レビュアーの皆様一人ひとりが対象期間に訪れ心に残ったレストランを、
1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン」を公開中!
2位
20回
2025/01訪問 2025/03/21
この日が最後の訪問となった。2月末に39年間の歴史を閉じるコートドール。31歳の時に初めて来店してから29年間、毎年1回以上訪問した。残念ながら2月の予約はとれなかった。2時間電話をかけっぱなしでも。1月とれただけでも運がよかったのだろう。
最後のメニューは
アミューズ 桜エビのトースト
フォワグラ入り鹿のテリーヌ
オマールのテリーヌ ダニエル風
野菜のエチュベ
トリュフのかき卵
トリュフパイ
子羊のロースト タイムソース
デザート 酸果桜桃の焼き上げミニパウンドケーキ
どれもコートドールの名品である。トリュフのかき卵はコートドールが生んだ傑作。これを作るのに20分以上時間をかけて混ぜるのだから、そんな手間をかけられるお店はないだろう。
私は食べログフランス料理部門でコートドールだけを5点としている。(フランスなどは別)ただ、コートドールの料理を上回る料理を提供したレストランもいくつかあるのは事実である。なぜ、コートドールだけだったのか・・
・メニューの中心がアラカルトであること
お任せコース主流の中で、コートドールはアラカルト主体で営業している。やはり、その日に食べたいものを選択できるのが一番いい。お任せコースはもともとパリの若手シェフが老舗や星付きレストランに対抗するために考えられたものである。1コースだと仕入れに無駄がない。だから安価で提供できる。料理は決まっているから調理をこなし切れる、という事である。カンテサンスの岸田さんも30代前半の時に同じことを仰っていた。肉だけは塊を仕入れるから同じコースでも肉の部位や料理が異なることもあったが。お任せが主流の中でアラカルトの提供は凄いことである。
・すべてがスペシャリテ
メニューはオープン当時から変わっていない。すべてランブロワジー時代のもの。その後斉須シェフのオリジナルが出てくるも、全く味も変わらず(ただ、野菜のエチュベだけは酸味がまろやかになったが)、毎回、期待通りの味である。新作を生み出すことよりも難しいことであろう。だからこそ、生活のリズムを大切になさり、余計な取材なども受けない。頻繁に新作を出されても驚きより、むしろ食べ疲れるので・・・。そのような驚きの新作で楽しいと感じたのは、私の行った中ではスペインのエルブジやパリのルドワイヤンくらいだろうか。
・いつも斉須シェフが厨房で調理をしている。そして厨房の清掃も一緒に行っている。
これこそがこの店の全てだろうと思う。
・サービス
斉須シェフは客席にはこない。あまたのスターシェフのように客席をまわらない。常に厨房の中である。というのは、性格はシャイなのである。シェフと話せるのは厨房の中だけである。低い声でボソッと(すみません)話すシェフ故、お客様の前で話すのが苦手なのである。だからこそ、スタッフの凄さを感じる。
サービスは客側からすると、特に常連などはしっかり構ってほしいと思うだろう。常連を大切にする店はある。でも、それならば、常連だけにすればいいと思う。私が行った事があるお店では、故西健一郎さんの京味、現在では、京都の飯田さん、神戸北野坂木下さんなどは一見さんの予約を停止している。しかし、コートドールではそうはいかない。常連も一見も同じように満足してもらうサービスをする必要がある。だが、コートドールのサービスはそこをやってのける。客とスタッフの距離感が完璧なのである。
100点満点のサービスをしようとすると1テーブルに1人つけないとできない。だから、彼らは常連、初めての客、老若男女すべてのお客様に対し最大公約数でサービスをするのである。
そして、いわゆる”グランメゾン”のサービスと異なるのはお客様の状況や年齢層によってサービス対応の仕方も変える。私は20代の女性を何度か連れてきたことがあるが、やはり緊張もしているのだろうか、松下さんなどは私をうまくオチにつかって(笑)、冗談を言って、おかげで女性もリラックスして会話が弾むようになった。逆に接待のような場合、格式のある対応をとる。また、会話中などは、あえて声をかけずに、途切れた時に席にきて、飲み物の伺いや水を注ぎに来る。その時のシチュエーションに合わせて対応を変えているのである。それも客にそう思わせなく自然に・・・。
そして、必ず客席を常に見ている。だから会計の時などもスムーズである。そう、常に客に寄り添っているのである。それも客にそう思わせないように。
そう、これこそがプロフェッショナルだと、、。
私は人生の中で実は何度か職を失ったことがあった。でも、贅沢できる身分ではないにもかかわらずこの店にだけは行った。ここに行くと自然と元気づく。旨い料理だけでない。ここには本物のプロがいる。仕事を全うする自信と責任感に溢れる姿、そんな皆さんの仕事ぶりを半人前の私は見て学び、自分自身に叱咤激励をして自信を取り戻してきた。
メートルドデルの松下さん、大薗さんはじめサービススタッフの皆さんは昔から変わらずいる。それだけ、この店がスタッフに愛されているのだろう。素晴らしい事と思う。
レストランは美味しい料理とサービスを提供するところである。でも、私にとってコートドールは本物のプロを見て学ぶところでもあった。もちろん私は飲食業でもサービスでもない。私の周りには様々な分野のプロフェッショナルの方々がいる。その方々を見て学んだからこそ今の自分がある。そして、コートドールもそうだった。そう、本物のプロフェッショナルに出会ったからこその5点だった。
レストランは美味しい食事と楽しいひと時を過ごす目的である。でも、人生に少しでも影響を与えてくれたレストラン・・・もしかしたら、どなたでもそんなレストラン、あるのではないかと思う。そんなお店だからこそ、大切に思い、良き客となるよう努めて訪問して、そして29年通い続けた。
ここまでご覧になられた方々、今回は料理のレビューもなく、私個人の主観のみの記載、また長文、乱文となり申し訳ございませんでした。コートドールは2月末で閉店します。既に2月の予約は1月10日開始の予約日の午前中で埋まりました。私にとっての最後の訪問でした。もう、この店の料理を頂くことはできません。だから想いを伝えました。
また、今回のレビューについては色々ご意見等ございますかと思います。ただ、レストランに特別想い入れを入れる変わり者がいたんだとご理解頂ければと思います。
最後に・・・
私は、コートドールというレストランに出会えて本当に幸せ者でした。家庭の都合上、海外に訪問することは現状できませんが、日本にもまだまだ人生に影響を与えてくれる豊かにするようなお店は必ずあると思います。旅行好きの私ですので、少ない機会ですが、日本中の様々なお店を訪問するつもりです。いつかまた、"人生を豊かにするレストラン”に出会える事を期待して、、、。
次回からはちゃんとお店や料理のレビューを致します。ご興味がございましたら一読頂ければ幸いです。
斉須シェフ、松下さん、大薗さん他スタッフの皆さん、本当にお世話になりました。我儘な客で色々と無茶ぶりして申し訳ございませんでした。そして、色々学ばせて頂き、感謝の一言です。
もし、可能なら皆さんの蓄積された素晴らしい経験を若いシェフやスタッフに受け継いで頂きたいと思います。これが最後のお願いです。そして29年間幸せな時間と素晴らしい料理を頂き、本当にありがとうございました。
コートドールには暑い日に最適のメニューがある。
"梅と青紫蘇のスープ"。
梅干し、青紫蘇、トマト、アボカドで作るそのスープは清涼でありながら、アボカドでコクを出しており、しっかりとしたスープに仕上がる。ビネガーで酸味をつけた白ウリの浮き身も爽やかである。
今日のような蒸し暑い日には食欲が出るスープである。これを目的に夏はコートドールに行く。
飲み物 ミモザ
アミューズ 赤ピーマンのムース
やはり、この時期だとこれが出る。もう私は30年近く食べている。味が全くブレない。
梅と青紫蘇のスープ
なんでこんな味になるのか、、、未だ、わからない。アボカドはコクととろみと色のみ、トマトは酸味と微かな甘みのため、そして主役は梅干しと青紫蘇。この料理だけはここでしか食べられない。もちろん、ランブロワジーでも、、笑
穴子のテリーヌ
穴子と帆立て作ったテリーヌ。これもこの時期のもの。穴子がしっかりと主張している。ムースの柔らかな甘さは帆立。そして後から香辛料のかおり。
付け合わせのきゅうりのピクルスだが、シェリービネガーで酸味をつけているのだが、本当に食べるときゅうりの糠漬けの風味。なんでこうなるのか、、
これがいい箸休めなんだよなぁ。
ビゴール豚のステーキ
こういう肉の火入れは、相変わらず完璧である。赤身中心で肉の味わいが強い。だから、黒胡椒を効かせたソースがピッタリ。しかも、夏に最適の味わいである。
付け合わせは隠元のソテーと蒸しキャベツだが、予想通りというか、蒸しキャベツ、やはり色々と工夫している。クミンとビネガーはわかったのだが、これ、シェリービネガーとクミン、そしてトマト汁(トマトを切ると出てくる汁)で味付けしたもの。
ガルニチュールの目的と意味が明確な料理である。
デザート 白ワインムース、ショコラマルキーズ
この時期に出てく白ワインムース。白ワインの香りと酸味がムースに溶け込んでいる。上の白ワインジュレもさっぱりとして美味しい。
これが一番人気らしく、場合によっては売り切れもあるらしい。
ショコラマルキーズは知人のオーダー。定番なのだが、ショコラが苦味の効いた大人の味、、笑
上に乗ってるカカオニブも香りと歯応えのアクセント。実は、このデザート、見かけと違って重くない。
いつ行っても全く味が変わらない、、、
私は何度か厨房を見せてもらっている。斉須シェフと話ができるのは厨房の中、と思っている。
以前、厨房を見せてもらったとき思ったのだが、最新鋭の調理器具は使っていないのである。斉須シェフに調理器具のお話した事あるが、"だって使いこなせないから、、"と笑っていた。
斉須シェフの事を記載した書物を読んだ事がある。シェフ曰く、ランブロワジーでベルナールパコー氏から学んだ事を今でも実践している。そのため、下ごしらえに時間をかけ、しっかりと五感を働かせて調理している。何十年も同じ事の繰り返しで身体に染み付いているのだろう。
むろん、この手間を調理器具でカバーすることは私はいい事と思う。ただ、シェフは同じ料理を常にブレずに同じ味わいを出すためにそこにこだわっているのだろう。
どちらの調理方法であっても結果、美味しければよし、と思う。ただ、、、シェフのこだわりがいつでも期待通りの皿が出る、という事は間違いない。
可能なら、いつまでもこのままであってほしい、、
