2回
2017/01 訪問
高いだけの価値がある高級ラーメン
不忍通り沿いにあるラーメン店です。
幹線道路沿いですが、駅からは離れており、西日暮里駅・田端駅・本駒込駅の3つの駅から歩いて行ける場所ですが、どこからもちょっと離れた場所です。
そのため、周辺には飲食店もあるものの個人営業の小さなお店の多いエリアです。そんな場所に1杯の値段が千円以上する高級ラーメン店があります。また、このお店の向かいにはつけ麺の有名店の哲の本店があり、ラーメンマニアには訪れるべきエリアとなっていますね。
お店は、昔の商店を改装したような小さなお店なので、車で通っていたら気づかないかもしれません。木製の渋い看板とお店の前に置かれたイスが目印です。
店内は、厨房に向かうカウンターが1本、それとテーブルが2卓あります。
ラーメン店としては珍しく、食券を買うのではなく、レジでの会計します。
お店に入ると、店としての格の違いを見せつけられますね。調理を担当する方と接客を担当する方の2名体制ですが、接客担当の方が親切過ぎます。
人数に応じて適切な席に案内し、おしぼりを提供してくれますし、メニューも「ゆっくりご覧になって決めてくださいね」ととても親切です。有名ラーメン店にありがちな、「端から詰めて座れ、席に着いたらすぐに注文しろ」みたいな態度は微塵もありませんね。
お冷ももちろんセルフサービスではなく提供されますし、寒い日だったからでしょうか、女性にはお冷に加えて白湯(さゆ)まで提供するきめの細やかなサービスです。
調理担当の方もビシッとコックコート姿で、キビキビと仕事をしています。2人の立ち居振る舞いを見ると、ここがラーメン店とは誰も思わないでしょう。
メニューは、1,296円のラーメンが塩と醤油があります。チャーシューメンも同様に塩と醤油があり、2,052円。他のテイストの麺類は酸辣麺がありこれも2,052円です。
ラーメン店なので、トッピングもあり、ご飯ものもありますが、特徴的なのはデザートが豊富な点でしょう。
いただいたのは、
■塩ラーメン(1,296円)
出てきたラーメンのボリュームは、チャーシュー麺が間違って出てきたのかと思うぐらいのチャーシューの大きさです。その下にはもやしを中心に野菜が盛られているので見た目にもボリュームがありますね。
スープをひと口いただくと、『濃い』です。単に塩味が濃いのではなく、とても複雑な味わいで風味豊かです。複雑な味わいは、もちろん、定番の素材によるものもあるかと思いますが、カウンターには多くの漢方が置いてあります。これが風味と味わいの秘訣なのでしょう。
その漢方由来の風味なのでしょうか、塩ラーメンでありながら、鼻を抜ける風味はまるで醤油ラーメンぐらいの豊かさがありますね。
麺は、凡庸な印象ですが、これだけしっかりとしたスープに合わせられる力のある麺ですから、能ある鷹が爪を隠しているだけで、他のスープで食べたら麺がひとり勝ちするような実力派なのでしょう。
チャーシューは、具の中でも抜群の存在感を示し、チャーシュー麺が2,000円を超える理由もわかるぐらいのレベルの高さです。
箸でほろりと崩れる柔らかさがあるものの、肉の質感があり、味というか風味がとても豊かです。肉の風味ではなく、何か加えられたものですが、これが繊細かつ豊かですね。中華料理では『五香』という複合スパイスのようなものを使いますが、これに近いですが、五香のようにストレートなものではなく、繊細なものです。
丼全体の複雑な香りや味わいの中で唯一、肉眼で確認できるものはニンニクぐらいですが、この効かせ具合も素晴らしく、他の素材の風味を崩さないようにわずかに効かせています。
食べ始めれば、誰でもこのラーメンに夢中になり、あっという間に食べ終えてしまうこと間違いないでしょう。
■醤油ラーメン(1,296円)
ベースのスープのみが異なり、塩と同じなのかと思いきや、盛られている具が違いますね。醤油には揚げニンニクがたっぷりと入ります。
通常の醤油ラーメンとは異なり、ものすごい力強い味わいです。醤油の塩気もなかなかですが、ベースのスープが力強いので結果的に醤油も立っているのかと思います。
それゆえにニンニクが入ってもー大丈夫なのでしょう。
一般的なラーメン店で、醤油ラーメンが好きな人は塩ラーメンを食べるべきで、豚骨などの力強いものを食べている人は醤油ラーメンを選ぶといいかと思います。
■季節の炊き込みおにぎり(162円)『鶏ごぼう』
ご飯もののサイドメニューは、1品ですが、季節で変わるようですね。
