目が覚めると、なぜか泣いていた。
そういえば、昔はよくあったことだ。いつから泣かずに目が覚めるようになっていたのだろう?
そして、なぜまた泣いてしまったのだろう?
あの頃の自分は、現実の重さに耐えられなくて都合のいい夢の中で都合のいい自分を演じていたように思う。
目が覚めそうになると泣きながら「現実に帰りたくない」とでも訴えていたのだろうか。
ひとつ、覚えている。
プリンのプールにダイブした夢。
浮かびもせず、手足をやたらに動かしても進みもせず、ズブズブに沈む夢。目を凝らしても何も見えない。穴と言う穴からプリンが侵入し、むせるどころか息もできない。甘さが脳を侵食して意識が遠退く。
暗闇の中で、どこまでもどこまでも堕ちていく。
こんなことなら、せめてゼリーにしておけば良かった……。