トリュフの時期になってきた。コートドールの目的はトリュフパイ。パリミシュラン三つ星のランブロワジーの料理である。無論、斉須シェフはランブロワジーをパコー氏と二人でオープンされたので、このメニューはランブロワジーそのものである。この料理、他のレストランでも出している。ただ、私は今はこのメニュー、こちらでしか頂かない。このメニューはトリュフが全てである。従って他のレストランで頂いてもソースの個性があるにせよ、まず、大きな差はないと思う。しかし、ここでしか頂かない理由は、最初にトリュフパイを頂いたのは、ランブロワジーだからである。そしてその衝撃は今でも記憶に残っている。もう20年近く前か。その頃の値段が180€と記憶している。それまでは、トリュフは薄いスライスの香り付け、しかもわかりづらい香りだった。ところが、ランブロワジーで初めて食べて、全身に衝撃が走った。これがトリュフなんだ、、なら、今までのは何なのか。この衝撃を味わうにはコートドールしかなかった。他のお店で頂いてもトリュフの素晴らしさは十分味わえる。でもあの時の衝撃はここでしか感じられない。たぶん私の想いによるもので、実は他のお店でも変わらないのかもしれないが、それでいいと思っている。
当然、金額も凄くなる。そのため、私のような普通のサラリーマンはこれを食べるため、1月のレストランの外食をしなかった、、、笑
そして、コートドールのトリュフメニューがトリュフのかき卵。これも素晴らしいが、今回は一人で訪問したので、両方頂くことは予算上頂くことができなかった。卵好きの私としては残念でならないが、、、
今宵のメニューは
一人だったのでトリュフパイ以外はハーフポーションにしてもらった。
*アミューズ 桜エビのチーズトースト
この時期の定番のアミューズ。桜エビとチーズがほんと、よく合う。実はお気に入りのアミューズ。
*鰆の燻製 紅芯大根添え
脂の乗った鰆に燻製の香り。皮ぎしの脂がとけるくらいの火入れ、鰆の美味しさがストレートに出てくる。付け合わせの紅芯大根の酸味と人参の酸味、酸味の扱いはさすがである。付け合わせの意味がよくわかる。
*季節野菜の蒸し煮コリアンダー風味
いつ食べてもブレない。野菜の美味しさと歯ごたえを楽しめる。コリアンダーの香りもいい。塩とレモンだけの味付けで、どうしてこうなるのか。煮込んでは冷ましを何時間も繰り返す。全く抜かりのない素晴らしい仕事である。
*ヒラメのムニエル ベーコンソース
ヒラメの火入れは素晴らしい。ベーコンソースはベーコンの旨みと燻した香りがヒラメの身に合う。また、ガルニチュールのほうれん草がまた凄い。とにかく甘い。特に軸の甘さが凄い。だから、これもソースの塩味とよく合う。
*トリュフのパイ包み
やはり、コートドールにはいい素材が集まる。斉須シェフは元々、ミシュラン三ツ星のお店を立ち上げた方、、、フランスの産地の農家やマルシェとは、繋がっているのだろう。
トリュフは最高、生のフォワグラはとろけているので、ソースと一体となって、香りはもちろんコクや旨みも出す。今回、一人で訪問したこともあり、元々アルコールは弱いが、折角なので大薗さんにお願いして、赤ワインを少し頂いた。
*デザート 酸果桜桃のスフレ
実はこのさくらんぼのデザートは通常、焼きたてのパウンドケーキになるのだが、今回、初めてスフレに。これが素晴らしい。香り、甘酸っぱさとも、申し分ない。香りはむしろ、スフレの方がたつ。酸果桜桃はなんでもスタッフ全員で軸や種をとって調理用の下ごしらえをするそうだ。
*ハーブティーとミニャルディーズ
実はこの日、久しぶりに王道メニューのオマールのテリーヌ ダニエル風がメニューに載っていた。とても迷ったのだが、、、。最もメニューを迷うのも楽しみの一つかもしれない。ムニュデギュスタシオンのみのレストランが増えるなかで、アラカルトを楽しむ、というレストランがもう少し増えてほしいものだ。斉須シェフも70代半ば。とはいえ、以前に厨房を拝見させて頂いた時、シェフに"すきやばし次郎の小野二郎さんは90過ぎてもつけ場に立って握ってるのだから、またまだですよ引退は"と話をした。帰り間際、斉須シェフには頑張ってほしいなー、と松下さんには伝えておいた、、笑
梅と青紫蘇のスープ。これは斉須シェフのオリジナルの料理である。この時期、食欲がイマイチな私には、梅の酸味と紫蘇の香りのスープはありがたい。やっぱり日本人、梅干しの酸味はいい。
実は、前菜が全て酸味のきいた野菜料理である。最も、それが目的でコートドールに来た訳であるが、、、
アミューズ 赤ピーマンのムース
今日からアミューズが赤ピーマンのムースになったとのこと。タイミングよし!
前菜 梅と青紫蘇のスープ
アボカドとトマトがベースのスープに梅干しと青紫蘇を合わせたもの。浮き身が白瓜と言うのもいい。この時期はコートドールの定番。ただ、昔はもう少し梅干しの酸味をきかせていたような、、、。今はまろやかな酸味。日本人の味覚で酸味が弱いからなのか、、、。
前菜 季節野菜の蒸し煮
これも定番。レモンの酸味を活かして、水から煮ては冷ましを繰り返す。コリアンダーの風味と野菜の美味しさがよくわかる。ただ、これも昔は酸味がもう少し尖っていたような、、、。これも年月が経ってからかも。
甘鯛のムニエル ベーコンバターソース
甘鯛の皮目をパリッと仕上げている。相変わらず焼き方がいい。また、アラもしっかり焼いている。アラは手づかみで頂く。ウォーターボールがあるのだから、当然、手で頂く。目玉のまわりの肉がうまい。ベーコンバターソースは猪のベーコンを使っている。ちょっと燻製香があり、これが甘鯛の身によく合う。しっかり焼いたブロッコリーが付け合わせ。これもソースに浸して頂く。
牛テールの煮込み
定番なのだが、この料理を頂くのは久しぶりか。やはり、コートドールの顔である。見かけからすると、あっさりとした仕上げ。しかし、テールの味わいがしっかりしている。赤ワインソースも私好み。付け合わせのにんじんのピューレの甘さがほんと、いいアクセントである。
デザート 酸果桜桃の焼きたてミニパウンドケーキ
実は、コートドールのデザートで最近、最もお気に入りのデザート。通常は冬に出ることの多いデザートで夏はアイスケーキになることが多い。今回はメニューにあったのですぐにオーダー。
甘酸っぱく、香りが素晴らしい。焼きたての熱々も美味しさのうち。パウンドケーキの間に入っているジャムもいいアクセント。また、添えてある酸果桜桃のソルベも酸味がきいて美味しい。むしろこの時期のデザートとしてもいいかも。
コートドールの料理は、酸味はしっかりときかせた料理が多い。ただ、シェフも年齢に応じてか、まろやかな味わいに変わっていく。でも、料理の質は相変わらず高いレベルで変わらない。いつ行っても期待通りの味わい。
アラカルト主体のレストランが年々減少しているが、コートドールだけは変わらないでほしい。ランブロワジーと斉須シェフの味を求めて訪問したいから。
今年初めてのレストランの食事はコートドールである。トリュフのパイ包みが目的だが、、予約が少々早かったかも、、。と思っていたら、前日の夜にトリュフが入ったと電話があり、ホッとした。ただ、今年のトリュフは、おそらく過去最高の品質なんですと、また、量も少ないため、値段がかなり高くなる旨の話もあった。こちらのお店は、そもそも利益率は上げることをしない事は知っているので、贅沢するんだからと、人数分、予定通り予約。
レストランでメニューを見ると、何年ぶりだろうか、リドヴォーの料理が載っていた。これでメニューは決まった。
アミューズ 桜エビのトースト
この時期の定番。桜エビの香ばしい香りと味、チーズとよく合う。
トリュフのパイ包み
私はこのメニューを少なくとも15年以上、冬に頂いているが、おそらく、今までの中でも最高のトリュフである。ここまで香りの凄いトリュフのパイ包みはパリのランブロワジーでもなかった(とはいえランブロワジーでこのメニューは一度しか食べていないのだが、、笑)。
もうトリュフはこれで今年は終わり、と思った。
平目のムニエル パプリカのソース
身のしっかりとした平目、火の通し方も申し分なし。パプリカの香りと甘さのソースがしっかりとした身の平目によく合う。アラの部分が特に美味しい。アラは少し塩を効かせているが、塩加減は丁度いい。
リドヴォーのステーキ トリュフソース
まず、リドヴォーがとても美味しい。全くクセもなく、また、コートドールらしく香辛料はリドヴォーには効かせておらす、トリュフソースに香辛料を効かせている。だから、肉の味がしっかりとしており、また、ソースもリドヴォーにピッタリ。しかし、最近ではリドヴォーも希少素材になりつつある。レストランも大変だろう。
チーズ
店名と同じコートドールというウォッシュタイプのチーズとコンテチーズを選んだ。コートドールはウォッシュタイプでも香りが穏やかで食べやすい。ウォッシュタイプチーズは塩味が強めなので、コンテチーズを頂くと、むしろ甘さを感じた。焼きたての胡桃食パンに乗せて食べるとやめられなくなる。
デザート 焼き芋のスフレ
キャラメル風味であるが、"焼き芋"である。スフレの下には焼き芋の裏漉したものが、、しっかり焼き芋を頂いた。そんな香しいスフレである。キャラメルのほのかな苦味も芋の甘さとよくマッチしている。
コロナ以降、フランスに行けてなく、今のフランス料理はどうなのか、わからないのが残念だが、コートドールは斉須政雄氏の味と同時にランブロワジーの味でもある。ベルナールパコー氏とランブロワジーをオープンして、その後ミシュラン史上最速で二つ星をとった料理がここで食べられる。(ランブロワジーは既に三ツ星)いつかパコー氏が日本に来た時、"マサオはきちんと教わったことを今でも続けているよ"と見てもらいたく、料理は一切変えてないと昔、お話しされた事を思い出した。だから味がブレない。こういう店だからこそ、通いたくなる。モダンでもクラシックでもない、斉須政雄氏とランブロワジーのコラボレーションのお店、と思っている。
最近ではコースをメニューに載せている。しかし、コースはある程度、食べたい料理のわがままがきくみたいである。
斉須シェフにはまだまだ、頑張ってほしい、、、
この時期、セップ茸が食べたいと思って訪問。知人の会計士二人の計三人のため、シェアは面倒。従って、アラカルトのフルポーション。いやあ久しぶりのフルポーションだ。そうなると、前菜、メイン、デザートで私のお腹はいっぱいになる。
という事で、オーダーしたのは
アミューズ 赤ピーマンのムース
言わずと知れた代表作だが、まだあった。時期的に変わると思っていたが。
前菜 セップ茸のフリカッセ
フルポーションはさすがに多い。芳しい香りと味、クリーム控えめのフリカッセなので、セップの香りと味を十分に楽しめる。キノコはシンプルが一番。
メイン 甘鯛のムニエル
やはり、ポーションは多いが、アラもしっかりあっていい。皮は香ばしく焼けており、アラは手でかぶりつくのがコートドールの決まり!ちゃんとウォーターボールがあるし。アンチョビのソースも甘鯛の身の甘さを引き立てる。
デザート 酸果桜桃のスフレ
スフレにするとさくらんぼの香りがもの凄く香る。ふわっとしたスフレは甘酸っぱく、あっという間に食べてしまった。
ちなみに、知人は前菜で穴子のテリーヌ、もう一人はセップと野菜のエチュベの2皿。彼はコートドールファンだが、必ず野菜のエチュベをオーダーする。
メインは、子羊のロースト、ビゴール産黒豚肩ロースのステーキ。特に、黒豚肩ロースのステーキのポーションはかなり大きい。付け合わせの栗やキノコもたっぷりだった。
今更ながら、アラカルトのフルポーションだと私のお腹では2皿が丁度いい。3皿食べられる知人が羨ましいか、、、笑
お世話になった女性が、地元京都に転職という事で、僕の一番のお店に行きたいとリクエスト。鎌倉でフレンチだったので、和食を考えるも、京味はもうないし、鮨屋で顔を覚えて頂いているのは、予約がとれないすぎたさんだけ、、
そうなるとやっぱりコートドール!
