2回
2015/07 訪問
伝通院前の創作イタリアンは大胆かつ精妙
茗荷谷と後楽園の中間ほど、春日通りは伝通院前の交差点のすぐ近く、伝通院側左にあります。以前から気になっており、今回念願の初訪問になります。お料理はお任せコース(5,800円)のみとなります。
コースは品数が多く、前菜が6品ほど、それからパスタ2種類とメイン、そしてデザートかチーズ、最後に小菓子となります。どのお料理も今まで見たことが無いものばかりで、創意工夫や細やかで丁寧な調理がいちいち驚きを与えてくれ、そして美味しかったです。
全ては憶えきれなかったので、特に印象的なものをいくつか挙げます。
カレーライスのカプチーノは、カレーソースの上に米(?)をメレンゲ風にして載せたもの。カレーパンの餡のようでもあり、混ぜて頂くとまろやかで辛さは目立ちませんでした。
契約農家(どこだったか忘却...)からの直送野菜のバーニャカウダはカブがメインで黒大根、瓜などです。歯応えも野菜としての味もしっかりしており、バーニャカウダソースに負けないのでシンプルではありますが素材が生かされています。これまで食べたバーニャカウダの中では圧倒的な美味しさでした。
熊本県産というソフトシェルのシャコを揚げたものも忘れ難いものでした。シャコにこのような調理方法があるのかと驚くと共に、意外と柔らかい食感でシャコを美味しいと思ったのは実はほとんど初めてのことでした。
パスタは少量ずつ2種類で、ホウレンソウを練り込んだリングイネとショートパスタはいずれも自家製の生パスタです。特にリングイネは信じ難いほどにコシが強いのですが、芯が残っている訳でも無く、アルデンテとかそういう意識を感じさせるでもなく、自然な食感が新鮮でした。鮎のフライと合わせて頂くもので、パスタの甘みと良く合っているように思いました。ショートパスタは夏野菜と共に2種類のソース(トマト、オクラ)を混ぜるものです。横に添えてあるオクラの種にもトマトの味がついており、何という精密な細工をするのかと、また驚きました。
メインの仔牛のカツレツは、骨付きの肉を揚げたものをカットしているので、脂っこさもなくスペアリブに近いような味わいでした。
一品一品に様々な工夫があって、それが奇をてらっている訳でも技術に押し付けがましさがある訳でもなく、あくまで味が調和して、それぞれの素材を生かすためのもの、という点がとても素晴らしいと思いました。これだけの内容で5,800円はかなり安いと言えます。シェフの気遣いも細かいものでした。コースは月替わりのようなので、これからも通いたいと思います。もっと早く伺っていれば良かったとも少し後悔しました。
2015/07/10 更新
前回、美味しくて感動した割に、5年経って漸く再訪になりました。
コースは月替りなので、その際からだいぶ変わっておりますが、創意工夫が一段とレベルアップした印象でした。トマトソースを注射器でチューブから押し出したり、穴子のフリットをグラスの中で薫製するのに砂時計を各自配ったり、と、子供も一緒だったので大喜びしていました。
どれもこれも素晴らしく美味しかったですが、赤身肉のステーキが美しくピンク色で柔らかく焼き上がっていたのが最も印象に残りました。
この内容でコース7,800円は格安です。次回はもっと早く伺いたいです。