも。素直に旨いですとしか。
鮎はやっぱり現地で食べてこそなんだろうなあ。
最大の弱点は絶望的なその遠さ。というか遠い!遠すぎるよう!( ノД`)°。
新幹線はおろか特急も高速道路も通らないのはあまりに辛過ぎる。
JR山口線が走っているのが唯一の救い。
鮎正さんは行ったことないけど、もしそこが大して変わりないなら
そっちで良いかなって思う程度には遠い。
(他の方の口コミでは鮎の鮮度が全然違うようだけど)
そのくらい、このアクセスの悪さはかなり難度高いっす。これに関しては私の判断ミスもありましたけど。
この大弱点さえなければってところだけど、これでアクセス良かったら予約なんて取れなくなるわな。
まあでもわざわざここに来る方はクレイジー認定します(笑)。その為に来れるお店でもあるけど。
自分を食通ぶる気は全く無いですが、ここに来たのはこじらせちゃったなあと自覚しました(笑)。
また行きたいけど相当の労力を消費するので困りもの。
3位
1回
2016/01訪問 2016/04/08
札幌の、というか今回の旅のメインイベント。
テレビの全国放送にも取り上げられ有名ですね。
場所は…、札幌はよく分かりませんがすすきのと大通の間くらい?
別の場所にあったのがこちらに移転してきました。
ビルの2階にある上看板も非常に地味なので、結構分かりにくいです。
店内は広くはないものの高級感満載。
ご主人からは強い自信が感じられます。今怖いもの無しだろうな。
逆にその分少しだけ取っつきにくさは感じたけどこれは好みの問題。
お客さんは煩くなく、でもお高くとまっている訳でもなく話しやすい上品なお客さんが座っており、
いいお客さんを掴んでいるのが分かります。この時だけかもしれませんけどね。
コースは20,000円一本勝負、これにお酒代がつきます。
最初に山葵と塩が出ますが、この山葵が美味しい。山葵が美味しいお店は大概美味しいんですよね。
昆布だしに軽く通したクエ、これがいきなり感動する程旨かった。
旨味抜群、温度への拘りも感じます。これが最適な温度なんでしょうね。
蒸し鮑は黒い壺から出して。この日は旨味、香りが少し逃げている様に感じたか。
鰹のたたきは海苔のソースで。
この海苔のソースはどうだろうと思いましたが意外と合いますね。
超上品に仕上げた佃煮みたいなソースです。
やはり鰹は厚めに切ってこそ。
だからこそこのソースにも負けないのでしょう。
真鱈の白子、いわゆる雲子は軽く火を通した後出汁をかけ、酢橘を絞って。
結構熱くしたものが多いのはつまみだから?寒い日なのも考えてくれたのかもしれませんね。
大きな余市のあん肝も熱くして提供。
食べ応えのあるカットで提供してくれます。
この滑らかさ、この濃厚さ。
でもフォアグラに比べると意外なさっぱり感。
余市で獲れるあん肝は最高級で他の場所の倍はするそうな。
ここで握りに移行。
鯛の子供である春子。
真冬でも獲れるのね。知りませんでした。
春って付くくらいだから春の魚だという認識でした。格子状に切り目を入れて。
続いては鰆。これも真冬でも獲れるのね。
春って付くくらいだから春の魚だという認識でした。
地元だとカジキの事をサワラなんて呼んだりしますが、こちらは正真正銘の鰆。
脂も乗ってます。
この時は雪に覆われてはいますが、春の足音ってか。
皮目を炙った金目鯛。赤みがかった身は新鮮な証。柔らかく脂が乗っており、甘く実に旨い。
寿司ネタとしてはノドグロよりも向いていると思う。
大間のマグロは赤身とトロで。
そろそろ季節は終わりとの事。
これを書く頃には終わってるでしょう。
流石。
うには軍艦巻の上にたっぷり。
舌に当たった瞬間に粒立ちがはっきり伝わるうにに出会える事は数少ないです。
こちらは正にそれ。甘し美味し。
ノドグロは面白い形で提供。
小さい器にシャリを入れ、その上に焼いたノドグロを乗せるだけ。
で、これを崩して食べてくださいと。
それならただ焼きでの提供でも良かったんじゃ(笑)。
正直、寿司の体にした意味は良く分からなかった。
これに関してはそこまで飛び抜けたものではなかったかな。
ノドグロは結構食べてるし仕方ないか。
鯵は生姜を使わず。
生臭さのある魚なので、生姜を使わないというのは本当に自信がある証拠。
これが出来る鯵って極めて少ないですよね。
赤貝は下にひもを忍ばせてあります。あれ、これはあまり印象に残ってないや。
鰤は脂がしっかり乗っています。