梅と青紫蘇のスープが食べたかったし、これで決まり。
シェアするつもりだったので、メニューは女性に預けるも、スープだけは食べたかったので、おすすめと言って梅と青紫蘇のスープを入れてもらった、、笑
でも、とても気に入って頂いたようで何よりだったが、
で、今宵のメニューは
アミューズ 赤ピーマンのムース
よかった、と思った。コートドールに来た以上、これを味わってもらわないと、、相変わらず美味しい!
梅と青紫蘇のスープ
梅、紫蘇、トマト、アボカドをミキサーにかけ、白瓜を浮き身にしたもの。なのに、なんでこんな味になるのか、、。これは、斉須シェフの味、である。女性は、そうとう気に入ったみたいで、、、ホッとした、、笑
フォワグラのテリーヌ 酸果桜桃のチャツネ
コートドールのフォワグラは、ポルト酒ではなくブランデーに漬けるため、フォワグラが甘くならない。だから、フォワグラの味わいがしっかり出る。したがって、甘酸っぱいチャツネがピッタリ合う。アクセントの粒胡椒もしっかりマッチしている。
タチウオのロースト 焦がしバターソース
骨つきで焼いたタチウオは柔らかく、フワッとしている。ソースにはケイパーの酸味をきかせているので、タチウオの甘さも感じる。また、付け合わせのナスの甘く美味しいこと!
子羊のロースト タプナードソース
コートドールの定番。子羊の焼き具合は完璧。これだけでも美味しい。オリーブの風味のタプナードソースは、子羊にピッタリ合う。さらに付け合わせに下にひいたラタトゥイユの味が素晴らしい。甘さと酸味がしっかりあり、肉と交互に食べるとただ顔がほころぶ。
チーズ
久しぶりにチーズを頂いた。4種類だけだったが、食べ頃で風味豊か。
デザート ルバーブのスフレ
ルバーブの酸味と芳しい香り。特にチーズを頂いた後だとピッタリのデザート。熱々を頂くのがスフレの流儀か、、笑
実は20代の女性をお連れすると、皆さんが料理だけでなく居心地の良さを気に入ってリピートをお願いされている。カンテサンスやレフェルヴェソンスのようなレストランの方が若い女性に人気かな、と思っていたのだが。
コートドールの客層は高年齢(すみません)なので、若い女性などは変に意識するかと思っていたが余計な心配だったようで。やはり、松下さん、大薗さんを中心にメンバーは変わらず、そつのないサービスがいいのだと思う。
今回は女性がワイン飲まれる方なので、大薗さんにグラスワインをお任せしたが、さすがにピッタリ合わせてくれている。
私は斉須シェフが引退したら、コートドールは終わってもいいと思っていた。しかし、アラカルトの良さ、メニューは変わらず、そして、高レベルで味も変わらない、期待通りの料理が楽しめる。そんなレストランはもう、コートドールくらいしか思い浮かばない。ならば、やはり、後継者がいたら、、今回訪問して感じた。
斉須シェフは、コートドールをどうするのか、とても興味がある。ただ、このお店の形態は続けてほしい。アラカルトを選ぶ楽しさ、そして、いつも期待通りの味、そんな店がなくなっている中で、コートドールだけはこのままでいてほしい、そう思うのは無理があるのだろうか、、、
トリュフの時期、コートドールは2皿のトリュフメニューを出す。トリュフのパイ包みとトリュフのかき卵。
蔓延防止の中、身近な人と二人で訪問したが、実は、2皿両方をオーダーする事を決めていた。そのため、今回はアラカルトをシェアせず、フルポーションで食べることになった。実は、更に、この時期のデゼールメニューも狙っていた。メニューにあれば、、だが、しっかりメニューにあった。酸果桜桃の焼き上げパウンドケーキ。実は、トリュフメニュー、量は多いという訳ではないが、卵黄、フォワグラ、パイなど結構、お腹にはたまるメニューなので、メインを迷っていた。実は青首鴨があったが、これをフルポーションだと、今の私には食べきれない。散々迷った末、申し訳ないが、前菜のカテゴリーから鰆の燻製をメイン代わりに。
アミューズ 桜海老のトースト
定番、しかしほんの一口なのに口いっぱいに桜海老の香りとチーズの味が広がる。
トリュフのかき卵
トリュフの香りを移した卵の卵黄だけを使い、20分ほど湯煎にかけひたすらかき混ぜたもの。卵黄には微塵切りのトリュフがたっぷり。そして赤ワインソースをまわりに注ぎ、トリュフのスライスをのせて完成。トリュフの魅力的な香り、クリーミーな卵黄の甘さ、ソースの美味さが一体となる。これは斉須シェフのスペシャリテ。
トリュフのパイ包み
ランブロワジー時代からのメニュー。もう、何もいう事なし。かき卵のトリュフの香りが凄いが、もうこれはその上をいく。
実は、帰るまで私たちの席はトリュフの香りが残っていたのである。このメニューは相棒の分も予約していたので。
鰆の燻製 紅心大根添え
前菜のカテゴリーであるが、量は間違いなく魚料理のアラカルトのヴォリュームである。1センチくらいの厚さの鰆が皿一杯にのり、下には甘酸っぱい紅心大根、人参がひいてある。鰆は軽く燻しているので、鰆の風味がきて、後からほのかに燻製の香りが来る。鰆が美味しい。脂ののった鰆の身は甘い。燻製の香りと最後に軽くカイエンペッパーを利かしている。これが甘酸っぱい大根とよく合う。そう、、、大根がいい仕事している、、、
デザート 酸果桜桃の焼き上げパウンドケーキ ソルベ添え
酸果桜桃は火を通して甘さが出る加工用のさくらんぼ。ただ、香りが強いのが特徴。このサクランボの爽やかな香りと甘酸っぱさのパウンドケーキはあっという間に食べてしまう。焼き立てなので熱々だがまさしく冬のデザート。添えてある、酸果桜桃のソルベの甘酸っぱさと冷たさがパウンドケーキにピッタリあう。
なお、相棒は前菜、メインが異なり、前菜にコートドールの顔、野菜のエチュベ、メインに子羊のロースト バジリコのソース。また、パイ包みと子羊に合うグラスワインをソムリエの大薗さんにお願いしたら、ジュブレシャンベルタンを合わせてくれた。相棒の満足そうな顔・・・。無論8時前なので問題ない。
今回も蔓延防止期間中の訪問になったが、お客様は結構いらっしゃった。席間はしっかりとあり、我々も、コロナ対策をしっかりと行いつつ食事を楽しんだ。
今年初めの外食はコートドールとなったが、やっぱり、この時期のコートドールは外せない。次は行けたらホワイトアスパラの時期か・・・。
"エイのクールブイヨン煮"通称"エイとキャベツ"コートドールの代表作の一つである。ところが、東日本大震災以降、材料が手に入らず、幻のメニューになっていた。ところが入口のメニューを見たら、このメニューが、、、
本当に感動もの、そして何と運がいいのだろう、と思った。コートドールの代表作でも、この料理が、私は一番好きなメニューである。
おそらく、エイヒレの身を骨から外して提供したのもコートドールが初めてではなかっただろうか、、(記憶が曖昧なので)
柔らかく旨みのしっかりとしたエイ、蒸したキャベツの甘さと歯応え、ネギの風味、そして、実はこのメニューのメインはエイではなくシェリー酒バターソースなのである。この料理はこのソースを食べるためのものと言ってもいい。シェリー酒の香り、酸味のしっかりとした味わいは、素材の美味しさをしっかりと引き出す。また、爽やかな味わいは飽きずにいくらでも食べられる。もう、10年近くお目にかかってなかった料理である。
この日は、その他にアミューズのつぶ貝とかぶのスープ、穴子のテリーヌ、そして、時期もののセップ茸のフリカッセ、そして、こちらも久しぶりのメニューとなった仔牛のステーキ ローズマリーソース。
アミューズのつぶ貝のスープは、スープをアミューズで出すのが珍しい。スープはつぶ貝のゆで汁、そして、かぶはしっかりと歯応えを残しており、香りもしっかりとある。
穴子のテリーヌは定番であるが、穴子とテリーヌは帆立貝をムースにしたもの。
セップ茸はフリカッセにしているが、クリームは最低限の量なので、セップ茸の旨さがストレートにくる。エシャロットやパセリの香りもよく合う。やはり、この時期の定番。
仔牛のステーキはここ最近、見かけなかったメニューなのだが、これも定番。柔らかく、クセのないあっさりとした肉にローズマリーの香りのソースは、しっかりとした味わいで美味しい。
デザートは、コートドールスタイルのモンブランと酸果桜桃のアイスクリームをはさんだ、タグワーズ。
モンブランは本当に栗の美味しさのみ。下のメレンゲのサクッとした歯応えと柔らかな甘さ。
タグワーズはふんわりとした生地と酸味のきいたさっぱりとしたアイスクリームが食事の最後に爽やかなデザート。
エイとキャベツのメニューが復活したのは、また、コートドールに行く楽しみが増えたこと、、、
この店は、本当に食べたい料理を食べに行くための店である。ムニュデギュスタシオンが全盛の中、しっかりとアラカルトを主張するレストランは本当に貴重と思う。
次回は、青首鴨か、トリュフの時期か、、
2度目のワクチン接種が無事終わり、久しぶりに外食。
コートドールが好きな20代の女性と一緒に久しぶりの訪問。
最も、デートいうより親子の外食か、、笑
緊急事態宣言中なので、やはりメニューは少ない。コースにしようかと思ったが、アラカルトのシェアとなった。ちょうど食べたいメニューもあったので。
アルコールは提供できないが、ソムリエの大薗さんが、ミモザ風カクテルを作って頂いた。
アミューズ 赤ピーマンのムース
言わずと知れたコートドールの看板。久しぶりに食べたが、このメニューはやっぱりここが一番。
前菜 梅しそのスープ
夏の定番。この日は肌寒かったが、実はこれが食べたかった。梅、紫蘇、トマト、アボカド、白瓜だけで、なんでこの味になるのか。程よい酸味が食欲を増す。
前菜 野菜のエテュベ
コートドールの王道。いつ食べてもこの料理は自分に合う。酸味とコリアンダーの香り、野菜そのものの美味しさ、、
魚 甘鯛のうろこ焼き グリーンオリーブのソース
甘鯛の時期には、この料理になる。うろこはパリッとして、身はふわっとしている。アラの部分もあり、手で頂く。魚も肉も骨のまわりが一番美味しい!
