3回
2023/08 訪問
昭和24年創業、『原点』にして『最高峰』、時空を超える『中華そば』。
こちらは言わずと知れた「荻窪」のというか、「日本」の誇る名店であり、自分のラーメン人生の「原点」でもあるため、久しぶりですが再投稿させていただきました。
やれ「イニシエ」だの「ノス」だの、「コスパが悪い」とか、アンチが多いのも人気店の裏返しで、かく言う人々も何故70年以上も人々に受け入れられ続けてきたかを説明することはできないでしょう。
自分は全国各地(ちと大袈裟ですが)、長年色んな美味いラーメンを食べて来ましたが、ラーメン、特に「中華そば」というジャンルにおいて永久不滅的に美味いと思えるお店はここ「春木屋」さんと「永福町大勝軒」さんのみです。
甘めの見方でも、開業から1年以内に50%が廃業し、5年以上続くのは10%程度と言われているラーメン業界において、この両店が未だに行列を作り続けていることはとてつもないことであり、確たる理由もあることをお分かりいただきたいです。
瞬間一時風速的に美味いラーメンには何杯も出会ってきましたが、何十年経っても美味いと感じられるということは、まず何十年も食べ続けられることが前提にあって、さらに食べ続けた人間にしか分からないことですので、どんなに「バカ舌」と言われようともこの考えは揺らぐことがありません。
この両店が続く限りは、真の意味でのレジェンドとはなり得ず、もしその灯が消えることがあるとするならば、その時初めて業界の「伝説」となり後世に語り伝えらることになるのだと思います。
特にこちらは、「永福町大勝軒」さんと違って系譜が極端に少なく、支店が「吉祥寺店」さん、暖簾分けが「郡山分店」さん、出身店が「おかめ」さん、「甲斐」さんぐらいしか知りません。後は、暖簾分けか支店か分かりませんが唯一失敗した「春木屋めんめん」さんというのがありました。
分店や出身店は似て非なるものになってしまっているので、まさに一子相伝に近い希少さ故に、唯一無二のこの味を求める人が絶えないのでしょう。
30年近く前から聞いていたのは、こちらのスープは30種類以上の材料を13時間以上かけて煮込んでいるとか、季節や気温、湿度で小麦の調合・加水率、麺の太さを変えているとか、平ザルでの麺上げを任されるまで最低5年の修行が必要とか、色々ありましたが、そんな「春木屋」さんが2020年、「富士そば」を運営するダイタングループに身売りされたと聞いた時はショックでした。
人に立って食事をさせるという支配者文化の会社が果たしてクオリティを維持できるのか、不安しかありませんでした。
継承者が親族にできなかったのだと思われますが、お弟子さんにお店を譲渡するよりは企業への事業譲渡の方が金銭面で圧倒的優位性があるのは明らかで今村氏、73歳での決断を責めることはできませんし、「春木屋の味」自体が無くなってしまうよりはよっぽど良いかと思うようにしました。
悪い意味ではありませんが、急に外国人スタッフさんが増えたり、まさかのフードコート出店、宅麺進出等、自分の信じていた「春木屋」ブランドが崩壊していくのを目の当たりにしてしまったため、「ふっく」さんに浮気したり、本日も思わず「there is ramen」さんに行きかけるところでした。(そのうち訪問したいと思っていますが。)
前置きが長くなりましたが、今回は前置きがメインの投稿ですのでご容赦下さい。
今回は平日の13:09現着、並びは無く、店内は先客8名でしたがあっという間に満席になりました。
今回も「わんたん麺」1300円に「味付玉子」150円をポチりました。
厨房では多々お見掛けしたことのある方が調理されていたので安心しました。
7分程で着丼しましたが、ここでしか感じることのできない独特の香り、出汁の風味が移り込んだラードの膜に覆われた煮干香る熱々の絶品スープ、絶妙な加水と小麦のブレンドでツルツルではなくザラついたコシのある自家製中太縮れ麺、パサパサのようでスープを吸ってマリアージュされるモモチャーシュー、正に「雲を呑む」感じのわんたん、味のしっかりと染み込んだコリコリの食感のメンマ、ねっとり濃厚な味付けの味玉、どれを取っても美味いです。
特にこのスープは他のどこでも味わうことができないしどこにも似ていないと断言できます。
初めてこちらの「中華そば」を食べた時は、美味さが良く分からず、でも後味がずっと残っていて不思議だったので思わずその日のうちにもう一度食べに行って美味さを認識したことを思い出します。
確かに、その頃と比べると細部が結構変わっていることに気付きますが、普通の人には気付かない程度の違いであることは間違いありません。
100年以上の歴史を持つラーメン店は都内に数店あるようですが、今後の可能性も含めて行列店として100年という節目を達成できそうなお店としては「春木屋」さんが最有力ではないでしょうか。(「永福町大勝軒」さんは昭和30年創業なので。)経営が移譲されてしまったことだけがやはり心配です。
でも、今のところお冷の給仕も徹底しているので、あと何年かは大丈夫でしょう。
評価については忖度が無いかと言えば嘘になるかも知れませんが、これまでもこれからも自分の中の「最高」でいて欲しいと願うばかりです。
ごちそうさまでした。
メインの屋号
商店会の看板
行灯看板
暖簾
外にある券売機
券売機上のメニュー
店内
店内の暖簾
卓上
味玉は別皿で提供
