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毎年香川県にお邪魔してうどんを食べ歩いていますが、夜までうどんはさすがにノーサンキュー。
晩御飯くらいはゆっくり酒でも飲みながら、上質な食事をいただきたいものです。
ということで、今回はイタリアンレストランの両忘さんへお邪魔しました。
ディナーは6名までしか予約を取らないらしいですが、平日のこの日の客は我々含め4名のみ。
先日芸能人の某グルメ王の番組に登場したらしいですが、まだまだそれほど予約は殺到していないのかも。
1品目はアンチョビとストラッチャテッラというチーズのクロスティーニ?です。
フレッシュ感を感じさせるストラッチャテッラはふわとろな食感で、淡泊かつマイルドな味わい。
チーズという呼称から想像する酸味もほとんどなく、チーズというよりもクリームっぽい感じです。
後でググりましたが、ストラッチャテッラってブッラータの中身なんですね。
そんなストラッチャテッラが臭味のない上質なアンチョビの塩気と旨味をいなし、香ばしいハード系のパンが両者をしっかりと受け止めていました。
シンプルですが決して単調ではなく、センスの良さが感じられる美味しい前菜でした。
続いて提供された太刀魚のフリットがこれまた絶品でした。
衣は薄くてさっくりと軽い食感で、衣自体が香ばしくて美味しいんですよね。
おまけに衣の中で蒸し焼きにされた太刀魚が非常に柔らかく、ふわっふわのほっこほこ。
全く歯や舌に障るところがなく、ただただクリアで力強い旨味が感じられ、めちゃくちゃ美味しかったです。
次の1品はトスカーナのチンタネーゼ豚の生ハムです。
脂身が多いのですが融点が低く、口の中でさらっと溶けていきます。
赤身の部分はチーズのような熟成香があって、芳醇な旨味が感じられます。
そんな生ハムをしばし口の中でキープして、それからゆっくりと咀嚼。
鼻から抜ける香りと舌に広がる旨味を楽しみ、それからオリーブオイルに浸したパンで後追いするととても美味でした。
魚料理はサゴシの炭火焼と焼きなすのピュレでした。
サゴシは皮目は香ばしく焼けていますが、一方身の中心部はレアでふわっと柔らかく瑞々しい仕上がり。
素晴らしい火入れですが、欲を言えば皮目にパリパリ感があると食感の対比も出て面白いかなと。
また、美味しいことは美味しかったのですが、サゴシの素材自体の力がそこまででもないような。
焼きなすのピュレとの取り合わせの妙味も、私の舌ではちょっとわかりませんでした。
肉料理はフランスの鳩のロースト。
血抜きをせず全身に血をまわした鳩とのことですが、窒息鴨みたいなものでしょうか?
確かに血の旨味を感じますが真鴨のようなレバーっぽさはなく、万人受けしそうな味わいです。
しかし、魚同様火入れも素晴らしくとても美味しいのですが、皮のブニッとした食感だけが気になりました。
これがカリカリッと香ばしく仕上がっていると、なお良かったかと思います。
付け合わせのマコモダケはしゃくしゃくとした食感で、ほのかにとうもろこしのような甘さがあって良かったです。
シメのパスタはジェノベーゼでした。
しかし、炭水化物が最後って、日本料理みたいな組み立てですね。
パスタは茹で前2.2mmくらいの極太麺で、芯を感じさせないもっちりと食べ応えのある食感。
個人的には最高の茹で加減でした。
一般的なジェノベーゼの材料しか使っていないらしいですが、どこかアニス的なハーブ感があって面白いです。
塩の強さが少し気になったものの、食べる程にハマる味でした。
デザートは栗のセミブレッドのエスプレッソがけでした。
注がれたエスプレッソが温度低下により固まって、コーヒーゼリーに変化するのが面白いですね。
セミフレッドの甘さとエスプレッソの苦味の取り合わせも絶妙でした。
ワインのことはよくわかりませんが、ビオ主体なんでしょうか?
料理に合わせて選んでいただきましたが、どれも美味しくて満足いたしました。
サービスはシェフの奥様が担当されていましたが、ホスピタリティと人柄の良さが感じられる素晴らしい接客でした。
良い意味でプロっぽくなく節度ある気安さがあって、おかげで楽しく食事をすることができました。
総評として、料理もサービスも雰囲気も素晴らしいレストランで、一発で気に入ってしまいました。
シェフはまだ若くとても真摯な方なので、今後益々腕を上げられるんじゃないでしょうか。
高松に来ることがあれば、何があっても再訪したいお店ですね。
どうもご馳走さまでした。