肉 牛テールの赤ワイン煮こみ
これも定番。だいたい夏は梅しそのスープとクードブッフを注文するのが自分のパターン。ナイフはいらない。ホロホロと肉が骨からはずれ、肉の旨み、ソースの味がしみている。つけあわせのにんじんのムースの甘さが本当にいい箸休め。
デザート パイナップルのスフレ
口溶け抜群のスフレにパイナップルの果肉とソース。
爽やかなデザート。
外食もなかなか難しく、アルコールの提供ができない中で飲食店は苦戦しているが、やっぱり美味しい料理を食べると元気も出る。
もう一息、飲食店にはほんと、頑張ってほしい。
応援を兼ねて、きちんとコロナ対策して、また、食事に出かけたいところである。
緊急事態宣言発令中、8時までのため、5時30分からオープンされていた。
宣言前の予約だったので、どうしようかなと思いながら、トリュフメニューは今だけなので、PCR検査受けて訪問。
今回はトリュフのパイ包みだけでなく、トリュフのかき卵もオーダー。
アミューズ 自家製アンチョビのトースト
この時期は桜エビのトーストなのだが、私もこれは初めて。アンチョビは塩味が控えめで甘さも感じる。魚の旨味をしっかり感じる、いわゆるアンチョビとは少々違うが、これが美味しい。魚臭さも全くない。これを定番にして、とお伝えした。
鰆のスモーク
この時期の定番。当然、スモークと言っても厚い切り身。スモークの香りも強くなく、鰆の味のしっかりとしたもの。付け合わせの紅芯大根の甘酸っぱさがよく合う。
トリュフのかき卵
パイ包みばかりで、このメニューは久しぶりにオーダーした。トリュフと卵を一緒に寝かせ、トリュフの香りをつけた卵の卵黄のみをトリュフの微塵切りをまぜ、湯煎にかけ20分かき混ぜる。最後にトリュフのスライスと赤ワインソースを添える。私は卵料理が大好きなので、卵の甘さ、美味さ、赤ワインソースの美味さと香り、そしてトリュフの香り、思わず顔がほころぶ。
トリュフのパイ包み
もう、何もいう事はない。トリュフの香りがずっと残る。トリュフの香りはもちろんだが、トリュフの歯応えを感じるというとても贅沢なもの。フォワグラの旨味も美味しい。
シストロン産子羊のロースト タイムソース
肉の外側からロール状にして、ローストしたもの。中のフィレは火は通っているが、直接火があたってないので、淡いピンク色。しっかりと肉の味が味わえる。カブリの部分はパン粉をつけて焼き上げている。脂ののった肉の旨さとパン粉の香ばしさがとてもよく合う。
タイムの香りのソースがどちらの肉にも合う。
デザート 酸果桜桃のミニパウンドケーキ
メニューにあれば必ず注文するデザート。さくらんぼの甘酸っぱい味と甘さ控えめの焼き立てのパウンドケーキ。そして甘酸っぱいさくらんぼのソルベ。パウンドケーキなのに爽やかにさっぱりと食べられる。私のお気に入りのデザート。
斉須シェフは相変わらずのご健在である。そしてメートルドデルの松下さん、ソムリエの大薗さんもご健在である。コロナ禍でメニューが少ないものの、味は期待通り。いつ行っても味は変わらず(もちろん高いレベルで)、むしろ驚きを感じる。コロナ禍でフランスに行けない事もあり、たまには日本のガストロノミーに行ってみようかとも思うが、やはり私にとってはコートドールは外せないか、、、
自粛後、初めて訪問したコートドール。半年ぶりになるか。
現在も、コロナ感染が拡大しており、お客様は我々含め4組だった。
お客様の状況からアラカルトのラインナップは、仕入の都合から通常の半分未満。これは仕方ない。
しかし、メニューを見ると食べたいものはしっかりあった。無論、この時期は梅と青紫蘇のスープである。
アミューズは赤ピーマンのムース トマトのクーリ
いつも通り、期待通りの味。赤ピーマンのムースは暖かい時期だとアミューズに出てくる。やっぱりこれを食べるとコートドールに来たな、と思う。
料理は4品をシェアしてもらった。
梅と青紫蘇のスープ
夏の定番。梅の酸味、アボカドの旨さとトマトの甘さ、青紫蘇の香りと浮身の瓜の歯応え。暑い日にはもってこいの冷製スープ
野菜のエチュベ
野菜の美味しさと歯応えとレモンの酸味。そして、ふわっと香るコリアンダー。野菜料理を二品揃えたのだが、これが食欲を増す。
甘鯛のムニエル
皮目はパリッと仕上がっており、今回はアラの部分もある。アラは手で頂く。どんな肉もそう思うが、骨のまわりの身が一番美味しい。甘鯛の出汁にアンチョビを加えたソースが甘鯛の身によく合う。
牛の尻尾の煮込み 赤ワインソース
言うことなし。ナイフがいらないくらい柔らかく仕上がっている定番。夏のスタミナ料理か。
この料理は最近、メニューに復活したらしい。どうしても数日間かかる料理ゆえ、やはり今の状況を踏まえるとメニューに出しづらいらしい。
デザート 酸果桜桃のダクワーズアイスクリーム
こちらもお馴染み、加工用のさくらんぼをアイスクリームにして、ダクワーズで挟んだもの。
甘酸っぱいアイスクリームとスポンジに近いふんわりとしたダクワーズがよく合う。
今回はお任せのコースと迷ったが、食べたいメニューがアラカルトに揃っていたので、いつも通りのアラカルトのオーダーとなった。
当分はコロナの影響は多かれ少なかれ続くだろう。
お客様次第の仕入を考えるお店も苦労されている。食べ手である私たちも、レストランに訪問する際は万全の状態で行く事が今のマナーだろう。各自がしっかりコロナ感染のマナーを守る事は最終的にはお店を守る事になるのではないかと思う。コロナにより老舗が閉店したりして、大変な状況と思うが、私たちにできることは、行きたい時にしっかりとコロナ対策してお店に出向く事くらいだろう。美味しい料理は元気のもと、、、
今年もトリュフのパイ包み焼きを味わいに伺った。
この料理はランブロワジー時代からのもので、無論、現在もランブロワジーで提供している。パイの形やデザインもランブロワジーのものである。
ソースだけは異なるが、この料理はまさしくランブロワジーそのものである。
テーブルに着く前からすでにトリュフの香りがしており、パイを切るとトリュフの芳しい香りがテーブルに一気に広がっていく。まさしく、香りを頂くものである。
分厚いトリュフの間からはフォワグラがとろけ出している。とんでもなく贅沢な一皿である。
今年もトリュフはこれで充分。
アミューズは桜えびのチーズトースト
この時期のアミューズの定番。桜えびの香ばしい香りと味、チーズの旨味がよく合う。
メインは2品をシェア、、
魚料理から平スズキの皮つきかりかり焼き ローズマリーソース
皮の歯応え、皮ぎしの脂が美味しい。身は、柔らかく、食感はヒラメやカレイに近い。身の味わいは淡白なので、ローズマリー風味のソースがよく合う。ローズマリーの香りも強すぎず、あと味が爽やかである。
肉料理から定番の牛しっぽの煮込み 赤ワインソース
肉の繊維がホロホロとほぐれ、ナイフはいらないくらいである。見かけはボリューミーであるが、食べると思いのほか、あっさりとした味わい。箸休めにニンジンのムース。デザートのような甘さが煮込みにはよく合う。
赤ワインソースとムースと一緒に食べると、また違った味わいになる。
デザート 焼き上げ酸果桜桃のミニパウンドケーキ
酸果桜桃はそのままでは酸っぱくて食べられない。基本的に加工用のさくらんぼである。熱を入れると甘さが出る。焼き立てのパウンドケーキからは、爽やかなさくらんぼの香り。さくらんぼの酸味とパウンドケーキの控え目な甘さがいい。酸果桜桃を煮込んだジュースで作ったソルベが美味しい。少し酸味が強いが、これがパウンドケーキに合う。また、香りが素晴らしい。
この時期のトリュフのパイ包みが定番化しているが、たまの贅沢、、、思いっきりトリュフを堪能させて頂いた。
さあ、また来年を楽しみに、、、
コートドールには20年以上通っているのに、実はコースは初めてである。
メニューにはないが、夜は15000円のコースがある。
季節のお任せだが、、
コースの内容は
野菜のエチュベ
さわらの薫製 紅芯大根添え ラビゴットソース
赤やがらのロースト パプリカソース
蝦夷鹿のロースト 胡椒赤ワインソース
洋梨のコンポート 生姜風味
モンブラン コートドールスタイル
どれも何度も食べたことがある皿なのだが、こうやってコースとしての流れで頂くと、とても新鮮に感じる。
さわらの薫製の上にかかっている、コリアンダー、カルダモン、ホワイトペッパーの香り、やがらのしっかりとした身にパプリカソースの香り、蝦夷鹿のローストには胡椒をきかせたソース、付け合わせにかぼちゃ、りんごのマッシュにお米を混ぜたもの。この甘さと微かな酸味が合う。
コースだから提供されるアヴァンデセールの洋梨のコンポートはアヴァンデセールではもったいないくらい美味しい。最後に生姜の香りがくるのは、とても爽やか。
フュージョンというカテゴリーのレストランに食べログでは人気が高いが、たぶん、クラシックスタイルのレストランは私の好みなのかもしれない。
レストランの好みは十人十色、だから、合う合わないはあっていいと思う。食べログの投稿もそんな所を参考にしている。
今年最後の晩餐はコートドール、と決めていたので、最後に楽しいひと時を過ごせた、、
また、来年、新しいお店も開拓していきたい!
