3回
2025/12 訪問
桜丘の「ドゥイ!」
中学時代の同級生たちと、渋谷「福ちゃん」での喧噪を後にした。
二次会、と誰かが言った。向かったのは、桜丘の雑居ビルにあるオーセンティックバー、「Bar Travis」。
路麺店ののれんなら、それこそ何百回とくぐってきた俺だ。けれど、こういう重厚なドアの前に立つと、まだ少しだけ背筋が強張る。初めての店じゃなくても、本物のバーが纏う空気には、いつだって心地よい緊張がある。
テーブル席に滑り込み、呼吸を整える。
「男は黙ってハーパーソーダ割りだよ~」
ふいに、新卒で入った会社の、最初の上司だったK田さんの言葉が蘇る。あの頃、大人の男の象徴みたいだったK田さん。その教えに従うように、俺はハーパーのソーダ割りを頼んだ。
グラスの中で氷が鳴る。喉を落ちるバーボンの香りが、あの頃の、何も分からずに走っていた自分を少しだけ連れ戻す。
二杯目。
前回ここに来た時、その味に魅せられたものを頼むことにした。信玄餅の「蜜」をリキュールにしたやつだ。これを、カルーアミルク風にしてもらう。
バーボンで少し強張った胃袋に、このデザートのような甘さが、優しく染み渡っていく。たまらない。
その甘さが、今度は別の記憶の引き出しを開けた。
大学時代の同級生、W尾のことだ。
あいつは、どうしても「カルーアミルク」が言えなかった。酔うと決まって、「ミルクカルーア、ミルクカルーア、ドゥイ!」と叫んでいた。
「ドゥイ!」って、なんだよ。
意味なんてない。ただ、若かった俺たちは、そのわけの分からない響きだけで、腹を抱えて笑い合えた。
中学のツレが横にいて、グラスの中には最初の上司の教えと、大学時代の友の馬鹿げた口癖がある。
渋谷の夜の底で、俺は琥珀色の液体と、甘いミルク色の記憶を交互に味わっている。
「ドゥイ!」
心の中で呟いてみると、不思議と、明日も悪くないな、と思えた。
2025/12/12 更新
2025/10 訪問
【今日のBar Travis.1】
渋谷福ちゃんの2次会で桜丘の雑居ビルにあるオーセンティックバー、Bar Travisへ濃く行きます。
路麵店訪問経験豊富な私でも初めての店はいつも震えます。
私の最初の上司のK田さんの「男は黙ってハーパーソーダ割りだよ~」の言葉に従って、ハーパーソーダ割をいただきます。
その後カウンターにあった信玄餅の蜜をリキュールにしたのが気になってそれをカルーアミルク風にして作ってもらったらこれがうまいのなんの。
同級生のW尾さんがカルーアミルクを言えなくて、「ミルクカルーア、ミルクカルーア、ドゥイ!」と言っていたことを懐かしく思い出しました。
2025/10/25 更新
高校大学の先輩と代々木食いしん坊つちやの2次会として桜丘の雑居ビルにあるオーセンティックバー、Bar Travisへ濃く行きます。
路麵店訪問経験豊富な私でも初めての店はいつも震えます。
新卒で入った会社の最初の上司、K田さんの「男は黙ってハーパーソーダ割りだよ~」の言葉に従って、ハーパーソーダ割をいただきます。
前回訪問時に魅せられた信玄餅の蜜をリキュールにしたのをカルーアミルク風に。これをデザート代わりにやるのがたまりません。
大学同級生のW尾さんがカルーアミルクを言えなくて、「ミルクカルーア、ミルクカルーア、ドゥイ!」と言っていたことを懐かしく思い出しました。