けど大した感動が無いのは地元で凄いのを食べ慣れてるからなのかな。
このシーズンは全滅だったけど。
穴子は熱くして提供。
不思議と印象薄。決して不味いという事は無いんですけどね。
ホオズキとエビを練り込んだ玉子。
ホオズキは酸味がありとても瑞々しい。
玉子はこれまでで一番だったかも。
キツネ色に仕上がっており、端に比べて真ん中が少し盛り上がっています。
焦げ目が無くふんわり、海老の味も強過ぎずちょうど良いです。
握りはネタでシャリを両サイドから包み込むような握りが多め。
口にした時にシャリが解けるのは当然として、シャリが解けた時のネタとの一体感もあります。
たまにシャリの解けるのが早すぎるお店があるのですが、ネタだけが口の中に残っちゃうので、
一緒に解けるこれくらいのバランスが1番好きです。
こちらは総合力が魅力。全体的にとてもレベルが高いです。
そしてご主人の勉強熱心さと拘りぶり、似た系統ではめくみさん@石川県を思い浮かべます。
握りとしてはこちらの方が遥かに好み。
ただ、前半に比べて後半のラインアップは少しパワーダウンに感じたかな。
それだけ前半が良かったとも言えますが。
それでも流石の一言。
後は、やはり金額がなあ。
4位
1回
2016/09訪問 2016/11/13
マイベストレストランの時期なので慌てて書くシリーズ。
高評価のお店ほど書くのに時間がかかるから困る(^^;
移転した時からずっと行きたいと思っていたお店。
電話しても埋まっている事が続く内に紹介制になってしまい機会を失ってしまいました。
と、某マイレビュアー様が紹介してくれるとの事。
ずっと前に書いたことを覚えてくれて、お誘いいただきました。
本当にありがとうございます。ただただ感謝。
自分だけが浮きそうなのは分かり切っていたけど、そんな事気にしなーい。
近年、行く先々でよく言われるんですよ。
「寿司ならあなた、地元で食ったほうが良いんじゃない?」
って。
ましてや名古屋は「寿司文化不毛の地」と言われていたらしく、特によく言われました。
いや、不毛なんかじゃないぞー!といえるお店です。いきなり結論ですけど。
そういえば京都も寿司のお店少ないんだよな。
こちら、お店があるのはオフィス街・丸の内なので、休日は非常に静か。
店内はまだ比較的新しいこともあり、非常に清潔さを保っています。
最初にご主人がネタを見せてくれました。
この日は大間のマグロを大きなブロックで。もうね、これは見ればわかるレベル。
食べなくても分かる。いや食べるけどさ。
ウニははだてのスペシャルと唐津の2種類。
アワビは伊勢、等々、まあ派手にオールスターなネタを揃えていただきましたよ。
まずはつまみから。
茄子の揚げ浸しにキジハタとイチミダイを巻いて、
上にはオリーブオイルをアルギン酸で球体にしたものと紫蘇の花を乗せて。
イチミダイは初めて。メイチダイなんていうところもあるそうです。
キジハタは北のイメージが強いですが名古屋で見られるとは。
どちらもきれいな白身。これに揚げ浸しにした茄子とオリーブオイルの香りが。
紫蘇の花が色取りだけでなく良く効いています。
半熟のフライにしたうずらの卵を大間のマグロで巻いて。
ちょっとユッケ的な発想。上にはわさびをたっぷり。
とろんとしたうずらにマグロが絡む絡む。
アワビの下にアワビと野菜を炊いたピューレにしたものを敷いて。
香りが凄く良くて驚いた!プルンプルンとして軟らかいです。
ピューレはさらに残った分も指とか舌で舐めたいくらい(笑)。
舌触りはすこし野菜由来のざらつきがあって、似た感じでいうと…天下一品(笑)。
我ながらなんて表現の仕方だ。
北海道のいくらはミニ丼仕立て。
皮が薄く、歯を使わなくても舌でプチプチといけます。
少し甘めのいくらで、胡麻も良く効いています。
やや硬めに仕上げたシャリは赤酢を使われています。
シャリは少しづつ変えているんだそう。
名古屋のシャリはどちらかというと甘辛い、とはマイレビュアー様談。
ミル貝の串焼き。
ひもとべら(肝)。
独特な弾力がたまらない。
鰹の漬けにフライドオニオンの要領で揚げエシャロットを乗せ、いぶりがっこのシャーベットを添えて。
いぶりがっこ大好きなのでグッときます。
ただ保存のために沢庵をいぶしただけなのにこんなに素敵になるんだから先人の知恵って凄い。
そんないぶりがっこを使ってこんなにしちゃうご主人も凄い。
いぶりがっこの薫香とエシャロットが鰹の生臭みを消してくれます。