立派なサイズのおにぎりが、1個1個ラップにくるまれてカウンターあります。
持ち帰りもOKなのですが、ボリュームがあるので食べかけでも持ち帰りOKです。ラーメンのレベルが高いだけでなく、こんなところにまで気遣いがあるのがこのお店の特徴です。
ご飯は美味しいですが、ラーメンの特別さと比べると想定内の出来ですね。
会計が終わり、お店を出る際も気遣いの言葉があり、最後まで隙の無い接客です。
ラーメンという食べ物の概念を覆すお店でした。利用するまでは、「価格の高さで話題作りをしているそこそこ美味しいお店」だと、やや懐疑的に考えていたのですが、食べてみると味にふさわしい価格だと納得しました。
食文化というものは、進化するもので、寿司や蕎麦も今でこそ高級店がありますが、江戸時代は屋台でいただく大衆的な食べ物だったわけで、現代で大衆的な食べ物のラーメンが高級な食に進化していく過程の最先端のお店なのかもしれません。
2017/01/27 更新
食べログラーメン百名店2017にも選ばれた高級ラーメン店です。
高級ラーメン店と表現するのは、単に価格が高いだけでなく、抜群のサービスだからです。
この界隈の飲食店の中で最も素晴らしい接客のお店でしょう。
素晴らしい接客のいくつかを紹介すると、相席はさせず、混雑していてもカウンター席は1席空けて案内します。2人で行けばカウンター席に2人で並んで座るか、テーブル席に案内されます。
ラーメン店ですが、おしぼりも提供されるだけでなく、女性には汁はねを予防するためのタオルも貸し出します。
お冷のおかわりは、継ぎ足しではなく、新しいものと交換されます。
会計が終わり、お店を出る際に段差やお店を出た後の公道の自転車の通行に注意するようにひと言添えてくれます。
他にもいろいろありますし、相手に応じた対応をしてくれるので、私が知らないサービスもあるでしょう。接客担当は女性で非常に丁寧かつ機敏に対応してくれて、恐縮してしまいます。
このような点からラーメン店ですが、女性がひとりで入れるお店です。
いただいたのは、
■ごまの酸辣麺(2,052円)
1杯2,000円超えのラーメンですから、注文には相当の覚悟が必要ですね。ちょっとしたフレンチのランチと同じぐらいの価格です。
前回の訪問で気になっていたメニューですが、お店が百名店に選出されたのもあって、思い切って食べてみました。
赤い汁に山盛りに盛られた緑色が映えますね。生の豆苗です。ここでも、お店の特徴たるサービスが冴えます。空の小鉢を用意してくれて、豆苗をこぼさぬように取り置くために使います。
スープをひと口いただくと、酸味はあまりなく、辛さも軽めですね。しかし、ここでお店の味の特徴たる香辛料の旨さが口の中に広がります。花椒は粉にしてあるようで、これの香りと痺れを感じますね。後からゆっくりとごまの風味と旨みが来ます。、香辛料とは、読んで字のごとく「香り」と「辛さ」を有する食品です。辛さだけでは香辛料としては不完全ですね。このスープのように「香る」ことで初めて「香辛料」と言えるでしょう。
食べ慣れた花椒以外は、、味から何を使っているのか特定できませんでしたが、カウンターに香辛料や漢方が並んでいるのがわかる気がしました。
香り高いのに食べているう、ちにどんどん汗が出るので相当の量の香辛料が入っていると思われます。
山盛りの豆苗は、生なのでシャキシャキの食感です。これをスープに絡めるとちょうどいいですね。スープと豆苗だけで料理として成立しそうなぐらいの完成度です。
スープや具のレベルの高さに埋もれがちな(物理的にも埋もれていますが)麺ですが、これだけの味わいのスープと合わせても弱さを感じないのでやはり、良質な麺なのだと思います。
非常に美味しいラーメンですが、ラーメンというよりも高級中華料理という印象です。『高名な中華の料理人が作った辛い麺料理』という感じです。ラーメンというと、もうちょっと、出汁に使う原材料の旨みが見える料理かと思います。このラーメンは、良質な出汁はベースにして、更に調理を加えているので、ラーメンの概念を飛び出していると感じました。ラーメン好きには変化球のラーメンだと思われるかもしれませんね。
出汁の良さが味わえる『塩』、料亭でも使用している高級な醤油で仕上げる『醤油』、そして、高級中華料理のような完成度の『酸辣麺』とどれを食べても美味しいお店なので、お客さんは迷うお店ですね。しかし、どれも美味しいことは間違いないので、自分の好みで選ぶのが一番だと思います。