3回
2017/08 訪問
二度目の訪問
知人の女子大生が留学との事ゆえ、応援を兼ねて訪問。コース料金が上がった事もありきにしていたのだが、、食べて納得した。
料理は、さらに洗練して高みを帯びていた。しかし、素材と向き合いながら、どう料理したら美味しくなるのか、シェフの軸は変わらず、素晴らしいコースに仕上がっていた。
コースは12,960円(税込)とした。
アミューズ ブーダンノワールのミニハンバーガー
私が最も好きなアミューズ。トマトとリンゴのピュレがやっぱり合う。
前菜1 とうもろこしのタルトと冷製ポタージュ
ポタージュにはコンソメゼリーがタルトの上にはオーストラリア産トリュフがのっている。
しかし、とうもろこしの甘い事。とうもろこしを2通りの食感と香りで頂く贅沢!
前菜2 アオリイカの一皿
甘唐辛子の中にイカのムースを詰めたものと、軽く火を通してサラダ仕立てにしたものが一皿に。アオリイカの甘さ、甘唐辛子の旨さが引き立つ
前菜3 鮎のソテー
頭と尻尾もしっかりと揚げてあり食べられる。身の下には雑穀などがひいてあり、笹茶とクレソンのソース、鮎の肝を使った泡状のソースで頂く。秀逸なのは、鮎の肝で作ったブーダンノワール。これは本当に鮎を食べた、と感じる。鮎丸ごと一匹を頂く料理。
前菜4 うなぎの一皿
うなぎは蒲焼風に焼いてある。赤ワインなどで下味をつけているのでは。その下にトリュフのかき卵。卵をスクランブル状に仕上げたもの。卵はトリュフと一緒に保存しているので、トリュフの香りが移る。シェフ曰く、うまきの感覚で作ったもの、との事。なるほど、、。これは本当にあっと言う間に食べてしまった。トリュフはオーストラリア産。トリュフのかき卵はコートドールの銘品である。そう言えばどちらの店も白金高輪が最寄りだな。
前菜5 本田農園のフルーツトマト
トマトの上に、きゅうり、人参などのみじん切りとバジルがのっている。一口で食べると口の中でガスパチョになるとの事。面白い発想。しかしトマトが甘い事。
前菜6 フルーツトマトに軽く火を入れ、ブランタードと一緒にスプーンで頂くもの。
火を入れたトマトは甘みが増し、塩味のブランタードとよく合う。
前菜7 コンソメブイヤベース
コンソメスープだが、魚介類でスープをとったもの。味わいは正に”ブイヤベース”
魚料理 カサゴのソテー
骨つきのアラの部分が添えてある。カサゴの火の入れ方が完璧で、魚の旨さがダイレクトに伝わる。アラの部分は塩味がついているが、行儀悪くも手づかみで骨の回りの身を食べるのが一番!
肉料理 仔羊の背肉のロースト
ココットに背肉が入っていて、藁の香りをつけて焼き上げた逸品。ソースの回りにはハイビスカスを乾燥して粉状にしたものが。肉の味が素晴らしい。骨の部分(リブ)がまた、行儀悪くかじって食べるのがいい。肉も魚も骨の回りの身が一番美味しい!
アヴァンデゼール1 ジンジャーエール
グラスには、ミントでなくハッカのオイルがつけてあり、香りが素晴らしい。
アヴァンデゼール2 桃と紅茶のグラニテ
さっぱりとした味と香りがいい。
デゼール レモンクリームのミルフィーユ シャンパンのソルベ添え
レモンクリームの酸味と甘み。ミルフィーユは軽く仕上がっている。実は、デゼールにちょっとしたサプライズを行なったため、料理の写真は出せません、、。
プティフールとフレーバーティーで締めた。
シェフは日本という国の中で、フランス料理を作るという姿勢である。だから、日本の食材を使い、どう調理したら美味しく仕上がるか日々研究しているという。今回頂いた料理も、何カ月も試行錯誤して完成したものもある。
コースの値段が上がったのは、食材も少しだけ高級なものを使い始めたため、と私はそう思いたい。
37歳の若いシェフ、モナリザ出身だが、自らの感性で自分自身の料理をコースという形で仕上げる。何となくカンテサンスの岸田シェフの若い頃を見ているように思えるのは私だけかもしれないが、まだまだ、伸びていくように思ってしまう。今後、さらに期待したい。
2017/08/14 更新
2016/11 訪問
激戦区の新店
ラ シェリールのあとにできたレストラン。ラ シェリール同様に、モナリザ出身のシェフである。柴田シェフはアルコールを飲まないとの事。私もアルコールが弱いので、私の好みに合う料理と期待して来店。
白金高輪駅からは歩いて7,8分というところか。逆の方向にはあのコートドールがある。中は14席程度の白を基調とした明るい雰囲気。