ここでさらに変化球、桃ガリ。
ガリっとした桃じゃなく、桃狩りでもなく、ガリにした桃。
能登ののどぐろと蛤とメキシコの松茸のラップ蒸し。
なんと贅沢な組み合わせ。香りが素晴らしい。
マツタケはメキシコ産だそう。
下に溜まったこの汁が旨い事。
さらに蛤は一つ残して味変。ボルディエの海藻バターを乗せて。
フルーツトマトに玉ねぎドレッシングをかけてサラダ仕立てで。
これがスペシャリテなんだそう。玉ねぎの甘味、酸味が絡む。
と、ここからが握り。
小肌は天草だそうです。
締め具合もgood。
北海道のさんまは良い脂の乗り。
べしゃっともしてないし臭みも無く美味しいです。
さんまのおいしい季節です、もとい、でした。
公海で外国船による漁が増えているせいで減っているそうですね。
いわしに続いてさんままで獲れなくなったら泣くぞ。
鰆のマスタード漬け。
「さわら」と言われるとカジキを思い出す私は石川県民。
マスタードはあくまでほんのりです。
なので淡白な味はそんなに負けていません。
渡り蟹(地物)も日本海側ではなかなかいただけないネタ。
こちらの蟹も濃厚なんだなあ。特に味噌。
みる貝(地物)も地元では見ないけど高級ネタ。
こっちではそのポジションは梅貝(エッチュウバイ)なので。
東京から来られた職人の方が
「バイ貝は下魚扱いだからどうしても使えない」と言ってたなあ。
東京にあるバイ貝とは微妙に違う種ですので、念のため。
こちらは旨味と食感が良い。
ここからは大間のマグロシリーズ。
まずは赤身。
臭みは全然無く非常に濃厚。
が、その次のほうが印象強くて。
血合い側(ぎし)は血合いの脇で赤身で一番美味しいといわれる身なのだそう。
血合いなんていうから血生臭さを連想するかもしれませんが、全くそんなものはありません。
こちらは鞍掛で。香りが良くネットリとして芳醇な味わいが広がります。
中トロはやはり書くまでもなくとろけます。
旨いに決まってる。
ウニは先に挙げたはだてと唐津の食べ比べ。
はだてのスペシャルは初めてだ。
極めて濃厚で甘みの強いはだてと旨味の唐津。
ウニは餌が違うから産地で大きく変わりますよね。
長崎は対馬のアナゴは尾と腹で。
淡白な尾はお腹を上に向けて塩で、ゼラチン質が多く脂の乗った腹は背を上にしてツメで。
ふわっふわです。対馬のアナゴは好きなんです。
鰹節をその場で薄く削って手巻きに。
こちらのスペシャリテなんだそうです。
ふわっと非常に軽い鰹節が堪らない。
削りたてなのでもちろん風味も良好。
こちらの赤だしはあまり濃くなくこちらくらいの方が好みかも。
蛤が効いています。
玉は厚焼き。
きめが細かくふんわりと軽め。
ここで、締めに「太巻きの細巻き」。
何言ってるの?と思った方もいるでしょうが、
つまりは「太巻きの具で細巻きを作る」ということ。
そのため太巻きのミニチュア版のような作りとなっています。
以前よりシャリと具のバランスに疑問を持っていたらしいです。
凄いよく分かる。なのですぐにピンと来ました。
自分もこれくらいのバランスのほうが好みです。
シャリの量も少ないし、一体感が違う。
具の一つ一つもしっかりとしています。
デザートには麦茶のアイス。
以前トリビアな番組で、「麦茶にミルクを足して砂糖を入れたらコーヒー牛乳っぽくなる」
というのをやっていたのですが、まさにそれ。
焙煎した香りが少しあっさりめのコーヒーっぽくなるんですよね。
寿司の締めならコーヒーアイスより絶対こちらのほうが合う。
名古屋のお寿司屋さんはあまり行っていないのですが、確かにピカ一のお店だと思います。
よく勉強されているのもよく分かります。素材も腕も流石。
フレンチもやっていたらしく洋の要素も取り入れているのですが、決してやり過ぎていない。
この感覚って結構大事だと思う。
腕に関しては、地味なところですが巻物をきれいに5等分しているのはおおー、と思いました。
技術が全てだとは思いませんが、無いよりはあったほうが良いに決まっている。
特につまみの発想、凝り方が凄かったですね。
またご夫婦の作るお店の雰囲気も素敵。
5位
1回
2016/06訪問 2016/06/17
某レビュアー様に1001軒目も期待してるなんて書いて貰ったもんで、調子に乗って書きます(笑)。
というわけで、また肉です。しばらく肉は良いやとか書いておきながらまたも肉。
東京以外の方でも名前くらいはご存知の方も多いのではないか、というこちら。