20代前半の知人の女性から行きたいと言われコートドールへ。梅雨の鬱陶しい中、ちょうど、梅と青じそのスープが食べたいと思っていたので、20代前半の女性お二人と来訪。
お目当ては当然、梅と青じそのスープ、、、
メニューを見るまでもなく、今日は梅と青じそのスープと牛テールの蒸し煮と決めていたのだが、メートルドテルの松下さんが、メニューにないイノシシのステーキがあと一人分あると教えて頂き、急遽、イノシシに、、
アミューズは赤ピーマンのムース トマトのクーリ
もちろん、コートドールを代表する料理である。これを食べるとコートドールに来たのだと認識できる。ずっと食べ続けているが、いつでも美味しい。
前菜は、女性のお一人が桜鱒の燻製を注文しており、実は三人であるが、桜鱒とスープをシェアして頂いた。
そうだ、こちらでは、燻製は通常のスモークサーモンではない。ステーキ並みの厚さだった。つまり三等分を綺麗にできるのだった。
桜鱒の燻製もこちらの定番である。三等分にもかかわらず肉厚な身、食べると桜鱒の旨味、燻製の香りがたち、塩味も控えめで、優しい味である。付け合わせはキュウリをスパゲティ状にしたものが下に引いてある。酸味をきかせたキュウリがよく合う。
梅と青じそのスープ、、何も言うことはない。トマト、アボカド、梅干し、青じそだけで、どうしてあんな味になるのか、、、食べるごとに食欲がわく。浮き身の白瓜の歯ごたえのいいこと、、、
メインのイノシシは赤身の肉がたっぷりとある。赤身なのでさっぱりとしており、臭みは全くなく、噛むほどに旨味が出る。ソースはイノシシの骨からとったフォンと赤ワイン、黒胡椒をきかせた黒胡椒ソース。このソースが素晴らしい。付け合わせのジロール茸も旨味たっぷりである。
デザートはパイナップルのスフレ。最近、季節のフルーツを使ったスフレがメニューに載ることが多い。パイナップルがフワッと香り、スフレは口の中で溶ける。パイナップルの果肉が歯ごたえのアクセント。
こちらの料理は引き算の料理とおっしゃる方がいる。私は足さない料理と思っている。料理に合う味付け、ソースはしっかりとしている。ただ、それ以上の事はしない。皿の上もシンプルである。ただ、美味しく食べてもらう事だけを考えた結果なのだろう。クラシックというより、やはり"斉須政雄スタイル"なのである。そしてこの料理の全てはランブロワジー時代に提供した料理が基準なのだろう。
さて、長居をしたため、運がいいことに、久しぶりに厨房を見せてもらった。ピカピカに磨いており、本当に綺麗にしている。そして斉須シェフと久しぶりにお話ができた。寡黙なシェフなのに、珍しく(笑)よくお話して頂いた。おそらく、20代前半の女性お二人から色々と聞かれたからなのでは、、笑、と思った。20代前半の女性はコートドールのお客様としては珍しいのだから、、、
私もあんなにお話するシェフは初めて見た!斉須シェフも70歳になったが、やっぱり元気だ!
すきやばし次郎の小野二郎さんのお話になり、最後に、二郎さんは93歳にもかかわらず現役でツケ場に立ってらっしゃるのだから、シェフもあと20年は頑張らないと、とお伝えしたら、いやあ、キツイと言いながら、笑顔だった!まだまだ、頑張って頂きたい。現役でいらっしゃる限り、私も通わせて頂きます!
この時期になると、やはり、トリュフのパイ包みが食べたくなる。旬のトリュフを通常の倍くらいの大きさのトリュフを1センチ以上の厚さのスライス2枚でフォワグラを挟んでパイに包んで焼いたもの。もう、何も言う事はない。食後までトリュフの香りが残る、その余韻に言葉はいらない。
さて、今回はコートドールの野菜のエチュベを大変好む知人と二人で訪問。
トリュフのパイ包み以外には、知人がどうしても食べたいと思う、季節野菜の煮込みコリアンダー風味、通称野菜のエチュベ、そして、メインは魚、肉をシェア。
知人はなかなかの大食漢なので、野菜のエチュベを一皿、ただ、少しばかりおすそ分けを頂いた。
野菜のエチュベだが、あれ、酸味がまろやかになったな、、。昔は酸味がキュッとした味わいだったが、斉須シェフも年齢とともに、また、野菜の質からも、酸味が徐々にまろやかになっている。今回は、昨年の時と比べてもまろやかだった。私もコートドールの最初の訪問が30代前半、今や50代半ばである。このまろやかな酸味が心地良い。
トリュフのパイ包みが一皿ずつ、その後は、メインをシェア。
メイン1品目 長崎産イサキのカリカリ焼き マスタードソース
メニューの通り皮がカリカリと香ばしく、身は締まっていながらも旨味がたっぷり。マスタードソースとイサキの皮目の身がよく合う。付け合わせのほうれん草も甘い。
メイン2品目 エゾ鹿のステーキ 粒コショウソース
鹿は中は赤く、焼き加減はベスト。さっぱりとした肉に赤ワインベースの粒コショウソースはよく合う。ソースの味がとにかく素晴らしい。さらに付け合わせが面白い。インゲンのソテーともう一つはカボチャの裏ごしにリンゴをすったものを合わせ、さらに米を入れたもの。米の歯ごたえとカボチャの甘さ、りんごの甘酸っぱさが、最高の箸休めである。
デザート
私はモンブラン、知人は酸果桜桃のパウンドケーキ
モンブランはマロンクリームの下に栗がたっぷり入って、土台はメレンゲのサクサクとした食感。甘さ控え目だが、栗の甘さがしっかりとある。パウンドケーキは桜桃の風味が凄い。添えてあるソルベも桜桃。甘酸っぱい味と桜桃の香りが素晴らしい。こちらの方がよかったか、、まあ、お腹の具合でモンブランを選んだため仕方ないか。
シェフも60代後半。しかし、相変わらず厨房の主役である。メートルドデルの松下さん、ソムリエの大薗さんもご健在である。この3名の方々がいらっしゃるからこそのコートドールである。美味しい料理と楽しい時間、まだまだお店を続けて頂きたい。
暑い日が続くなか、久しぶりにコートドールへ。女性お二人を引き連れて、遅いディナーへ。
三人なので、シェアせず、前菜、メイン、デザートそれぞれ一品ずつのオーダーとなる。
女性お二人は偶然にも同じメニュー。デザートは桃のコンポートと北海道産白ワインのムース、酸果桜桃のケーキが一つずつ残っていた。
私のメニューは、これを食べたくて来た、梅と青じそのスープ、鳩のロースト
アミューズ 赤ピーマンのムース トマトのクーリ
コートドールの代名詞。これを食べると、コートドールに来たな、と感じる。全く味がブレない。いつ食べても、期待通りの味。
梅と青じそのスープ
これこそコートドールの夏の味。スープのベースはアボカドとトマト。梅肉と青じそを一緒にミキサーにかけてスープに。浮き身は白瓜。梅の爽やかな酸味、青じその香り、トマトの酸味と甘さ、アボカドのコク。白瓜の歯ごたえがいい。何気ない素材なのに、なぜこんな素晴らしいスープになるのか、、、暑い日に食欲を増進させる。
鳩のロースト
コートドールでは、この類のメニューはすべての部位を使う。胸肉、手羽、モモ、そしてレバーとハツ。ハツの甘さ、レバーのコクと香りが本当にいい。胸肉はさっぱりとして食べ応えのある身、手羽は手で。モモ肉も骨つきで、手でかぶりつく。骨の回りの身の美味しいこと。下にひいてあるインゲンの甘さも鳩にあう。
女性お二人は
トキシラズの軽い燻製
スモークサーモンになるか。しかし、厚さはスモークサーモンではない、ステーキなみ。ボリュームも凄い。
トキシラズはよく脂がのり、淡いが燻製の香りが食欲をそそる。
仔羊のロースト、黒オリーブソース
コートドールの代表作。しかし、ボリュームが凄い。しかし、赤身が多く、見かけ以上にさっぱりとしていらたしく、このボリュームのあるふた皿をお二人の女性はペロリと食べてしまった。
デザートは白ワインのムース。白ワインの酸味と風味、爽やかな甘さが夏にはいい。酸果桜桃のケーキ。加工用のさくらんぼのムースを使ったケーキ。さくらんぼの香り、甘さと酸味。女性お二人はかなり気に入った様子。
桃のコンポート。桃の甘酸っぱいスープが特に美味しい。桃もたっぷりとある。ミントを散らしているのかと思ったら何と青紫蘇。これがミントよりも合うのが不思議だ。
クラシックスタイルゆえ、一皿のボリュームは相変わらず多い。しかし、夏らしく、酸味をきかせ、脂分を抑えつつ、旨味を引き出し、付け合わせの野菜も、しっかりと料理に合うよう、手をかけている。相変わらず斉須シェフらしい期待通りの味を堪能した。私も久しぶりに、夜遅くにもかかわらずお腹いっぱい食べた。我々が最後のお客になったが、サービスも素晴らしい。大園さんが、合わせてくれた赤のグラスワイン(女性が注文)も仔羊によく合っており、さすがである。
次は秋に訪問か!
