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森の動物のレストランガイド
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森の動物 (男性) 認証済
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1回
夜の点数：4.7
2016/04 訪問
最高の花見
素晴らしい、すごいの言葉しか出ない。最後に席を立つことさえ惜しかった。そういうお店であった。ほんの8席（ＨＰ上などでは9席となっているがその時の客数に合わせてもう1席調整可能なのだと思う）のカウンター席しかない。席に着くとカウンターの上には大きな桜が。もちろん本物の桜である。思いがけず、最高の花見をすることとなった。決して大きな店ではないが必要十分なスペース、センスのよいインテリア、大小関係なく一つ一つ気が配られた器、居心地の良いライティング。そしてお店の雰囲気はそういったお店側のセンスだけでなく、客側にもその一旦を担うことを求められる。言いかえると、お店がいかに自分の店に合う客層を獲得できるかにかかっている。この店にはその素晴らしいセンスに共感できる客が自然に集まっていることを感じる。この季節感満点の雰囲気の中、ここから素晴らしい料理の数々が始まった。せっかくなので、一つ一つの食材を覚えている限り解説してみたい。鯛のお造り：鯛のお刺身からのスタート、薄造りで前菜としては申し分ない。花うどの天ぷら：せりのような山菜。天ぷらのスタートとして軽やかな食感でかつ後からくる風味もすばらしい。えびの頭：次に海老の天ぷらがくる予兆として、花うどとまた異なる食感。えびの天ぷら：やわらかさとぷりぷり感の絶妙のバランス。アスパラ：ただただ揚げ加減の妙。椎茸：肉厚の椎茸。キス：数日熟成されたキスとのことで、何もつけずに最初の一口を勧められる。何もつけずによし、塩でよし、天つゆでよし。たらの芽：カツオ＋天かす：まだ脂ののっていないカツオを天かすを補っているという。スプーンに載ってくる。そしてここから同じ食材が二皿ずつ提供される。帆立の天ぷら：中に生の部分が残っている厚みのある帆立。帆立の磯辺焼き：そして間髪をいれずに帆立の磯辺焼きが提供される。この見事なコンビネーションは素晴らしい。東京の他の店でいうとピーエル・ガニェールの一つの食材で３つの料理が提供されるコースすら思い出す。蛤のお吸い物蛤の天ぷらこの蛤の二つの料理のコンビネーションは、さらにそれを超えた。これまでのすべての貝料理のなかでも、あるいはこれまでのすべての料理の中でも１，２位を争うほどの驚きであった。それを実にシンプルな味付けで実現していること、感嘆の一言である。筍の天ぷら筍&花山椒コンビネーションの料理はまだ続く。筍の天ぷらはもはや驚きはしないが、花山椒を添えた筍は素晴らしかった。大葉うにのせ： 元吉のスペシャリティ。正直これは雲丹の寿司よりも旨い。あなご と新生姜の塩漬け： 穴子の天ぷらに新生姜の塩漬けを頂く。肉厚の穴子にこの生姜の風味が素晴らしい。かき揚げ天茶（または天丼）： 天茶はのりが沢山の薄味。さっぱりとしている。個人的にはもう少ししっかり味がついていても良いかとも思うが、このさっぱりもまた良い。ミルクプリン苺のソース： イチゴをつぶして牛乳と砂糖をかけた味を再現したかったというデザート。すごく美味しい。いつも言っている和食であってそしてキチンとしたデザート。これである。難点を言うと、実は、２つの刺身料理だけここは寿司屋に任せた方がよいのではないかと感じた。鯛の刺身はスタートとして悪くないのだが、後から考えるとその後に来る天ぷらと比べるとさほど素晴らしい味というほどでもない。いっそのことガツンと天ぷらでスタートしてもよいのではないかと思う。カツオに関しても天かすと合わせる意図はわかるがもう少しカツオと天かすの一体感がほしいと感じた。もっとも両方とも天ぷらではないので、天ぷらのついて文句のつけどころがないことに変わりはない。元吉さんの行き届いた眼からくるものか、ピリッとした一筋通った空気のなか、それでいて何とも居心地の良い雰囲気。これまで5点満点を付けたことはないが、今回ばかりは少なくとも雰囲気については5点。料理については、天ぷら以外の部分でのこれからの向上を願ってほんの0.1点だけ下げて4.9点とさせていただいた。サービスは蛤のお吸い物や天茶などいくつかの料理を天ぷらとの絶妙なタイミングで出す必要があるなど立派にこなしているがもう少し陽気さが欲しい。飲み物に関しては、未知数であって総合点に影響をあたえていない。いずれにしても私の中でこれまでの最高点をつけざるを得なかった。こちらの天ぷらは星で表すどこぞの採点では星が1つだそうだが、私の採点方法を用いるなら、まさに「世界で最も美味しい天ぷらを食べるため、この店のために東京に旅行する価値のある卓越した料理」「非常に美味しく、時に驚くほど見事である。」「最高の素材で、独創性豊かな料理を提供している」それを「星」とかいうものに置き換えると、確か。。。是非再訪したい、などというのはおこがましい。再訪させる機会を頂けたら幸いである。