時の首相も通っただとか今やネイチャーで肉芸人なあの人も絶賛だとか有名ですよね。
都内では結構辺鄙で車かバス以外だと結構面倒な場所ではありますがそれでも皆並ぶ。
地方組からしたらこれ位のアクセスの悪さは何てことないです(笑)。
王子神谷駅からバスで向かいましたが、赤羽からも行ける模様。
この日はラッキー。あまり並ばずにいただけました。それでも多少は待つけど。
でも混雑時、この匂いで数時間はちょっとした拷問。
お店のつくりは結構普通。言われなきゃ極々普通の街の焼肉屋ですよ。
店内は奥に広めの座敷もあるけど基本狭いです。
こちらではA5の処女肉、36ヶ月以上の上半身のみを仕入れる拘りよう。
ハツのたたき(200円)は早い者勝ちのサービスメニュー。
あっという間に売り切れます。のでこれが食べたい方は開店狙いで。
ハツってもっとハートの強い食べ物だった記憶だっただけど。いや美味しいね。
ほんの少し臭みがあるのでカラシを付けていただきますが、付けすぎると辛いのでほんの少しで。
続いて特上ハラミ(1900円)。
これがとても柔らかくて旨かった。
切り方からして他と全く違う。分厚く切って真ん中で開いてる様な切り方。
さらに筋張らないように上手く包丁を入れているらしいです。
霜降りが素晴らしく溢れる肉汁、臭みは全く無し。
他のお客さんとタイミングを合わせて出てきます。お次はミックスホルモン(1700円)。
ご主人が流水で洗っているのだそうで、冬も毎日頑張ってるそうですよ。
旨味が落ちない様に洗い過ぎないのだそうです。
食べやすい様に切り目を入れてあります。
コブクロ、センマイ、ホルモン(シマチョウ)、ギアラ、ハツ。
これはどれも本当に美味しい。注文必須。
胡椒をしっかりと効かせた塩ダレです。山葵も効いてます。
レバ塩あぶり(1000円)は胡麻油も付いてきます。
「両面炙って食べてね」と。まあこの念押しは多分「分かるよね?」って事だと勝手に解釈(笑)。
少なくとも表面は絶対に焼きましょう。甘みがあって良かったですが、
これ自体には特別感はそう感じなかったかも。
付けるのは塩と胡麻油だそうです。
他のお店と比べるとホルモンが飛び抜けてる印象。特に違いを感じたのはハラミ。
金額もこれだけの有名店の割には安め。
といっても田舎の焼肉店よりは当たり前に高いんですけどね。
他のお客さんと合わせて切るため、追加はあまりしない方が良いかも。時間がかかりそうだから。
また、一部スープで追加出来ないものもあります。
休日はちょっとした覚悟が必要。匂いを嗅ぎながら数時間の生殺しの地獄が待ってます。
逆に平日の開店直後は待たなくて良いみたいです。
6位
1回
2016/04訪問 2016/05/14
銀座の鮨 青木さん出身のご主人が出張を経て満を持して開店したお店です。
元々は小矢部あたりのご出身のはず。次郎にもいらしていたそう。
そんな方が金沢に出してくれるのはありがたい事です。
そして現時点で既に予約困難店。どうやら出張時代のお客さんを掴んでるようですね。
また魚のプロの方達もここは旨いってんだから間違いないはず。
場所は主計町の奥を曲がったところ。住所の上では彦三になります。
店内は金沢でもかなり洗練された空間。
基本はカウンター営業ですが、一応奥にテーブル席もあります。
現在はご主人と女性スタッフの方の2人で切り盛りしているため、難しいかも。
利用できるのはこの先、スタッフの方が増えてからかもしれない。
ランチも若い人を入れてからと考えているようです。
こちらはつまみ→握りのおまかせのみとなっています。それにプラス酒代。
銀座だともっと高いのでしょうが、こちらは15,000円と納得できる金額。
まずは氷見のアイナメ。
こちらでは滅多に見ないアイナメの、それも大型のもの。
焼き霜で皮目に熱を通してあるんですがこれがいきなり旨い!
脂がよく乗り甘く、皮目はぷるんとしています。
氷見マス(桜鱒)の焼物。
これも結構な大物だったはず。
酢橘を絞っていただきます。絞り過ぎに注意。
脂の乗り、旨味、臭みの無さ、どれも素敵。
赤貝は七尾が今年禁漁、という事で瀬戸内産。
柔らかい、大きい、甘い、臭み無し、旨い。
これはここしばらくで一番美味しかった赤貝かもしれない。
蛸の桜煮は江戸前ならでは。
柔らかいし香りも良いし美味しいけど案外感銘を受けず。
口の中でとろけるというほどでは無かったです。
もしかして期待値上げ過ぎたのか?
