2回
2022/11 訪問
究極の摘み草料理、、、
本当に久しぶりの京都。昔行った店はなくなったり、予約困難だったりと、困ったもんだと思いながら、こちらのお店は行ってみたいと思っていた。こちらも予約困難、まあ、2日間は電話頑張って、とれなければ洋食にしようと思っていた。そうしたら、何とか予約がとれたので、いよいよ初訪問となった。
カウンターがメインで、私と知人、あと、香港からきたペアの4人以外は常連のようである。カウンターの一斉スタートとなった。
・一皿目
カブに自家製味噌を挟んだもの。秋鯖を〆たもの、戻り鰹の腹身、蒸し焼きの栗、山椒入りきんとん、柿をきなこ酢で和えたもの、丹波の黒豆の空炒り
どれも、素材の味がしっかりしていて、美味しい。特にきな粉酢は柿とピッタリ。ご主人曰く、野菜サラダのドレッシングにも合うとの事。これだときな粉の香りが飛ばないので、余ったきな粉の活用にいい。
・むかごとイワナの卵の飯蒸し
餅米にむかごが混ぜてあり、上にイワナの卵がのせてある。むかごの甘さ、イワナの卵の塩味がいい。
・汁椀 白味噌 冬瓜、なめたけ、赤ネギ
冬瓜がしっかり味が含まれて美味しい。天然のなめたけの歯応え、ネギの甘さが白味噌に合っている。関東生まれの私も、これは美味しいと感じた。
・鮎の笹蒸し焼き
笹に包まれた鮎は、素晴らしい香り。最後の鮎と中東さんがお話された。鮎の骨を素揚げにして骨せんべいに。
早生みかん、紫芋、落花生が添えてある。みかんは果汁を鮎にかけてもいい。落花生の香ばしさ、紫芋の甘さがいい箸休めか。
・鯉の洗い
鯉は3ヶ月間、綺麗な水で育てており、従って全く臭みがない。洗いにかぶら、ラディッシュ、マイクロトマト、二十日大根、オゼイユ、蕎麦の実、鯉の鱗を揚げたものを醤油と一緒に全部混ぜて頂く。鯉の味わいがしっかりしているので、鯉の味を感じつつ様々な野菜や鱗を一緒に味わえる。これは気に入った食べ方だった。
・ごはん
途中で炊き立てのごはんを食べてほしいと、一口大の量のごはんとあさくさのりが一枚。醤油などはつけずに頂く。ご主人が、うちのメインはごはん、と言うだけはある。ごはんが美味しい。のりだけで十分。その後、ごはんを様々な食べ方で出てくる事になる。
・煮物椀 鰻、胡桃豆腐、しゃくし菜、菊
さっぱりとした出汁に鰻が合う。胡桃豆腐が香ばしく、香りがいい。
・鯖の慣れ寿司、あけび(写真撮り忘れ)
小皿が二つ。鯖の慣れ寿司は鮒寿司に近い味わいだが、鮒寿司よりは香りが強いか。日本酒にはピッタリのようだ。(連れの方の話です。私は飲めません)アケビは大根の葉と和えたもの。これは私の好み。アケビの柔らかい甘さと大根の葉の香りがいい。
・炊き合わせ きのこ、堀川ごぼう、里芋、菊菜
蓋の上にあずきのさや。中のあずきを椀の中に入れて頂く。あずきが香ばしい。きのこは5種類入っているが、歯応え、香りとも美味しい。ゆずの香りが爽やか。
・刺身 甘鯛の焼き霜造り
皮目を焼いた甘鯛、大徳寺納豆を挟んでいるので、そのまま頂く。上に松茸、横には何とみかんのジュレ。甘鯛と大徳寺納豆を一緒に頂くと甘鯛の甘さと大徳寺納豆の渋味がとても合う。松茸は香りと歯応え。みかんのジュレがいい箸休め。この甘酸っぱさは意外にも合う。
・地鶏のすき焼き
ご主人が自ら地鶏を育てており、その肉を頂く。健康によく動いている鶏なのだろう、肉はしっかりと歯ごたえがあり、旨味もしっかりある。レバーやハツは香りも素晴らしい。こんにゃく、ネギ、麩がいい相棒である。すき焼きのだしには既に溶き卵が入っており、実は、食べ終わったあと、こちらにご飯を入れてTKG(かけてないですが・・)で頂く。山椒と山椒の葉を一緒に入れて。これがまた美味しい。これがあったので、こちらの代表作のYKTKGは今回はなかった。