「わんたん麺」1300円+「味付玉子」150円
文句無しのスープ
自家製中太縮れ麺
豚モモ煮豚
わんたんは5枚
コリっとメンマ
味染み十分な味玉
完飲
天沼八幡通りの奥にあるコインPは15分220円
2024/02/03 更新
2021/12 訪問
ラーメン好きの『DNA』を覚醒させた一杯。
昭和24年(1949年)創業72年。その歴史の内の約30年を共にしてきました。
10代で上京し、新宿の「桂花」さんから始まったラーメン人生ですが、「春木屋」さんに出会ってからラーメンに対する想いが変わったのを記憶しています。ただ美味しさを求めることから、ここを基準に比較する、引き算のラーメン人生とでも言いましょうか、分からない方も多いと思いますがその後誕生した多くの有名ラーメン店主さん達がここを目指していたという事実は間違いありません。それを「春木屋理論」と言います。長くなるのでこれ以上は止めときますが、つまりは「守り続けながら変化する」ということですかね。
本日は、開店直後ぐらいに前を通ったら並び無しで「ラッキー」と思いながら駐車場を探していたら満車だらけで右往左往、結局11:20頃到着です。並びは8名程ありましたがまさかの高速回転で、食券を購入して約10分待ちで入店できました。
本日も「わんたん麺」1250円に「味付玉子」100円を追加。入店して3~4分で着丼という素晴らしいオペレーションです。
詳しいことは前回のレビューで書きましたが、香り高くパンチのあるスープ、味・スープの持ち上げ共にすばらしい麺、なめらかという次元を通り越したツルツルのワンタン、スープと一体となって初めて完成する脂をそぎ落とされたスポンジのようなモモ肉チャーシュー、主張し過ぎないが味の染みたメンマ、あまりに小さいけれども香りの強い海苔、しっかりと味の染み込んだ半熟の味付玉子と、この作品は、見た目を追求するでもなく、バランスを重視するでもなく、一つ一つのパーツそれぞれがベストを尽くしている、そんな感じがします。
あっという間にスープまで飲み干して撤収です。帰り際には結構な並びができていましたが、昨今の有名店のような大行列ではないので助かります。
並んでまでラーメンを食べるという概念が自分にも世間にも無かったころから行列を作るお店として名を馳せ、やれ高いだのただのノス系だの言うアンチも多いのは確かですが、ちゃんと味覚と嗅覚を鍛えて判断してもらいたいですね。
今日も良い一日になりそうです。ごちそうさまでした。
並びは8名程
変わらぬ外観
変わったのは食券気(以前は店員さんが列の人から注文を聞いてメモも取らずに全部暗記していた。)
食券(半券)
大きな鍋で麺が泳いでいます。隣はスープ寸胴です。ラードも一緒に煮込まれているので、スープを丼に入れるにも技が必要です
熟練の技が光る平ザルでの麺上げ、昔聞いた時は麺上げまでに修行が最低5年必要だったとか
最初に味玉が提供される
わんたん麺1250円+味付玉子100円
絶妙な加水率の自家製中太縮れ麺
脂のないモモ肉チャーシューはスープとのマリアージュで完成する
具が少なく舌触りと喉越しを味わうテロテロワンタン
スープ表面は鶏油ではなくラード
味のしっかり染み込んだ味玉
完飲
帰りにも列ができていました
天沼八幡通りを入ってすぐ右折するとある駐車場は15分220円でした
2023/08/09 更新
2021/04 訪問
自分の中では日本一のラーメンです。
春木屋さんには吉祥寺店、今は無き新横浜ラーメン博物館店を含めて足掛け30年ほど通っているでしょうか。
学生の時に出会ってから私の中ではずっとNo.1の座を保っています。
九州や北海道、北陸にも転勤があり軽く500件以上のラーメン店を制覇し、最近東京に戻ってきたのでまたこの味が楽しめるようになりました。
食べログ上位の人気店はほとんど食べていますが、最近のどんな手の込んだラーメンよりもここのラーメンの香りとコク、いつまでも残る後味にかなうものには出会っていません。
今流行りの麺線の整った鶏油がキラキラ輝く清湯醤油ラーメンも嫌いではないですが、香り高いラードを使用した熱々の煮干しスープと季節や天気によって調合を変えるという自家製の縮れ麺、具は少ないがスープを吸い込んで完成するワンタン、脂身の無いチャーシューは見た目と違って柔らかでスープを吸って完成する味付け、ここまで記憶に残るラーメンには未だに出会っていません。
ノスタル系とかクラシック系とか言われたりもしますが、「中華そば」の原点はここにあり、これからも変わらないと信じています。
値段が安ければもっと評価は上がるのでしょうが、ラーメン代よりも高い駐車場料金を払ってまで食べたいと思うラーメンはこことあと数件だけです。
価格に見合った食材と手間、人材教育がされているのは言うまでもありません。たかがラーメンかも知れませんが、香りから始まり食後の後味まで文句のつけようがありません。学生の頃はここのラーメンを毎日食べたくて西荻窪から荻窪に引っ越ししたくらいです。
恐らくこの後もずっと私の中ではNo.1で居続けることでしょう。
2021/12/20 更新
昭和24年(1949年)創業、『変わらない味』と言われる『変わり続ける味』、数多のラーメン店主達が追いかけた『現代ラーメン』の『源流』であり、日本人の普遍の味覚に訴え続ける『中華そば』がここにある。
2023/08/11 更新