逆に面白かったのが蛸の卵を煮たもの。
イイダコなら経験あるんですがこれは初めてだ。
鮑はとっても肉厚。
大きめにカットして提供してくれます。
ぷるんとして程よい弾力のある柔らかさ。
サヨリの昆布締めを黄身醤油で。
これが良く合っていた。
濃厚な黄身醤油に昆布の旨味が追いかけてくる感じ。
ただ少し塩気が口に残ったかな。
とらふぐの白子の茶碗蒸し。
とらふぐなんですよ。石川は河豚の漁獲量日本一だったりするのにとらふぐはあまり獲れません。
もしかしたら氷見のものだったかもしれない。
白子は先に軽く炙って香ばしさを出しています。
茶碗蒸し自体はちょい固め。
前述のとらふぐのねぎ塩焼き。
中がレアでぷりぷりなんだけど、これだけ蛇足というか、余計に感じたかな。
焼いた脂感が妙に重かった。
さてここから握り。自家製のガリも付きます。
ガリは気持ち甘めで生姜がツンときつつも辛過ぎず食べやすいです。
ただしどうやらコースの一部と考えられているのか追加してくれないみたいなので要注意。
最初の平目が熟成の真骨頂といった感じのネタ。
もちっとして甘くて旨いのよ。
墨烏賊、こちらもムチっとして甘い。
石川じゃ赤イカが多いですが東京から来られた方は墨烏賊を使うことが多いですよね。
こちらの方が高級扱い。
鮪は那智勝浦の天然物でござい。
これはかなり良い鮪だと思われます。
旨味、甘味もあり程よい酸味。
先の鮪の大トロ。
こちらはシャクっと噛むと脂がジュワっと溢れ出る様は果実かって位。
重ねて書きますが、これは良い鮪です。
やや大降りの小肌は塩味寄りで江戸前な〆具合ですが、
そこまで塩気は強くなく程よかったです。
少し金沢寄りにしてるんだろうか。
甘海老は小ぶりのものの2尾付け。
甘いけどこれに関してはもう一超え欲しかった。
七尾の鳥貝は旬ですね。
レア気味の仕上がり。柔らかく甘かったです。
分かる人には分かる、はだてのうにを握りで。
ただシャリ玉に乗せるんじゃないですよ、「握り」ですよ。
通常のネタと同じように左手に乗せ、潰さない様に優しく握るんです。
ただこの街はこの技も結構標準装備のお店が多いから困る。
これがあんまぁい♪
評判の煮蛤はさらりとしたツメで。
こちらも江戸前!ですね。肉厚なのに柔らかく、臭くなく、旨味も○。
こいづみさんなんかもそうですが、蛤には何かプライドを感じます。
穴子はお江戸から引っ張ってます。
こちらは塩で。期待通りの美味しさ。
形を残していますがふんわりとしており流石。
玉子は海老と自然薯を練りこんでおり、優しく甘い味。
シャリは赤酢を使った赤シャリ。米は輪島のコシヒカリを使っているのだそう。
赤酢特有のつんと来る臭いは弱め。赤酢って旨味はあるけど臭いが嫌いって人が結構いますよね。
だからブレンドにしてるお店が多いんだろうけど。
塩は珠洲の揚げ浜塩と、地元食材に拘っています。
握りはシャリ少な目。優しくほろりと解け、口の中でネタと混ざり合っていきます。
この感覚は高級店の絶対条件だと思っています。
修業先での経験を活かした江戸前仕事で、金沢では少ない熟成系のお寿司です。
勿論寝かすなんてのは当たり前にどこでもやってますが、こちらはもう一歩踏み込んでる感じ。
素材への拘りも凄い。毎朝5時には漁港に向かい、築地に取られちゃう前に持って行くそう。
あのお店の大将を思い出すな。
(※ただし素材自体は多分あちらが上、というかあそこ以上って中々無い)
ここまで行くとお客さんに喜んでもらう前に本人が楽しくてしょうがないんだろうな。
不思議なもので素材の良さは極めて重要なものの、
素材が良いから、意識が高いから美味しいものになるとは限らないのが
寿司に限らず料理の難しく面白い所だと思うのですが、
こちらはちゃんと美味しいです。
接客に関してはどんどんくる積極的な感じではないですが、比較的気さくに返してくれます。
ここしばらく続いている石川の寿司の新店の中でも本命かな。
やはり地元のお店の皆さんはウカウカしてられないです。
7位
1回
2016/07訪問 2016/11/12
そろそろマイレストランの時期。
こういうお店ほど書くのに時間がかかるからなかなか書けないのに。
でもああ、書かなきゃ。
宮崎を、ひいては九州を代表する寿司屋の一つ、という事でいいかな。
宮崎駅からは中途半端に離れているため素直にタクシーが正解か。
歩くのが苦じゃない方は頑張って歩いてください。宮崎駅から1キロ弱のものです。
こちらは思った以上の大箱。
お寿司のみでなく寿司割烹という位置付けのようです。
フロアのスタッフの方は寿司屋というよりも西洋料理のお店のようでした。
この日は12貫の極(8,000円)。
イサキは地元では出会えない魚。
たぶん人生で2回くらいしか食べたことないです。