メニューは”喜び”7,344円(税込)10品、”感謝”10,800円(税込)12品となっている。
今回は”喜び”を選択するが、私のほうは肉料理を”感謝”の鹿の料理に変更(+800円)してもらった。
泡でスタート
アペリティフアミューズ ブーダンノワールのミニチュアハンバーガー
一口サイズのハンバーガーでブーダンがパテ、玉ねぎ、トマトもちゃんとあり、バンズはブリオッシュ。ブーダンとブリオッシュがマッチしていい。
また、ブーダンと言えばリンゴ、リンゴのピュレがソースがわりとなって抜群の相性。
ここで、メニューが提供される。
アミューズ サーモンとりんご、カリフラワーのムースとコンソメジュレ
サーモンとりんごはタルタルのようになっており、カリフラワーのムースの優しい甘さとコンソメジュレの風味が一体となって美味しい。
前菜1 ぶりとネギのタルタル 赤紫蘇のソース
メニューが変更となったが、ぶりとネギの甘さ、ソースの酸味と香りがいい。また、ぶりを巻いて焼いたもの、赤カブとぶりの血合いをパテにしたものが添えてある。血合いのパテが素晴らしい。旨みだけで血の匂いは全く感じない。焼いたものは、香ばしさが前面に出ている。
前菜2 どんこの笠焼き ソースカフェドパリ
どんこそのものが味が濃い。それだけでも十分だが、銀杏、むかごと秋の味覚が乗り、つぶ貝の歯ごたえ、旨みを吸った麦が一体となって美味しい。バターベースのソースは当然合うだろう
前菜3 かにみそのスープ仕立て
蟹のプランダートが皿にのり、下にはセロリのオイルがひいてある。テーブルでスープを注いでいただく。スープは蟹味噌の濃厚な味と香り、プランダードも蟹の身がたっぷりとあり、ほのかにセロリの香りがする。蟹そのものを食べたような満足感がある。
魚料理 カマスと泥ゴボウのルーロー マデラ酒のソース
ゴボウをカマスの身で巻いて焼き上げたもの。面白いのはセップ茸の出汁をカプチーノ仕立てにしてソース代わりにしている。マデラ酒の甘酸っぱいソースとセップの香りのソースは、どちらともいい塩梅である。
肉料理 鹿の藁焼き
本来は、群馬産せせらぎポークだが、1万円のメインと取り換えてもらった。(+800円)鹿の火の通りがいい。もう少しレアでも良かったかもしれない。
わらの香ばしい香りが食欲をそそる。ベリー系の甘酸っぱいソースとビーツのピュレがよく合う。付け合わせのかぼちゃのニョッキもいいアクセントか。
アバンデゼール エルダーフラワーのジュレと青りんごのアイス
エルダーフラワーのジュレにさらにエルダーフラワーのジュースがかかっており、ライムの皮で爽やかな香りを演出している。エルダーフラワーのジュレは、マスカットのような香りの甘酸っぱい味、青りんごのアイスの爽やかな味と香り、肉料理の後にはなかなかいい。
デザート キャラメリーゼしたバナナのクレープと和栗のマリアージュ
クレープの中にはバナナ以外に、カスタードとチョコのクリームがクレープの半分にそれぞれ入っている。食べ進めると途中で味が変わる。キャラメリーゼしたバナナにはシナモンの香り。和栗はソースに。ヴォリュームのあるデザートだが、若い女性の好きそうなものがすべて入っているように思える(笑)
飲み物 コーヒー
食後の飲み物はコーヒー以外に紅茶が2種類、ハーブティーが3種類、最初に茶葉(コーヒー豆)が提供され、香りをかいでから選択する。
プティフール グレープフルーツのジュレ、カヌレ、マカロン、アマンディーヌ
これもすべて自家製である。
柴田シェフはまだ37歳と若く、ある意味最も”モナリザ”からは離れた料理と思われる。シェフと少しお話させて頂いたが、今は、自分が思っている料理を作るというより、材料を様々な方向からみて、どういう方向から味を入れると美味しくなるのか考えながら調理しているとの事。若くして、これだけの料理を、しかもかなりリーズナブルに提供している。全体的に香りを重視しているのも個性かもしれない。シェフはアルコールをたしなまないとの事。私もあまり飲めないので、料理は私の好みにとても合っている。
この界隈のフレンチはどの店もハイクオリティ、そして、また、ハイクオリティな店が誕生した。メニューが変わるときに再訪したい
2016/11/12 更新
一昨年の夏以来、久しぶりの来訪となった。いつの間にか、食べログからネット予約できるようになっていた。
また、ミシュランの一つ星を獲得していた。
さて、今回はネット予約で14000円のコースである。
アミューズ