この時期、やはり、トリュフを堪能したい。という事で、予約時にトリュフのパイ包みをお願いして来店。
ところが、メニューを見て驚いた。ホワイトアスパラが載っているではないか。聞いたら今年の初物との事。やはり、この異常気象が要因なのかもしれないが、ホワイトアスパラはコートドールでも3月初旬に出ることが多いので、1ヶ月早いということだろう。当然のごとく注文。
この日のメニューは
アミューズにイワシのトースト
ロワール産ホワイトアスパラの茹で上げ
トリュフのパイ包み
鹿児島産ヤガラのロースト黄カブ添え
焼き芋餡いりキャラメルのスフレ
ホワイトアスパラとヤガラはシェアしている。
イワシのトーストはアミューズでは初めて。桜えびのチーズトーストがこの時期なのだが、イワシはレモンの酸味と塩加減が絶妙。トーストと不思議なくらいよく合う。初めてなのだが、これは桜えびのチーズトーストよりも好きかも、、
ホワイトアスパラはとにかく、ジューシーでそのまま食べるのが一番。穂先と根もとで味や香りが異なり、まさしく"春の味"である。単純に湯で茹でたものではない。
煮ては冷ましを繰り返すことにより、歯応えを残しつつ、ジューシーに仕上がる。塩をつけるとアスパラの甘さが増し、ドレッシングソースをつけると酸味が味を引き締める。アスパラの味をいかに引き出すか、斉須シェフならではの一皿。
ヤガラはとにかく上品な白身の魚。風味もよく、見かけとは違いクセもない。程よい塩加減がちょうどいい。
添えてある黄カブは、言われないとカブとはわからない。とにかく甘い。さつまいものような甘さだが、最後にふわっと土の香りがカブなのだろう。
ソースは黄カブの味とサフランで色と香りをつけたクリームベースのソース。カブの甘さがソースにしっかりとあり、サフランの香りとピリッとしたアクセントが、淡白なヤガラに合う。
トリュフのパイ包みは最後に登場。特大のトリュフを1センチくらいの厚さにスライスしたもの二枚でフォワグラを挟んでパイで包んで焼き上げたもの。ソースもトリュフ。私たちの席はトリュフの香りでいっぱい!店を出るときまでもトリュフの香りが、、大袈裟でなくトリュフの香りが残っているのである。時期ものとはいえ、とにかく贅沢な逸品。
デザートは焼き芋風味のキャラメルスフレ。中にさつまいもの餡が入っており、キャラメル風味のスフレと一緒に口に含むと、まさしく"焼き芋"。よく考えられたデザートだ。熱々のスフレは寒い時期には美味しいデザート。甘さ控え目でキャラメルの苦味のきいた私好みの味である。
相変わらず、シンプルに仕上げた料理だが、本当に手間ひまかけた料理なのである。斉須シェフらしい料理、そして、いつもと同じ、期待通りの味、何十年も変わらず、そして、とにかく美味しく調理する、その姿勢は頭が下がる。まだまだ現役、そしてまだ、現役でいて頂きたい、そう思ってまた、夏の梅紫蘇のスープの頃に訪問したい、、、
トリュフの時期には、必ずコートドールのトリュフのパイ包みを頂くことにしている。
通常よりも倍近い大きいトリュフを1㎝以上の厚さのスライスを2枚、間にフォワフラをサンドしてパイに包んで焼く。
ソースもトリュフである。厨房から出てきた時点できたとわかるくらい香る。そして、これを食すると、デザートまでの間も口の中でトリュフの香りが残っている。
このメニュー、メニューにはない。トリュフの仕入次第と1皿の価格が、フルコース分となるからである。お客様に負担をかけないようにと、そしてこの時期は日本では魚など、美味しい素材が多いのでそちらを味わってもらいたいと斉須シェフは思っているとの事。私もトリュフは毎年、この料理だけでそれ以降トリュフの料理は注文しない。これでもう十分、トリュフを味わったからである。
この他、定番の季節野菜の蒸し煮コリアンダー風味(野菜のエチュベ)。煮込んでは冷ますこと十数時間かけて仕上げる。野菜に味が十分入っているのに、野菜のカリッとした歯ごたえが残る。
魚料理はアマダイのポワレ。アマダイの身の甘さ、皮目の香ばしさ、そしてその下にはトマト汁(トマトを切ったときに出てくる果汁)とアマダイの出汁とオリーブオイルでポワロとじゃがいもを煮込んだものがひいてある。野菜の甘さ、トマトのかすかな酸味、魚の出汁が素晴らしい。
肉料理は、スペイン産の鴨胸肉のロースト。鴨の身の旨さ皮の香ばしいさ、皮下脂肪が薄いので肉の旨さが前面に出ている。
付け合わせがまたいい。紫キャベツを甘酸っぱくマリネしているが、中に猪のベーコンが混ざっている。そして食感はじゃがいも、味はサツマイモのような甘さがあるものだが、聞いたらフランス産のカブとの事。とてもカブの食感ではない。
デザートは定番のショコラマルキーズ、熊本産の栗のモンブラン。
斉須シェフの料理は新作というものはあまりない。しかし、昔からの料理を高いレベルで味が変わらず期待通りの味に仕上がる。通勤経路も店入る時間、手順、毎日同じと聞く。料理の集中するためである。そのため、取材などは殆ど受けない。リズムが狂うからである。
定番の料理、特に野菜のエチュベなどは、いつも料理を作ったあと”明日はもっと美味しく作れるはず”と思っている。も60代半ばなのに、まだまだ精進している。もはやシェフというよりも職人に近いと思う。
モダンフレンチに慣れている方々には、古臭いと感じるのかもしれない。でも料理に古いも新しいもないと私は考える。美味しいのはもちろん、シェフの個性が味わえるのが私にとっては一番である。
コートドールの料理の特徴は酸味を利かしていること。これは本場フランスのフランス料理そのものである。見かけはクラシックでも、味はパリのフレンチのままなんである。
斉須シェフは、あと何年厨房に立てるのかわからない。しかし、斉須シェフが厨房にいる限り、私は何度でも食べにいくつもりである。
2016年2月初旬
久しぶりの訪問である。目的はトリュフのパイ包み。
これ一皿で、高級フレンチのコース料金分である。
しかし、トリュフとはこういう香りであるということをものすごく印象づける。最初に出た皿なのに、デザートの時までトリュフの香りが残っているのである。どうせ1年に1回の贅沢と思えば価格など気にならない。トリュフは今年はこれで十分である。
メインにヤガラのローストとラムのローストを注文した。ヤガラは身が厚く、しっかりとした身であり、身の甘さ、香りも十分。さすが時期のものである。
ラムを注文したのは久しぶりである。脂身が薄く、肉も柔らかく、いやな匂いもない。肉の旨みが前面に出ている。サービスでじゃがいものグラタンを頂いた。
デザートは定番のショコラマルキーズ。苦味の効いたショコラにコーヒーソースは、相変わらず素晴らしい。
いつも思うが、定番が特に美味しいのである。いつも同じ味でとても美味しい。期待どおりで安心する。斉須シェフは相変わらず、同じルーティンで店に入っている。そして、相変わらず、取材は受けず、そしてキッチンもピカピカに磨いている。だから、私も安心して人を連れていける。
コートドールに行くときは、純粋に料理を楽しむだけなので、本当は一人で行きたいところである。
昔は一人で訪問したこともあるので、たまには一人で行こうか・・・。
2月初旬
やはり、トリュフの時期に来訪
アミューズ 桜海老のトースト
前菜 トリュフとフォワグラのパイ包み焼き
魚料理 スズキのかりかり焼き エビのソース
肉料理 青首鴨のロースト 赤カブ添え
デザート ココナッツのブランマンジェ
今年のトリュフは相当出来がいいとの事。テーブルの前に来る前から、トリュフの香りが香っており、自分の料理とわかるくらい。
どうせ、トリュフは高いのだから、美味しい時期に年の1度の贅沢をしていいものだと思う。そして、今年はトリュフはこれで、いいかなと思った。
スズキの添えたエビのソースはオマールだが、アメリケーヌよりもオマールの風味が強く、淡白なスズキとマッチしていた。
青首鴨はこれで最後とのこと、狩猟でとれたものゆえ野趣あふれ、皮の下の脂肪も薄く、肉の味が凄い。コートドールではシェア
しても、各部位をきちんと分けてくれ、レバーやハツもある。特にレバーの味が凄い。また、赤カブがよく合うこと。
今年も、外食のスタートはコートドールとなったが、やはり、私の中での日本一のフレンチである。
1月の終わりからトリュフの時期に入ります。
それを狙って、トリュフのパイ包み焼きを予約しました。
メニュ-
・アミューズ 桜えびとチーズのトースト
あつあつの一口。桜えびの香ばしい香り、チーズの風味、食事のスタートとしては最適
・前菜1 鰆の燻製 紅芯大根添え
鰆は中が透き通って、一見生のようですが、火はきちんと通ってます。鰆の美味しさ、燻製の香りとも素晴らしい。
シェアしても結構なヴォリューム。紅芯大根の酸味のきいた味が付け合わせとしてぴったり
・前菜2 野菜のエテュベ
コートドールの代表作。酸がきいて美味しい。昔ほどキュンときいていなく、少しまろやか。
野菜の質が変わってきているので、野菜の味に合わせたためとのこと。あくまで自然体です。
・前菜3 トリュフのパイ包み焼き
今回の実質メイン。今回は1皿シェアしたが、シェアする前から、香りが凄く、すぐにできたとわかった。