比較的南の地域、太平洋岸にかけての魚というイメージです。
非常に美しい身ですね。肉厚で脂が乗っています。
血合いが赤いんですね。
続いてヤリイカ。
うまく寝かしてあります。
九州だと呼子で鮮度勝負のイカはいただきましたが、
こうしていただくとまたイカの旨味が際立ちます。
赤身は酢締め。
これは初。脂が多いのでベタ塩(上下から挟むように塩をする)をして締めるようです。
既成概念を覆しますね。赤身に酢締めなんて考えたことなかった。
酢締めといってもキツイ締めじゃないですよ。
無駄をそぎ落としてるイメージ。
トロはしっかり脂が乗っており、ええもうとろけますとも。
茶碗蒸しはシンプルですがプルンと柔らかく出汁が効いて良い味してます。
ゆず皮がいいアクセント。
小肌の締め具合も素敵。
締めすぎない本当にちょうどいい加減。
シマアジ。これは大好き。
というかシマアジ大好きなので諸手を挙げて万歳ですよ。
何でしょうね、この上品なのに脂が乗っていて臭みも無い味わい。
金目鯛、皮目を炙ってあります。
知ってはいますがさすがの旨味、脂の乗り。
シャリには柚子皮(確か)。
アワビは爪を塗って。かなり柔らかく味も濃厚。
火入れから蒸し上げに5時間ほどかかっているんだそうです。
そういえばアワビも凄く仕事の違いの出るネタだよな。
車エビはヅケで。
淡白なエビじゃ醤油の風味に負けちゃうんじゃ、なんてのは杞憂でした。
殻ごと漬けるのがポイントらしい。
染み込み過ぎと旨味が逃げるのを防いでるんだろうな。
鯖は締めて藁で燻して。
燻したのも大好きです。この香りが大好きなのですが、
鯖自体が素晴らしい。締め具合も丁度いい。
燻す前のものとの食べ比べもしてみたいな。
九州は唐津の赤雲丹。海苔は無しです。
旨み、甘み、口の中でとろけていく感覚。
ああもうたまらん。
穴子は温めて背を上にして握ってあります。
ふわふわと口の中で消えていきます。流石。
赤だしは何かのあらだったかと思うけど思い出せず。
それ以外が印象に残っているからだな。
鉄火の手巻きは手渡しで。
巻いた後に上にこんもりと乗せてくれます。
これはなかなかインパクト大。
ちなみにこれの2口目までは醤油は一切使わず。
玉子はカステラタイプ。
これがとてもきれいなのよ。
表面は本当にきっちり焼き目をつけてあり一面きれいな茶色。
でも苦みは無し。
高級なお菓子のようでした。
寿司を追及・研究してどこまでもその可能性を追及したお店でした。
単なる包丁仕事一本調子ではなく、いろんなアプローチで美味しさを引き出していました。
それでいて野暮ったさも一切なし。もちろん素材へのこだわりも感じます。
シャリには砂糖を一切使っていないそうで、黒皮かぼちゃを炊いて甘みを出しているのだそうです。
甘みを出すのにかぼちゃを使うお店には初めて出会いました。
ゆで汁で炊いている為、甘みは米に最初から浸透しているんですね。非常に面白いです。
ネタによって握り方も変えています。例えばマグロは軽め、光物は強めというように。
シャリの食べ比べもさせていただきましたが、握り方だけでも本当に違います。
個室の場合は提供まで時間がかかってしまう関係で砂糖(しかも和三盆!)を使っているのだそう。
しかし黒皮かぼちゃの方はより自然な甘みが出ています。
なので、可能な限りはカウンターをお勧めします。シャリの味が結構違うから。
もしかしたら好みが分かれるかもしれないとも思いました。色々独特だから。
でも自分は「旨けりゃ何でもいいじゃん」派なので全く問題無し。
接客は気付きも良かったですが、フロアの方が対応しきれていない印象もありました。
個室の方もカバーしなきゃいけないから大変なんだろうな。
そうそう、自家製のガリも良いですよ。
8位
1回
2016/07訪問 2016/11/12
マイベストレストランの時期なので慌てて書くシリーズ。
締め切りに迫られながら書く作家じゃないんだから(笑)。
こちらは酪農王国・宮崎を代表する焼肉屋さん。
ブランド牛・宮崎牛をリーズナブルにいただけるそうな。
繁華街からそこそこ歩くので、素直にタクシーが良いかな。
住宅街の中にあるのであまり目立ちません。
佇まいはまあ良くある焼肉屋ですよ(笑)。
店内も(以下省略)。
コースは基本が5,000円のコースですが、6,000円のコースもあり、こちらはビーフカツ付き。
そういえば牛かつという名前で近年各地で猛威を奮っていますね。
個人的には神戸の朝日さんで満足しちゃった感があるから案外触手が伸びないんです。
今回は5,000円のコースで。
控えめのコースにしてその分お店の数をこなそうとしちゃうのは近年の自分の悪い癖。
でも5,000円のコースでも十分おなか一杯になります。