・ご飯もの
めざしの炭火焼き、大根の葉と油揚げの煮浸し、なすと万願寺唐辛子のうるか味噌合え、里芋、漬物がごはんの相棒。
当たり前だが、どれもごはんに合うおかず。特になす味噌はうるかの苦みがいい塩梅である。さらに、ニューヨーク(お茶漬け)をおかわりで頂く。これでお腹一杯なので、”パリ”というおこげまで食べられなかったのが残念。
・甘味 柿、キュウイのソルベ、ブルーベリー
柿の果肉がトロトロで甘い。ソルベの爽やかな酸味が合う。
・ご主人こだわりの水出しアイスコーヒーと黒糖の金平糖、蘇(牛乳を煮詰めたものでチーズの原型)
これだけお腹一杯食べても、翌日はすっきりしている。本当に健康になった感じがする。考えてみたら、たっぷりの野菜に魚、肉とバランスよくしかも旬のものだけである。また、お腹の具合に合わせて量がコントロールできる。旬のものを残さず美味しく食べる、素晴らしいことと思う。ご主人が自ら、野菜を取りにいき、自ら鯉や地鶏を育て、、、地産地消の典型である。京料理のお店といっても敷居は高くなく、料理の説明の際、ご主人のダジャレが必ず入る(笑)ところもリピーターの多いのが納得できる。
多分、次回は来年の春になるが、春の来訪を楽しみにしたい。最も予約を頑張ってとらないといけないが、、、。
2022/11/08 更新
2回目の訪問となる、なかひがしさん。ところが、店主の中東さんが、所用で不在。まあ、調理はお弟子さんが基本的にはいつも行っているので問題ないが、、、
ただ、やはりオペレーションが少々悪い。ご飯のおかわりが忘れられたりとか、、
まあ、そこは仕方ないが、仲居さんがしっかりしているので、飲み物の提供は問題なかった。
さて、春なので春の野菜、山菜を期待していたが期待通りの料理であった。
・前菜
はまぐりの飯蒸し、赤カブの柿なます、百合根まんじゅう、鹿肉巻き、飯蛸、菜の花のおひたし
どれも季節の味わい。飯蒸しはわさびの葉に巻いて食べると風味が豊かになる。柿なますは赤カブとの相性がいい。百合根まんじゅうには頭芋と一緒にまんじゅうにしている。
・ふきのとうの白和え
ふきのとうの花の素揚げがのっておりよく混ぜて頂く。
ふきのとうの香り、ほろ苦さと白和えの甘さ、まさしく春の味である。
・汁椀
甘草、辛子水菜にとちもちが入っている白味噌仕立ての椀である。甘草の香り、水菜の歯ごたえにとちもちの美味しさ、京都らしい椀だろうか。
・いわなの塩焼き
いわなは丸ごと頂けるようしっかりと焼いている。骨は骨せんべいに。野菜は田ゼリ、のらぼう菜、ゆかりをふった菜の花、塩蔵きゅうりの黒糖漬け。野菜も楽しい。
もう一つ、辛み大根のスライスに新姫という三重県でしかとれない柑橘類のジャムが添えてある。これが塩焼きのアクセントとして、意外なほど合う。
・鯉の刺身
定番となりつつある。中東さんが自ら、鯉を清水で泥抜きをしており、全く嫌な匂いはない。野草と一緒に混ぜて食べるのだが、今回、黄肌の実という果実の干したものがある。これだけ先に食べてという事で、これは正直、美味しいものではない。甘さと苦さがあるが、香りがなんと言っていいかわからないが、すーとするような香り。漢方に近く、身体にはいいらしい、、笑
野草はかきどおし、赤リアスというからし菜、辛子水菜、に辛み大根のおろし。野草は中東さんがつんだもの。
風味、香り、本当に素晴らしい。鯉の味もしっかりしているから、全部混ぜて食べても鯉の味わいがしっかりある。
・胡桃豆腐
ほうれん草、うど、カレイに胡桃を散らし、下には胡桃豆腐が、、、。胡桃豆腐の香ばしさと甘さ、ほうれん草の甘さ、うどの香り、カレイの旨味、出汁の美味しさが一体となっている。完成度の高い椀