切り分けた瞬間、部屋中トリュフの香りになってしまった。無論、食べると凄い。厚さ1センチ位のしかも
大きなトリュフでフォアグラをサンドしている。日本人はなかなかトリュフの香りがわかりづらいが、これなら
誰でもわかる。ランブロワジー時代の名品
・メイン 牛のしっぽの蒸し煮
これもコートドールの定番。気に入っているのは付け合わせが人参のピューレであること。この甘さと香りが
本当にマッチしている。グラッセやソテーのようなありきたりでなく、クー・ド・ブッフの美味しさを引き出す。
・デザート みかんのスフレ
みかんの甘さ、酸味はもちろん、かすかな苦みもあり、さわやかなデザート
確かに皿の上に華やかさはないかもしれません。クラシックな料理ともいえるかもしれません。
でも、これは斎須スペシャルなんです。赤ピーマンのムースもしかり、野菜のエテュベもしかり、斎須シェフの味そのものです。
もう、通いだして18年になります。でも、本当に味が変わらない、だから期待通りの料理なんです。
トリュフのパイ包みは値段にすれば、高級フレンチのコースの値段と同等くらいです。だから、メニューにはありません。シェフの方針から
お客様に経済的に負担がかかるものは載せないとのことゆえ。
でも、これだけトリュフと明確にわかる料理はないと思います。中途半端に薄切りのトリュフを散らして、それなりの料金が取られるなら、
高くてもトリュフの醍醐味を味わえるほうがいいと思います。トリュフも今の時期だけですから、年に1回思いっきり贅沢してもいいかな、
て思います。
3位
3回
2019/07訪問 2019/07/15
一昨年の夏以来、久しぶりの来訪となった。いつの間にか、食べログからネット予約できるようになっていた。
また、ミシュランの一つ星を獲得していた。
さて、今回はネット予約で14000円のコースである。
アミューズ
鹿のブーダンノワールのミニハンバーガー、パテドカンパーニュ、セルベルドカニュ
前は、ブーダンノワールのミニハンバーガーだけだった記憶。豚の血が使えないため、鹿でブーダンを作ったとの事。鹿のブーダンはさっぱりとしている。どれもアミューズからなかなか楽しめる。
ここから前菜のカテゴリーが5品提供される。
前菜1 透明なガスパチョ 赤ピーマンのムース添え
透明な液体だが、食べるとトマトを中心に様々な野菜の味が、、。何度も濾過したとの事。赤ピーマンのムースは赤ピーマンの香りがガスパチョと合う。浮き身のバジル、生ハムが風味と香り、すももは甘酸っぱさで美味しさを演出している。個人的にはもう少し欲しい。
前菜2 キスのパンケーキ仕立て
じゃがいものパンケーキの中にキスの身が入っている。
オーストラリア産のトリュフを使ったソースとパンケーキの上に細く刻んだトリュフがたっぷりと、、
ソースにはバニラの香りをつけている。なるほど、パンケーキなので、バニラの香りはよく合う。
前菜3 鮎のヴァリエーション
前回と同じで、鮎を一匹丸ごと頂く料理。頭と尾はしっかりと焼き、身の部分はクマ笹茶とクレソンのソースで頂く。ソースには鮎の内臓も一緒になっている。私のお気に入りは、鮎の内臓のブーダンノワールをシューにしたもの。鮎を丸ごと楽しめる。
前菜4 うなぎのマトロットと白焼き ポートワインのソースで
うなぎは赤ワイン煮と白焼き2種を盛り付け、下に水ナスのソテーをひいている。また、中にはバルサミコで煮込んだ玉ねぎやフォワグラが。赤ワイン煮はそれだけで食べ、白焼きはアニスの効いたポートワインのソースで食べる。甘めのソースはやっぱりうなぎにあう。口直しの玉ねぎのバルサミコ煮込みがさっぱりとする。赤ワイン煮のうなぎは水ナスと一緒に食べると濃厚な味わいのうなぎがさっぱりとなる。なかなか楽しめる逸品。
前菜5 長野産やぎのナバラン 満願寺とうがらし添え
やぎというと、どうしてもクセがとても強いイメージだが、辛味とスパイスを効かせたトマトソースでしっかり煮込んだナバランは、クセもなく、柔らかな赤身のラムのような風味。満願寺とうがらしがソースとよく合う。
魚料理 甘鯛のポワレ トマトソース
甘鯛はウロコをつけたまま焼く。ウロコが軽くサクサクの食感。王道だがトマトソースがある。セルバチコの香りと、付け合わせのツルムラサキもいい。
肉料理 ハトのファルシ サルミソース
こちらの肉料理は、鉄鍋に藁をひいて焼く。ストウブ料理。微かな燻製香が食欲をそそる。ハトの中にはフォワグラが、、。ハトはあっさりとした肉なのでフォワグラのコクは合うだろう。ただ、今回はフォワグラを使う所が多い。サルミソースもハトでは王道だろう。やはり、ハトのような赤みを帯びた肉にはサルミソースは合う。
デザートはアヴァンデセール2品とデゼール1品構成
アヴァンデセール1 チェリービールのムース
チェリービールでムースにして、中にはアメリカンチェリーと日本のさくらんぼ。上にはチェリーのグラニテがのっている。ハトの料理が濃厚なので、さっぱりとした、爽やかなチェリーのデザートはとてもいい。どこをたべてもチェリーの香りが広がる。
アヴァンデセール 2 抹茶とトンガ豆のムース
抹茶を液体窒素でアイス状に。
トンガ豆はベネズエラが産地で、ファインフレグランスで使われる。豆の香りをと豆が置いてあり、香りを嗅ぐと、杏仁とか桜餅の餅の香りとか、そんな甘い香りであるが、ムースの味は香りとは異なり、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツなどの様々な木の実の味である。このムースと液体窒素で固められた抹茶は不思議なほど合う。
デザート 日向夏のメレンゲ仕立て
イタリアンメレンゲの下に日向夏やヴェルヴェンヌのジュレ、ムースなどが層になっており、一緒に食べると、様々な香りや甘さの中に日向夏の酸味がさっぱりとさせて、美味しい。
ミャルディーズ エルダーフラワーのジュレのマンゴーのせ、カヌレ、フロランタン、レモンのマカロン
飲み物 ハイビスカスベースのハーブティー
柴田シェフも40近くになるのだろう。料理も洗練されてきた感じがする。しかしながら、素材にどのように手を入れたらより美味しくなるのか、そんな探究心からの調理は前から変わらず、である。期待通りの料理を堪能できた、、。メニュー構成に完全お任せのコース(10日前までに予約とある)があるので、次回はこちらの予約で再訪したい。
知人の女子大生が留学との事ゆえ、応援を兼ねて訪問。コース料金が上がった事もありきにしていたのだが、、食べて納得した。
料理は、さらに洗練して高みを帯びていた。しかし、素材と向き合いながら、どう料理したら美味しくなるのか、シェフの軸は変わらず、素晴らしいコースに仕上がっていた。
コースは12,960円(税込)とした。
アミューズ ブーダンノワールのミニハンバーガー
私が最も好きなアミューズ。トマトとリンゴのピュレがやっぱり合う。
前菜1 とうもろこしのタルトと冷製ポタージュ
ポタージュにはコンソメゼリーがタルトの上にはオーストラリア産トリュフがのっている。
しかし、とうもろこしの甘い事。とうもろこしを2通りの食感と香りで頂く贅沢!
前菜2 アオリイカの一皿
甘唐辛子の中にイカのムースを詰めたものと、軽く火を通してサラダ仕立てにしたものが一皿に。アオリイカの甘さ、甘唐辛子の旨さが引き立つ
前菜3 鮎のソテー
頭と尻尾もしっかりと揚げてあり食べられる。身の下には雑穀などがひいてあり、笹茶とクレソンのソース、鮎の肝を使った泡状のソースで頂く。秀逸なのは、鮎の肝で作ったブーダンノワール。これは本当に鮎を食べた、と感じる。鮎丸ごと一匹を頂く料理。
前菜4 うなぎの一皿
うなぎは蒲焼風に焼いてある。赤ワインなどで下味をつけているのでは。その下にトリュフのかき卵。卵をスクランブル状に仕上げたもの。卵はトリュフと一緒に保存しているので、トリュフの香りが移る。シェフ曰く、うまきの感覚で作ったもの、との事。なるほど、、。これは本当にあっと言う間に食べてしまった。トリュフはオーストラリア産。トリュフのかき卵はコートドールの銘品である。そう言えばどちらの店も白金高輪が最寄りだな。
前菜5 本田農園のフルーツトマト
トマトの上に、きゅうり、人参などのみじん切りとバジルがのっている。一口で食べると口の中でガスパチョになるとの事。面白い発想。しかしトマトが甘い事。
前菜6 フルーツトマトに軽く火を入れ、ブランタードと一緒にスプーンで頂くもの。
火を入れたトマトは甘みが増し、塩味のブランタードとよく合う。
前菜7 コンソメブイヤベース
コンソメスープだが、魚介類でスープをとったもの。味わいは正に”ブイヤベース”
魚料理 カサゴのソテー
骨つきのアラの部分が添えてある。カサゴの火の入れ方が完璧で、魚の旨さがダイレクトに伝わる。アラの部分は塩味がついているが、行儀悪くも手づかみで骨の回りの身を食べるのが一番!
肉料理 仔羊の背肉のロースト
ココットに背肉が入っていて、藁の香りをつけて焼き上げた逸品。ソースの回りにはハイビスカスを乾燥して粉状にしたものが。肉の味が素晴らしい。骨の部分(リブ)がまた、行儀悪くかじって食べるのがいい。肉も魚も骨の回りの身が一番美味しい!