まずはすじ煮込み。
牛蒡などとともに非常に柔らかく煮込まれております。
味付け自体はややあっさり目。
ここからは少しずつ提供してもらい、順次焼いていきます。
生タン、ハラミはそのままか宮崎産のへべすでどうぞ。
生タンというのは生で食べるという意味ではないので悪しからず。
そう説明を受けたのでそのまま書きます。
生タンは宮崎、ハラミは確か神戸だったと思う。
あまり焼き過ぎないようにとの注意を受けます。ああ、なんかちょっと新鮮。
最近知ったかぶった風に見えるからか、皆まで言ってくれないお店が多いんです。
タンは非常に奇麗。色がもう美味しい。味も良い。
ちなみに一緒に添える野菜にもこだわっているようで、この日はゴーヤでしたが、
単純に苦いだけではないおいしさがありました。
続いてはモモのランプ寄りの肉、肩ロースの真ん中、サーロイン、ヒレ、こちらはおろしポン酢で。
やや厚めに切られた肩ロースの霜降りっぷりはやばかった。そして重厚な味わい。
ヒレも赤身肉ながら適度な脂肪。柔らかく、赤身の美味しさを思い知らせてくれます。
半面、サーロインは案外印象薄。
カルビ3点盛(タレ)と焼野菜。
裏の卓でも「肉の王様だ♪」と騒いでるのが聞こえましたよ(笑)
三角バラ、トモバラ、インサイドスカート、だったと思う。
インサイドスカートは腹横筋。ハラミに近い肉質です。
三角バラは薄切りでしたがとても濃厚な味わい。
ゴマの入った甘めのたれはさらっとしており、脂が多いお肉にもぴったり。
本当にいろんな部位を食べさせてくれますね。
ここでホルモン、センマイ、レバー(タレ)。
この日のセンマイが美味しかったなあ。
最近センマイにはまりつつあるかも。
臭みのなさは新鮮な証。
それでいて旨みも逃げていないので、洗いすぎてないのでしょうね。
最後のニンニク焼きめしが結構な量でちょっとした罠。
下手すると食べきれない人もいるんじゃないかな?
たっぷりのニンニクの他、鰹節1パックをぜいたくに使う焼き飯です。
もちろん牛肉も大きめのものが2切ほど。
化学調味料の代わりに鰹節でうまみを乗せようっていうハラです。
ニンニク×鰹節の焼飯は新鮮な組み合わせ。たまに家でもやってみようかな。
女性は要注意ですが、たぶんお腹の調子を聞いてくれると思います。
最後のフルーツにはスイカ。
焼肉の締めに瑞々しいスイカってすごい相性良いな。
どれも上質なお肉で、その上コストパフォーマンスが非常にいいです。
満足度高し。
この内容でこの提供の仕方で少し着飾ったスタッフで東京で提供したらいくらになるんだろうか。
ご主人はじめスタッフ皆さんお話も面白く、アットホームな雰囲気も素敵。
訛り交じりな感じがまた良い。
そりゃ人気になって当然。
というか、宮崎・大分の人たちはこれまで伺った地域の中でも特に人の好さを感じました。
そのお店だけかもしれないですけどね(^^;
何回も通って仲良くなると裏メニュー的なものも出してくれるそう。
またこちらは宮崎における食の情報発信基地的な側面もあるようです。
お肉に限らず宮崎の食について知りたければここ!ということかもしれませんね。
9位
1回
2016/05訪問 2016/06/11
「嘯月」という店名は、月に向かって虎が吠える様を表す「月に嘯く虎」という言葉から名付けられたそうです。
とらやさんで修業の後に始められたこちらは現在では「和菓子の最高峰」なんて声もあるほど。
食べログでも★×4.29(2016年6月現在)と、圧倒的な点数を誇っています。
場所は北大路駅から徒歩で10分強。
北大路堀川行きや上賀茂神社行きのバスで下鳥田町(たしか)で下りた方が大分早いです。
住宅街の中にあり、結構見落としがち。
前日までの完全予約制のお店で、作り置きを一切せず行く時間に合わせて作ってくれます。
そのためお店は狭く、受け渡しのカウンターのみ。イートインなんて望むべくもありません。
渡すだけなので、特に他のお客さんと被るとか関係ないので予約時間はこちらの都合でOK。
金額はその日によって内容が変わることもあり固定ではありませんが、
1個当たり400円~500円なので、大体2,000~2,500円くらいにはなるはず。
なるだけ早く食べて欲しいとの事。箱を開くと息を飲む美しさ。
茶室に照明器具が無かった時代よりも明るい色あいに変わってきているのだそうです。
少しずつ姿は変わっても味に妥協はせず、昔と同じ味を一切変えないのだとか。
お菓子は1箱につき4〜5個上生菓子が入っています。
名前は教えてもらい損ねたので後から調べましたが分からないものもあります。
きんとんはこちらの代名詞らしく、1つ入れてもらいました。
5月なので岩根のつつじなんだそうです。
このきんとんの細工が非常に美しい。これが芸術ってやつなのね。