2017/06/22 更新
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素晴らしい、すごいの言葉しか出ない。
最後に席を立つことさえ惜しかった。そういうお店であった。
ほんの8席（ＨＰ上などでは9席となっているがその時の客数に合わせてもう1席調整可能なのだと思う）のカウンター席しかない。
席に着くとカウンターの上には大きな桜が。もちろん本物の桜である。
思いがけず、最高の花見をすることとなった。
決して大きな店ではないが必要十分なスペース、センスのよいインテリア、大小関係なく一つ一つ気が配られた器、居心地の良いライティング。
そしてお店の雰囲気はそういったお店側のセンスだけでなく、客側にもその一旦を担うことを求められる。言いかえると、お店がいかに自分の店に合う客層を獲得できるかにかかっている。
この店にはその素晴らしいセンスに共感できる客が自然に集まっていることを感じる。
この季節感満点の雰囲気の中、ここから素晴らしい料理の数々が始まった。
せっかくなので、一つ一つの食材を覚えている限り解説してみたい。
鯛のお造り：鯛のお刺身からのスタート、薄造りで前菜としては申し分ない。
花うどの天ぷら：せりのような山菜。天ぷらのスタートとして軽やかな食感でかつ後からくる風味もすばらしい。
えびの頭：次に海老の天ぷらがくる予兆として、花うどとまた異なる食感。
えびの天ぷら：やわらかさとぷりぷり感の絶妙のバランス。
アスパラ：ただただ揚げ加減の妙。
椎茸：肉厚の椎茸。
キス：数日熟成されたキスとのことで、何もつけずに最初の一口を勧められる。何もつけずによし、塩でよし、天つゆでよし。
たらの芽：
カツオ＋天かす：まだ脂ののっていないカツオを天かすを補っているという。スプーンに載ってくる。
そしてここから同じ食材が二皿ずつ提供される。
帆立の天ぷら：中に生の部分が残っている厚みのある帆立。
帆立の磯辺焼き：そして間髪をいれずに帆立の磯辺焼きが提供される。
この見事なコンビネーションは素晴らしい。東京の他の店でいうとピーエル・ガニェールの一つの食材で３つの料理が提供されるコースすら思い出す。
蛤のお吸い物
蛤の天ぷら
この蛤の二つの料理のコンビネーションは、さらにそれを超えた。これまでのすべての貝料理のなかでも、あるいはこれまでのすべての料理の中でも１，２位を争うほどの驚きであった。
それを実にシンプルな味付けで実現していること、感嘆の一言である。
筍の天ぷら
筍&花山椒
コンビネーションの料理はまだ続く。筍の天ぷらはもはや驚きはしないが、花山椒を添えた筍は素晴らしかった。
大葉うにのせ： 元吉のスペシャリティ。正直これは雲丹の寿司よりも旨い。
あなご と新生姜の塩漬け： 穴子の天ぷらに新生姜の塩漬けを頂く。肉厚の穴子にこの生姜の風味が素晴らしい。
かき揚げ天茶（または天丼）： 天茶はのりが沢山の薄味。さっぱりとしている。個人的にはもう少ししっかり味がついていても良いかとも思うが、このさっぱりもまた良い。
ミルクプリン苺のソース： イチゴをつぶして牛乳と砂糖をかけた味を再現したかったというデザート。すごく美味しい。いつも言っている和食であってそしてキチンとしたデザート。これである。
難点を言うと、実は、２つの刺身料理だけここは寿司屋に任せた方がよいのではないかと感じた。
鯛の刺身はスタートとして悪くないのだが、後から考えるとその後に来る天ぷらと比べるとさほど素晴らしい味というほどでもない。いっそのことガツンと天ぷらでスタートしてもよいのではないかと思う。カツオに関しても天かすと合わせる意図はわかるがもう少しカツオと天かすの一体感がほしいと感じた。
もっとも両方とも天ぷらではないので、天ぷらのついて文句のつけどころがないことに変わりはない。
元吉さんの行き届いた眼からくるものか、ピリッとした一筋通った空気のなか、それでいて何とも居心地の良い雰囲気。
これまで5点満点を付けたことはないが、今回ばかりは少なくとも雰囲気については5点。料理については、天ぷら以外の部分でのこれからの向上を願ってほんの0.1点だけ下げて4.9点とさせていただいた。サービスは蛤のお吸い物や天茶などいくつかの料理を天ぷらとの絶妙なタイミングで出す必要があるなど立派にこなしているがもう少し陽気さが欲しい。飲み物に関しては、未知数であって総合点に影響をあたえていない。
いずれにしても私の中でこれまでの最高点をつけざるを得なかった。
こちらの天ぷらは星で表すどこぞの採点では星が1つだそうだが、私の採点方法を用いるなら、
まさに
「世界で最も美味しい天ぷらを食べるため、この店のために東京に旅行する価値のある卓越した料理」
「非常に美味しく、時に驚くほど見事である。」
「最高の素材で、独創性豊かな料理を提供している」
それを「星」とかいうものに置き換えると、確か。。。
是非再訪したい、などというのはおこがましい。再訪させる機会を頂けたら幸いである。