・炊き立て一口ご飯
炊き立てが海苔と一緒に一口だけ、、。ただ、今回は少し柔らかすぎかな、と思う。関西は関東に比べて、柔らかく炊くのだが、今回は少し柔らかすぎるように感じた。
・鯖の熟鮓
鯖と一緒に菊芋、辛み大根、ほとけのざを一緒に頬張る。その後、すぐにナイアガラワインを口に、、
いやあ、アルコールが弱い私でも、このコンビネーションはとても美味しいと思った。
・筍とわかめの炊き合わせ
器の蓋に山椒の枝を乾燥したものが乗っており、蓋を開けるときに中に入れる。出汁の中に筍とわかめ、そしてむかごと自然薯の揚げ物が入っている。山椒のいい香り、そして筍の香り、わかめは歯ごたえ十分で塩味もある。わかめの塩分を考慮して出汁の味は薄めにしている。揚げ物は食べ応えもあり、むかごの甘さがよくわかる。味わい深い椀である。
・琵琶湖のもろこの塩焼き
実は、もろこの塩焼きと牛肉の炭火焼きの選択があった。また、両方を選択できる。料金がプラスされるが。ただ、せっかくだから、魚、肉の両方を頂くことに。
もろこの塩焼きにはほうれん草などの野菜、ノビル、焼いたカラスミが添えてある。ノビル酢が添えており、塩焼きにつけて頂く。もろこはさっぱりとした味わいでクセもない。ノビル酢につけて頂くとノビルの野趣溢れる香りがよく合う。焼いたカラスミもいい塩梅である。添えてあるノビルはピリッとした辛みがあり、いいアクセント。ノビル酢は少し薄めにしており、最後に飲み干す。
・未経産牝牛の炭火焼き
ちなみに和牛ではあるがブランド牛ではない。赤身の美味しいを味わうための肉である。薄切りの肉は綺麗な赤身。肉の味がしっかりしているが、柔らかさもある。白味噌とふきのとうのソース。これが赤身肉にピッタリのソース。ふきのとうの香りとほろ苦さが合う。付け合わせの野菜や野草もたっぷりあり、とても楽しめる皿である。
・菜の花のおひたし(写真撮り忘れ)
利尻昆布からとった出汁でおひたしに。利久麩が出汁を吸って美味しい。この日は、季節柄、菜の花が様々な料理に使われているが、このおひたしが一番、菜の花の香りを感じる。
・メインのご飯
こちらのメインはご飯、とお店の方が必ず言います、笑
ご飯のお供は、定番のめざしと漬物。そして、この日はおから和え、大根とタテボシ貝の煮物。タテボシ貝は琵琶湖で採れる貝で、泥臭さもなく旨味がしっかりとしている貝。おからは紫にんじんで色をつけ、祇園豆と和えている。どちらもご飯に合う。そして、ここのめざしは本当に美味しい。
・おかわり
かなりお腹いっぱいだったが、おこげのパリとお茶漬けのニューヨークを頂いた。おこげは山椒オイルと塩で頂く。
・菓子
路地イチゴに分担、酒粕のシャーベットに分担のマーマレード、上に野にんじんという葉。野にんじんは人参の仲間ではないが、噛むとにんじんの香りがする。酒粕のシャーベットと分担のマーマレードがいい。さっぱりとしたデザート。
・アイスコーヒーと黒糖の金平糖に蘇
実は、急用で中東さんがいらっしゃらなかった。最も調理についてはお弟子さん(と言っても調理長)がいつも調理されているので味の心配はなかった。ただ、提供がおくれたり、注文が頓挫したりがたまにあった。ただ、"ダジャレ"だけは中東さんから、必ずそういいなさい、と伝言があったようで、、笑笑、楽しい食卓だった事は間違いない。仲居さんがしっかりしているので、フォローはできていたようだ。あえて言うなら、ご飯の炊き上がりが、少しであるが柔らか過ぎたくらいか。メインがご飯なので、中東さんがいるとこのあたりの微妙な炊き上がりが違うかもしれない。
次回は、いつ、京都に行けるのか、まあ、秋には来訪したいなぁ。