非常に滑らかな舌触り。餡子も本当にきめ細やか。
餡子が苦手な方の「妙な甘ったるさ」なんてものも皆無です。
他にも1個1個書きたいくらいだけど名前も分からない(笑)。
花あやめ、青柳、あとは何だろう。
色合い、姿の美しさも勿論だけど、皮も柔らかいし、薄皮の饅頭も良く調和が取れているし。
どれも素晴らしい。
本当に美しく季節感も品もあり、勿論美味しい。
和菓子については我ながら土地柄食べてるくせにまるで詳しくもありませんがそれくらいは分かる。
お菓子の一つ一つにかける思いが他のお店とは明らかに一線を画する感じです。
餡子の滑らかさも、甘味も非常に素晴らしい。
一箱くらいならぺろりといけちゃいます。
茶室でお茶と一緒に、というのが本来理想なんだろうなあ。
とにかく早めにいただくのをおススメします。
翌日厳禁、出来れば買ってすぐにいただきたい。
10位
1回
2016/02訪問 2016/05/22
徳島では食べログにて断トツの点数を誇る有名店です。
場所は中々に辺鄙。お昼なら徳島駅からバスでも行けなくはないですが
(徳島バス佐那河内経由神山高校行きで朝宮バス停下車すぐ、行きは11時過ぎ発、帰りは15時ちょっと前発)、
動きが制限される為レンタカーかタクシーが正解でしょうね。
ただしバスは圧倒的に割安。片道で650円くらいだったかな。
夜はバスの便が無いため車必須。
お店は元々旅館だったそうで、その建物は隣に少し残っています。
ご主人が嵐山の吉兆で修業の後帰ってきて仕出し料理などを作っていたのですが、
ある時徳島の方に「作ってよ」と言われ、それが口コミで広まっていったのだとか。
で、旅館を建て直して出来たのがこちらの壺中庵さん。
ちなみに吉兆創業者から直接教えを受けたお弟子さんは現在は未在さんとこちらだけなんだそうな。
アクセスは大変ですが、着いてみると大変のどかで、緑と川に囲まれた静かな場所。
街の喧騒を忘れられます。
完全予約制で、今回は10,000円のコースをいただきました。8,000円のコースもあるそうです。
まずはナマコの酢の物。
かなり大きめに切ってあり、弾力はあるものの意外と柔らかかったです。
女将さんはこの後も料理の説明一切無しで置いて行きました。
若い方は最低限の説明はしてくれたので、女将さんがそういう方っぽいです。
お店の方針というよりは女将さんがこういう方なのでしょうね。
不親切に感じる方は逐一聞くのが良いかと思います。
菜の花の胡麻和え、鯖寿司、ふきのとうの田楽。
この中では菜の花が出色の出来。胡麻の香ばしさ、甘みにじんわりと出汁が効いてます。
厚く切られた鯖寿司も肉厚だったけど、少しだけ酢飯がガチガチになってたかな。
椀物にはワタリガニのしんじょうと芽蕪、椎茸。
吸い地に塩気はほとんど無く、しんじょうの塩気で食べる感じでした。
醤油は香り付けにほんの数滴垂らすだけなんだそう。でもこれが旨いんだなあ。
お造りはアオリイカ、鯛、車海老。
昆布塩でいただきます。この昆布塩が凄く美味しかった。
そんなに塩辛くないのでたっぷり付けても無問題。お造り自体はどれも美味しい。
焼き物はマナガツオの酒盗焼き。酒盗は魚の内臓の塩辛。
何の内臓かまでは分からなかったけど多分鰹。
独特な旨味ですが、特有の臭みは無し。しっかり目に焼いて香ばしくしてあるからかな。
マナガツオは脂もよーく乗ってます。皮は細か目に切り目を入れてありパリパリ。
若竹煮は昆布出汁のみで炊いているのだそう。
本当にシンプルな味わい。
しかし筍の味が生きています。仄かな甘みが堪らない。わかめも旨み、食感共に申し分無し。
ただ筍はボリュームがあったこともあり、食べ進めると少しエグミを感じたか。
鹿の焼き物とご飯。
これがあれっ?だった一品。
鹿をたれで漬け焼きしているのですが、柔らかめではあったものの獣臭あり。
焼きの感じも表面は焼き目無く、その割には中は火が通り過ぎ?感。
またご飯は少しべちゃっとしているのに硬め。蒸らし足りなかったのかな。
デザートにははっさくゼリー。
身をくり抜いて器にしてあります。
締めに抹茶とお茶請けに粟麩を焼いてあんこをサンドしたもの。これは結構素朴な美味しさ。
だしも味付けも極力シンプルにして、素材の味を生かす方向性の行き着く先な気がします。
東京では現在「引き算の料理」なんて言われてますが、その究極形っぽい。
これ以上行くとただ味が無いだけになり兼ねない。
素材が旨くないと決して成立しない料理ですね。
多分濃い味好き、旨味過多なものが好きな方には向きません。「味しない」と言う事請け合い。
なんというか、こちらから見つけ出さなきゃいけない美味しさなので。
薄味好みで良かった(笑)。
今年は見事に偏りました。