アヴァンデゼール1 ジンジャーエール
グラスには、ミントでなくハッカのオイルがつけてあり、香りが素晴らしい。
アヴァンデゼール2 桃と紅茶のグラニテ
さっぱりとした味と香りがいい。
デゼール レモンクリームのミルフィーユ シャンパンのソルベ添え
レモンクリームの酸味と甘み。ミルフィーユは軽く仕上がっている。実は、デゼールにちょっとしたサプライズを行なったため、料理の写真は出せません、、。
プティフールとフレーバーティーで締めた。
シェフは日本という国の中で、フランス料理を作るという姿勢である。だから、日本の食材を使い、どう調理したら美味しく仕上がるか日々研究しているという。今回頂いた料理も、何カ月も試行錯誤して完成したものもある。
コースの値段が上がったのは、食材も少しだけ高級なものを使い始めたため、と私はそう思いたい。
37歳の若いシェフ、モナリザ出身だが、自らの感性で自分自身の料理をコースという形で仕上げる。何となくカンテサンスの岸田シェフの若い頃を見ているように思えるのは私だけかもしれないが、まだまだ、伸びていくように思ってしまう。今後、さらに期待したい。
ラ シェリールのあとにできたレストラン。ラ シェリール同様に、モナリザ出身のシェフである。柴田シェフはアルコールを飲まないとの事。私もアルコールが弱いので、私の好みに合う料理と期待して来店。
白金高輪駅からは歩いて7,8分というところか。逆の方向にはあのコートドールがある。中は14席程度の白を基調とした明るい雰囲気。
メニューは”喜び”7,344円(税込)10品、”感謝”10,800円(税込)12品となっている。
今回は”喜び”を選択するが、私のほうは肉料理を”感謝”の鹿の料理に変更(+800円)してもらった。
泡でスタート
アペリティフアミューズ ブーダンノワールのミニチュアハンバーガー
一口サイズのハンバーガーでブーダンがパテ、玉ねぎ、トマトもちゃんとあり、バンズはブリオッシュ。ブーダンとブリオッシュがマッチしていい。
また、ブーダンと言えばリンゴ、リンゴのピュレがソースがわりとなって抜群の相性。
ここで、メニューが提供される。
アミューズ サーモンとりんご、カリフラワーのムースとコンソメジュレ
サーモンとりんごはタルタルのようになっており、カリフラワーのムースの優しい甘さとコンソメジュレの風味が一体となって美味しい。
前菜1 ぶりとネギのタルタル 赤紫蘇のソース
メニューが変更となったが、ぶりとネギの甘さ、ソースの酸味と香りがいい。また、ぶりを巻いて焼いたもの、赤カブとぶりの血合いをパテにしたものが添えてある。血合いのパテが素晴らしい。旨みだけで血の匂いは全く感じない。焼いたものは、香ばしさが前面に出ている。
前菜2 どんこの笠焼き ソースカフェドパリ
どんこそのものが味が濃い。それだけでも十分だが、銀杏、むかごと秋の味覚が乗り、つぶ貝の歯ごたえ、旨みを吸った麦が一体となって美味しい。バターベースのソースは当然合うだろう
前菜3 かにみそのスープ仕立て
蟹のプランダートが皿にのり、下にはセロリのオイルがひいてある。テーブルでスープを注いでいただく。スープは蟹味噌の濃厚な味と香り、プランダードも蟹の身がたっぷりとあり、ほのかにセロリの香りがする。蟹そのものを食べたような満足感がある。
魚料理 カマスと泥ゴボウのルーロー マデラ酒のソース
ゴボウをカマスの身で巻いて焼き上げたもの。面白いのはセップ茸の出汁をカプチーノ仕立てにしてソース代わりにしている。マデラ酒の甘酸っぱいソースとセップの香りのソースは、どちらともいい塩梅である。
肉料理 鹿の藁焼き
本来は、群馬産せせらぎポークだが、1万円のメインと取り換えてもらった。(+800円)鹿の火の通りがいい。もう少しレアでも良かったかもしれない。
わらの香ばしい香りが食欲をそそる。ベリー系の甘酸っぱいソースとビーツのピュレがよく合う。付け合わせのかぼちゃのニョッキもいいアクセントか。
アバンデゼール エルダーフラワーのジュレと青りんごのアイス
エルダーフラワーのジュレにさらにエルダーフラワーのジュースがかかっており、ライムの皮で爽やかな香りを演出している。エルダーフラワーのジュレは、マスカットのような香りの甘酸っぱい味、青りんごのアイスの爽やかな味と香り、肉料理の後にはなかなかいい。
デザート キャラメリーゼしたバナナのクレープと和栗のマリアージュ
クレープの中にはバナナ以外に、カスタードとチョコのクリームがクレープの半分にそれぞれ入っている。食べ進めると途中で味が変わる。キャラメリーゼしたバナナにはシナモンの香り。和栗はソースに。ヴォリュームのあるデザートだが、若い女性の好きそうなものがすべて入っているように思える(笑)
飲み物 コーヒー
食後の飲み物はコーヒー以外に紅茶が2種類、ハーブティーが3種類、最初に茶葉(コーヒー豆)が提供され、香りをかいでから選択する。
プティフール グレープフルーツのジュレ、カヌレ、マカロン、アマンディーヌ
これもすべて自家製である。
柴田シェフはまだ37歳と若く、ある意味最も”モナリザ”からは離れた料理と思われる。シェフと少しお話させて頂いたが、今は、自分が思っている料理を作るというより、材料を様々な方向からみて、どういう方向から味を入れると美味しくなるのか考えながら調理しているとの事。若くして、これだけの料理を、しかもかなりリーズナブルに提供している。全体的に香りを重視しているのも個性かもしれない。シェフはアルコールをたしなまないとの事。私もあまり飲めないので、料理は私の好みにとても合っている。
この界隈のフレンチはどの店もハイクオリティ、そして、また、ハイクオリティな店が誕生した。メニューが変わるときに再訪したい
昨年から13,000円のお任せのみが、5,800円と10,000円の2コースの編成となったと聞き、久しぶりに訪問した。利用しやすい構成だが、料理はどうなのか。
コースの違いは料理だけでなく、5,800円にはパスタがない。但し、アラカルトもあるとのことで、5,800円のコースにアラカルトでパスタを1人前追加するものありか。
今回は10,000円のコースとした。
泡で乾杯。
アンティパスト1 カポナータ
様々な春野菜をカポナータにしたもの。野菜の味と香り、トマトの甘さ、香り、食欲がそそる。
アンティパスト2 徳島産イシダイのサラダ仕立て
よくある、カルパッチョとは違い、ドレッシングは控えめ。イシダイに少し塩を利かせて、イシダイの味と野菜の味、香りで勝負している。素材がいいのでこれで十分。ラデッキオロッソの苦味、ルッコラの香りがとてもよく合う。そしてイシダイの甘さを良く引き出している。
ズッパ 春野菜とフレーゴラのミネストローネ
フレーゴラはクスクスに似たデュラムセモリナ粉の粒状のパスタ。鯛の出汁をベースにホワイト、グリーンのアスパラソヴァージュ、新玉ねぎ、イタリアのグリンピース人参などの野菜とフレーゴラを煮込んだもの。野菜の味、フレーゴラの食感、スープの味が一体となった逸品。意外にボリュームもある。
プリモピアット スミイカのタリオリーニ アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ風
タリオリーニは小林シェフお得意の自家製でパスタにほろほろ鳥の卵が練りこんである。通常のタリオリーニよりも細く仕上がっている。スミイカ、新玉ねぎ、チェリートマトと具材が入っている。スミイカと玉ねぎはパスタの太さに合わせている。
唐辛子のピリッとしたアクセント、にんにくの香りは控えめで、特にパスタそのものの味がいい。
セコンドピアット スペイン産豚バラ先肉のローストと沖縄産皮つき豚のミルト酒煮込み
まず、皮つき豚の煮込みだが、皮のゼラチン質の甘さと脂身(脂は抜けている)の甘さがいい。赤身の部分は少し歯ごたえが残っており、肉の旨みを感じる。いわゆる”豚の角煮”に近いものだ。ミルト酒はサルディーニャ地方のリキュールでミルトというハーブの実を漬けこんだもの。漬けこむときに砂糖で甘味をつけている。ミルト酒の甘さやベリーのような風味もよく合っている。さて、感動したのは豚バラ先肉である。セクレタという部位で、なんと豚肉なのに霜降りなのである。噛むと肉の旨み、脂の旨みがジュワっと出てくる。見かけも牛肉と見間違えるくらいである。基本的に塩味であるが、これで十分である。当分は 豚肉はいいかな、と思うくらいだ。
ドルチェ カッサータ
リコッタチーズのベースにラム酒につけたレーズンが入っている。なんと、温かいレモンのソース。カッサータの冷たさとソースの温かさ、皿も温かくなっており、カッサータの少し溶けた食感と味がいい。
値段が安くなるのはいいことであるが、料理の質も変わることが多い、エッフェは料理の質は高いままである。さすが、小林節は健在である。銀座という場所を考えると、この1万円もリーズナブルと思える。また、メニューが変わるころに来訪したい。その時はコースとアラカルトを併用してみようかと思う。
軽井沢のフォリオリーナで腕をふるっていた小林シェフが東京のそれも銀座の商業ビルで店を開いたという事を聞いて、即、予約し来訪。
小林シェフの料理を食べたのは、西麻布のマリーエ時代から。二度と同じメニューを出さないというコンセプトで力強い料理の印象だった。
そのため、少々作りすぎの感もあったと記憶している。最も私もまだ若かったので、問題なかったのだが。
その後、中目黒で1日1組のみのフォリオリーナで、知人のお誘いで2度ほど。小林シェフのやりたいことがわかる、それこそ、もてなしのすべてを料理に映しているような、完成度の高い料理だった。
銀座のエッフェは、夜は13,000円のお任せのみで、7,000円でワイン5種類がつくというメニュー。
アルコールの弱い私は13,000円のコースで。
メニューはイタリア語で書かれた紙のメニューがテーブルに置いてある。メニューは口頭説明のため、わかる範囲で記載する。
突き出し ココナッツとマスカルポーネのパネ
パンが突き出しとは、と思ったが、マスカルポーネの風味、ココナッツの甘さがいい。
アンティパスト カサゴのマリネ
セロリラブのピューレやタレッジョチーズ、香辛料でソースが形成され、時期のキノコやフンタレッタなどがカサゴの上に載せてある。
カサゴの身の甘さを感じつつ、様々な味と香りが、徐々に広がっていく。
ズッパ かきと黒トリュフのスープにピンクペッパーのパンを添えて
ちりめんキャベツ、ゴルゴンゾーラ、生ハム、様々な野菜をすりつぶしたもの。中には牡蠣の身があり、栗トリュフが浮かんでいる。塩味はゴルゴンゾーラである。スープの味が繊細で、ゴルゴンゾーラがコクを出している。添えられたピンクペッパーのパンにつけて食べると大変美味しい。
プリモ タリオリーニからすみのソース
タリオリーニにはほろほろ鶏の卵が練りこんである。トランペット茸、グアンチャーレ、そしてポロネギがこんもりと。すべてを混ぜて食べるのだが、パスタそのものの味が素晴らしい。クアンチャーレの塩気とトランペット茸がよく合う。
あっという間に食べてしまった。
セコンド チンタネーゼのグリル レーズンのパン添え
チンタネーゼという豚肉は脂身がとにかく甘い。ソースは菊芋のソース。これも肉によく合う。レンズ豆とファロという麦が添えてある。これでボリュームも出る。マルサラ酒に漬けたレーズンのパンがソースによく合う。そうか、料理に添えてあるパンは料理の一種なんだ。
ドルチェ スフォルマートチーズのムース仕立て アプリコットと山ぶどうのソース
スフォルマートは恐らく、つなぎに小麦を入れて焼いてあるものか。柔らかいベイクドチーズケーキのような歯触り。ソースが素晴らしい。最初に山ぶどうの味がきて、その後にアプリコットの風味、最後にバローナチョコレートに風味がくる。土台はスフォルマートの味と香りであるが、どれもくっきりとした味と香りがくる。
最後はエスプレッソで締めた。
とにかく、素材の味と香りがくっきり明確で、さすがというしかない。軽井沢で素材と向き合う日々だったと思われるから、きっと集大成のような料理と個人的には感じた。そして、とても優しい味である。小林シェフの料理を最初に頂いたときは力強いものであったが、私も30代前半。これで、好みに合っていた。それから20年近く経つ。私も50代に突入しており、小林シェフも円熟味を増して、料理の質も変わっていった。
この料理は、今の私には本当に合う。
13.000円はこの界隈で、しかもこの質の料理であればリーズナブルというしかない。
今のところ年中無休であるが、さすがに身体にこたえるので、今後はうまく回したいと小林シェフ。エレベーターまでシェフが直々に来ていただき、ご挨拶をして頂いた。
久しぶりに感動した夜だった。
(PCのトラブルで写真投稿できず)