鹿のブーダンノワールのミニハンバーガー、パテドカンパーニュ、セルベルドカニュ
前は、ブーダンノワールのミニハンバーガーだけだった記憶。豚の血が使えないため、鹿でブーダンを作ったとの事。鹿のブーダンはさっぱりとしている。どれもアミューズからなかなか楽しめる。
ここから前菜のカテゴリーが5品提供される。
前菜1 透明なガスパチョ 赤ピーマンのムース添え
透明な液体だが、食べるとトマトを中心に様々な野菜の味が、、。何度も濾過したとの事。赤ピーマンのムースは赤ピーマンの香りがガスパチョと合う。浮き身のバジル、生ハムが風味と香り、すももは甘酸っぱさで美味しさを演出している。個人的にはもう少し欲しい。
前菜2 キスのパンケーキ仕立て
じゃがいものパンケーキの中にキスの身が入っている。
オーストラリア産のトリュフを使ったソースとパンケーキの上に細く刻んだトリュフがたっぷりと、、
ソースにはバニラの香りをつけている。なるほど、パンケーキなので、バニラの香りはよく合う。
前菜3 鮎のヴァリエーション
前回と同じで、鮎を一匹丸ごと頂く料理。頭と尾はしっかりと焼き、身の部分はクマ笹茶とクレソンのソースで頂く。ソースには鮎の内臓も一緒になっている。私のお気に入りは、鮎の内臓のブーダンノワールをシューにしたもの。鮎を丸ごと楽しめる。
前菜4 うなぎのマトロットと白焼き ポートワインのソースで
うなぎは赤ワイン煮と白焼き2種を盛り付け、下に水ナスのソテーをひいている。また、中にはバルサミコで煮込んだ玉ねぎやフォワグラが。赤ワイン煮はそれだけで食べ、白焼きはアニスの効いたポートワインのソースで食べる。甘めのソースはやっぱりうなぎにあう。口直しの玉ねぎのバルサミコ煮込みがさっぱりとする。赤ワイン煮のうなぎは水ナスと一緒に食べると濃厚な味わいのうなぎがさっぱりとなる。なかなか楽しめる逸品。
前菜5 長野産やぎのナバラン 満願寺とうがらし添え
やぎというと、どうしてもクセがとても強いイメージだが、辛味とスパイスを効かせたトマトソースでしっかり煮込んだナバランは、クセもなく、柔らかな赤身のラムのような風味。満願寺とうがらしがソースとよく合う。
魚料理 甘鯛のポワレ トマトソース
甘鯛はウロコをつけたまま焼く。ウロコが軽くサクサクの食感。王道だがトマトソースがある。セルバチコの香りと、付け合わせのツルムラサキもいい。
肉料理 ハトのファルシ サルミソース
こちらの肉料理は、鉄鍋に藁をひいて焼く。ストウブ料理。微かな燻製香が食欲をそそる。ハトの中にはフォワグラが、、。ハトはあっさりとした肉なのでフォワグラのコクは合うだろう。ただ、今回はフォワグラを使う所が多い。サルミソースもハトでは王道だろう。やはり、ハトのような赤みを帯びた肉にはサルミソースは合う。
デザートはアヴァンデセール2品とデゼール1品構成
アヴァンデセール1 チェリービールのムース
チェリービールでムースにして、中にはアメリカンチェリーと日本のさくらんぼ。上にはチェリーのグラニテがのっている。ハトの料理が濃厚なので、さっぱりとした、爽やかなチェリーのデザートはとてもいい。どこをたべてもチェリーの香りが広がる。
アヴァンデセール 2 抹茶とトンガ豆のムース
抹茶を液体窒素でアイス状に。
トンガ豆はベネズエラが産地で、ファインフレグランスで使われる。豆の香りをと豆が置いてあり、香りを嗅ぐと、杏仁とか桜餅の餅の香りとか、そんな甘い香りであるが、ムースの味は香りとは異なり、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツなどの様々な木の実の味である。このムースと液体窒素で固められた抹茶は不思議なほど合う。
デザート 日向夏のメレンゲ仕立て
イタリアンメレンゲの下に日向夏やヴェルヴェンヌのジュレ、ムースなどが層になっており、一緒に食べると、様々な香りや甘さの中に日向夏の酸味がさっぱりとさせて、美味しい。
ミャルディーズ エルダーフラワーのジュレのマンゴーのせ、カヌレ、フロランタン、レモンのマカロン
飲み物 ハイビスカスベースのハーブティー
柴田シェフも40近くになるのだろう。料理も洗練されてきた感じがする。しかしながら、素材にどのように手を入れたらより美味しくなるのか、そんな探究心からの調理は前から変わらず、である。期待通りの料理を堪能できた、、。メニュー構成に完全お任せのコース(10日前までに予約とある)があるので、次回はこちらの予約で再訪したい。